有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/08/16 15:00
【資料】
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【項目】
86項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
第13期連結会計年度(自 2017年10月1日 至 2018年9月30日)
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は1,160,907千円となり、前連結会計年度末に比べ345,839千円増加いたしました。
流動資産は1,036,102千円となり、前連結会計年度末に比べ339,940千円増加いたしました。この主な内訳は、現金及び預金が175,694千円、受取手形及び売掛金が64,982千円及び電子記録債権が59,426千円増加したことによるものであります。
固定資産は124,805千円となり、前連結会計年度末に比べ5,899千円増加いたしました。この主な内訳は、有形固定資産が2,360千円、投資その他の資産が2,133千円、無形固定資産が1,405千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は482,283千円となり、前連結会計年度末に比べ180,723千円増加いたしました。
この主な内訳は、未払金が67,435千円、未払法人税等が40,462千円、買掛金が26,780千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は678,623千円となり、前連結会計年度末に比べ165,115千円増加いたしました。これは親会社株主に帰属する当期純利益165,115千円を計上したことにより利益剰余金が増加したことによるものであります。
第14期第3四半期連結累計期間(自 2018年10月1日 至 2019年6月30日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は1,395,758千円(前連結会計年度末比234,850千円の増加)となりました。これは主に現金及び預金184,828千円の増加によるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債は489,666千円(前連結会計年度末比7,382千円の増加)となりました。これは主に未払法人税等20,231千円の増加によるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は906,091千円(前連結会計年度末比227,467千円の増加)となりました。これは親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金227,467千円の増加によるものであります。
②経営成績の状況
第13期連結会計年度(自 2017年10月1日 至 2018年9月30日)
当連結会計年度におけるわが国の経済は、米中間における外交及び政策変化をはじめ、地政学リスクへの警戒感など、外的環境の不透明さから先行きが懸念されております。しかしながら国内においては企業の設備投資は堅調に推移し、雇用環境も改善も見られ、緩やかな拡大を続けております。
当社グループを取り巻くインターネット業界において、株式会社電通による「2017年 日本の広告費」によれば、引き続きインターネット広告市場は年平均10%以上の成長率が予想されており(注1)、またスマートフォンやタブレットの普及により、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の利用も、株式会社ICT総研による日本国内におけるSNSの利用動向に関する調査結果によれば、年々増加の傾向にあり2019年末には7,732万人へ拡大すると予想されております(注2)。
このような環境の中、当社グループでは各SNSプラットフォームにおけるインフルエンサーを自社の独自会員とするサービスを展開し、企業のプロモーション活動を支援してまいりました。また、新規事業である企業の保有するSNSアカウントの運用代行を本格的に展開し、人気インフルエンサーが商品を紹介するメディア「to buy」の運営を開始するなど、企業がSNSを通して消費者へ行うマーケティング活動を総合的に支援して参りました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は2,446,947千円(前年同期比31.1%増)となり、営業利益は233,706千円(前年同期比65.0%増)、経常利益は234,953千円(前年同期比58.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は165,115千円(前年同期比99.8%増)となりました。
当連結会計年度における主な勘定科目等の状況は次のとおりです。
なお、当社グループはソーシャルメディアマーケティング事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりません。
出所(注1)株式会社電通「2017年 日本の広告費」
(注2)株式会社ICT総研「2017年度 SNS利用動向に関する調査」
(売上高)
当連結会計年度の売上高は2,446,947千円(前年同期比31.1%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は1,140,117千円(前年同期比22.1%増)となりました。これは主に売上の増加に伴う仕入原価の増加によるものであります。この結果、売上総利益は1,306,830千円(前年同期比40.2%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,073,124千円(前年同期比35.7%増)となりました。これは主に従業員の増加に伴う人件費の増加及び採用活動の推進に伴う採用費の増加等によるものであります。その結果、営業利益は233,706千円(前年同期比65.0%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益から営業外費用を差し引いた営業外損益純額は、1,247千円(前年同期比79.9%減)の利益となりました。その結果、経常利益は234,953千円(前年同期比58.9%増)となりました。
(特別損益、法人税、住民税及び事業税、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益から特別損失を差し引いた特別損益純額は、事業譲渡益の計上により2,800千円(前年同期は10,458千円の損失)の利益となりました。
法人税等合計としては、72,637千円(前年同期比32.8%増)を計上しております。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は165,115千円(前年同期比99.8%増)となりました。
第14期第3四半期連結累計期間(自 2018年10月1日 至 2019年6月30日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、新興国経済の先行きや米中間における外交及び政策変化をはじめ、地政学リスクへの警戒感など、外的環境の不確実性があったものの、企業収益の回復や雇用環境の改善などを背景とし緩やかな拡大を続けております。
2018年のインターネット広告市場は、前年比16.5%増の1兆7,589億円(出典:株式会社電通「2018年 日本の広告費」)と引き続き10%を超える成長率を維持しております。また、2018年のインフルエンサーマーケティング市場は、前年比25.1%増の219億円となり、2023年には500億円を突破し、2028年には933億円(出典:株式会社デジタルインファクト「インフルエンサーマーケティング市場規模2017年-2028年」)と2018年対比4.2倍程度に市場拡大することが予測されています。
このような環境の中、当社グループでは「NINARY」「Ripre」「ポチカム」「to buy」といったInstagramを始めとした各SNSプラットフォームにおけるインフルエンサーを企業マーケティングへ活用する「インフルエンサーサービス」、企業の保有するSNSアカウントの企画・コンサルティングを含めた運用代行を行う「SNSアカウント運用」、「インターネット広告代理販売」及びInstagramに特化した戦略子会社「株式会社glamfirst」の4つのサービスを展開しており、企業がSNSプラットフォームを通して消費者へ行うマーケティング活動を総合的に支援して参りました。
「インフルエンサーサービス」について、引き続きInstagramに対する需要の取り込みにより売上高は931,114千円になりました。「SNSアカウント運用」について、取引社数の増加と取引単価の上昇により売上高は219,461千円になりました。「インターネット広告代理販売」について、広告主の予算がインフルエンサーマーケティングへとシフトしたことから売上高は685,754千円になりました。「株式会社glamfrist」について、大手広告主からの予算拡大が続き売上高は357,624千円になりました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は2,193,954千円となり、営業利益は354,266千円、経常利益は352,452千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は227,467千円となりました。
(売上高)
当第3四半期連結累計期間の売上高は2,193,954千円となりました。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期連結累計期間の売上原価は、売上の増加に伴う仕入原価の増加により897,728千円となりました。この結果売上総利益は1,296,225千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第3四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、従業員の増加に伴う人件費の増加及び採用活動の推進に伴う採用費の増加により941,959千円となりました。その結果、営業利益は354,266千円となりました。
(営業外損益、経常利益)
当第3四半期連結累計期間の営業外収益から営業外費用を差し引いた営業外損益純額は、1,813千円の損失となりました。これは主に株式公開費用を計上したことによるものであります。その結果、経常利益は352,452千円となりました。
(特別利益、法人税、住民税及び事業税、親会社株主に帰属する四半期純利益)
当第3四半期連結累計期間の特別利益は、債務免除益の計上により5,155千円の利益となりました。
法人税等合計としては、130,140千円を計上しております。その結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は227,467千円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
第13期連結会計年度(自 2017年10月1日 至 2018年9月30日)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、売上債権の増加、有形固定資産の取得による支出等の要因により一部相殺されたものの、税金等調整前当期純利益が237,753千円(前年同期比73.1%増)と増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ175,694千円増加し、524,626千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、197,048千円(前年同期比124.3%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益237,753千円の計上、未払金の増加額67,435千円等があった一方で、売上債権の増加額124,409千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、21,354千円(前年同期比57.0%減)となりました。これは主に、新規社内サーバ機器購入等による、有形固定資産の取得による支出8,632千円、新規社内システムの構築による、無形固定資産の取得による支出7,498千円、敷金及び保証金の差入による支出5,223千円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当社グループの事業セグメントは、ソーシャルメディアマーケティング事業の単一セグメントであるため、第13期連結会計年度及び第14期第3四半期連結累計期間における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
サービスの名称第13期連結会計年度
(自 2017年10月1日
至 2018年9月30日)
第14期第3四半期
連結累計期間
(自 2018年10月1日
至 2019年6月30日)
販売高(千円)前年同期比
(%)
販売高(千円)
インフルエンサーサービス997,375125.6931,114
SNSアカウント運用103,2752,216.2219,461
インターネット広告代理販売1,010,811105.2685,754
株式会社glamfirst335,485313.9357,624
合計2,446,947131.12,193,954

(注)1.インフルエンサーサービスとは、ソーシャルメディアマーケティング事業を構成する主要サービスである(1)NINARY、(2)Ripre、(3)ポチカム、(4)to buyを総称した名称です。
2.SNSアカウント運用は、2017年8月からサービスを開始しております。
3.各サービスと株式会社glamfirst間の内部売上高は、調整後の金額を記載しております。
4.最近2連結会計年度及び第14期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第12期
連結会計年度
(自 2016年10月1日
至 2017年9月30日)
第13期
連結会計年度
(自 2017年10月1日
至 2018年9月30日)
第14期第3四半期
連結累計期間
(自 2018年10月1日
至 2019年6月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社サイバー・コミュニケーションズ308,75416.5238,3979.7198,1609.0
資生堂ジャパン株式会社77,8194.2268,26611.0173,2487.8

5.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りに関して、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(1)経営成績
経営状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上目標とする客観的な指標」をご参照ください。当社グループでは売上高及び営業利益率を重視しております。引き続きこれらの指標について増加するよう取り組んでまいります。
(3)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。また、経営者の問題認識、今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、更なる成長を図る為に、成長フェーズにあった組織体制の確立と優秀な人材の確保が必要であり、今後も積極的な採用活動を継続して実施する方針です。当社グループの資金需要の一定割合は、人材及び事務所の拡充であり、必要な資金は自己資金及び新株発行による調達資金により充足することとしております。