有価証券報告書-第12期(2023/03/01-2024/02/29)

【提出】
2024/05/31 16:39
【資料】
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【項目】
127項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当社グループは、「知見と、挑戦をつなぐ」をミッションに掲げ、知見プラットフォーム事業を展開しております。
当連結会計年度における我が国経済は、内需を中心に緩やかに回復しており、企業の収益環境は良好に推移しており、企業は好業績を背景に投資に対して積極的な姿勢にあります。大企業と中小企業ともにソフトウエアや情報機器などへの投資需要が強く、人手不足が続いていることからも、省力化のためのデジタル投資、また、環境への意識の高まりから脱炭素化の推進など、中長期視点の投資が着実に進むだろうとみられています。欧米経済は、物価高や金融引き締めの影響から減速しております。
グローバルENS(グローバルなコンサルティング・ファーム、金融機関等を主要顧客層とする事業領域)においては、米国では、見通しにくい金融環境が原因となって事業環境の不安定さが継続しており、収益の低下とのれん等の無形資産の償却費負担等によって赤字となっておりますが、オペレーション改善や規律的なコスト管理、また、Colemanとのマーケティング施策及びデータベース連携の推進、Life Science領域の開拓、米国アリゾナ州フェニックスで拠点の開設、また、新たにHead of Americasが就任するなど、規律を持ちながら事業を展開しております。国内のENS領域においては、引き続き堅調に成長しております。
国内事業会社向けプラットフォームにおいては、マーケティング施策の推進に伴う法人クライアント口座数の拡大基調の継続と、顧客内での利用度の高まり、また、複数商材の展開が顧客のニーズに合致していることなどにより、事業の成長が継続しております。
以上の結果、当連結会計年度末時点で登録者数は63万人超となり、取扱高は知見プラットフォーム事業全体で13,106百万円となりました。
また、当連結会計年度における営業収益は8,967,692千円(前年同期比7.0%増)、営業損失59,145千円(前年同期は4,406千円の営業利益)、経常利益112,418千円(前年同期は51,169千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失12,635,778千円(前年同期は75,857千円の親会社株主に帰属する当期純利益)、調整後EBITDA(※)は1,254,570千円(前年同期比8.7%増)となりました。
なお、当社グループは知見プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。※調整後EBITDAは営業利益+減価償却費+のれん償却費+株式報酬費用
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は6,968,148千円となり、前連結会計年度末に比べ978,577千円増加いたしました。これは主に事業規模の拡大により現金及び預金並びに売掛金及び契約資産が増加したこと等により流動資産が増加したことによるものであります。
また、当連結会計年度末における固定資産は325,718千円となり、前連結会計年度末に比べ14,569,068千円減少いたしました。これは主に、Coleman Research Group, Inc.に属する固定資産の減損損失を計上したこと等により有形固定資産及び無形固定資産が減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、7,293,867千円となり、前連結会計年度末に比べ13,590,490千円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は4,114,039千円となり、前連結会計年度末に比べ592,066千円増加いたしました。これは主に、事業規模の拡大により法人クライアントから収受する契約負債が423,619千円増加したこと等によるものであります。
また、当連結会計年度末における固定負債は2,877,632千円であり、前連結会計年度末に比べ2,406,220千円減少いたしました。これは主に、繰延税金負債が1,980,532千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、6,991,671千円となり、前連結会計年度末に比べ1,814,154千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は302,195千円となり、前連結会計年度末に比べ11,776,336千円減少いたしました。これは主に、在外子会社に属する資産及び負債の換算替えに伴い、為替換算調整勘定が824,292千円増加したこと、また、親会社株主に帰属する当期純損失△12,635,778千円を計上したことに伴う利益剰余金の減少等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は4,307,529千円となり、前連結会計年度末と比べ432,139千円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果による収入は932,746千円(前連結会計年度は1,518,665千円の収入)となりました。収入の主な内容は、税金等調整前当期純損失の計上14,392,986千円、減価償却費818,642千円、のれん償却額446,746千円、減損損失14,472,936千円、売上債権及び契約資産の増加額356,094千円、契約負債の増加額373,773千円、仕入債務の増加額44,536千円、法人税等の支払額470,023千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果による支出は285,603千円(前連結会計年度は433,928千円の支出)となりました。これは主に、人員増加に伴い備品等を取得したことに伴う有形固定資産の取得による支出58,594千円、無形固定資産の取得による支出217,428千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果による支出は290,288千円(前連結会計年度は468,756千円の支出)となりました。これは、主に、新株予約権の行使及びPSUに基づく株式の発行による収入35,148千円と、長期借入金の返済による支出325,437千円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの行う事業は提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略いたします。
b.受注実績
当社グループの行う事業は提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略いたします。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年3月1日
至 2024年2月29日)
金額(千円)前年同期比(%)
知見プラットフォーム事業8,967,692107.0
合計8,967,692107.0

(注)1.当社グループの事業セグメントは、知見プラットフォーム事業の単一セグメントであります。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2022年3月1日
至 2023年2月28日)
当連結会計年度
(自 2023年3月1日
至 2024年2月29日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
マッキンゼー・アンド・カンパニー・インコーポレイテッド・ジャパン1,138,52913.61,168,33913.0
ボストン・コンサルティング・グループ合同会社1,118,34313.31,029,52811.5

3.主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成において、会計方針の選択・適用及び損益又は資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において、過去の実績や判断時点で入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。
② 経営成績等に関する認識及び分析・検討内容
(営業収益)
当連結会計年度における営業収益は、8,967,692千円となりました。主な要因は、当社のメインサービスであるフルサポート形式「ビザスク」のスポットコンサル設営サービス「ビザスクinterview」や「ビザスクexpert survey」、「ビザスクpartner」などが大きく成長したことにより、取扱高が増加したことによるものであります。その背景には、プロフェッショナル・ファームや事業法人の既存クライアントを中心とした平均的な取扱高の増加や、法人クライアント口座数の増加があります。
(営業費用)
当連結会計年度における営業費用は、9,026,838千円となりました。主な要因は、事業の拡大に伴う積極的な採用活動による人件費の増加や、これによる採用費の増加、及びマーケティング活動の拡大による広告宣伝費及び関連ツールの利用料による支払手数料等の増加によるものであります。
(営業外損益)
当連結会計年度における営業外収益は、221,955千円となりました。主な要因は、補助金収入が98,988千円、受取保険金が31,297千円、受取還付金が59,691千円発生したことによるものであります。また、当連結会計年度における営業外費用は、50,390千円となりました。主な要因は、借入金による支払利息が37,127千円発生したことによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、12,635,778千円となりました。これは主に、経常利益が112,418千円であったこと、Coleman社に関するのれん等の無形資産等に関する減損損失が14,472,936千円発生したこと、法人税、住民税及び事業税が407,834千円発生し、また、繰延税金負債が減少したことにより法人税等調整額△2,165,043千円を計上したことによるものであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、アドバイザーへの謝礼のほか、人件費、採用費、広告費及び支払報酬などの営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、基本的には業務に利用する情報関連機器です。
運転資金及び投資資金は、自己資金のほか、増資、金融機関からの借り入れにより調達しております。当連結会計年度末の借入金の合計残高は3,299,250千円となっており、このうち、1年内返済予定の長期借入金は425,687千円であります。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は4,307,529千円であり、十分な短期流動性を確保しております。