四半期報告書-第69期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/02/08 10:21
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29項目
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日(2018年12月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであるが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について、当社が保証するものではない。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っている。
(1) 財政状態の状況
当社グループの総資産は、受取手形・完成工事未収入金等の増加などにより、前連結会計年度末に比べ53億円増加し、4,238億円となった。負債については、コマーシャル・ペーパーの発行などにより増加した一方で、手形支払の現金化による支払手形・工事未払金等の減少などにより、前連結会計年度末に比べ33億円減少し、3,031億円となった。なお、有利子負債残高については、前連結会計年度末に比べ410億円増加し、1,085億円となった。純資産については、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ86億円増加し、1,207億円となった。
(2) 経営成績の状況
①事業全体の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続くなか、企業収益は改善し、個人消費の持ち直しも見られるなど、景気は緩やかな回復基調が続いた。世界経済は、緩やかな回復が続いているものの、景気の先行きには下振れリスクの高まりに留意する必要がある。
建設業界においては、公共投資は高めの水準を維持しており、住宅建設は横ばいで推移しているが、民間設備投資は緩やかに増加し、全体としては堅調に推移した。
こうした中、当社グループの当第3四半期連結累計期間の業績は売上高3,856億円(前年同四半期比2.1%増)、営業利益208億円(前年同四半期比0.9%減)、経常利益184億円(前年同四半期比12.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益132億円(前年同四半期比9.1%減)となった。売上高は、海外では減少したものの、国内の手持工事が順調に進捗したことなどにより、前年同四半期に比べ78億円の増加となった。利益面においては、国内で売上総利益が減少したこと、また、貸倒引当金の計上や支払利息が増加したことなどにより、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益は、いずれも減益となった。
当第3四半期累計期間の個別建設受注実績および個別建設受注高予想に関する定性的情報等は、次のとおりである。
当四半期までの個別建設受注高は、前年同四半期に国内建築、海外で大型工事を受注したため、前年同四半期比では16.0%減少となり、3,820億円となった。通期の見通しについては、国内土木1,700億円、国内建築1,700億円、海外1,500億円、合計4,900億円を予定している。
②セグメント情報に記載された区分ごとの状況(セグメント利益は四半期連結損益計算書の営業利益ベース)
※セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載している。
なお、第1四半期連結会計期間より報告セグメントを「国内土木事業」、「国内建築事業」、「海外建設事業」の3つの区分に変更した。また、前年同四半期比較については、変更後のセグメント区分に組み替えた数値と比較している。
(国内土木事業)
売上高は1,339億円(前年同四半期比1.2%増)となったが、荒天の影響などで海上工事の一部で採算が悪化したことなどにより、セグメント利益は92億円(同8.4%減)となった。
当社個別の受注高については、道路工事などの大型陸上工事を受注したことなどにより、前年同四半期に比べ140億円増加し1,174億円となった。
(国内建築事業)
手持工事の進捗などにより売上高は1,235億円(前年同四半期比25.6%増)となったが、鋼材の需給ひっ迫の影響などにより、セグメント利益は50億円(同23.1%減)となった。
当社個別の受注高については、前年同四半期に比べ372億円減少し、1,126億円となった。
(海外建設事業)
売上高は1,227億円(前年同四半期比13.3%減)となり、工事採算が改善したことなどによりセグメント利益は60億円(同61.4%増)となった。
当社個別の受注高については、過去最大規模の大型土木工事を受注した前年同四半期に比べ495億円減少したものの、シンガポール、香港ではインフラ投資は旺盛で、土木、建築とも複数の大型工事を受注し、1,520億円となった。
(その他事業)
売上高は76億円(前年同四半期比1.2%減)となり、セグメント利益は4億円(同19.6%減)となった。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はない。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりである。
Ⅰ.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
上場会社である当社の株式は、株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株式に対する大規模買付提案又はこれに類似する行為があった場合においても、一概に否定するものではなく、最終的には株主の皆様の意思により判断されるべきであると考えております。
しかしながら、このような株式の大規模な買付や買付提案の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれのあるもの、対象会社の取締役会や株主が買付の条件等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないものなど、不適切なものも少なくありません。
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、経営の基本理念、企業価値のさまざまな源泉、並びに当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保、向上させる者でなければならないと考えております。従いまして、企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付提案又はこれに類似する行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
そのため、当社取締役会は、万一、当社の支配権の移転を伴う大量買付を意図する者が現れた場合は、買付者に買付の条件並びに買収した場合の経営方針、事業計画等に関する十分な情報を提供させ、当社取締役会や必要な場合には株主がその内容を検討し、あるいは当社取締役会が代替案を提案するための十分な時間を確保することが、最終判断者である株主の皆様に対する当社取締役会の責務であると考えております。
Ⅱ.基本方針の実現に資する取組み
当社グループは、多数の株主、投資家の皆様に長期的に当社への投資を継続していただくため、企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして、次の諸施策を実施しており、これらの取組みは、上記の基本方針の実現に資するものと考えております。
1.「中期経営計画」等による企業価値向上への取組み
当社グループは、「良質な社会インフラの建設こそが最大の社会貢献」と考え、安全、環境への配慮と技術に裏打ちされた確かな品質の提供を通じて、株主、顧客、取引先、従業員のみならず、地域社会にとって魅力のある企業として持続的に発展することを目指しています。このような意識を役職員で共有するためCSR(企業の社会的責任)を重視した経営理念並びに中期ビジョンを策定しております。
当社グループは、経営環境の変化に対応、あるいは先取りをしながら、この理念・ビジョンの実現を目指し、企業価値の向上を図るため、3カ年を期間とする中期経営計画を策定しております。この中期経営計画は、環境の変化を踏まえた経営方針を掲げ、実効性の高い施策を策定し、実行していくものです。毎期、計画の進捗状況を確認し、状況に応じて計画を見直すとともに、3カ年ごとに計画の達成状況を検証し、その評価を次の計画の策定に活かしております。当社グループは、このサイクルを継続していくことによって、環境の変化に柔軟に対応しながら、中長期的な企業価値の向上が実現できるものと考えております。
2.「コーポレート・ガバナンスの強化」による企業価値向上の取組み
当社は、会社の永続的な成長・発展のため、コーポレート・ガバナンスの充実を重要な経営課題と位置付け、基本的な考え方、運営指針となる「五洋建設コーポレートガバナンス・ガイドライン」を2015年11月11日に制定しました。本ガイドラインに則り、経営環境の変化に対応しながら、迅速かつ果断な意思決定ができる体制を構築し、さらなるコーポレート・ガバナンスの充実を図ってまいります。
○コーポレート・ガバナンス体制
当社は、社外取締役、監査役会、会計監査人、内部監査部門が連携を図ることで経営に対する監督・監査機能の強化を図っています。取締役会の活性化と意思決定の迅速化を図るとともに、業務執行の責任を明確にするため執行役員制度を導入し、社外取締役を委員長とする役員人事及び報酬の諮問機関である人事委員会を設置しています。取締役会は原則月2回の開催とし、経営方針、法律で定められた事項、その他会社規則で定めた重要事項について活発な討議の上、意思決定を行っております。取締役、執行役員の報酬は、その責任を明確にするため、業績と報酬が連動する役員業績評価制度を導入しております。また、性別・年齢・国籍等にかかわらず、多様な人材の確保を推進しています。
当社は監査役制度を採用しており、そのうち3名が社外監査役です。監査役は取締役会に常時出席しているほか、執行役員会議をはじめとした社内の重要会議にも積極的に参加しており、取締役の職務執行を充分に監視する体制を整えております。
社外取締役と社外監査役は、自主的に社外者のみの意見交換会を開催し、独立した立場に基づく情報交換・認識共有を図っております。
こうしたコーポレート・ガバナンス体制を採用することで、公正で透明性の高い経営を行うことができると考えております。
○独立役員
当社は、社外役員全員について、一般株主と利益相反のおそれがないと判断し、当社が上場する金融商品取引所に対し、独立役員として届け出ております。これら独立役員については、取締役会などにおける業務執行に係る決定局面等において、一般株主の利益への配慮がなされるよう、必要な意見を述べるなど、一般株主の利益保護を踏まえた行動をとることが期待されます。
○コンプライアンスへの取組み
コンプライアンスについては、内部統制システムの構築に当たりリスク管理体制を明確にするため、2008年4月にコンプライアンス委員会を発展的に改組したリスクマネジメント委員会を設置しています。法令遵守はもとより、社会的規範・倫理を尊重した公明正大な企業活動を確実に実践すべく取り組んでいます。役職員一人ひとりが、経営理念を実現し、事業活動を適正に遂行して社会的責任を果たしていく上で、社会の一員として遵守すべき行動規範を定め、浸透に努めています。違法又は不適切な行為の通報先に、社内窓口のほか経営陣から独立した社外の弁護士に内部通報窓口を設け、内部通報制度により伝えられた情報を適切に活用する体制を構築しています。
以上の取組みを通じて、当社グループは企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上を図ってまいります。
Ⅲ.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための具体的な取組み
当社は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させるための取組みとして、2007年6月28日開催の第57期定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただき、「当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)」を導入いたしました。しかしながら、その後当社を取り巻く外部環境が変化するとともに、金融商品取引法による大量買付行為に対する法制度の整備が行われたことから、株主の皆様並びに当社取締役会が適正な判断をするために必要な情報や時間を確保するという当買収防衛策の導入目的が一定程度担保される状況となりました。これを勘案し、当社は2013年5月13日開催の取締役会において、当買収防衛策の有効期限である2013年6月27日開催の第63期定時株主総会終結の時をもって、当買収防衛策を継続しないことを決議いたしました。
今後当社は、当社株式の取引状況や株主の異動を引き続き注視し、万一当社株式の大量買付を企図する者が現れた場合は、金融商品取引法の定める手続きに則り、当該大量買付者に適切な情報開示を求めるとともに、当社の判断や意見も公表することで、株主の皆様が大規模買付行為に対し適切な判断を行うための情報と時間の確保に努めてまいります。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費は、16億円であった。
なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動に重要な変更はない。