有価証券届出書(新規公開時)

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2021/05/21 15:00
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当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は以下の通りです。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。なお、当社グループの事業は、電解銅箔製造事業の単一セグメントであるため、事業セグメントごとの記載を省略しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の分析
第4期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当連結会計年度における経済情勢は、米国では中国との貿易交渉が小康状態となり、個人消費も比較的堅調に推移しましたが、設備投資は製造業を中心に先送りする動きが見られました。欧州では、個人消費は堅調に推移しましたが、輸出は総じて弱含みとなり、英国のEU離脱をきっかけに減速感が鮮明になりました。中国では外需の落ち込みにより設備投資が抑制され、個人消費も力強さを欠きました。このような中、2020年初頭頃より新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が急速に広がり、世界各国/地域では外出規制や店舗の営業停止等により経済活動が停滞する状況となっております。また、日本国内において年度前半は個人消費や設備投資が堅調に推移していましたが、年度後半には消費税率の改定や新型コロナウイルス感染症の拡大により消費意欲が大きく後退し、今後の見通しに不透明感が広がりました。
このような状況の中、車載用リチウムイオン電池の分野では、xEV(EV、PHV、HV、マイルドHV、FCV等の総称)と呼ばれる電動自動車に搭載する電池用素材の需要が概ね堅調に推移しました。電子部品業界では、米国と中国の貿易交渉が長期化するにつれ、米中両国の電子機器等の需要が減退する場面もありましたが、5G(第5世代移動通信システム)関連の需要を中心に底堅く推移しました。
当社では、電動自動車関連の需要や、5G関連の需要を取り込むべく、製品販売数量や販路の拡大、製造設備の改良や生産工程改善などに取り組み、生産効率の向上や製品品質の維持向上に努めました。
また当社は、2020年3月31日付で米国の電解銅箔製造会社Denkai America Inc.の全株式を取得して子会社化しました。これにより当連結会計年度末において、特別利益に負ののれん発生益1,441百万円が発生しました。
これらの結果、当連結会計年度における生産数量は全品種合わせて8,386㌧(前連結会計年度比25.7%増)、売上高は12,480百万円(同14.9%増)、営業利益は911百万円(同101.6%増)、営業利益率7.3%(同3.1ポイント増)、経常利益は842百万円(同101.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,988百万円(同8,567.8%増)となりました。
第5期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、欧米諸国では大規模な金融緩和政策による景気持ち直しの動きも一部で見られたものの、COVID-19感染症が再拡大するなか、都市のロック・ダウンや移動制限が再び実施されるなど、本格的な回復には至りませんでした。一方中国においてはCOVID-19感染症を克服したとして、経済活動が再び活発となるなど、国や地域ごとに異なる動きが見られました。
このような状況の中、車載電池用銅箔においては、大手電動自動車メーカーにおける生産活動が高水準で推移し、当社の車載電池用銅箔の需要も堅調に推移しました。また、回路基板用銅箔においては、米中貿易交渉の長期化により、米国大手電子機器メーカー向け需要においては、5G対応の新型機種の発売開始による盛り上がりが見られた一方、中国の大手電子機器メーカー向け需要は販売数量が伸び悩み、明暗を分ける形となりました。
電動自動車メーカーや電子機器メーカー等における生産活動の順調な回復により、当第3四半期連結累計期間における生産量は全品種あわせて7,392㌧、売上高は10,489百万円、営業利益は553百万円、営業利益率5.3%、経常利益は486百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は278百万円となりました。
② 財政状態の分析
第4期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ3,519百万円増加の13,747百万円(前連結会計年度末比34.4%増)となりました。また負債合計は1,546百万円増の9,312百万円(同19.9%増)、純資産合計は1,972百万円増の4,434百万円(同80.1%増)となりました。
当社では2020年3月31日付で米国の電解銅箔製造会社Denkai America Inc.を取得し、新たに連結子会社としております。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ2,297百万円増加の5,987百万円(同62.3%増)となりました。主な増減要因は、現金及び預金の増加656百万円(うち子会社の連結による増加441百万円)、売掛金の増加1,023百万円(うち子会社の連結による増加925百万円)、仕掛品の増加606百万円(うち子会社の連結による増加150百万円)、原材料及び貯蔵品の減少539百万円(うち子会社の連結による増加148百万円)等です。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ1,221百万円増加の7,759百万円(同18.7%増)となりました。このうち有形固定資産は1,251百万円増加の7,441百万円(同20.2%増)となりました。主な増減要因は、建物及び構築物(純額)の増加436百万円(うち子会社の連結による増加324百万円)、機械装置及び運搬具の増加919百万円(うち子会社の連結による増加986百万円)等です。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ421百万円増加の3,113百万円(同15.6%増)となりました。主な増減要因は、1年内返済予定の長期借入金の増加235百万円等です。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ1,125百万円増加の6,198百万円(同22.2%増)となりました。主な増減要因は、長期借入金の増加719百万円、退職給付に係る負債の増加354百万円(うち子会社の連結による増加336百万円)等です。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比べて1,972百万円増加し、4,434百万円(同80.1%増)となりました。
主な増減要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加1,988百万円等です。
第5期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて211百万円減少し、13,535百万円となりました。また、負債合計は、前連結会計年度末に比べて396百万円減少し、8,915百万円となりました。
(流動資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ633百万円増加の6,621百万円となりました。主な増減要因は、現金及び預金の増加851百万円、売掛金の減少224百万円、製品の増加194百万円、原材料及び貯蔵品の増加191百万円、未収入金の減少441百万円等によるものです。
(固定資産)
当第3四半期連結会計期間末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ845百万円減少の6,914百万円となりました。主な増減要因は、機械装置及び運搬具の減少455百万円、確定拠出年金制度への移行に伴う退職給付に係る資産の減少165百万円、繰延税金資産の減少73百万円等によるものです。
(流動負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,549百万円増加の4,663百万円となりました。主な増減要因は、1年内返済予定の長期借入金の増加1,500百万円によるものです。
(固定負債)
当第3四半期連結会計期間末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ1,946百万円減少の4,252百万円となりました。主な増減要因は、1年内返済予定の長期借入金への振替等による長期借入金の減少1,565百万円、退職給付に係る負債の減少312百万円等によるものです。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末と比べて185百万円増加の4,619百万円となりました。主な増減要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益278百万円、繰延ヘッジ損益の増加15百万円、為替換算調整勘定の減少108百万円等によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
第4期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローで1,892百万円の資金の獲得、投資活動によるキャッシュ・フローで2,086百万円の資金の使用、財務活動によるキャッシュ・フローで846百万円の資金の獲得があり、前連結会計年度末に比べ656百万円増加し、1,253百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,892百万円の資金獲得となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益2,161百万円及び減価償却費974百万円を計上したことのほか、負ののれん発生益の計上1,441百万円、仕入債務の減少206百万円、売上債権の増加97百万円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,086百万円の資金使用となりました。
これは、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,136百万円、有形固定資産の取得による支出946百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、846百万円の資金獲得となりました。
これは、長期借入金による収入1,650百万円のほか、長期借入金の返済694百万円、リース債務の返済86百万円等によるものです。
④ 生産、受注及び販売の状況
(生産の状況)
当社グループの事業は、電解銅箔製造事業の単一セグメントであるため、事業セグメントごとの区分表示は行っておりません。なお、主要品種ごとの最近2連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間における生産実績の内訳は下表の通りです。
品 種第3期
連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第4期
連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第5期
第3四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
生産実績(㌧)生産実績(㌧)前期比生産実績(㌧)
車載電池用銅箔5,8217,741133.0%5,106
回路基板用銅箔85364575.6%2,286
生産高合計6,6748,386125.7%7,392

(受注の状況)
当社グループの事業は、電解銅箔製造事業の単一セグメントであるため、事業セグメントごとの区分表示は行っておりません。なお、主要品種ごとの最近2連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間における受注実績は下表の通りです。
品 種第3期
連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第4期
連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第5期
第3四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
受注高受注残高
(百万円)
受注高受注残高
(百万円)
受注高受注残高
(百万円)
金額
(百万円)
金額
(百万円)
前期比金額
(百万円)
車載電池用銅箔9,23278110,336112.0%7426,7361,212
回路基板用銅箔2,3551682,08288.4%1461,739343
合 計11,58795012,418107.2%8898,4751,555

(販売の状況)
当社グループの事業は、電解銅箔製造事業の単一セグメントであるため、事業セグメントごとの区分表示は行っておりません。なお、主要品種ごとの最近2連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間における販売実績は下表の通りです。
品 種第3期
連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第4期
連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第5期
第3四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
販売高
(百万円)
割合販売高
(百万円)
割合販売高
(百万円)
割合
車載電池用銅箔8,54278.6%10,37583.1%6,73664.2%
回路基板用銅箔2,32321.4%2,10416.9%3,75335.8%
売上高合計10,866100.0%12,480100.0%10,489100.0%

(注) 1.上記の金額は、販売価格による表示であり、消費税等は含んでおりません。
2.最近2連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は下表の通りです。
第3期連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第4期連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第5期第3四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
販売高
(百万円)
割合販売高
(百万円)
割合販売高
(百万円)
割合
㈱日立ハイテク8,54278.6%5,77246.3%
パナソニック㈱2952.7%4,35534.9%5,95756.8%

当社と㈱日立ハイテクとの間では、同社を経由しパナソニック㈱に当社製品を販売する商流がありましたが、当社、㈱日立ハイテク、パナソニック㈱の3社間の合意に基づき、2019年11月以降は、当社よりパナソニック㈱に直接販売する商流に切り替わりました。この商流変更に伴い、2020年3月期における㈱日立ハイテクへの販売高は減少し、パナソニック㈱への販売高が増加しております。
(参考情報)
当社グループは、電解銅箔製造事業の単一セグメントにて、車載電池用銅箔及び回路基板用銅箔の製造販売を営んでおります。最近5年間における当社グループの品種区分ごとの販売実績の推移は下表の通りです。
回 次旧日本電解当 社
第74期第1期
(注)2
第2期第3期第4期
決算年月2016年3月2017年3月2018年3月2019年3月2020年3月
品種区分販売高
(百万円)
販売高
(百万円)
販売高
(百万円)
販売高
(百万円)
販売高
(百万円)
車載電池用銅箔3,3393,6914,8418,54210,375
回路基板用銅箔2,9782,6882,9592,3232,104
売上高合計6,3176,3797,80010,86612,480

(注) 1.上記の金額は、販売価格による表示であり、消費税等は含んでおりません。
2.当社の第1期連結会計年度は2016年6月17日から2017年3月31日までとなっておりますが、期間比較を容易にするため、旧日本電解の2016年4月1日から2017年3月31日までの販売実績金額を表示しております。
当社グループでは、経営目標の達成状況を判断するため、以下の計算手順により算定されたEBITDA及びEBITDAマージンを重要な経営指標と位置づけております。最近5年間における状況は以下の通りです。
(単位:百万円)
回 次旧日本電解当 社
第74期第1期
(注)1
第2期第3期第4期
決算年月2016年3月2017年3月2018年3月2019年3月2020年3月
売上高6,3176,3797,80010,86612,480
営業利益381804433452911
(加算)減価償却費438279395785974
(加算)のれん償却費143286143
EBITDA (注)28201,2271,1141,3801,886
EBITDAマージン
(注)3
13.0%19.2%14.3%12.7%15.1%

(注) 1 第1期連結会計年度は2016年6月17日から2017年3月31日までとなっておりますが、期間比較を容易にするため、旧日本電解の2016年4月1日から2017年3月31日までの経営成績にもとづき算出した数値を表示しております。
2 EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費
3 EBITDAマージン=EBITDA÷売上高×100
4 第1期連結会計年度から第3期連結会計年度にかけての加算項目「のれん償却費」は、当社(日本電解HD)と旧日本電解の連結手続により発生したものです。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この作成においては、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や将来における発生の可能性等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成にあたり採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第4期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(売上高)
当連結会計年度の売上高を主要品種ごとに見ると、車載電池用銅箔は、電動自動車に搭載する電池用素材の需要が概ね堅調に推移し、また新規顧客への販売開始もあり、品種別生産実績(㌧数)は7,741㌧(前連結会計年度比33.0%増)、売上高は10,375百万円(同21.5%増)となりました。
回路基板用銅箔は、携帯電話用素材の需要が軟調となる場面がありましたが、これを補う形で高周波関連の需要が底堅く推移し、品種別生産実績は645㌧(前連結会計年度比24.4%減)、品種別売上高は2,104百万円(同9.4%減)となりました。これらを合せて生産実績合計は8,386㌧(同25.7%増)、売上高合計は12,480百万円(同14.9%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は10,703百万円(同11.6%増)となりました。
車載電池用銅箔用の大型製造装置が当連結会計年度より本格的に稼働したことによる減価償却費の増加179百万円や、操業度が高水準で推移したことによる材料費の増加414百万円等の要因もありましたが、生産工程における品質改善や効率化に向けた取り組みにより売上高原価率は85.8%(同2.5ポイント減)となりました。
その結果、当連結会計年度の売上総利益は1,776百万円(同39.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は864百万円(同5.1%増)となりました。
社内体制強化のための増員による人件費の増加65百万円、研究開発費の増加23百万円等がありましたが、経費削減に向けた取り組みにより売上高販管費比率を6.9%(同0.7ポイント減)としました。
これらの結果、営業利益は911百万円(同101.6%増)、営業利益率7.3%(同3.1ポイント増)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は31百万円発生しました。
これは主として、工場整理屑売却収入14百万円、受取保険金11百万円、為替差益4百万円等によるものです。
当連結会計年度の営業外費用は100百万円発生しました。
これは長期借入金にかかる支払利息38百万円、支払手数料22百万円、たな卸資産処分損14百万円、災害による損失3百万円等によるものです。
これらの結果、経常利益は842百万円(同101.7%増)、売上高経常利益率は6.8%(同2.9ポイント増)を確保しました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は1,441百万円発生しました。
これは、2020年3月31日付で米国の電解銅箔製造会社Denkai America Inc.の全株式を取得して完全子会社化したことに伴う、負ののれん発生益です。
当連結会計年度の特別損失は122百万円発生しました。
これは、工場内の生産設備を一部移設したことに伴う設備移設費用53百万円、遊休資産にかかる減損損失44百万円、固定資産除売却損22百万円等によるものです。
これらの結果、税金等調整前当期純利益は2,161百万円(同4,711.7%増)となりました。さらに法人税、住民税及び事業税102百万円、法人税等調整額70百万円があり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,988百万円(同8,567.8%増)となりました。
第5期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
(売上高)
当社では2020年3月31日付で米国の電解銅箔製造会社Denkai America Inc.を取得し、連結損益計算書においては、2020年4月1日以降の損益を認識しております。
第5期第1四半期においては、COVID-19感染症の拡大を受け、自動車メーカーや電子機器メーカー等がCOVID-19感染症の拡大を予防するため工場の操業停止や稼働率を低下させたことに伴い、当社グループにおいても生産調整の実施等の対応を図る局面もありましたが、顧客企業における生産活動の再開により、車載電池用銅箔を中心に、当社製品の需要は回復基調にあり、一部ではCOVID-19感染症の拡大以前の時期の水準を上回るまでになりました。第3四半期連結累計期間を通して主要品種ごとの状況を見ると、車載電池用銅箔においては、第1四半期に需要が低迷する局面もありましたが、第2四半期半ば頃から大手電気自動車メーカーにおける生産活動が回復基調となり、第3四半期においても車載電池用銅箔の需要が堅調に推移し、品種別生産実績は5,106㌧、品種別売上高は6,736百万円となりました。
回路基板用銅箔は、第1四半期に需要が低迷する場面もありましたが、第2四半期中に、米国大手電子機器メーカーの5G対応の新型機種開始に向けた需要の盛り上がりが見られました。米国子会社も合わせた品種別生産実績は2,286㌧、品種別売上高は3,753百万円となりました。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期連結累計期間における売上原価は9,084百万円となりました。
第1四半期においてCOVID-19感染症の拡大により販売が低迷したことにより、売上高原価率は86.6%となりました。
なお第1四半期において生産停止を含む生産調整を実施したことに伴い、対応期間の固定費や連結子会社の操業度の低下に相当する部分合わせて184百万円を製造原価より特別損失に振り替えております。
その結果、当第3四半期連結累計期間の売上総利益は1,405百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第3四半期連結累計期間における販売費及び一般管理費は851百万円となりました。
COVID-19感染症の拡大による売上高が一時的に低迷した一方、社内体制強化のための増員による人件費増加もあり、売上高販管費比率を8.1%としました。
これらの結果、営業利益は553百万円、営業利益率5.3%となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当第3四半期連結累計期間の営業外収益は23百万円発生しました。
これは主として、工場整理屑売却収入15百万円等によるものです。
当第3四半期連結累計期間の営業外費用は90百万円発生しました。
これは長期借入金にかかる支払利息48百万円、為替差損20百万円等によるものです。
これらの結果、経常利益は486百万円、売上高経常利益率は4.6%となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する四半期純利益)
当第3四半期連結累計期間の特別利益は244百万円発生しました。
これは主として、米国子会社における給与保護プログラム(Paycheck Protection Program)に基づく補助金収入131百万円、退職給付制度移行益53百万円、当社における雇用調整助成金18百万円等によるものです。
当第3四半期連結累計期間の特別損失は281百万円発生しました。
これは主として、第1四半期において生産停止を含む生産調整を実施したことに伴う、対応期間の固定費や連結子会社の操業度低下相当分184百万円、固定資産除売却損87百万円等によるものです。
これらの結果、税金等調整前四半期純利益は449百万円となりました。さらに法人税、住民税及び事業税141百万円、法人税等調整額29百万円があり、親会社株主に帰属する四半期純利益は278百万円となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資本需要のうち主なものは、原材料の仕入を含む製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用です。投資資金は、設備投資を目的とするものです。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備資金等及び長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入を基本としております。
当連結会計年度末における借入金とリース債務を合せた有利子負債残高は6,459百万円、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,253百万円です。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標
当社グループでは、経営目標の達成状況を判断するため、以下の計算手順により算定されたEBITDA及びEBITDAマージンを重要な経営指標と位置づけております。最近2連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間における状況は下表の通りです。
決算年月第3期連結会計年度
(自 2018年4月1日至 2019年3月31日)
第4期連結会計年度
(自 2019年4月1日至 2020年3月31日)
第5期
第3四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
売上高10,86612,48010,489
営業利益452911553
(加算)減価償却費785974944
(加算)のれん償却費143
EBITDA (注)21,3801,8861,498
EBITDAマージン (注)312.7%15.1%14.3%

(注) 1 EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費
2 EBITDAマージン=EBITDA÷売上高×100