四半期報告書-第9期第1四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)

【提出】
2022/08/15 15:14
【資料】
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【項目】
37項目
(1) 分析の前提
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、当社グループの四半期連結財務諸表に基づいて実施されております。当社グループの四半期連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
四半期連結財務諸表の作成にあたっては一部に見積りによる金額を含んでおりますが、見積りにつきましては、過去実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づいており、妥当性についての継続的な評価を行っています。しかしながら、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
本項に記載した将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(2) 当社グループの事業に影響を与える経営環境に対する評価
当社グループは、機械(コンピュータやロボット)の「眼」に相当する人工知覚のアルゴリズムの研究開発とライセンス提供を行っております。人工知覚は機械の「脳」に相当する人工知能と並び相互補完するDeep Tech(深層技術)として、機械が自律的に機能できるように進化させる技術です。
当社グループの基幹技術は、独自のSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術であり、機械が動きながらリアルタイムでの位置認識と地図作成を行うものです。2021年3月期には、当業界における当グループの優位性を強化するため、同研究分野を世界的にリードしている独ミュンヘン工科大学発のArtisense Corporation(本社:米国カリフォルニア州、以下アーティセンス社)をグループ会社化しました。これにより、アーティセンス社の独自技術である次世代アルゴリズム(直接法SLAM)や、人工知覚と人工知能の融合技術(GN-net)等を販売ラインナップに加え、より幅広い顧客ニーズへの対応を強化しました。加えて、顧客の開発プロセスを短縮化する開発パッケージ(VINS)をアーティセンス社から市場投入し、最終製品の早期化を後押しすることで製品ライセンス売上の拡大を見込んでおります。中長期でのロボティクス・自動運転領域の発展と社会変化を見据えて、より革新性の高い人工知覚技術をアーティセンス社と共同で推進してまいります。
経営体制については、グローバルにおける機動的な執行及び短期と中長期の二軸経営の強化を目的として複数代表取締役体制の採用をしております。これにより代表取締役CEOの項がアーティセンス社を含む当社グループの事業経営を統括し、代表取締役大野智弘は同じく創業メンバーであるCTO John Williamsと共に中長期の成長に向けた次世代Deep Techへの投資や新領域強化を目指します。
事業戦略については、ロボティクス関連産業の発展と人工知覚技術の市場拡大が急激に進むことを見据えて、代替や置き換えが困難なアルゴリズム層への集中を行なっています。一方で、2023年3月期以降の複数の顧客製品化の実現を足掛かりとした当社技術の更なる普及と用途拡大のために、パートナー企業との技術連携・共同事業開発の元、ソリューション・プラットフォーム領域の事業展開も推進してまいります。中長期的には、最終製品の普及にともなう製品ライセンス売上の拡大を目指しており、市場成長性が極めて高い自動制御ロボット・自動運転自動車・モバイルセンサー・デジタルマップ等の領域を中心に、製品化確度が高い案件の大型化に注力をしています。加えて、販売戦略として、人工知覚と補完性が高いセンサ・半導体企業、システムインテグレータ、技術商社との提携拡大を通して、販売チャンネルとラインナップの拡大を進めています。
市場環境については、人と人の交流や共同作業を要しないオペレーションの省人化やリモート化需要が全ての産業で急増しており、特に、物流・製造・建設・小売等の領域におけるロボティクス・自動運転・ドローン等の自動化技術のニーズ増大が顕著であります。この影響により、足元での顧客製品化に向けた案件は着実に進捗しており、中長期的には特定の技術領域や産業での利用に限定されない幅広い範囲でのSLAM産業の高成長及び当社グループ技術の社会実装に伴う収益機会の拡大を引き続き見込んでおります。
(3) 経営成績に関する分析
顧客製品化に向けた開発案件のフェーズ進捗に伴う収入増加及びより幅広い適用領域での案件拡大により、売上の回復基調を継続しております。
アーティセンス社の子会社化を含むグローバル規模での体制拡大に伴い、販売費及び一般管理費は208,353千円(前年同四半期比74.6%増)に増加し、主な内訳は人件費64,213千円、経費及び償却費62,865千円、研究開発費81,274千円であります。
この結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は103,752千円(前年同四半期比206.7%増)、営業損失は138,132千円(前年同四半期は営業損失112,443千円)、経常利益は40,066千円(前年同四半期は経常損失122,286千円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は37,300千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失122,598千円)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(AP事業)
AP事業につきましては、上記要因により、売上高は83,952千円(前年同四半期比248.1%増)、セグメント損失は147,266千円(前年同四半期は112,400千円)となりました。
(CVC事業)
CVC事業につきましては、営業投資有価証券の売却により、売上高は19,800千円(前年同四半期比-)、セグメント利益は9,133千円(前年同四半期はセグメント損失43千円)となりました。
当第1四半期連結会計期間より、報告セグメント区分を変更しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「3.報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分にて組み替えた数値で比較をしております。
(4) 資本の財源及び流動性に関する分析
資金政策に関する基本方針として、当社グループは、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を資金政策の基本方針とし、事業展開および研究開発に係る資金需要に対して機動的に対応できるだけの十分な現金及び現金同等物の保有を図っております。
(5) 財政状態に関する分析
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は807,554千円(前期末比53,098千円増)となりました。これは主に、現金及び預金(同113,975千円増)の増加と、受取手形、売掛金及び契約資産(同57,640千円減)が減少したことによるものであります。
また、固定資産は16,310千円(前期末比615千円増)となりました。これは差入保証金が増加(同615千円増)したことによるものであります。
以上の結果、資産合計は823,864千円(前期末比53,714千円増)となりました。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は303,790千円(前期末比178,341千円増)となりました。これは主に、短期借入金(同200,000千円増)、契約負債(同19,399千円増)、未払金(同11,745千円増)の増加と、買掛金(同13,722千円減)、未払法人税等(同33,624千円減)が減少したことによるものであります。
以上の結果、負債合計は310,506千円(前期末比178,341千円増)となりました。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産は、513,358千円(前期末比124,627千円減)となりました。これは主に、四半期包括利益(△124,758千円)によるものであります。
(6) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、81,274千円であります。