有価証券報告書-第18期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下の通りです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(CОVID-19)の世界的な拡大に伴い、各国への渡航制限が実施される中、日本国内では、4月に発出された緊急事態宣言が解除された以降も、感染症拡大の防止策を多数講じているにも関わらず、感染症の収束時期は未だ予測できないため、経済の先行きが不透明な状況が続いております。
また、国内の人材育成を取り巻く環境は、従来の大人数で集合し一斉に研修を実施する形態の集合研修は、感染拡大防止の観点から実施を見送られることが多くなっており、インターネットを活用した研修の形式に注目が集まっております。
このような環境の中、当社グループでは、オンラインでの研修実施への移行を急速に進め、eラーニングの拡充やLMS(ラーニングマネジメントシステム)の販売拡大に努めるなど、「夢が溢れる世界のために、人のあらゆる可能性を切り拓きます- all the possibilities -」というMissionのもと、新しい働き方に合わせた人材育成のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してまいりました。
なお、当社グループは、人材育成事業の単一の報告セグメントでありますが、経営成績の概況についてはセグメントに代えてサービス別に記載しております。
⦅教室型研修⦆
教室型研修の当連結会計年度における売上高は、上半期において、顧客の新人研修の実施が集中し毎期大きく売上が上がる4月に緊急事態宣言が発出されたことにより、教室研修の実施の延期や見送りが相次ぎ売上が減少いたしました。一方で、新型コロナウイルス感染症の拡がりの影響を受け、テレワークに代表される新しい働き方が急速に浸透し、研修のオンラインでの実施や、eラーニングの注目度が大きく高まったことで、下半期の売上高は好調に推移いたしました。
以上の結果、教室型研修の売上高は、1,394,266千円(前連結会計年度比26.9%減)となりました。
⦅グローバル人材育成⦆
グローバル人材として必要なマインドやスキルの習得を促すため、海外現地での研修を実施している海外派遣型研修やビジネス英会話サービスの「ALUGO」を提供しているグローバル人材育成の売上高は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う渡航制限や現地での移動制限の影響を受け、前連結会計年度の売上高を下回ることとなりました。
以上の結果、グローバル人材育成の売上高は、139,730千円(前連結会計年度比67.5%減)となりました。
⦅海外教室型研修⦆
当社の子会社が現地法人向けに教室型研修を提供している海外教室型研修の当連結会計年度における売上高は、グローバル人材育成と同様に渡航制限や現地での移動制限の影響を受け、前連結会計年度の売上高を下回ることとなりました。
以上の結果、海外教室型研修の売上高は、74,591千円(前連結会計年度比40.4%減)となりました。
⦅etudes⦆
クラウド型eラーニングシステム「etudes」の当連結会計年度における売上高は、教室型研修と同様に新型コロナウイルス感染症の拡がりによる新しい働き方の浸透が、人材育成のDXを促し、eラーニング等の受講状況の管理や、効果測定等が可能なLMS(ラーニングマネジメントシステム)への注目度が増したことで好調に推移いたしました。
以上の結果、「etudes」サービスの売上高は、211,037千円(前連結会計年度比360.4%増)となりました。
これらの結果、当社グループの当連結会計年度における売上高は、1,819,626千円(前連結会計年度比27.5%減)と前連結会計年度に比べ690,307千円の減少となりました。
当連結会計年度における売上原価は、etudesの事業拡大に伴う人件費やサーバー等に係る費用の増加があった一方、オンラインでの研修実施の拡大により、納品に伴う旅費交通費や、教材のデジタル化による印刷外注費の減少等により全体的な原価率の低減がありました。当連結会計年度における原価率の低下は、人材育成のオンライン化に伴う低減効果が大きいと認識しており今後も継続するものと考えております。
販売費及び一般管理費においては、海外拠点の組織体制の見直しによる固定費の減少や、テレワークの推進による通勤費や営業目的での旅費交通費の低減がありました。
これらの結果、当社グループの当連結会計年度における営業損失は、218,750千円となり、経常損失は、216,934千円となりました。
また、当連結会計年度においては、特別利益及び特別損失を計上しており、生命保険の解約に伴う保険解約返戻金として7,570千円を特別利益に計上しております。また、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け、事業整理損として、海外の事業規模の見直しを行ったことによる費用を11,952千円、新型コロナウイルス感染症による損失として、感染症の拡大の影響による政府の緊急事態宣言の発出を受け、集合形式での教室型研修の実施を見送るケースによる外部講師に対するキャンセル費用等を20,663千円、投資目的で保有していた有価証券を新型コロナウイルス感染症による影響を勘案し評価した結果、投資有価証券評価損として14,999千円を特別損失へ計上しております。
これらの結果、当社グループの当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は、191,464千円となりました。
財政状態については、当連結会計年度末では以下の通りとなりました。
(単位:千円)
| 前連結会計年度 (2019年12月31日) | 当連結会計年度 (2020年12月31日) | 増減 | |
| 流動資産 | 1,067,118 | 1,694,793 | 627,674 |
| 固定資産 | 216,696 | 250,790 | 34,094 |
| 資産合計 | 1,283,814 | 1,945,584 | 661,769 |
| 流動負債 | 191,779 | 432,119 | 240,340 |
| 固定負債 | 36,909 | 669,119 | 632,209 |
| 負債合計 | 228,689 | 1,101,239 | 872,549 |
| 純資産合計 | 1,055,125 | 844,345 | △210,780 |
| 負債純資産合計 | 1,283,814 | 1,945,584 | 661,769 |
主な変動理由は以下の通りです。
流動資産
当連結会計年度における流動資産残高は、1,694,793千円となり、前連結会計年度に比べて627,674千円の増加となりました。これは主に、借入の実行等により現金及び預金が566,198千円増加したことによるものです。
固定資産
当連結会計年度における固定資産残高は、250,790千円となり、前連結会計年度に比べて34,094千円の増加となりました。これは主に、当連結会計年度において親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことに伴い、税務上の繰越欠損金等にかかる繰延税金資産が68,784千円増加したことによるものです。
流動負債
当連結会計年度における流動負債残高は、432,119千円となり、前連結会計年度に比べて240,340千円の増加となりました。これは主に、借入の実行により1年内返済予定の長期借入金が245,492千円増加したことによるものです。
固定負債
当連結会計年度における固定負債残高は、669,119千円となり、前連結会計年度に比べて632,209千円の増加となりました。これは主に、借入の実行により長期借入金が632,563千円増加したことによるものです。
純資産
当連結会計年度における純資産残高は、844,345千円となり、前連結会計年度に比べ210,780千円の減少となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上及び配当金の支払いにより利益剰余金が211,728千円減少したことによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、1,255,024千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により使用した資金は、266,307千円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純損失が256,980千円となったことに加え、法人税等の支払額による支出が14,795千円になったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、25,713千円となりました。
これは主に、無形固定資産の取得による支出が23,628千円となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により獲得した資金は、860,480千円となりました。
これは主に、長期借入による収入が1,100,000千円となった一方で、長期借入金の返済による支出が221,945千円、配当金の支払いによる支出が17,624千円となったこと等によるものです。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウィルス感染症の影響については、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、事業計画数値を基に経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(過去における事業計画数値の達成状況、予算など)を整合的に修正し見積っております。当該見積りには、売上高に影響する企業向け研修サービスやeラーニングサービスの過去の実績を踏まえた一定の成長率などの仮定を用いております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
④ 生産、受注及び販売の状況
イ.生産実績
当社グループは、人材育成事業の単一の報告セグメントであり、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載をしておりません。
ロ.受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりです。
| 区分 | 当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) | |||
| 受注高 (千円) | 前年同期比 (%) | 受注残高 (千円) | 前年同期比 (%) | |
| 教室型研修 | 1,204,612 | △34.8% | 401,515 | △32.1% |
| グローバル人材育成 | 52,973 | △87.8% | 52,820 | △62.2% |
| 海外教室型研修 | 85,057 | △27.4% | 18,534 | 129.7% |
| etudes | 220,633 | 158.6% | 21,331 | △32.8% |
| 合計 | 1,543,276 | △37.7% | 494,202 | △35.9% |
(注) 1.当社グループは単一の報告セグメントであるため、サービス別に記載しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ハ.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
| 区分 | 当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) | |
| 販売高(千円) | 前年同期比(%) | |
| 教室型研修 | 1,394,266 | △26.9% |
| グローバル人材育成 | 139,730 | △37.5% |
| 海外教室型研修 | 74,591 | △40.4% |
| etudes | 211,037 | 360.4% |
| 合計 | 1,819,626 | △27.5% |
(注) 1.当社グループは単一の報告セグメントであるため、サービス別に記載しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先が存在しないため、主な相手先別の販売
実績等の記載は省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載の通りであります。
また、当社の財務諸表作成で採用する重要な会計方針は、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載の通りです。
この連結財務諸表及び財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、不確実性が内在しているため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。
② 経営成績の分析
当連結会計年度における経営成績の分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。
③ 財政状態の分析、キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における財政状態の分析ならびに当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況、②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、運転資金に加え、オンライン研修導入企業増化の流れを確実にキャッチするために、若手・中堅社員向けの研修テーマに留まらず管理職・経営層向けの研修テーマやグローバルリーダー向けの研修テーマの拡充や、eラーニングコンテンツ数の拡大などへの投資、etudesサービスの機能追加及びUXの向上への投資など、当社デジタル教材の充実にのための投資があります。これらの資金需要に対して、主に自己資金を充当し、必要に応じて金融機関からの借入により調達する方針としております。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,255,024千円となっており、当社グループの事業活動を推進していくうえで十分な流動性を確保していると考えております。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが今後も持続的に成長していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載した課題に対応していくことが必要であると認識しております。現在当社が置かれている環境を鑑み、経営者は外部環境の変化についての情報入手及び分析を継続的かつ迅速に行い、適切な対応策を策定し実施していく方針であります。
当社グループは、現状においては事業拡大フェーズにあると考えており、一定の収益性を確保しながら売上高を成長させていくことが重要であると考えています。したがって、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、売上高、売上高成長率、営業利益ならびに営業利益率を重視しています。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、重視している指標が前連結会計年度を下回る結果となったものの、研修のオンライン化が急速に浸透し、またオンライン研修は従来の集合形式での研修に比べ印刷費・会場費・旅費等の原価が低減が可能となりました。以上のことから、これら指標の当連結会計年度の実績および翌連結会計年度の計画は以下の通りとなっております。
| 前連結会計年度 (実績) | 当連結会計年度 (実績) | 翌連結会計年度 (計画) | ||
| 売上高 | (百万円) | 2,509 | 1,819 | 2,270 |
| 売上高成長率 | (%) | 8.9 | △27.5 | 23.4 |
| 営業利益又は営業損失(△) | (百万円) | 165 | △218 | 230 |
| 営業利益率 | (%) | 6.6 | ― | 10.1 |