有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/07/20 15:00
【資料】
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【項目】
124項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
第16期事業年度(自 2018年6月1日 至 2019年5月31日)
(資産)
当事業年度末の総資産は704,269千円となり、前事業年度末に比べ42,034千円増加いたしました。これは主に、売掛金の回収等により現金及び預金が14,032千円増加したこと、及びサービス充実を目的とした投資によりソフトウエアが39,065千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当事業年度末の負債合計は539,049千円となり、前事業年度末に比べ12,005千円減少いたしました。これは主に、利益拡大により未払法人税等が25,325千円増加した一方、返済により長期借入金が50,225千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は165,219千円となり、前事業年度末に比べ54,039千円増加いたしました。これは、当期純利益を54,039千円計上したことにより利益剰余金が54,039千円増加したことによるものであります。この結果、自己資本比率は23.5%(前事業年度末は16.8%)となりました。
第17期第3四半期累計期間(自 2019年6月1日 至 2020年2月29日)
(資産)
当第3四半期会計期間末の資産は、前事業年度末と比べ75,576千円増加し、779,845千円となりました。主な要因は売上の増加により受取手形及び売掛金が24,650千円増加したことや、新規受注の増加により仕掛品が17,933千円増加したこと、無形固定資産が9,559千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当第3四半期会計期間末の負債は、前事業年度末と比べ6,198千円減少し、532,850千円となりました。主な要因は、運転資金の調達のための新規借入により短期借入金が25,000千円増加したこと、返済により1年内返済予定の長期借入金が16,759千円減少したこと、未払法人税等が8,459千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末と比べ81,775千円増加し、246,995千円となりました。主な要因は、四半期純利益81,775千円の計上による利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は31.7%(前事業年度末は23.5%)となりました。
②経営成績の状況
第16期事業年度(自 2018年6月1日 至 2019年5月31日)
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続く中で、物価の上昇圧力は弱いものの、各種政策の効果もあり、内需・外需ともに概ね安定した成長基調が継続しております。ただし、景気の先行きに関しては、金融資本市場の変動や、海外経済の動向と政策に関する不確実性などから、依然として不透明な状況にあります。
当社が関わる国内電子商取引市場では、経済産業省が2019年5月に公表した「平成30年度電子商取引に関する市場調査」によると各産業においてEC化率が高まり、市場規模の拡大が継続しております。一方で、決済時の情報漏洩の問題から、経済産業省がEC事業者に向けてセキュリティ対策の強化を促すなど、取引の安全性という面での課題も存在しております。
このような環境の中で、当社は多くのお客様に「ebisumart」をより便利により安心して利用頂くために、品質向上および既存機能の改善に注力してまいりました。また、引き続きプラットフォームのオープン化を進めパートナー企業との連携強化による事業拡大のための基盤構築を図るとともに、収益性を高めるため組織体制の見直しを行い、プロジェクト・マネジメント制を導入することにより顧客に対し効率的にサービスを提供できる体制を整備するする一方、保守サービスの提供価格の見直し等を実施いたしました。その結果、保守売上および新規開発売上が順調に推移し売上高は1,502,894千円(前期比12.3%増)、営業利益は93,401千円(前期比102.5%増)、経常利益は85,827千円(前期比113.5%増)、当期純利益は54,039千円(前期比95.1%増)となりました。
なお、当社はクラウド型ECプラットフォーム構築事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第17期第3四半期累計期間(自 2019年6月1日 至 2020年2月29日)
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、消費税増税による消費マインドの低下が懸念されるものの、企業における業績は概ね順調であり、景気は緩やかに回復していると見られています。先行きについては雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されております。ただし、新型コロナウィルス感染症が内外経済に与える影響に十分注意する必要があり、また、通商問題を巡る動向等の海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響を注視する必要があります。
経済産業省が発表した「平成30年度電子商取引に関する市場調査」によると、当社が関わる国内電子商取引市場では政府によるキャッシュレス化の推進施策もあり、各産業においてEC化率が引き続き伸長すると見られています。これに伴って、各ECサービスにおいては、一層の機能の充実や利便性の拡充、セキュリティ面での安全さが求められております。
このような環境の中で、当社は多くのお客様に「ebisumart」をより便利により安心して利用頂くために、品質向上および機能の改善・強化に注力してまいりました。また、引き続きプラットフォームのオープン化を進めパートナー企業との連携強化による事業拡大のための基盤構築を図ってまいりました。その結果、保守売上および新規開発売上が順調に推移し売上高は1,308,977千円、営業利益は133,879千円、経常利益は125,434千円、四半期純利益は81,775千円となりました。
なお、当社はクラウド型ECプラットフォーム構築事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
③キャッシュ・フローの状況
第16期事業年度(自 2018年6月1日 至 2019年5月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、事業規模拡大による前払費用や敷金の増加、サービス充実を目的とした無形固定資産(自社利用ソフトウエア)の増加があったものの、税引前当期純利益を85,827千円計上したため、前事業年度末と比べ14,032千円増加し、218,490千円となりました。
当事業年度における各区分のキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは126,195千円の収入(前事業年度は28,475千円の支出)となりました。これは主に税引前当期純利益を85,827千円計上したことや一時的な受注の減少によりたな卸資産が21,442千円減少したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは81,125千円の支出(前事業年度は52,984千円の支出)となりました。これは主にサービス充実を目的とした無形固定資産(自社利用ソフトウェア)の取得による支出65,332千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは31,037千円の支出(前事業年度は15,758千円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出54,780千円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
当社は、クラウド型ECプラットフォーム構築事業の単一セグメントであるため、セグメント別に記載しておりませんので、売上の計上区分別に記載しております。
a.生産実績
第16期事業年度及び第17期第3四半期累計期間における生産実績は、次のとおりであります。
売上の計上区分第16期事業年度
(自 2018年6月1日
至 2019年5月31日)
第17期第3四半期累計期間
(自 2019年6月1日
至 2020年2月29日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
システム受託開発272,43173.9247,146

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.システム運用保守及びその他に関しましては、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
3.金額は製造原価によっております。
b.受注実績
第16期事業年度及び第17期第3四半期累計期間における受注実績は、次のとおりであります。
売上の計上区分第16期事業年度
(自 2018年6月1日
至 2019年5月31日)
第17期第3四半期累計期間
(自 2019年6月1日
至 2020年2月29日)
受注高
(千円)
前年同期比(%)受注残高
(千円)
前年同期比(%)受注高
(千円)
受注残高
(千円)
システム受託開発545,93684.3211,41580.6547,238257,330

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.システム運用保守及びその他に関しましては、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
第16期事業年度及び第17期第3四半期累計期間における販売実績を売上の計上区分別に示すと、次のとおりであります。
売上の計上区分第16期事業年度
(自 2018年6月1日
至 2019年5月31日)
第17期第3四半期累計期間
(自 2019年6月1日
至 2020年2月29日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
システム運用保守
システム受託開発
その他
866,213
597,843
38,837
124.4
99.6
92.0
785,124
501,323
22,529
合計1,502,894112.31,308,977

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針の見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
②経営成績の分析
第16期事業年度(自 2018年6月1日 至 2019年5月31日)
a.売上高
当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ164,420千円増加し、1,502,894千円(前年同期比12.3%増)となりました。これは主に新規顧客の獲得に伴い期末店舗数が346店舗(前年同期比12.7%増)となり、これによりシステム運用保守売上(ストック収入)が866,213千円(前年同期比24.4%増)となったことによるものであります。
b.売上原価、売上総利益
当事業年度における売上原価は事業規模拡大に伴い898,994千円(前年同期比3.6%増)となりましたが、期首に導入したプロジェクト・マネジメント制度が定着したことにより生産性が向上し、システム受託開発売上に係る原価率が49.2%(2018年5月期は57.9%)と改善したこと等により売上総利益は前年同期比に比べ133,066千円増加し、603,900千円(前年同期比28.3%増)となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当事業年度における販売費及び一般管理費は、プロモーション活動強化による広告宣伝費、受注活動強化に伴うプリセールス費用(エンジニアの営業同行、見積業務等)の増加等により前事業年度に比べ85,797千円増加し、510,498千円(前年同期比20.2%増)となりました。
この結果、営業利益は前事業年度に比べ47,269千円増加し、93,401千円(前年同期比102.5%増)となりました。
d.営業外損益、経常利益
当事業年度における営業外収益は、助成金収入の減少等により、前事業年度に比べ1,100千円減少し、1,035千円(前年同期比51.5%減)となりました。
当事業年度における営業外費用は、ソフトウエアの除却等を計上したため前事業年度に比べ542千円増加し、8,610千円(前年同期比6.7%増)となりました。
この結果、営業外損益は7,574千円の損失となり、経常利益は85,827千円(前年同期比113.5%増)となりました。
e.特別損益、当期純利益
当事業年度において特別損益の計上はなく、税引前当期純利益は85,827千円(前年同期比113.5%増)となりました。また、法人税等31,788千円を計上した結果、当期純利益は54,039千円(前年同期比95.1%増)となりました。
第17期第3四半期累計期間(自 2019年6月1日 至 2020年2月29日)
a.売上高
当第3四半期累計期間における売上高は1,308,977千円となりました。これは主に新規顧客の獲得に伴い第3四半期会計期間末の店舗数が371店舗と着実に増加し、これによりシステム運用保守売上(ストック収入)が785,124千円まで伸びたことによるものであります。
b.売上原価、売上総利益
当第3四半期累計期間における売上原価は事業規模拡大に伴い744,090千円となりました。これは主に人件費、外注費、サーバー費用等によるものであります。この結果、売上総利益は564,886千円となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当第3四半期累計期間における販売費及び一般管理費は431,007千円となりました。これは主に人件費、プリセールス費用(エンジニアの営業同行、見積業務等)、採用費等によるものであります。この結果、営業利益は133,879千円となりました。
d.営業外損益、経常利益
当第3四半期累計期間にいて営業外収益が701千円、営業外費用が9,147千円発生しております。この結果、経常利益は125,434千円となりました。
e.特別損益、四半期純利益
当第3四半期累計期間において特別損益の計上はなく、法人税等を43,658千円計上した結果、四半期純利益は81,775千円となりました。
③財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ①財政状態の状況」をご参照ください。
④キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズにあったサービスの展開等により、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要のうち主なものには、人件費、支払手数料、広告宣伝費等があります。運転資金は、主として内部資金及び借入により調達しております。
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は218,490千円であり、当社の事業を推進していく上で十分な流動性を確保していると考えております。
⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社はクラウド型ECプラットフォーム「ebisumart」の価値を計る指標としてGMV(Gross Merchandise Value(総流通額))、期末店舗数等の指標を重要な経営指標と位置付けております。当事業年度においては、「ebisumart」におけるGMVが86,429,496千円、期末店舗数が346店舗となり、第17期事業年度第3四半期累計期間においても継続して増加した結果、売上高も堅調に推移しております。当該目標の達成状況に関して一定の評価をしておりますが、今後も株主価値向上のための経営施策を実施してまいります。
区分GMV(千円)1店舗当たりGMV(千円)期末店舗数(店)
2015年5月期--186
2016年5月期--214
2017年5月期38,862,512162,605264
2018年5月期61,427,584215,535307
2019年5月期86,429,496265,121346
2020年5月期第3四半期80,933,191225,441371

(注)1.GMVには消費税等は含まれておりません。また、2015年5月期、2016年5月期につきましては集計を行っておりません。
2.1店舗当たりGMVは、各期のGMV÷期中平均店舗数で算出しております。