有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/02/10 15:00
【資料】
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【項目】
120項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
① 財政状態の状況
第9期事業年度(自 2019年9月1日 至 2020年8月31日)
(資産)
当事業年度末における資産合計は前事業年度末より840,963千円増加し、1,945,118千円となりました。これは主に、必要な手元流動性が増加したことにより現金及び預金が543,887千円増加(内、当社が購入者から一時的に受領している預り金の増加額219,148千円)、流通高の増加により売掛金が125,337千円増加、本社移転に伴う敷金の支払いにより差入保証金が120,002千円増加、本社移転に伴う設備投資等により有形固定資産が90,498千円増加したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は前事業年度末より934,964千円増加し、1,773,610千円となりました。これは主に、運転資金としての新規借り入れにより短期借入金が460,000千円増加、流通高の増加により預り金が219,628千円及び前受金が79,135千円増加、本社移転に伴う設備投資等により未払金が91,553千円増加、営業収益の増加により未払消費税等が65,068千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は前事業年度末より94,001千円減少し、171,507千円となりました。これは繰越利益剰余金が94,001千円減少したことによるものであります。
第10期第1四半期累計期間(自 2020年9月1日 至 2020年11月30日)
(資産)
当第1四半期会計期間末における資産合計は前事業年度末より12,358千円増加し、1,957,476千円となりました。これは主に、必要な手元流動性が増加したことにより現金及び預金が23,199千円増加(内、当社が購入者から一時的に受領している預り金の増加額17,165千円)、旧本社の敷金の回収により差入保証金が13,227千円減少したことによるものであります。
(負債)
当第1四半期会計期間末における負債合計は前事業年度末より53,021千円減少し、1,720,589千円となりました。これは主に、過年度の本社移転に伴う設備投資の支払い等により未払金が72,187千円減少、未払消費税等が31,969千円減少、流通高の増加により預り金が17,211千円及び前受金が31,953千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当第1四半期会計期間末における純資産合計は前事業年度末より65,379千円増加し、236,887千円となりました。これは利益剰余金が65,379千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
第9期事業年度(自 2019年9月1日 至 2020年8月31日)
当事業年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調で推移いたしましたが、消費税増税もあり、景気の減速や企業業績の低迷も懸念されている状況となっております。また、新型コロナウイルス感染症の拡大懸念により、株や為替等の動向は不確実であり、先行きは不透明な状況となっております。
このような環境の下、当社におきましては、プロダクト機能開発やマーケティング施策に注力してきました。プロダクト機能開発としては、2020年4月にユーザーが記事やコンテンツを投稿できる「ブログ」機能を開始し、コンテンツ分野へ展開しております。このリリースのほか、当事業年度において、ユーザーの更なる利便性向上につながる開発、施策に努めてまいりました。また、前事業年度にリリースした「出品者検索」、「法人アカウント」や、同じく前事業年度にリニューアルした「プロフィールページ」、「仕事・相談の公開依頼」などの機能を通して、当事業年度において制作・ビジネス系カテゴリを中心に利用が拡大しました。マーケティング施策としては、2020年7月及び8月にユーザー獲得を目的として日本全国を対象としたテレビCMを展開しました。
この結果、当事業年度の流通高は6,207,300千円(前期比60.9%増)、営業収益は1,775,555千円(前期比56.0%増)、営業損失は80,864千円(前期は1,038,135千円の営業損失)、経常損失は83,767千円(前期は1,052,674千円の経常損失)、当期純損失は94,001千円(前期は1,054,356千円の当期純損失)となりました。主にテレビCMにかかる広告宣伝費を前期より縮小したこと等により、営業損失、経常損失、当期純損失の額は縮小しております。
なお、当社は「ココナラ」事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は行っておりません。
第10期第1四半期累計期間(自 2020年9月1日 至 2020年11月30日)
当第1四半期累計期間におけるわが国経済は、各種政策の効果もあり、徐々に持ち直しの動きがみられたものの、新型コロナウイルス感染症再拡大の兆しが顕著になる等、先行きは極めて不透明な状況が続いております。
このような環境の下、当社におきましては、2020年9月に「ココナラ」内で書かれたブログを、「有料ブログ」として販売・購入できる機能をリリースいたしました。これらのほか、当第1四半期累計期間においてはユーザーの更なる利便性の向上につながる開発、施策に努めてまいりました。
この結果、当第1四半期累計期間の流通高は2,129,067千円、営業収益は612,976千円、営業利益は69,609千円、経常利益は65,952千円、四半期純利益は65,379千円となりました。
なお、当社は「ココナラ」事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は行っておりません。
③ キャッシュ・フローの状況
第9期事業年度(自 2019年9月1日 至 2020年8月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物は前事業年度末より543,887千円増加し、1,284,176千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、274,373千円の収入(前年同期は1,007,219千円の支出)となりました。これは主に流通高の増加による預り金の増加額219,628千円(内、当社が購入者から一時的に受領している預り金の増加額219,148千円)、流通高の増加による前受金の増加額79,135千円、営業収益の増加による未払消費税等の増加額65,068千円及び未収消費税等の減少額61,021千円等による資金の増加があった一方で、流通高の増加による売上債権の増加額125,337千円及び税引前当期純損失の計上83,767千円等による資金の減少があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、190,485千円の支出(前年同期は7,375千円の支出)となりました。これは主に本社移転に伴う差入保証金の差入による支出138,857千円及び本社移転に伴う設備投資等による有形固定資産の取得による支出56,628千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、460,000千円の収入(前年同期は1,349,125千円の収入)となりました。これは短期借入金の純増加額460,000千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
生産に該当する事項が無いため、生産実績に関する記載はしておりません。
b.受注実績
受注生産を行っていないため、受注実績に関する記載はしておりません。
c.販売実績
販売実績は次のとおりであります。
サービスの名称第9期事業年度
(自 2019年9月1日
至 2020年8月31日)
第10期第1四半期累計期間
(自 2020年9月1日
至 2020年11月30日)
営業収益(千円)前年同期比(%)営業収益(千円)
「ココナラ」1,682,415153.2578,656
その他93,139232.934,320
合計1,775,555156.0612,976

(注)1.当社は「ココナラ」事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
2.主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が10%未満のため、記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、資産・負債及び収益・費用の報告数値及び開示に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。当該見積りにつきましては、過去の実績や現状等を勘案して合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は見積り自体に不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。なお、当社は、「ココナラ」及び「ココナラミーツ」において、出品者が提供するサービスを売買できるプラットフォームを運営しており、かかる売買に対する手数料収入を得ております。また、「ココナラ」及び「ココナラミーツ」においては、エスクロー決済を導入しており、購入者は、事前に購入代金を決済し、サービス提供が完了するまで、当社にて出品者への代金を預かっております。かかる取引フローを踏まえ、当社は、出品者が出品サービスの提供が完了した時点で、貸借対照表において、購入者により事前に決済された購入代金の総額(当社の手数料収入及び出品者へ支払うべき代金の相当額を含む)を売掛金として計上し、当社の手数料収入を控除した出品者へ支払うべき代金額を預り金として計上しております。他方、同時点で損益計算書においては、当社の手数料収入のみを営業収益として計上しております。なお、出品サービスの提供前に、決済代行会社より当社に入金があった場合は、貸借対照表において、購入者により事前に決済された購入代金の総額を前受金として計上しております。
また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりです。
(固定資産の減損)
当社は、固定資産の減損の兆候がある資産または資産グループにつき、将来の収益性が著しく低下した場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。固定資産における回収可能価額の評価の前提条件は、決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異については、繰延税金資産を計上することとしております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額に影響する可能性があります。
② 経営成績の分析
第9期事業年度(自 2019年9月1日 至 2020年8月31日)
(流通高)
当事業年度の流通高は、前事業年度より2,349,079千円増加し、6,207,300千円となりました。これは主に取引件数の増加及び取引単価が上昇したことによるものであります。
(営業収益)
当事業年度の営業収益は、前事業年度より637,087千円増加し、1,775,555千円となりました。これは主に流通高が増加したことによるものであります。
(営業費用、営業利益)
当事業年度の営業費用は、前事業年度より320,183千円減少し、1,856,419千円となりました。主な減少要因は広告宣伝費ですが、これはテレビCM放映の規模を縮小して実施したことによります。この結果、営業損失は80,864千円(前期は1,038,135千円の営業損失)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当事業年度の営業外収益は2,829千円、営業外費用は5,732千円発生しております。この結果、経常損失は83,767千円(前期は1,052,674千円の経常損失)となりました。
(当期純利益)
当事業年度は特別利益及び特別損失は計上しておりませんが、法人税、住民税及び事業税2,289千円及び法人税等調整額を7,943千円計上しております。この結果、当期純損失は94,001千円(前期は1,054,356千円の当期純損失)となりました。
第10期第1四半期累計期間(自 2020年9月1日 至 2020年11月30日)
(流通高)
当第1四半期累計期間の流通高は、2,129,067千円となりました。これは主に取引件数の増加及び取引単価が上昇したことによるものであります。
(営業収益)
当第1四半期累計期間の営業収益は、612,976千円となりました。これは主に流通高が増加したことによるものであります。
(営業費用、営業利益)
当第1四半期累計期間の営業費用は、543,366千円となりました。これは主に、人件費、決済代行会社の決済手数料、新オフィスの家賃、採用費及び広告宣伝費によるものであります。この結果、営業利益は69,609千円となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当第1四半期累計期間の営業外収益は684千円、営業外費用は4,341千円発生しております。この結果、経常利益は65,952千円となりました。
(四半期純利益)
当第1四半期累計期間は特別利益及び特別損失は計上しておりませんが、法人税、住民税及び事業税572千円を計上しております。この結果、四半期純利益は65,379千円となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(資金需要)
当社における資金需要のうち主なものは、人件費、広告宣伝費、システム関連費にかかる運転資金になります。なお、当社は、エスクロー決済を導入しています。エスクロー決済とは、事業者が一旦利用者から代金を預かり、その後、利用者の方で不備なくサービスの受領が確認できた時点で、事業者からサービス提供者に対し、預かっていた代金を引き渡す決済サービスを指します。
(契約債務)
2020年11月末現在の契約債務の概要は次のとおりであります。
区分合計(千円)年度別要支払額
1年以内(千円)1年超2年以内(千円)2年超3年以内(千円)3年超4年以内(千円)4年超(千円)
短期借入金730,000730,000----

(財務政策)
当社は現在、運転資金等については、自己資金及び金融機関からの借入金により資金調達することとしております。また、当社は運転資金の機動的かつ安定的な調達を可能にするため、主要取引金融機関と総額820,000千円の当座貸越契約を締結しております。なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,284,176千円でありますが、その内、当社が出品者へ支払うべき代金として一時的に受領している預り金の残高が531,743千円あります。