有価証券届出書(新規公開時)

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2021/09/07 15:02
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170項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
a.財政状態の状況
第8期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて39,262百万円増加し、569,020百万円となりました。2021年3月のLCA 3 Moonshot LPによる新株引受を主因とし、現金及び現金同等物が15,383百万円増加しております。非流動資産においては、糖尿病マネジメントセグメントにおける業務提携先である、Senseonics Holdings, Inc.に対する株式転換権付貸付金(純損益を通じて公正価値で測定する金融資産)の公正価値が増加したこと等によりその他の金融資産が18,343百万円増加しております。その他ADCグループ、及びEprediaグループ取得により発生したのれんを外貨建てで保有しており、それら外貨建てのれんの為替換算による増加等によりのれんが9,391百万円増加した一方、過去の買収により計上している顧客関連資産を中心とした無形固定資産の償却が17,799百万円発生し、無形資産が11,830百万円減少いたしました。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末と比べて1,997百万円増加し、461,458百万円となりました。銀行からの借入は返済スケジュールに基づき返済を実行し、借入金が13,472百万円減少した一方で、新型コロナウイルス感染症拡大に対する日本でのPCR検査の受託拡大や、ワクチン保存に対する超低温フリーザーの需要拡大等に対応するために営業債務及びその他の債務が10,039百万円増加したこと、病理事業における生産拠点の見直しによる人員削減プラン実施のためのリストラクチャリング引当金の増加等により引当金が2,740百万円増加したこと、主要子会社であるPHC株式会社をはじめとした課税所得の増加により未払法人所得税等が2,347百万円増加したこと等によるものであります。
なお、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表に関する注記事項 37.後発事象」に記載のとおり、翌連結会計年度の第1四半期連結会計期間中に銀行借入の借換を予定しておりますことから、既存の借入は1年以内に返済予定となり借入金(流動負債)は293,340百万円増加しております。
(資本)
資本合計は、前連結会計年度末と比べて37,264百万円増加し、107,561百万円となりました。資本金及び資本剰余金はLCA 3 Moonshot LPの新株引受によりそれぞれ5,042百万円及び5,738百万円増加し、利益剰余金は主として当期利益により18,579百万円増加しております。その他為替変動(円安)による在外営業活動体の換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が7,731百万円増加しております。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の13.3%から5.5ポイント増加して18.8%となりました。
第9期第1四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日)
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末と比べて2,005百万円増加し、571,025百万円となりました。前連結会計年度末よりさらに公正価値が上がったことにより、Senseonics Holdings, Inc.に対する株式転換権付貸付金(純損益を通じて公正価値で測定する金融資産)の評価益を認識したことを主要因としてその他の金融資産が7,378百万円増加した一方、前連結会計年度と同様に、過去の買収により発生した無形固定資産の償却が進み無形資産が3,828百万円減少しております。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末と比べて10,008百万円減少し、451,450百万円となりました。この主な要因は、2021年6月末に実行した長期借入金の借換により借入金が10,041百万円減少したことによるものであります。
(資本)
資本合計は、前連結会計年度末と比べて12,013百万円増加し、119,574百万円となりました。この主な要因は、四半期利益等により利益剰余金が10,564百万円増加したことによるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の18.8%から2.0ポイント増加して20.8%となりました。
b.経営成績の状況
第8期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
2021年3月期は期初から世界的に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、第1四半期に大きく業績が落ち込みましたが、第2四半期以降、徐々に回復の傾向が見られました。特に、ヘルスケアソリューションでは、営業活動の自粛や一般の臨床検査の需要が第1四半期に大きく落ち込みました。一方で、ヘルスケアソリューションにおいて日本におけるPCR検査の受託拡大に努めたほか、診断・ライフサイエンスでは、新型コロナウイルス感染症のワクチン保存に超低温フリーザーが必要とされ、欧米及び日本において、超低温フリーザーの大口受注があり、生産体制を増強するなどして、急激な需要増に応えることができました。当社グループ全体としては、当期における売上収益は、306,071百万円(前年同期比12.3%増)となりました。営業利益については、販売促進費、旅費・交通費、人件費などの一般管理費の削減により、17,599百万円(前年同期比33.6%増)、減価償却費や一時的収益・費用を除いた調整後EBITDAは64,053百万円(前年同期比17.7%増)、税引前利益は22,788百万円(前年同期比306.1%増)、当期利益は16,829百万円(前年同期比216.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は16,906百万円(前年同期比220.4%増)、無形資産償却費や一時的収益・費用を除いた調整後親会社の所有者に帰属する当期利益は29,943万円(前年同期比23.4%増)となりました。
なお、当社グループは、2019年6月末にサーモフィッシャーサイエンティフィックから病理事業を買収し、続いて2019年8月にLSIMの全株式を取得しております。
(単位:百万円)

2020年3月期2021年3月期前年同期比
売上収益272,637306,07112.3%
営業利益13,17717,59933.6%
EBITDA40,09954,13835.0%
調整後EBITDA54,41464,05317.7%
税引前利益5,61122,788306.1%
当期利益5,31116,829216.8%
親会社の所有者に帰属する当期利益5,27616,906220.4%
調整後親会社の所有者に帰属する当期利益24,26629,94323.4%
米ドル平均レート108.74円106.02円△2.72円
ユーロ平均レート120.82円123.66円2.84円

(EBITDA及び調整後EBITDAの算出表)
(単位:百万円)

2020年3月期2021年3月期増減
営業利益13,17717,59933.6%
+ 減価償却費26,91730,37112.8%
+ 減損損失(有価証券等を除く)56,168-
EBITDA40,09954,13835.0%
(調整額)
+ 一時的なM&A関連収益・費用4,0144,1533.5%
+ 一時的な事業構造改革関連収益・費用5,3967,36136.4%
+ 一時的な資産の処分等収益・費用4,268591△86.2%
+ 一時的な契約解除等に係る収益・費用-△4,237-
+ 一時的な役職員報酬-890-
+ 一時的なその他の収益・費用6381,15681.2%
調整後EBITDA54,41464,05317.7%

(注) EBITDA及び調整後EBITDAを以下の算式により算出しております。
EBITDA=営業利益+減価償却費+減損損失(有価証券等を除く)
調整後EBITDA=EBITDA+一時的な収益・費用
(親会社の所有者に帰属する当期利益及び調整後親会社の所有者に帰属する当期利益の算出表)
(単位:百万円)

2020年3月期2021年3月期増減
親会社の所有者に帰属する当期利益5,27616,906220.4%
(調整額)
+ 一時的なM&A関連収益・費用4,0144,1533.5%
+ 一時的な事業構造改革関連収益・費用5,3967,36136.4%
+ 一時的な資産の処分等収益・費用4,268591△86.2%
+ 一時的な契約解除等に係る収益・費用-△4,237-
+ 一時的な役職員報酬-890-
+ 一時的なその他の収益・費用6386,368898.1%
+ M&A関連収益・費用(償却資産)10,87810,9100.3%
+ 減損損失(有価証券等を除く)56,168-
+ 転換権付貸付金時価評価収益・費用-△16,077-
+ 法人税見合い調整額△6,208△3,089△50.2%
調整後親会社の所有者に帰属する当期利益24,26629,94323.4%

(注) 調整後親会社の所有者に帰属する当期利益を以下の算式により算出しております。
調整後親会社の所有者に帰属する当期利益
=親会社の所有者に帰属する当期利益+一時的な収益・費用+M&A関連収益・費用(償却資産)+減損損失(有価証券等を除く)+転換権付貸付金時価評価収益・費用+法人税見合い調整額
第9期第1四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日)
当第1四半期は、日本では新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言が継続されるも、世界的には先進国を中心にワクチン接種が進み、ロックダウンなどの規制も緩和されたことで、病院における通常の診察や検査が回復し、制約がある中で営業活動を活発化してまいりました。加えて、各国が新型コロナウイルスのワクチン接種を推進したため、ワクチンの保存・流通網整備のための超低温フリーザーへの強い需要が継続したほか、日本におけるPCR検査の需要も継続したことから、新型コロナウイルス感染症拡大により深刻な影響を受けた前第1四半期と比較して業績は大きく回復しました。
当第1四半期連結累計期間における当社グループの売上収益は、80,909百万円(前年同期比29.2%増)となりました。前期と比較して販売関連費用の増加や糖尿病マネジメントセグメントのリストラクチャリング費用1,809百万円の計上等により一般管理費が増えたものの、上記を主因とした増収により営業利益は5,634百万円(前年同期は1,246百万円の損失)、調整後EBITDAは17,007百万円(前年同期比112.7%増)、税引前四半期利益は14,112百万円(前年同期は2,578百万円の損失)、四半期利益は10,424百万円(前年同期は1,702百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は10,384百万円(前年同期は1,666百万円の損失)、調整後親会社の所有者に帰属する四半期利益は8,234百万円(前年同期比339.4%増)となりました。
(単位:百万円)

前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減
売上収益62,61280,90929.2%
営業利益(△損失)△1,2465,634-
EBITDA6,23913,470115.9%
調整後EBITDA7,99517,007112.7%
税引前四半期利益(△損失)△2,57814,112-
四半期利益(△損失)△1,70210,424-
親会社の所有者に帰属する四半期利益(△損失)△1,66610,384-
調整後親会社の所有者に帰属する四半期利益1,8748,234339.4%
米ドル平均レート107.60円109.46円1.86円
ユーロ平均レート118.47円131.82円13.35円

(EBITDA及び調整後EBITDAの算出表)
(単位:百万円)

前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減
営業利益(△損失)△1,2465,634-
+ 減価償却費7,4857,8314.6%
+ 減損損失(有価証券等を除く)-5-
EBITDA6,23913,470115.9%
(調整額)
+ 一時的なM&A関連収益・費用1,137797△29.9%
+ 一時的な事業構造改革関連収益・費用3121,585408.0%
+ 一時的な資産の処分等収益・費用164--
+ 一時的な契約解除等に係る収益・費用---
+ 一時的な役職員報酬-702-
+ 一時的なその他の収益・費用143453216.8%
調整後EBITDA7,99517,007112.7%

(注) EBITDA及び調整後EBITDAを以下の算式により算出しております。
EBITDA=営業利益+減価償却費+減損損失(有価証券等を除く)
調整後EBITDA=EBITDA+一時的な収益・費用
(親会社の所有者に帰属する四半期利益及び調整後親会社の所有者に帰属する四半期利益の算出表)
(単位:百万円)

前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減
親会社の所有者に帰属する四半期利益(△損失)△1,66610,384-
(調整額)
+ 一時的なM&A関連収益・費用1,13779729.9%
+ 一時的な事業構造改革関連収益・費用3121,585408.0%
+ 一時的な資産の処分等収益・費用164--
+ 一時的な契約解除等に係る収益・費用---
+ 一時的な役職員報酬-702-
+ 一時的なその他の収益・費用143△1,512-
+ M&A関連収益・費用(償却資産)2,7612,9055.2%
+ 減損損失(有価証券等を除く)---
+ 転換権付貸付金時価評価収益・費用-△8,659-
+ 法人税見合い調整額△9772,032-
調整後親会社の所有者に帰属する四半期利益1,8748,234339.4%

(注) 調整後親会社の所有者に帰属する四半期利益を以下の算式により算出しております。
調整後親会社の所有者に帰属する四半期利益
=親会社の所有者に帰属する四半期利益+一時的な収益・費用+M&A関連収益・費用(償却資産)+減損損失(有価証券等を除く)+転換権付貸付金時価評価収益・費用+法人税見合い調整額
c.キャッシュ・フローの状況
第8期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、15,382百万円増加し、当連結会計年度末には60,762百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、47,850百万円(前年同期比10,984百万円増)となりました。税引前利益による増加は22,788百万円であり、これは純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の評価益等により前年同期比17,177百万円増加したものであります。これに対し、非資金項目の調整として前連結会計年度に買収した事業の影響等により前年同期比3,453百万円増となった減価償却費30,371百万円、病理事業における工場閉鎖施策他に関連する減損損失7,688百万円が加算され、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の評価益による16,077百万円が減算されております。前年同期に比し10,984百万円の増加となっておりますが、主な要因は前期の期中に買収したEpredia事業とLSIM事業について通年での取込を行ったことに加えて、既存事業についてもキャッシュ・フローの増加がありました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、16,314百万円(前年同期比119,153百万円減)となりました。この主な要因は、経常的な設備投資を主とした固定資産の取得による支出が12,154百万円(前年同期比579百万円減)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が2,747百万円(前年同期比116,699百万円減)となったこと等によるものであります。前年同期に比しキャッシュ・アウトが119,153百万円減少しておりますが、前期の期中に行ったEpredia事業とLSIM事業の買収の反動によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、20,395百万円のマイナス(前年同期は95,585百万円)となりました。この主な要因は、定常的な長期借入金の返済による支出が24,606百万円(前年同期比5,161百万円増)、LCA 3 Moonshot LPに対する株式発行を主とした株式の発行による収入が10,085百万円(前年同期比10,028百万円増)、リース負債の返済による支出が5,358百万円(前年同期比960百万円増)となったこと等によるものであります。
第9期第1四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日)
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、3,301百万円減少し、当第1四半期連結会計期間末には57,460百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、13,788百万円(前年同期比2,513百万円増)となりました。税引前四半期利益による増加は14,112百万円(前年同期は△2,578百万円)であり、これは新型コロナウイルス感染症拡大により深刻な影響を受けた前第1四半期からは業績が回復したものであり、加えて純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の評価益が前年同期比10,612百万円増加したものであります。これに対し、非資金項目の調整として減価償却費7,831百万円(前年同期比345百万円増)が加算され、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の評価益による10,612百万円が減算されております。前年同期に比し2,513百万円の増加となっておりますが、主として営業利益の改善に伴いキャッシュ・フローの増加があった為です。新型コロナウイルスの影響により、前年同期は営業利益段階で赤字となっておりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、4,737百万円(前年同期比1,573百万円増)となりました。この主な要因は、経常的な設備投資を主とした固定資産の取得による支出が3,439百万円(前年同期比410百万円減)、持分法で会計処理されている投資の取得による支出が982百万円、事業譲受による支出が363百万円となったこと等によるものであります。前年同期に比しキャッシュ・アウトが1,573百万円増加しておりますが、前年同期は新型コロナウイルスの影響が不透明であったこともあり、可能な範囲で投資活動を後ろ倒し(株式取得等の投資は無し)していたことも影響しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、12,953百万円のマイナス(前年同期は△2,177百万円)となりました。この主な要因は、長期借入金の借換による支出が322,677百万円(前年同期比321,927百万円増)、長期借入金の借換による収入が311,348百万円、リース負債の返済による支出が1,329百万円(前年同期比15百万円減)となったこと等によるものであります。本借換は利息費用の削減と返済ピッチの平準化を目的としたものであり、利息費用については概ね30%程度が削減されると共に、新契約における借入期間である今後5年間は年間返済金額が一定となります。
d.生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
セグメントの名称前連結会計年度
(自2019年4月1日
至2020年3月31日)
前年
同期比
(%)
当連結会計年度
(自2020年4月1日
至2021年3月31日)
前年
同期比
(%)
糖尿病マネジメント(百万円)117,53196.0109,27693.0
ヘルスケアソリューション(百万円)87,572328.9115,980132.4
診断・ライフサイエンス(百万円)58,164177.782,992142.7
(百万円)263,267144.8308,249117.1
その他及び調整・消去(百万円)----
連結(百万円)263,267144.8308,249117.1

セグメントの名称前第1四半期
連結累計期間
(自2020年4月1日
至2020年6月30日)
前年
同期比
(%)
当第1四半期
連結累計期間
(自2021年4月1日
至2021年6月30日)
前年
同期比
(%)
糖尿病マネジメント(百万円)26,48699.726,13298.7
ヘルスケアソリューション(百万円)23,547366.532,573138.3
診断・ライフサイエンス(百万円)16,112204.023,851148.0
(百万円)66,146161.882,557124.8
その他及び調整・消去(百万円)----
連結(百万円)66,146161.882,557124.8

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておらず、百万円未満を切り捨てて記載しております。
(b)受注実績
当社グループの製品は見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。
(c)販売実績
セグメントの名称前連結会計年度
(自2019年4月1日
至2020年3月31日)
前年
同期比
(%)
当連結会計年度
(自2020年4月1日
至2021年3月31日)
前年
同期比
(%)
糖尿病マネジメント(百万円)119,47395.4108,14190.5
ヘルスケアソリューション(百万円)88,912323.4116,096130.6
診断・ライフサイエンス(百万円)62,259193.379,882128.3
(百万円)270,645146.3304,120112.4
その他及び調整・消去(百万円)1,992126.61,95097.9
連結(百万円)272,637146.2306,071112.3

セグメントの名称前第1四半期
連結累計期間
(自2020年4月1日
至2020年6月30日)
前年
同期比
(%)
当第1四半期
連結累計期間
(自2021年4月1日
至2021年6月30日)
前年
同期比
(%)
糖尿病マネジメント(百万円)24,00883.426,259109.4
ヘルスケアソリューション(百万円)23,290333.631,763136.4
診断・ライフサイエンス(百万円)15,054210.421,946145.8
(百万円)62,352145.379,968128.3
その他及び調整・消去(百万円)25960.1940362.9
連結(百万円)62,612144.580,909129.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額は、外部顧客に対する売上収益を示しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておらず、百万円未満を切り捨てて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
a.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
また、連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や取引状況を勘案し、合理的と判断される前提に基づき見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合など不確実性が存在するため、実際の結果がこれらの見積りや予測と異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表に関する注記事項 3.重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表に関する注記事項 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)経営成績の状況
第8期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当期における当社グループの業績は、売上収益が306,071百万円(前年同期比12.3%増)、営業利益が17,599百万円(前年同期比33.6%増)、減価償却費や一時的収益・費用を除いた調整後EBITDAは64,053百万円(前年同期比17.7%増)、またSenseonics Holdings, Inc.に対する株式転換権付貸付金(純損益を通じて公正価値で測定する金融資産)の評価益を金融収益として認識したことにより、税引前利益が22,788百万円(前年同期比306.1%増)、当期利益が16,829百万円(前年同期比216.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益が16,906百万円(前年同期比220.4%増)、無形資産償却費や一時的収益・費用を除いた調整後親会社の所有者に帰属する当期利益は29,943万円(前年同期比23.4%増)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりです。
セグメントの名称売上収益セグメント利益又は損失
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減
(%)
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減
(%)
糖尿病マネジメント119,473108,141△9.523,40323,9452.3
ヘルスケアソリューション88,912116,09630.64,1874,5147.8
診断・ライフサイエンス62,25979,88228.3△3,399508-
270,645304,12012.424,19128,96819.7
その他及び調整・消去1,9921,950△2.1△11,013△11,369-
連結計272,637306,07112.313,17717,59933.6

セグメントの名称EBITDA調整後EBITDA
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減
(%)
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減
(%)
糖尿病マネジメント37,13140,2328.340,26239,480△1.9
ヘルスケアソリューション11,29315,82640.111,91118,09451.9
診断・ライフサイエンス1,9008,642354.87,55215,101100.0
50,32464,70028.659,72572,67621.7
その他及び調整・消去△10,225△10,562-△5,312△8,626-
連結計40,09954,13835.054,41464,05317.7

(糖尿病マネジメント)
血糖値測定システム(BGM)市場は、主に先進国における価格圧力や、保険償還の抑制、持続血糖値測定器(CGM)の使用拡大及び新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、上半期は縮小傾向が続き、前年同時期比で2.4%縮小しました。もっとも、2020年4月から2021年2月までの11か月間では、数量ベースでの市場規模は前年同時期に比べ1.8%の縮小に留まり、上半期からは改善が見られました(IQVIAデータを基に当社にて算出)。前連結会計年度末において、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うセンサの供給に対する懸念から、ユーザーや流通経路において買いだめが進みました。当連結会計年度は、その反動としての在庫調整の影響に加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、前年同期比でセンサの販売数量が減少し、主要な販売国である米国、ドイツ、カナダで売上が減少しました。
米国においては、上記の在庫調整の影響に加え、販売協業先の業績不調により、当社グループのセンサ販売数量は前年同期比8.8%減少し、平均販売価格も16.3%下落しました。米国市場全体の2割弱を占める、保険対象外の自費購入者向け販路が今後も伸びることが期待され、価格優位性を訴求してネット販売を含む販路開発にも注力しましたが、売上は前年同期比21.8%減少しました。
ドイツにおいては、平均販売価格は前年同期比3.0%上昇しましたが、上記の在庫調整の影響から、センサ販売数量は前年同期比17.7%減少しました。ドイツの保険制度においては、低価格帯へのシフトが見られるため、従来の高価格機種のContour Nextに加えて、低価格機種のContour Careを販売しました。しかしながら、Contour Careは、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受けて他社製品からの切り替えが進まず、結果、売上は前年同期比14.2%減少しました。
カナダにおいても、上記の在庫調整の影響から、センサ販売数量は前年同期比8.7%減少し、平均販売価格は前年同期比1.0%減少したことから、売上は前年同期比9.7%減少しました。
迅速検体検査(POCT)や電動式成長ホルモン製剤注入器(グロウジェクターL)のOEM販売は、入札案件の獲得により売上が前年同期比1.8%伸びました。
以上により、糖尿病マネジメントの売上収益は、108,141百万円(前年同期比9.5%減)となりました。
上記売上の状況により、経費削減に努めたことに加え、7月に販売協業先からの販売協業契約違反に対する和解金収入が4,232百万円ありました。また、Senseonics Holdings, Inc.との業務提携によりCGM事業戦略を見直し、POCTech社への投資簿価の再評価を行ったこと等により、4,133百万円の減損損失が発生しました。以上の結果、糖尿病マネジメントのセグメント利益は、23,945百万円(前年同期比2.3%増)となりました。また調整後EBITDAは、39,480百万円(前年同期比1.9%減)となりました。
(ヘルスケアソリューション)
日本の臨床検査診断市場は極めて激しい競争環境下にあるものの、新規顧客獲得や既存顧客拡販等の営業活動及び価格下落抑制を行い、業績の拡大を図りましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、第1四半期の事業環境はより厳しさを増しておりました。第2四半期以降においては、検体数も回復基調にあり、新型コロナウイルス感染症PCR検査の受託拡大等に取り組みました。当該LSIM事業の売上収益は、86,779百万円であります。なお、LSIM事業は2019年8月に買収し、以降連結対象としております。
メディコム事業では、日本における新型コロナウイルス感染症に対する2回目の緊急事態宣言が1月に発出される中においても、Web展示会、オンライン商談等による営業活動の活性化を図ってまいりました。医科システムにおいて、高機能な診療所用カルテ医事システム「Medicom-HRVシリーズ」、及び価格、機能に応じてプランを選び新規開業医等にも導入し易い診療所用カルテ医事システム「Medicom-HRfシリーズ」を主力商品としてオンライン資格確認システムの提案等により販売を進めました。その結果、第3四半期に続いて、第4四半期も自社旧機種の買い替えを中心に販売が好調に推移しました。また、調剤システムでは「PharnesVシリーズ」を主力商品として販売を進め、下半期において大手チェーン薬局向けの販売とそれに伴う周辺機器販売が好調に推移しました。しかしながら、4~5月において営業活動の自粛を余儀なくされたことや、受診患者減少に伴う医療機関の収入減により顧客の購買マインドが低下したことによる影響が上回りました。当該メディコム事業の売上収益は、29,316百万円(前年同期比3.9%減)であります。
以上により、ヘルスケアソリューションの売上収益は、LSIM事業の売上収益増がメディコム事業の売上収益減を上回り、116,096百万円(前年同期比30.6%増)となりました。
第1四半期における新型コロナウイルス感染症拡大による売上収益減少の影響が大きく、加えてLSIM事業の統合関連費用が一時費用として1,441百万円発生したほか、メディコム事業における商品戦略の見直しにより1,308百万円の減損損失が発生しましたが、経費削減努力もあり、ヘルスケアソリューションのセグメント利益は、4,514百万円(前年同期比7.8%増)となりました。また調整後EBITDAは、18,094百万円(前年同期比51.9%増)となりました。なお、前期には、LSIM事業の取得に伴い棚卸資産を公正価格で測定したことから生じた売上原価の増加が反映されております。
(診断・ライフサイエンス)
病理市場は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、病院において医師が新型コロナウイルス感染症や必要不可欠な治療・評価に注力し、緊急を要しない手術が減少していることや、患者が通常の受診を手控えるなどの動きから、病理医によるがん・組織診断の件数が大きく減少し、第2四半期までは消耗品の売上を中心に大きく影響を受けましたが、下半期に入り米国で売上の回復が見られました。また、中国を含むアジア太平洋地域においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響があったものの、大型案件による機器販売が好調でした。そのほか、細胞診染色液やカバースリッパー、検体管理システム及びデジタルパソロジーなどの新製品でも売上が増加しました。当該病理事業の売上収益は、35,677百万円であります。なお、病理事業は2019年6月に買収し、同年7月より連結対象としております。
ライフサイエンス向け研究・医療支援機器市場では、新型コロナウイルス感染症拡大による顧客の活動停滞や予算縮小などの影響により一般需要は大きく低迷した一方で、医療機関における新型コロナウイルス検査用の設備機器や検体保管用の保存機器、製薬企業並びに研究機関における治療薬やワクチンの開発に使用する研究支援機器などの需要が増加しました。特にmRNAワクチン保存を目的とした超低温フリーザーに対する新規需要が製薬企業や物流企業、接種拠点となる医療機関などにおいて急増する中、省エネ性能や品質、ユーザビリティにおいて競争優位性の高い商品力と、増産による希望納期対応により多くの大型受注を獲得し、欧州地域での売上が前年同期比53.0%増、日本での売上が前年同期比33.6%増、米州地域での売上が前年同期比20.1%増と大きく伸長しました。また、2020年7月より東南アジア太平洋州地域の販売会社であるSciMedを連結子会社化したことにより同地域の売上が前年同期比128.3%増加しました。さらに、日本の新規事業として医薬品卸企業と共同開発を進めてきた個別化医療支援プラットフォーム「NOVUMN」を構成するスペシャリティ医薬品管理システム「SDMS」を2月に発売しました。研究・医療支援機器分野全体の売上収益は前年同期比37.8%増加しました。
調剤支援機器・その他分野においても、新型コロナウイルス感染症拡大により一般需要は低迷しましたが、米国市場で前年の販売不振から回復し、売上収益は前年同期比3.3%増加しました。当該バイオメディカ事業の売上収益は、44,204百万円(前年同期比31.4%増)であります。
以上により、診断・ライフサイエンスの売上収益は、79,882百万円(前年同期比28.3%増)となりました。
上記の売上増に加え、病理事業の売上も下期に回復し経費削減にも取り組みましたが、病理事業統合のためのITシステム関連費用が一時費用として3,068百万円発生したほか、病理事業の生産拠点見直しに伴い2,144百万円の減損損失が発生しました。以上の結果、診断・ライフサイエンスのセグメント利益は508百万円となりました。また調整後EBITDAは、15,101百万円(前年同期比100.0%増)となりました。なお、前期には、病理事業の取得に伴い棚卸資産を公正価格で測定したことから生じた売上原価の増加が反映されております。
第9期第1四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日)
当第1四半期連結累計期間における当社グループの売上収益は、80,909百万円(前年同期比29.2%増)となりました。前期と比較して販売関連費用の増加や糖尿病マネジメントセグメントのリストラクチャリング費用1,809百万円の計上等により一般管理費が増えたものの、上記を主因とした増収により営業利益は5,634百万円、調整後EBITDAは17,007百万円(前年同期比112.7%増)、税引前利益は14,112百万円、四半期利益は10,424百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は10,384百万円、調整後親会社の所有者に帰属する四半期利益は8,234百万円(前年同期比339.4%増)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりです。
セグメントの名称売上収益セグメント利益又は損失
前第1四半期
連結累計期間
(百万円)
当第1四半期
連結累計期間
(百万円)
増減
(%)
前第1四半期
連結累計期間
(百万円)
当第1四半期
連結累計期間
(百万円)
増減
(%)
糖尿病マネジメント24,00826,2599.43,5763,531△1.3
ヘルスケアソリューション23,29031,76336.4△1,1973,574-
診断・ライフサイエンス15,05421,94645.8△1,0561,665-
62,35279,96828.31,3228,771563.5
その他及び調整・消去259940262.9△2,569△3,136-
連結計62,61280,90929.2△1,2465,634-

セグメントの名称EBITDA調整後EBITDA
前第1四半期
連結累計期間
(百万円)
当第1四半期
連結累計期間
(百万円)
増減
(%)
前第1四半期
連結累計期間
(百万円)
当第1四半期
連結累計期間
(百万円)
増減
(%)
糖尿病マネジメント6,9316,9840.87,0488,94026.8
ヘルスケアソリューション1,3096,160370.61,3926,292352.0
診断・ライフサイエンス3843,306760.91,7844,009124.7
8,62416,45090.710,22419,24188.2
その他及び調整・消去△2,385△2,980-△2,229△2,234-
連結計6,23913,470115.97,99517,007112.7

(糖尿病マネジメント)
新型コロナウイルス感染症の感染状況改善に伴い、血糖値測定システム(BGM)市場は、前期低調であった東欧やアルジェリア、メキシコ、南アフリカ、トルコなどの新興国市場が牽引した結果、数量ベースで前期4~5月の2か月間では、前年同期比7.5%の縮小から、当期4~5月の2か月間では前年同期比4.1%の拡大に転じました(IQVIAデータを基に当社にて算出)。しかしながら、先進国市場では持続血糖値測定器(CGM)やフラッシュグルコースモニタリング(FGM)の普及によりBGM市場は減少が続いています。2019年度末には、新型コロナウイルス感染症拡大初期におけるセンサの供給懸念からユーザーや流通経路において買いだめが進み、前年同期にその反動として在庫調整の影響を受けた結果販売が低調でしたが、当第1四半期連結累計期間の売上は前年同期比9.4%増となりました。
米国の売上は、販売協業先の不振により、為替影響を除いて前年同期比16.9%減となりました。センサの販売数量は前年同期比3.9%減、平均販売価格は18.4%減となりました。
ドイツの売上は前期末に流通経路の在庫が増加した影響を受け、為替影響を除いて前年同期比22.4%減となりました。センサ販売数量は前年同期比20.9%減、平均販売価格は前年同期比1.1%減となりました。同国の保険制度は低価格帯へとシフトしており、高価格機種のContour Nextの価格を維持する一方で、低価格機種のContour Nextを販売しておりますが、Contour Nextは、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受けて他社製品からの切り替えが計画通りに進みませんでした。
カナダの売上は、保険償還価格が低下したものの、為替の影響を除いて前年同期比1.4%増となりました。平均販売価格は前年同期比5.9%減少しましたが、センサ販売数量が前年同期比8.3%増加しました。
先進国市場の縮小を相殺する形で、新興国におけるBGMの販売は伸長しています。特に、昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響により低調であったロシアでは為替影響を除くと前年同期比288.5%増、中国でも同36.3%増と、販売が大きく伸びました。販売協業先の売上も大きく伸長し、為替の影響を除いて東欧58.2%増、中南米103.2%増、中東6.0%、アフリカ102.4%増となりました。
また、当期から世界初の埋め込み型CGM製品Eversense(Senseonics社製)の独占販売を米国と欧州8か国にて開始しました。米国での販売は計画を下回りましたが、欧州での販売が計画を上回り、全体として当期の販売計画を達成しました。
迅速検体検査(POCT)や電動式成長ホルモン製剤注入器(グロウジェクターL)等のOEM販売は、販売が好調であった前年同期に比べ、22.6%減となりました。
以上により、糖尿病マネジメントの売上収益は、26,259百万円(前年同期比9.4%増)となりました。
上記売上の状況に加え、経費削減に努めましたが、一時費用として営業体制の見直しによるリストラクチャリング費用が1,809百万円発生したことにより、糖尿病マネジメントのセグメント利益は、3,531百万円(前年同期比1.3%減)となりました。
一時費用の影響等を除いた調整後EBITDAは、8,940百万円(前年同期比26.8%増)となりました。
(ヘルスケアソリューション)
LSIM事業では、厳しい競争環境下にあるものの、新規顧客獲得や既存顧客拡販等の営業活動及び価格下落抑制を行い、業績の拡大を図りました。一方で、新型コロナウイルス感染症拡大により、前期同様に影響を受けており、医療機関や健診の受託患者数は、前期同様に減少傾向でした。前第1四半期においては、受託患者数が大きく減少し、売上も大幅に減少しましたが、当第1四半期においても、若干の影響を受けております。しかしながら、当第1四半期後半においては、検体数が回復基調にあり、新型コロナウイルス感染症PCR検査受託拡大、新型コロナウイルス関連試薬の拡販等の取り組みにより、LSIM事業の売上収益は23,959百万円(前年同期比39.8%増)となりました。
メディコム事業では、新型コロナウイルス感染症の影響を最小限とするため、Web展示会、オンライン商談等による営業活動の活性化を図ってまいりました。医科システムにおいて、価格、機能に応じてプランを選ぶことにより多様な医療機関に導入し易い診療所用カルテ医事システム「Medicom-HRfシリーズ」を主力商品としてオンライン資格確認システムとのセットでの提案等により販売を進めました。また、レセプトコンピュータ機能をベースにした旧機種買替用の新商品「Medicom-HRf core for MCX」を5月に発売し、「Medicom-HRfシリーズ」のラインナップを強化し、旧機種からの早期切り替えを促進しました。厚生労働省による4月のオンライン資格確認の本格稼働が当初計画の4月から10月に延期になり、若干の影響があったものの、自社旧機種の買替を中心に販売が好調に推移しました。調剤システムでは「PharnesVシリーズ」を主力商品として販売を進め、大手チェーン薬局向けの販売が好調に推移しました。全体では前年同期における新型コロナウイルス感染症拡大を受けた営業活動の自粛等による影響からの回復もあり、大幅な増収となり、メディコム事業の売上収益は7,804百万円(前年同期比26.9%増)となりました。
以上により、ヘルスケアソリューションの売上収益は、31,763百万円(前年同期比36.4%増)となりました。
上記売上の増加に加え、第1四半期での新型コロナウイルス感染症拡大の影響による検査の検体数減少の影響を埋めるべく、コスト削減及び合理化等に努めた結果、ヘルスケアソリューションのセグメント利益は、赤字となった前第1四半期から大きく回復し、3,574百万円となりました。
調整後EBITDAは、6,292百万円(前年同期比352.0%増)となりました。
(診断・ライフサイエンス)
病理事業は、前期の新型コロナウイルス感染症拡大の影響により手控えられていた病院での通常の診察が回復したことにより、機器、消耗品の全商品カテゴリーで販売が伸長しました。売上は、北米で前年同期比37.5%増加、欧州地域で前年同期比13.1%増加しました。その他の地域は、アジア太平洋地域が牽引して前年同期比2.8%増加しました。以上により病理事業の売上収益は、9,200百万円(前年同期比23.6%増)となりました。
バイオメディカ事業は、新型コロナウイルス感染症拡大により停滞していた通常の研究活動が回復傾向にあり、加えて、mRNAワクチン保存用の超低温フリーザー及び治療薬やワクチンの開発に使用する研究支援機器の需要が継続していることにより、コロナ関連需要が発生する以前の前第1四半期に比べ大きく伸長しました。日本では、緊急事態宣言再発令により活動停滞は継続するも、mRNAワクチンを保存する物流拠点と接種拠点への超低温フリーザーの供給が牽引し、前年同期比108.3%増加しました。米州地域では、通常の研究活動の回復が最も進み、製薬企業を中心に大型案件を多数獲得し、前年同期比56.6%増加しました。欧州地域では、mRNAワクチンの製造拠点となる製薬企業各社と大手物流企業からの超低温フリーザーの大型案件獲得が継続しており、前年同期比149.8%増加しました。東南アジア太平洋州地域は、2020年7月にシンガポールの販売会社SciMedの連結子会社化による他メーカーの買入商品販売の追加、及び各国のワクチン保存需要の確実な獲得により、前年同期比138.0%増加し、研究・医療支援機器分野全体の売上は前年同期比92.8%増加しました。一方で、調剤支援機器・その他分野においては、日本の市場回復の遅れ及び米州地域内の物流遅延影響により、売上は前年同期比28.1%減少しました。これらにより、バイオメディカ事業の売上収益は、12,746百万円(前年同期比67.5%増)となりました。
以上により、診断・ライフサイエンスの売上収益は、21,946百万円(前年同期比45.8%増)となりました。
上記売上の状況の中、超低温フリーザーの売上拡大による粗利改善が、原材料費や物流費の高騰、販売活動の活性化に伴う旅費・交通費や人件費の増加を吸収し、更にコスト削減にも取り組みました。その結果、診断・ライフサイエンスのセグメント利益は、売上の深刻な減少により赤字となった前第1四半期から回復し、1,665百万円となりました。
調整後EBITDAは、4,009百万円(前年同期比124.7%増)となりました。
(b)財政状態の状況
第8期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 a.財政状態の状況」にて記載しておりますのでご参照ください。
第9期連結会計年度第1四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日)
「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 a.財政状態の状況」にて記載しておりますのでご参照ください。
(c)資本の財源及び資金の流動性についての分析
(イ)キャッシュ・フロー
第8期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 c.キャッシュ・フローの状況」にて記載しておりますのでご参照ください。
第9期連結会計年度第1四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日)
「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 c.キャッシュ・フローの状況」にて記載しておりますのでご参照ください。
(ロ)資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。販売費及び一般管理費の主なものは人件費及び広告宣伝費等です。
(ハ)資金調達と財務マネジメント
当社グループは、運転資金や設備投資のために、最適な資金確保と流動性の保持及び健全な財政状態を維持することを財務方針としております。
運転資金は基本的には手許資金でまかなうことを原則としております。基本的には当社が一元して資金を調達・運用し、運転資金が必要な各子会社に対しては当社グループ内から貸付を行うことで効率化を図っております。
また、設備投資等の長期資金需要に関しては、投資回収期間とリスクを勘案した上で調達方法を決定しております。なお、当連結会計年度は、設備投資及び研究開発活動等の資金について、主に営業活動の結果得られた資金から充当しております。
資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、銀行とコミットメント・ライン契約を締結しており、成長を維持するために必要とされる十分な流動性を確保していると考えております。
2021年3月末時点の借入残高は約3,200億円になっており、その大宗は複数回の買収等に伴うものですが、2021年5月31日付で新たな金銭消費貸借契約を締結いたしました。同契約により、2021年6月30日に約3,100億円を調達、同日付で既存借入残高は全額期限前弁済を実施いたしました。今後は毎年240億円程度の返済を予定しており、借入金の総額は毎年減少する見込みです。また、ファシリティ契約及び新規金銭消費貸借契約における財務制限条項には、利益維持や連結資本維持等が存在しますが、これらに抵触する見込みはなく、取引金融機関とは今後も踏まえた良好な取引関係を構築しております。
(d)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの売上は、販売を行っている国又は地域の経済状況、医療制度、競合他社の状況、顧客動向や嗜好の変化等による影響を受け、また当社製品の販売価格は、世界的に浸透している医療費抑制政策の影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、外貨建てで取引されている製品・サービスが売上収益の過半数を占めていることなどから、為替相場の変動により経営成績が影響を受ける可能性があります。費用面では、原材料価格等による影響を受けます。
当社グループの経営成績に影響を与える他の要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
(e)経営戦略の現状と見通し
当社グループの属するヘルスケア業界では、先進国における高齢化社会、世界的な生活習慣病の増加、各国における医療費削減などの経営環境に直面しております。
このような環境の下、当社グループでは、グローバル規模での中長期成長を支える社内体制の構築・強化、人材の確保と育成の強化、事業及び収益基盤の拡大等に取り組むことで売上拡大や利益の確保に努めていく所存です。
当社グループの経営戦略の現状と見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にて詳細にご説明しておりますのでご参照ください。
(f)経営者の問題意識と今後の方針
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にて詳細にご説明しておりますのでご参照ください。