有価証券報告書-第86期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/26 13:37
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【項目】
153項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は30,955百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,990百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が2,090百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が1,763百万円増加した一方で、商品及び製品が623百万円減少したことによるものです。
固定資産は40,036百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,251百万円増加いたしました。これは主に退職給付に係る資産が4,460百万円増加したことによるものです。
この結果、総資産は、70,992百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,241百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は26,457百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,076百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が1,474百万円増加したことによるものです。
固定負債は25,333百万円となり、前連結会計年度末に比べ802百万円増加いたしました。これは主に繰延税金負債が1,352百万円、社債が878百万円増加した一方で、長期借入金の返済により1,117百万円減少したことによるものです。
この結果、負債合計は、51,791百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,879百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は19,201百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,362百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が2,471百万円増加、退職給付に係る調整累計額が2,163百万円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は26.4%(前連結会計年度末は21.2%)となりました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度は、新型コロナウイルスによる行動制限の解除後の経済活動回復により、全体的な景況感としては緩やかな改善傾向がみられました。その一方、物価上昇による生活防衛のため日常品における消費者の節約志向は続いており、依然として先行き不透明な状況にあります。このような環境下において当社グループでは、2021年4月よりスタートした中期経営計画において収益性向上と財務体質改善による『持続的成長サイクルの確立』を目指した取り組みを推進し、企業価値の更なる向上に努めてまいりました。また、当社グループの持続的な成長とともに社会課題の解決を軸としたESG課題への対応や、コーポレート・ガバナンスの充実にも継続して取り組んでおります。この結果、当連結会計年度の業績は、売上高106,684百万円と前年同期比992百万円の増収(前年同期比0.9%増)となりました。営業利益は4,641百万円と前年同期比2,619百万円の増益(前年同期比129.5%増)、経常利益は4,404百万円と前年同期比2,643百万円の増益(前年同期比150.1%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は2,836百万円と前年同期比2,393百万円の増益(前年同期比540.9%増)となりました。
(単位:百万円)
売上高営業利益経常利益親会社株主に
帰属する当期純利益
2024年3月期連結会計年度106,6844,6414,4042,836
2023年3月期連結会計年度105,6912,0221,760442

なお、当社グループの売上高・営業利益は、主力商品である水産練り製品・惣菜が秋季・冬季に需要が高まることと12月のおせち料理関連商品の売上により、第3四半期に集中する傾向にあります。前期及び当期における当社グループの各四半期における売上高及び通期の売上高に対する割合、営業利益又は営業損失(△)は次のとおりであります。
(単位:百万円)
2023年3月期 前連結会計年度2024年3月期 当連結会計年度
第1
四半期
第2
四半期
第3
四半期
第4
四半期
第1
四半期
第2
四半期
第3
四半期
第4
四半期
売上高22,84823,94034,98223,92123,69923,99334,37024,621
(通期割合)(21.6%)(22.7%)(33.1%)(22.6%)(22.2%)(22.5%)(32.2%)(23.1%)
営業利益又は
営業損失(△)
△70△7152,371437101△563,823771

各セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(国内食品事業)
国内食品事業では、国内において食品の製造及び販売を行っております。
売上面では、カニカマやはんぺん等の主力である水産練り製品が年間を通して大幅な増加となりました。水産練り製品は近年、高たんぱくで低脂質なヘルシーさが着目され、またコロナ禍を経て家庭内の備蓄食材としての使い勝手の良さが再認識されております。昨年度に実施した価格改定後も販売数量が増加する商品も多く、大きく売上を伸長しました。また、食シーンの提案やSNSを活用したプロモーションを正月商戦も含め年間を通して実施したことで、当社並びに当社商品への認知度・理解度の向上に奏功していると考えております。一方で、競争環境の厳しい中華惣菜や麺状商品の売上は減少しました。今後、プロモーション施策などを通じて挽回を図ってまいります。商事部門では、年間を通して米糠油や蕎麦などの商材の売上が安定して好調を維持しました。
利益面では、価格改定の浸透と主原料のすり身価格が落ち着きを取り戻したことにより、大幅増益となりました。
この結果、当セグメントの売上高は76,077百万円と前年同期比656百万円の増収(0.9%増)となり、セグメント利益は2,836百万円と前年同期比2,796百万円の増益(前年同期はセグメント利益40百万円)となりました。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度
売上高セグメント利益売上高セグメント利益
75,4204076,0772,836

(海外食品事業)
海外食品事業では、海外において食品の製造及び販売を行っております。
売上面では、タイ国内向けは営業活動の強化により下期から回復基調が顕在化しました。他のアジア圏、中国、米国の各市場では、インフレや経済活動の鈍化傾向等、マクロ経済の要因が年間を通じて影響しました。消費者の生活必需品を優先する節約志向や、低価格商品への購買シフト、外食産業の回復遅れなどにより、主力商品であるカニカマやHealthy Noodle(糖質0g麺)の販売が前期比で減少しました。
利益面でも、自社製品の売上減の影響が大きく、減益となりました。
この結果、当セグメントの売上高は11,999百万円と前年同期比655百万円の減収(5.2%減)となり、セグメント利益は797百万円と前年同期比331百万円の減益(29.4%減)となりました。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度
売上高セグメント利益売上高セグメント利益
12,6541,12811,999797

(食品関連事業)
食品関連事業では、国内において食品の運送、その他食品に関連した事業を行っております。
売上面では、当セグメントの中心である物流事業で、人流の回復に伴い経済活動が活性化され、外食店舗や百貨店、観光地の土産物店向け等の物量が大きく復調したことで、堅調な業績を確保しました。さらに継続して注力してきた新規顧客の獲得や、料金・料率の改定も増収に寄与しました。
利益面では、人件費や輸送全般における諸々のコストの増加、倉庫内の安定した空調管理のための電力費の上昇が減益要因としてある一方、売上増加分やさまざまな効率化策が奏功し、利益額と利益率を確実に獲得し、増益となりました。
この結果、当セグメントの売上高は18,608百万円と前年同期比992百万円の増収(5.6%増)となり、セグメント利益は991百万円と前年同期比99百万円の増益(11.2%増)となりました。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度
売上高セグメント利益売上高セグメント利益
17,61689118,608991

③ キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
営業活動によるキャッシュ・フロー9215,548
投資活動によるキャッシュ・フロー△1,422△871
財務活動によるキャッシュ・フロー△755△2,590
現金及び現金同等物の増減額△1,2382,132
現金及び現金同等物の期首残高7,6336,395
現金及び現金同等物の期末残高6,3958,527

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ2,132百万円増加し、8,527百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業キャッシュ・フローは、5,548百万円の収入(前連結会計年度は921百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益3,913百万円、減価償却費1,929百万円、棚卸資産の減少額950百万円及び退職給付に係る資産及び負債の減少額1,204百万円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、871百万円の支出(前連結会計年度は1,422百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出1,015百万円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、2,590百万円の支出(前連結会計年度は755百万円の支出)となりました。これは、短期借入金の純減少額1,130百万円、リース債務の返済による支出834百万円などによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
金額(百万円)前年同期比(%)
国内食品事業62,852101.5
海外食品事業6,37397.1
食品関連事業--
合計69,225101.1

(注)食品関連事業は、食品の配送等を主な事業とするセグメントであることから、生産に該当する事項がありませんので、記載しておりません。
b.受注実績
当社グループは、見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
金額(百万円)前年同期比(%)
国内食品事業76,077100.9
海外食品事業11,99994.8
食品関連事業18,608105.6
合計106,684100.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、連結財務諸表の作成に当たり、資産、負債、収益及び費用の報告に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。これらの見積り及び仮定に基づく会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、次の会計方針は、連結財務諸表における重要な見積りの判断に影響を及ぼすものと考えております。
a.退職給付会計の基礎率
当社グループは、確定給付型を含む複数の退職給付制度を有しております。
確定給付制度の債務の現在価値及び関連する勤務費用等は、数理計算上の仮定に基づいて算定しております。数理計算上の仮定については、割引率、年金資産の長期期待運用収益率や予想昇給率等の変数についての見積り及び判断が求められます。
数理計算上の仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
b.固定資産の減損
当社グループは、減損損失の認識の判定及び測定を行う単位として資産のグルーピングを行い、減損の兆候の有無を判定しております。減損の兆候が存在する場合、当該資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フローに基づき、減損損失の認識の要否を判定しております。
減損損失を認識すべきと判定された資産又は資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。回収可能価額は使用価値又は正味売却可能価額により算定しております。使用価値は、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローに基づき算定しております。
将来キャッシュ・フローの算定には、中期経営計画の前提となった数値を基に、主原料価格の過去の推移も踏まえた将来の相場予測、当社グループ内で用いている将来の収益予測等の仮定を考慮して見積っております。
当該見積り及び仮定については、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果が異なった場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において、固定資産の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。
c.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できること、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産に計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りとなるため、事業環境等の変化により見積りが減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
② 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態及び経営成績の分析
当連結会計年度における財政状態及び経営成績の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要① 財政状態の状況及び② 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要は、主に水産練り製品・惣菜向けの製造設備に係る設備投資であります。これらの資金の源泉は、営業キャッシュ・フロー及び金融機関からの借入等により調達することとしております。調達した資金は、成長と経営効率改善のための投資を実施し、資本の充実と借入の返済を進めるとともに、株主還元の安定的拡大を目指してまいります。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
d.経営戦略の現状と見通し
当連結会計年度を最終年度とする中期経営計画2023では、成長性と収益性の基盤づくりに取り組み、売上成長率10.2%(2020年度比)、海外売上比率13%、営業利益率4.2%、自己資本比率30%を目標値としておりました。最終年度である2023年度の業績は、会計基準変更の影響分を加味した売上伸長率と営業利益率は目標値を上回り一定の成長と利益拡大は実現できたと評価しております。一方、自己資本比率と海外売上比率は、原材料価格の高騰や国際的なインフレなど、策定時の事業環境とは異なるマクロ的な状況の変化による影響が大きく未達となりました。
当社グループは2026年度を最終年度とする新たな中期経営計画を策定し、その内容・経営目標については、前述の「第2 事業の方針 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中期的な経営戦略等」に記載のとおりであります。
2038年の創業100周年に向けた「長期経営戦略」の実現に向け、持続的に成長できる強固な企業体質を確立いたします。
そのための基本戦略として以下の取り組みをしてまいります。
①成長戦略の推進と新たな価値創造
マーケティング力と商品開発力の強化をベースに、国内市場における既存拡大による売上増加、チャネル強化による売上規模拡大、新規進出による売上増加への挑戦、海外市場の拡大
②資本効率の改善
ROIC経営の推進、営業キャッシュ・フローの拡大、生産性の向上・コスト削減、デジタル活用の推進、財務体質の強化
③経営基盤の整備
社員のWell-being、多彩な人財の活躍推進、サステナビリティ経営の強化、コーポレート・ガバナンスの強化、研究開発の強化、安全・安心の取組
e.経営者の問題意識と今後の方針
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。