有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/11/20 15:00
【資料】
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【項目】
128項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の分析は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
第36期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当事業年度における流動資産は、主に現金及び預金が163,554千円、売掛金が36,482千円増加したことなどにより、197,947千円増加して956,228千円となりました。固定資産では、主にリース資産が3,272千円増加したこと、有形固定資産が2,923千円増加したこと、繰延税金資産が14,383千円増加したことなどにより、17,535千円増加して64,253千円となりました。その結果、当事業年度末における総資産は1,020,482千円と、前事業年度末と比較して215,482千円増加いたしました。
負債の部においては、主に未払金が13,779千円の増加、未払消費税等が13,743千円の増加、賞与引当金が10,500千円増加、受注損失引当金が6,387千円増加、退職給付引当金が23,131千円増加したことなどにより、当事業年度末における負債合計は363,865千円と、前事業年度末と比較して80,826千円増加いたしました。
純資産の部では、主に当期純利益による236,656千円の増加、配当金の支払による102,000千円の減少により、当事業年度末における純資産は656,617千円と前事業年度末と比較して134,656千円増加いたしました。
また、当事業年度における売上高は1,781,709千円と、前事業年度と比較して314,846千円(前事業年度比21.5%増加)の増収となりました。主として、安全性情報管理サービスにおける複数の大型案件の受注などにより、売上が増加しております。
売上原価は受注案件数の増加に伴い増加したものの、一般管理費は業務の内製化を推進させたことにより減少し、営業利益は338,238千円と、前事業年度と比較して41,122千円(前事業年度比13.8%増加)の増益となり、経常利益は338,190千円と、前事業年度と比較して41,248千円(前事業年度比13.9%増加)の増益となりました。
法人税、住民税及び事業税は115,916千円、法人税等調整額では△14,383千円を計上した結果、当期純利益は236,656千円と、前事業年度と比較して38,422千円(前事業年度比19.4%増加)の増益となりました。
第37期第2四半期累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年9月30日)
当第2四半期累計期間末における流動資産は、有形固定資産の取得に伴う現金及び預金の減少などにより、42,981千円減少して913,246千円となりました。固定資産では、本社移転に伴う有形固定資産の増加、敷金の増加による投資その他の資産の増加などにより、113,877千円増加して178,131千円となりました。その結果、当第2四半期累計期間末における総資産は1,091,378千円と、前事業年度末と比較して70,895千円増加いたしました。
負債の部においては、買掛金などにより、当第2四半期累計期間末における負債合計は382,705千円と、前事業年度末と比較して18,840千円増加いたしました。
純資産の部では、四半期純利益による繰越利益剰余金の増加などにより、当第2四半期累計期間末における純資産は708,673千円と前事業年度末と比較して52,055千円増加いたしました。
また、当第2四半期累計期間における売上高は1,131,795千円となりました。また、営業利益は290,176千円、経常利益は288,168千円となりました。
法人税、住民税及び事業税は93,950千円、法人税等調整額では826千円を計上した結果、四半期純利益は179,055千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
第36期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、売上が好調に推移したことなどにより496,434千円(前事業年度末比163,554千円増加)の増加となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金の増加は、266,600千円となりました。これは、主に税引前当期純利益338,189千円、退職給付引当金の増加額23,131千円、法人税等の支払による減少額125,517千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金の減少は、828千円となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出600千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金の減少は、102,218千円となりました。これは、主に配当金の支払いによる支出102,000千円等によるものであります。
第37期第2四半期累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年9月30日)
当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、本社移転などにより投資活動による資金の流出があったため、412,601千円(前事業年度末比83,833千円減少)となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における営業活動による資金の増加は、154,171千円となりました。これは、主に税引前四半期純利益273,832千円、売上債権の増加額47,576千円、棚卸資産の減少額16,417千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における投資活動による資金の減少は、110,567千円となりました。これは、主に本社移転に伴う有形固定資産の取得による支出37,520千円、敷金の増加による支出73,047千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における財務活動による資金の減少は、127,437千円となりました。これは、主に配当金の支払による支出127,000千円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社はCRO事業(医薬品開発業務受託事業)を営んでおり、生産活動は行っておりませんので、該当事項はございません。
b. 受注実績
当社の提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載しておりません。
c. 販売実績
当社はCRO事業の単一セグメントであり、次のとおりであります。
セグメントの名称第36期事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第37期第2四半期累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年9月30日)
販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
CRO事業1,781,709121.51,131,795
合計1,781,709121.51,131,795

(注) 1.金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前事業年度当事業年度第37期第2四半期累計期間
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
中外製薬㈱286,83619.6327,10018.3313,60827.8
グラクソ・スミスクライン㈱250,78217.0231,89713.0112,58910.0
日本イーライリリー㈱187,01612.7226,06912.6134,81812.0
アッヴィ合同会社147,89510.1162,8839.187,1077.7

3.金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。ただし、将来に関する事項には不確実性があるため、実際の結果は、これら見積りと異なる可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当社が顧客とする製薬企業は、人口増加や、国民皆保険制度等に支えられ、世界第2位の市場規模となっております。しかしながら、市場を取り巻く環境は大きな変化を迎えております。第1に、医薬行政の変化です。少子高齢化に伴い社会保障費は毎年増加を続けており、将来的には国民皆保険制度の維持も危ぶまれております。そのため、医療費抑制の観点から、薬価改定による公定価格の引き下げや、新薬に比べて薬価の低いジェネリック医薬品の推進等の取り組みが進められております。第2に、医薬品開発環境の変化です。近年主流となりつつある生物を応用したバイオ医薬品は、従来の低分子化合物を用いた医薬品に比べて開発が複雑になることや、必要な臨床症例数の増加に伴い開発期間が長期化する等、創薬業務の生産性が大きく低下しています。その結果、製薬企業の売上成長性は鈍化、利益効率は低下傾向にあります。
そのような背景から、製薬企業においては創薬業務を含むすべてのコストを極力減らし、強いコスト体質を持った企業に向けてドラスティックな体制変革を検討している企業が多く、今後もCROへの委託ニーズは高いと考えております。
このような状況の中、当社は、「仕事の成果の保証」と「新しい価値の提供」を通じて、お客様の課題を解決し、医療の未来に貢献することを経営理念として掲げ、製薬会社の医薬品開発における受託業務として「安全性情報管理サービス」を主軸に、「ドキュメントサポートサービス」、「開発サポートサービス」、「臨床開発支援サービス」を展開しております。
第36期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
継続的な営業活動の実施、業務品質の安定化のための体制構築、受託業務の効率化、上場準備に伴う本社部門の体制強化などを行い、以下のような結果となりました。
(売上高)
当事業年度における売上高は1,781,709千円(前期比21.5%増)となりました。これは、新規案件の受注や既存顧客の他部署案件・追加案件が順調に推移したことによるものです。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は主に案件の増加に伴う人員増による労務費の増加により1,187,490千円(前期比18.2%増)となりましたが、受託業務の業務効率の改善に取り組み、売上総利益は594,218千円(前期比28.4%増)となりました。
(販売費および一般管理費、営業利益、営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度における販売費および一般管理費は、255,980千円(前期比54.7%増)となり、営業利益は338,238千円(前期比13.8%増)、経常利益は338,190千円(前期比13.9%増)、経常利益率は19.0%となりました。これは主に、内部管理体制の強化を目的とした本社部門の体制強化に伴う人件費の増加等によるものです。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度における特別損失は、固定資産の除却による1千円であり、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額は101,533千円(前期比2.8%増)となり、当期純利益は236,656千円(前期比19.4%増)となりました。
第37期第2四半期累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年9月30日)
継続的な営業活動の実施、受託部門の体制変更、本社移転などを行い、以下のような結果となりました。
(売上高)
当第2四半期累計期間における売上高は1,131,795千円となりました。これは、安全性情報管理サービスにおいて、仕掛品が売上計上されたこと、安全性情報管理サービス、ドキュメントサポートサービスにおいて、前事業年度第2四半期以降に新規受注した案件が継続していること、臨床開発支援サービスにおいて新規受注案件が開始したことによるものです。
(売上原価、売上総利益)
当第2四半期累計期間における売上原価は690,882千円となり、売上総利益は440,912千円となりました。これは、主に受託業務の業務効率の改善によるものです。
(販売費および一般管理費、営業利益、営業外収益、営業外費用、経常利益)
当第2四半期累計期間における販売費および一般管理費は、150,736千円となり、営業利益は290,176千円、経常利益は288,168千円、経常利益率は25.5%となりました。これは主に本社移転及び上場準備に伴う販売費および一般管理費の増加、営業外費用として株式公開費用が発生したこと等によります。
(特別損益、四半期純利益)
当第2四半期累計期間における特別損失は、主に固定資産の除却による408千円、本社移転に伴う費用13,927千円であり、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額は94,776千円となり、四半期純利益は179,055千円となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2事業の状況2.事業等のリスク」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社の主な資金需要となる、運転資金及び設備投資等につきましては、市場からの調達及び自己資金を基本としております。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。