有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/11/15 15:00
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【項目】
102項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第14期連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は918,026千円と前連結会計年度末に比べ166,129千円の増加となりました。
流動資産については、現金及び預金が前連結会計年度末に比べ155,320千円増加いたしました。また、流動資産合計は824,272千円と前連結会計年度末に比べ178,474千円の増加となりました。
固定資産については、有形固定資産が34,741千円、無形固定資産が33,753千円、投資その他の資産が25,259千円となり、前連結会計年度末に比べ12,345千円減少し、93,753千円となりました。これは主に、ソフトウエア5,447千円及びのれん4,429千円の減少によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は426,307千円と前連結会計年度末に比べ11,391千円の増加となりました。
流動負債については、未払法人税等8,238千円、賞与支払等による未払金21,296千円が減少した一方、前受金が58,735千円増加したことにより、前連結会計年度末に比べ24,057千円の増加となりました。
固定負債については、長期借入金の返済11,004千円及び繰延税金負債1,067千円の減少により、前連結会計年度末に比べ12,665千円の減少となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は491,718千円と前連結会計年度末に比べ154,737千円の増加となりました。これは、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益123,343千円の計上及び配当金6,966千円の支払により利益剰余金が116,377千円増加し、自己株式処分によるその他資本剰余金5,480千円の増加及び自己株式32,880千円の減少によるものであります。
第15期第3四半期連結累計期間(自2019年1月1日 至 2019年9月30日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は984,405千円となり、前連結会計年度末に比べ66,379千円増加いたしました。
流動資産については、現金及び預金185,022千円の増加、有価証券100,000千円及びその他流動資産22,834千円の減少により、前連結会計年度末に比べ66,888千円増加し、882,446千円となりました。
固定資産については、有形固定資産が37,373千円、無形固定資産が34,513千円、投資その他の資産が30,071千円となり、前連結会計年度末に比べ509千円減少し、101,958千円となりました。これは主に、ソフトウエア5,442千円の増加、繰延税金資産3,902千円の減少及びのれん3,321千円の減少によるものであります。なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態については遡及適用後の前事業年度末の数値で比較を行っております。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は392,664千円となり、前連結会計年度末に比べ33,642千円減少いたしました。
流動負債については、未払法人税等14,998千円及び未払金29,015千円の減少、前受金24,370千円の増加により、前連結会計年度末に比べ28,623千円の減少となりました。
固定負債については、1年内返済予定の長期借入金への振替8,253千円、資産除去債務11千円の計上により、前連結会計年度末比5,019千円の減少となりました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は591,740千円となり、前連結会計年度末に比べ100,021千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益111,606千円の計上及び配当金11,584千円の支払による利益剰余金100,021千円の増加によるものであります。
② 経営成績の状況
第14期連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
当連結会計年度における我が国の経済は、大規模な自然災害により経済活動が一時的に停滞したものの、企業収益や雇用情勢、個人消費の持ち直しなどにより、緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら、米国の政策運営や世界的な保護主義傾倒に対する警戒感の高まりなどにより、世界経済の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く事業環境は、企業のデジタルトランスフォーメーションに向けた取り組みの強化や拡大に対するIT人材の不足感が高まっており、2019年をピークに人材供給は減少に転じ、今後も更に強まるものと見込まれております。
このような環境のなか、当社グループにおいては、サービス品質の改良・開発に注力するとともに、人材採用・教育の体系化など人材への投資を中心に行いました。インソーシング事業においては、大阪オフィスを閉鎖し、サービス提供エリアを首都圏へ集中させ、より成長加速を図ることとした一方、「Syszo」の新規事業モデルについては、「情シス連絡網」を企画したものの、事業化の条件(社内外アンケート3分の2以上の賛成票)に満たなかったため、再検討を行うことといたしました。セキュリティ事業においては、当社との人材・サービス・業務管理などの連携を一層強めるとともに、これまでのコンサルティングのノウハウを活かした新たな研修サービスを開発し、事業基盤をより強固なものとしております。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高1,388,342千円(前年同期比18.1%増)、営業利益171,114千円(同73.9%増)、経常利益176,262千円(同69.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益123,343千円(同82.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
a. インソーシング事業
情報システム部門のシェアード社員サービスにおいては、ハイレベル人材の獲得によるコンサルティング案件の増加及び規模の拡大、また、サービス料金体系の改定による実質的値上げ効果などにより、当期業績は好調に推移いたしました。
この結果、売上高1,181,107千円(前年同期比19.1%増)、セグメント利益396,784千円(同110.6%増)となりました。
b. セキュリティ事業
割賦販売法の改正に関する書籍発行、コーポレートサイトリニューアルなど広告宣伝への投資を行いました。それらの効果もあり、PCI DSS準拠を要する企業からの需要継続、及びインソーシング事業のIT人材活用により業績予想を上回りました。
この結果、売上高207,235千円(前年同期比12.5%増)、セグメント利益47,180千円(同34.8%減)となりました。
当連結会計年度における経営成績の詳細は次のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は1,388,069千円となりました。これは、主にインソーシング事業における人員が11名増加したことによる顧客の増加及び案件規模の拡大、セキュリティ事業における改正割賦販売法の規格準拠を要する企業からの受注継続によるものです。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は777,908千円となりました。これは、主にインソーシング事業における人員が11名増加したことによる人件費の増加によるものです。この結果、当連結会計年度の売上総利益は610,435千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般官営日は439,321千円となりました。これは、主に人員増加に伴う非稼働人件費及び人材採用費、研修費等の増加によるものです。この結果、当連結会計年度の営業利益は171,114千円となりました。
(営業外収益・営業外費用、経常利益)
当連結会計年度において、営業外収益は5,509千円、営業外費用は361千円の発生となりました。この結果、経常利益は176,262千円となりました。
(特別利益・特別損失、税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度において、特別利益及び特別損失の発生はありません。この結果、税金等調整前当期純利益は176,262千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、法人税、住民税及び事業税53,257千円、法人税等調整額△338千円を計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は123,343千円となりました。
第15期第3四半期連結累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年9月30日)
当第3四半期連結累計期間における我が国の経済は、世界経済における深刻化する経済摩擦や地政学的リスクによる影響の不透明感、さらにはオリンピック需要ピークアウトなどの不安材料はあるものの、安定した政治情勢のもとで概ね堅調に推移するものと見込まれております。
当社グループのインソーシング事業及びセキュリティ事業が位置するIT人材市場は、経済産業省「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT人材等育成支援のための調査分析事業)」によると、IT需要の伸び率を中位(2~5%)とした場合、2030年度には約45万人が不足すると推測されており、今後もIT人材不足はさらに深刻さが増していくと予想されております。また、「IT人材白書2019年」(独立行政法人情報処理推進機構(IPA))によると、従来の課題解決型ではなく、価値創造型のIT人材が求められております。
このような状況のなか、当社グループは、グループミッションである「人と組織を強くする」の実現に向け、UGアカデミー(社内大学)による新卒向けやマネジメント層向けの研修プログラムを実施し、人材の育成を推進してまいりました。当社グループが提供するサービスを通じて、顧客のニーズに柔軟に対応し、付加価値を創出し続けることで、当社グループの組織だけではなく、顧客側の組織を強くすることに貢献してまいります。
この結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高1,186,003千円、営業利益158,740千円、経常利益156,579千円、親会社株主に帰属する四半期純利益111,606千円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
a. インソーシング事業
企業のデジタル化への取組み意欲が高まるなか、IT人材不足を背景に、インソーシング事業においては、今後の増員を見据えた二事業部制への移行及びUGアカデミーの立上げ、教育の体系化によるサービス品質の向上に注力いたしました。
この結果、当第3四半期連結累計期間においては、売上高1,026,429千円、セグメント利益387,112千円となりました。
b. セキュリティ事業
セキュリティ事業においては、PCI DSSのコンサルティングの経験により蓄積したノウハウを基に新たに開始した教育研修サービスが、受講者からの評価も高く追加開催を計画する等、順調に継続しております。改正割賦販売法に伴う特需の減少及び教育研修サービスへの投資等を行ったものの、当第3四半期連結累計期間の業績予想を上回っております。
この結果、当第3四半期連結累計期間においては、売上高159,573千円、セグメント利益36,370千円となりました。
当第3四半期連結累計期間における経営成績の詳細は次のとおりであります。
(売上高)
当第3四半期連結累計期間における売上高は1,186,003千円となりました。これは、主にインソーシング事業における人員が2名増加したことによる顧客の増加及び案件規模の拡大、セキュリティ事業における改正割賦販売法の規格準拠を要する企業からの受注継続によるものです。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期連結累計期間における売上原価は637,971千円となりました。これは、主にインソーシング事業における人員が2名増加したことによる人件費の増加によるものです。この結果、当第3四半期連結累計期間の売上総利益は548,031千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第3四半期連結累計期間における販売費及び一般管理費は389,291千円となりました。これは、主に管理体制の強化を図るために、インソーシング事業からの部署異動及び人材採用により人員が7名増加したことに伴う人件費及び人材採用費、研修費の増加等によるものです。この結果、当第3四半期連結累計期間の営業利益は158,740千円となりました。
(営業外収益・営業外費用、経常利益)
当第3四半期連結累計期間において、営業外収益は64千円、営業外費用は2,224千円の発生となりました。この結果、経常利益は156,579千円となりました。
(特別利益・特別損失、税金等調整前四半期純利益)
当第3四半期連結累計期間において、特別利益及び特別損失の発生はありません。この結果、税金等調整前四半期純利益は156,579千円となりました。
(親会社株主に帰属する四半期純利益)
当第3四半期連結累計期間において、法人税、住民税及び事業税41,070千円、法人税等調整額3,902千円を計上した結果、当第3四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純利益は111,606千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第14期連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ155,318千円増加し、724,967千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は148,568千円(前年度は得られた資金163,981千円)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の計上176,262千円、前受金58,735千円の増加であり、主な減少要因は、未払金の減少額12,976千円、たな卸資産の増加額8,870千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は13,030千円(前年度は使用した資金14,793千円)となりました。主な減少要因は、無形固定資産の取得による支出12,497千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は19,779千円(前年度は使用した資金17,720千円)となりました。主な増加要因は、自己株式の処分による収入38,360千円であり、主な減少要因は、配当金の支払額6,966千円、長期借入金の返済による支出11,004千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
第14期連結会計年度及び第15期第3四半期連結累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第14期連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
第15期第3四半期連結累計期間
(自 2019年1月1日
至 2019年9月30日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
インソーシング事業(千円)1,181,107119.11,026,429
セキュリティ事業 (千円)207,235112.5159,573
報告セグメント合計(千円)1,388,342118.11,186,003

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
3.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。この見積りにつきましては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っております。なお、この連結財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、IT人材市場及び情報セキュリティ市場が今後も成長を続けるものと見込んでおり、両分野での業績拡大に向け注力してまいります。また、今後も優位に進めていくため、プラットフォーム戦略を採用し、業績拡大へ向け注力しております。具体的には、当社グループが独自に開発した基幹技術「シェアード・エンジニアリング」によって、中堅・中小企業の情報システム部門のためのサービスを継続的に提供しております。
当社グループの経営陣は、今後も持続的な成長を達成するためには、厳しい環境の下で、様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。そのため、当社グループは、中堅・中小企業向け情報システム部門の支援サービスにおける先駆者としての優位性を維持しつつ、グループシナジーや収益性の向上、顧客数の増加、組織基盤や情報セキュリティ体制の強化を行ってまいります。
なお、問題意識に対する今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、人件費及び社内システムの開発・維持等に係る通常の運転資金のほか、新たな人材獲得及び人材育成への投資、顧客や求職者へ向けたブランディングへの投資、社内システム強化への投資並びに新規事業ソフトウェア開発等への投資であります。
通常の運転資金については、自己資金により賄うことを基本方針としております。新たな投資への資金需要につきましては、上場による調達資金の活用を予定しております。