有価証券報告書-第9期(令和2年3月1日-令和3年2月28日)

【提出】
2021/05/31 15:00
【資料】
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【項目】
111項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社グループは当連結会計年度より連結財務諸表を作成しておりますので、前連結会計年度との比較に代えて、前事業年度との比較により記載しております。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,799,423千円となり、前事業年度末に比べ1,239,663千円増加いたしました。これは主に株式の公開及びこれに伴う株式発行により、現金及び預金が1,036,498千円増加したことによるものであります。
また、当連結会計年度末における固定資産は169,719千円となり、前事業年度末に比べ81,263千円増加いたしました。これは主に米国のDeepBench Inc.に対するSAFE投資による長期投資勘定の発生により32,468千円、繰延税金資産が42,142千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、1,969,142千円となり、前事業年度末に比べ1,320,926千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は758,960千円となり、前事業年度末に比べ400,416千円増加いたしました。これは主に事業規模の拡大に伴い法人クライアントから収受する前受金が193,250千円増加したこと、買掛金が50,441千円増加したこと、及び賞与引当金が51,950千円増加したこと等によるものであります。なお、法人クライアントから収受する前受金は、事前購入制としている当社サービスの利用に用いるチケットの購入代金のうち、未利用の金額となります。
また、当連結会計年度末における固定負債は190,000千円であり、前事業年度末から増減しておりません。
この結果、負債合計は、948,960千円となり、前事業年度末に比べ400,416千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,020,182千円となり、前事業年度末に比べ920,509千円増加いたしました。これは、当連結会計年度において株式を発行したことにより資本金及び資本剰余金の合計額が717,113千円増加したことのほか、親会社株主に帰属する当期純利益201,953千円を計上したことに伴う利益剰余金の増加等によるものであります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、2020年3月ごろから提出日時点にわたって新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大し、様々な産業にその影響が生じておりました。2020年4月には最初の緊急事態宣言が発令され、その後、2021年1月に二度目、2021年4月には三度目の緊急事態宣言が発令されており、依然としてCOVID-19による厳しい状況が継続しております。
一方、当社グループが属する情報・サービス系の産業においては、業況の著しい悪化には至っておらず、BtoB情報プラットフォーム市場の売上高規模は、2020年1月~12月の合計で3,020億円(前年同期比2.6%増)となっております(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査(2021年2月公表)」の「データベース」及び「各種調査」を合計)。
当社を取り巻く環境としては、企業業績にて厳しさが一部見られるものの持ち直しの動きがあり、また、中長期的な視点での事業・研究開発活動には底堅さがあり、ビジネス知見に対するニーズが継続しております。
かかる状況のもと、当連結会計年度においては、当社のサービスは順調に拡大を続けております。
フルサポート形式のスポットコンサル設営サービス「ビザスクinterview」においては、継続的な法人クライアント基盤の拡大に注力し、法人クライアント口座数は、前期(2020年2月期)の485口座から735口座まで増加いたしました。また、その他のサービスについては、2018年1月に「ビザスクexpert survey」、2019年6月に「ビザスクweb展示会」、2020年12月に「ビザスクboard」をリリースし、新たなサービス開発とその収益化を実行しております。また、「ビザスクlite」においてもUI/UXの改善や、アドバイザー検索機能の向上等の様々な施策を継続しております。
以上の結果、当連結会計年度末時点で国内登録者数は11万人超となり、また、当社のアレンジしたフルサポート形式のスポットコンサルによる知見提供取引の件数(「ビザスクinterview」のみ)は約19.5千件(前期比55%増)となりました。業績については、知見プラットフォーム事業全体での取扱高は2,570百万円(前期比64%増)となり、営業収益は1,604百万円(前期比63%増)、営業利益208百万円(前期比191%増)、経常利益197百万円(前期比244%増)、親会社株主に帰属する当期純利益201百万円(前期比282%増)となりました。
なお、当社グループは知見プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(注)「国内登録者数」は、当社日本語webサイトにて登録をした人数の合計であります。国内登録者は、知見を提供する個人(アドバイザー)と、これを求める個人(「ビザスクlite」における依頼者。また、「ビザスクlite」を活用するための契約を締結した法人に所属し、当該契約に基づき登録された個人を含む。)に分かれております。いずれの登録者もアドバイザーとしてフルサポート形式「ビザスク」及びセルフマッチング形式「ビザスクlite」で活動することができ、また、依頼者として「ビザスクlite」を利用することができます。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,357,641千円となり、前事業年度末と比べ1,033,575千円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果による収入は393,115千円(前事業年度は139,511千円の収入)となりました。増加の主な内容は、税金等調整前当期純利益の計上197,232千円、減価償却費の計上18,301千円、仕入債務の増加額50,441千円、前受金の増加額193,250千円、未払消費税等の増加額36,354千円、賞与引当金の増加額51,950千円であります。一方で、主な減少要因は、売上債権の増加額209,498千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果による支出は60,978千円(前事業年度は33,954千円の支出)となりました。これは主に、人員増加に伴い備品等を取得したことに伴う有形固定資産の取得による支出27,557千円、米国企業のDeepBench Inc.との資本業務提携によるSAFE投資を内容とする長期投資による支出32,468千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果による収入は703,842千円(前事業年度は22,106千円の支出)となりました。これは主に、2020年3月の株式上場に伴う株式の発行による収入717,113千円及び長期借入金の返済による支出11,108千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの行う事業は提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略いたします。
b.受注実績
当社グループの行う事業は提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略いたします。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年3月1日
至 2021年2月28日)
金額(千円)前年同期比(%)
知見プラットフォーム事業1,604,31663.0
合計1,604,31663.0

(注)1.当社グループの事業セグメントは、知見プラットフォーム事業の単一セグメントであります。
2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先当連結会計年度
(自 2020年3月1日
至 2021年2月28日)
金額(千円)割合(%)
株式会社ボストン・コンサルティング・グループ183,72911.4

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成において、会計方針の選択・適用及び損益又は資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において、過去の実績や判断時点で入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。
② 経営成績等に関する認識及び分析・検討内容
(営業収益)
当連結会計年度における営業収益は、前事業年度と比べて63%増の1,604,316千円となりました。主な要因は、当社のメインサービスであるフルサポート形式「ビザスク」のスポットコンサル設営サービス「ビザスクinterview」が大きく成長したことのほか、オンラインのアンケート形式でアドバイザーの知見を収集するサービス「ビザスクexpert survey」や、事業法人向けの新規事業創出を支援するサービス「ビザスクproject」、セルフマッチング形式の「ビザスクlite」等の成長により、取扱高が前事業年度と比べて63.9%増の2,570百万円となったことによるものであります。特に、「ビザスクinterview」の成長の背景には、プロフェッショナルファームや事業法人の既存クライアントを中心とした平均的な取扱高の増加や、法人クライアント口座数の増加があります。
(営業費用)
当連結会計年度における営業費用は、前事業年度と比べて52.9%増の1,395,868千円となりました。主な要因は、事業の拡大に伴う積極的な採用活動による人件費の増加や、これによる採用費の増加、及びマーケティング活動の拡大による広告宣伝費及び関連ツールの利用料による支払手数料等の増加によるものであります。
(営業外損益)
当連結会計年度における営業外費用は、前事業年度と比べて8.4%減の13,146千円となりました。主な要因は、上場関連費用の減少によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前事業年度と比べて281.9%増の201,953千円となりました。これは主に、経常利益が197,232千円であった一方で、法人税、住民税及び事業税が37,419千円あり、また、繰越欠損金や賞与引当金等に係る税効果に基づき繰延税金資産が計上されたことにより法人税等調整額を△42,141千円計上したことによるものであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、アドバイザーへの謝礼のほか、人件費、採用費、広告費及び支払報酬などの営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、基本的には業務に利用する情報関連機器です。
運転資金及び投資資金は自己資金のほか、金融機関からの長期借入により調達しております。なお、当連結会計年度末の借入金の合計残高は190,000千円となっております。また、当連結会計年度末の現金及び預金は1,357,641千円であり、十分な短期流動性を確保しております。