有価証券報告書-第98期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 経営成績
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
① 経営成績の概況
当連結会計年度の建設業界は、民間の都市再開発やデータセンター関連施設など、建設投資は底堅く継続する一方で、不安定な国際情勢は米国における相互関税政策などで不透明感が増し、また、国内においても為替相場の変動、物価上昇、労働需給の逼迫、さらには米国の関税政策は国内企業の設備投資計画にも大きな影響を及ぼす可能性もあり、注視が必要な状況で推移した。
当社グループにおいても、このような状況下で始まった中期経営計画ではこれまでの技術力強化を始めとした取り組みを深化させていくとともに、持続的な成長を支える人的資本経営、将来の安定収益確保に向けた投資戦略も強化してきた。
中期経営計画の初年度である2025年度の経営基本方針のテーマについては、「Challenge2025 ~技術の深化と成長への投資~」とし、中期経営計画の「財務目標」「非財務目標」の達成に向けて特に重点的に取り組む項目として掲げている11の取組施策と5つの投資戦略を実践し、着実に取り組みを推進してきた。
このような事業運営の結果、当連結会計年度の業績は、以下のとおりとなった。
[連結業績]
売上高については、設備工事業は増加、その他は減少し、セグメント合計で前年同期から2,169百万円増の、476,123百万円となった。
営業利益は、前年同期から13,212百万円増加し、54,600百万円、経常利益は、13,722百万円増加し、58,157百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、11,169百万円増加し、40,053百万円となった。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりである。
(設備工事業)
工事受注高は、首都圏や福岡の再開発案件、関西圏の統合型リゾート案件及び、データセンター関連工事を中心に、諸物価の上昇を適切に価格へ転嫁しつつ、最適要員配置を踏まえた計画的な受注活動を進めた結果、前連結会計年度と比べ26,901百万円増加(6.0%増)し、479,014百万円となった。
売上高は、物価上昇を反映した価格転嫁等による配電委託工事などが増加し、3,150百万円増加(0.7%増)し、457,524百万円となった。
また、セグメント利益(営業利益)については、工事利益率の向上により、前連結会計年度と比べ13,226百万円増加(34.8%増)し、51,219百万円となった。
宇久島メガソーラー事業については、引き続き、京セラや当社を中心として設立した発電事業者(以下、SPC)が、長崎県が管轄する海域の占用許可について、県及び関係者と協議し取得の手続きを進めている。
当該事業のEPC工事を請け負う当社は、工程上のクリティカルパスである佐世保側の交直変換所について、その建設用地の使用権を2026年5月1日に取得したことから、今後は、佐世保側の交直変換所建設や宇久島島内の工事に、当社グループの総力を傾注し、早期竣工に向け取り組んでいく。
なお、現時点での具体的な完成時期については、交直変換所建設用地の地盤調査を終えたうえで、建設工事の契約を締結することから2026年度中の完成から遅れる見通しである。一方で当社も出資するSPCでは、環境配慮等のコストも増加する中で、FIP制度への転換やコーポレートPPAの活用、社会情勢を踏まえた事業性向上施策など、新たな収益改善スキームへの見直しを検討している。
(その他)
売上高は、材料及び機器の販売事業が減少したことから、前連結会計年度と比べ981百万円減少(5.0%減)し、18,598百万円となった。
また、セグメント利益(営業利益)については、利益率の向上により、前連結会計年度と比べ251百万円増加(8.3%増)し、3,292百万円となった。
② 財政状態の概況
[連結財政状態]
流動資産は、仕入債務の決済や戦略投資としての投資有価証券の取得等による現金・預金の減少などにより、前連結会計年度末と比べ965百万円減少し、298,303百万円となった。
固定資産は、戦略投資としての投資有価証券の取得による増加などにより、前連結会計年度末と比べ35,762百万円増加し、224,965百万円となった。
これらの結果、資産合計は、前連結会計年度末と比べ34,796百万円増加し、523,268百万円となった。
流動負債は、仕入債務の決済による電子記録債務の減少などにより、前連結会計年度末と比べ823百万円減少し、146,706百万円となった。
固定負債は、長期借入金の流動負債への振り替えに伴う減少などにより、前連結会計年度末と比べ3,871百万円減少し、24,917百万円となった。
これらの結果、負債合計は、前連結会計年度末と比べ4,695百万円減少し、171,624百万円となった。
純資産合計は、配当金の支払いがあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末と比べ39,491百万円増加し、351,644百万円となった。
[キャッシュ・フローの状況]
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、19,888百万円減少し、50,548百万円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、12,332百万円(前連結会計年度比3,675百万円の収入額の増加)となった。
これは、主に売上債権の増加や仕入債務の減少を、税金等調整前当期純利益の計上が上回ったことによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、18,143百万円(前連結会計年度比9,232百万円の支出額の増加)となった。
これは、主に戦略投資としての投資有価証券の取得によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、14,307百万円(前連結会計年度比10,244百万円の支出額の減少)となった。
これは、主に配当金の支払いによるものである。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
中期経営計画には、期間中に取り組むべき課題として、「技術力強化」、「社会課題」及び「前中期経営計画からの課題」も含まれており、それらの課題を解決すべく、経営基本方針のテーマを「Challenge2025 ~技術の深化と成長への投資~」と定め、「Challenge Stage(未来への投資・挑戦期間)」として、グループを挙げて取り組みを進めてきた。
また、不安定な国際情勢や国内における物価上昇、労働需給の逼迫など、当社グループを取り巻く環境に対応していくためには、中期経営計画の「財務目標」「非財務目標」の達成に向けて、特に重点的に取り組む項目として掲げている11の取組施策と5つの投資戦略を実践し、それぞれ具体的な施策を定め実行した。

具体的には、グループ企業各社の「技術力強化」「人事戦略」「ガバナンス強化」などの課題を統括管理する「グループ事業統括部」、設備工事のみならず、不動産事業などのストックビジネスも拡大し、安定的な収益構造を目指す「不動産事業部」を設置した。これらは当社グループでシナジーを最大化させ、企業価値を向上させることを目的としている。
この他にも技術職従業員の採用数の確保や、若年技術職従業員の離職対策については、2024年度から導入している奨学金返還支援制度の実施期間を延長し、個別面談を通じた悩みや課題の共有スキームの構築など様々な取り組みを講じている。また、投資戦略の一つとして、CVCファンド「クラフティアイノベーション投資事業有限責任組合」を設立した。今後、グリーン・イノベーションやデジタル領域をはじめとするスタートアップとの共創を通じて、社会価値と企業価値の両立を実現していく。
[当連結会計年度の分析]
当連結会計年度の営業利益は、工事利益率の向上により、増益となった。
設備工事業の売上高の増加は、物価上昇を反映した価格移転等による配電委託工事の増加などが主な要因である。
設備工事業の利益率向上については、竣工を迎えた大型案件の利益率改善を中心に、過年度に受注した採算性が良好な案件の工事が進捗したことなどが主な要因であると分析している。
一方で、材料費の価格上昇に対しては、㈱Q-mastと連携し早期に資材発注を行うなどその影響の抑制に努めている。また、営業・技術が一体となったフロントローディングの実施やタイムリーな追加工事の交渉に加え、コストダウン専門部隊である技術管理部による図面や原価見積りの検討など利益率改善のための様々な施策を実施している。なお、足元の大型案件の受注時点での想定利益率については、材料費・人件費の高騰を反映した価格交渉の推進により、過年度と比較し向上してきている。
販売管理費の増加は、主に、処遇改善による人件費の増加、生産性向上に向けたDX投資や新本社への移転に伴うものである。
② 生産、受注及び販売の実績
(a) 受注実績
(b) 売上実績
総売上実績に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上実績及びその割合は、次のとおりである。
(c) 次期繰越高
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去している。
2 当社グループでは設備工事業以外は受注生産を行っていない。
3 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況
〇 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
〇 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争並びに九州電力送配電㈱との委託契約によるものに大別される。
(注) 百分比は請負金額比である。
〇 完成工事高
(注) 1 九州電力グループとは、九州電力㈱、九州電力送配電㈱及び㈱九電送配サービスのことである。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
前事業年度 請負金額 10億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額 10億円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりである。
〇 次期繰越工事高(2026年3月31日現在)
次期繰越工事のうち請負金額 10億円以上の主なものは、次のとおりである。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
営業活動によるキャッシュ・フローについて
当連結会計年度における営業キャッシュ・フローは、12,332百万円となり、前連結会計年度に比べ、3,675百万円の収入額の増加となった。事業規模の拡大及び施工案件の大型化に伴い、運転資本は増加する傾向にあるが、日頃よりこまめな出来高請求を行うことに加え、毎月末に長期未収金の確認を行うなど貸倒れリスクの低減に努めている。また、全社で集金に取り組む集金強調期間を年2回設けるなど、キャッシュ・フロー経営の浸透を図っている。
投資活動によるキャッシュ・フローについて
当社グループは、中期経営計画の経営指標としてROICを採用し、加重平均資本コストを意識した投資を行っている。当連結会計年度における設備投資等の概要については「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に、設備の新設、除却等の計画については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載している。なお、設備工事業に係る通常の維持更新投資については、年間50億円程度を想定している。
また、再生可能エネルギー発電事業を行うSPCへの出資や、連結子会社であるクラフティアイノベーション投資事業有限責任組合を通じてスタートアップへの出資も行っている。
財務活動によるキャッシュ・フローについて
設備工事業に関する運転資金は、400億円程度を想定していたが、宇久島メガソーラープロジェクトの動向や事業規模の拡大に伴い、増加傾向にある。一方で、ウクライナ、トランプ米政権の関税政策、中国政府による対日輸出規制の強化、中東情勢の緊迫化など不確実性の増大に備えるため、手元流動性の確保に努めている。
加えて、再生可能エネルギーや脱炭素などESGへの取り組みをはじめとした投融資を主な使途とした社債発行登録を行っている。今後も、調達コストを勘案しながら、機動的に資金使途に応じた資金調達を遂行していく。
業容拡大やリスク対応に伴う棚卸資産や運転資金の回転率の低下に対しては、営業債権の回収率改善や事業外資産の見直しを行うことで対処し、営業活動及び投資活動のキャッシュ・フローを通じたROICの改善を図っていく。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成されている。この連結財務諸表作成に際し、当社グループ経営陣は、決算日における資産・負債の数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える様々な要因・仮定に対し、継続して可能な限り正確な見積りと適正な評価を行っている。
なお、見積り、判断及び評価は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っているが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる可能性がある。
当社グループの会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4 会計方針に関する事項」に記載している。個別の取引や経済事象に会計方針を適用するに当たり、現在及び将来の財政状態及び経営成績に大きな影響を与えると想定される事項は以下のとおりである。
宇久島メガソーラー建設工事に係る収益及び費用の計上基準について
宇久島メガソーラーについては、顧客と工事請負契約を締結しているが、当社グループは、当該契約を、財又はサービスの支配を一定期間にわたって顧客に移転するものと判断し、当連結会計年度末における見積総原価(工事原価総額)に対する発生原価の割合を、履行義務の充足に係る進捗度とし、その収益を認識している。ただし、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができなくなった場合において、発生する費用を回収することが見込まれるとき、あるいは、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、コストの上昇や予期しない工事進捗の遅れにより工事原価総額が増加した場合において、不可抗力条項や保険の付保にもかかわらずその影響を工事請負契約に十分に反映できないときは、採算性が低下するリスクがある。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
① 経営成績の概況
当連結会計年度の建設業界は、民間の都市再開発やデータセンター関連施設など、建設投資は底堅く継続する一方で、不安定な国際情勢は米国における相互関税政策などで不透明感が増し、また、国内においても為替相場の変動、物価上昇、労働需給の逼迫、さらには米国の関税政策は国内企業の設備投資計画にも大きな影響を及ぼす可能性もあり、注視が必要な状況で推移した。
当社グループにおいても、このような状況下で始まった中期経営計画ではこれまでの技術力強化を始めとした取り組みを深化させていくとともに、持続的な成長を支える人的資本経営、将来の安定収益確保に向けた投資戦略も強化してきた。
中期経営計画の初年度である2025年度の経営基本方針のテーマについては、「Challenge2025 ~技術の深化と成長への投資~」とし、中期経営計画の「財務目標」「非財務目標」の達成に向けて特に重点的に取り組む項目として掲げている11の取組施策と5つの投資戦略を実践し、着実に取り組みを推進してきた。
このような事業運営の結果、当連結会計年度の業績は、以下のとおりとなった。
[連結業績]
| 工事受注高 | 479,014百万円(前年同期比 6.0%増) |
| 売 上 高 | 476,123百万円(前年同期比 0.5%増) |
| 営業利益 | 54,600百万円(前年同期比 31.9%増) |
| 経常利益 | 58,157百万円(前年同期比 30.9%増) |
| 親会社株主に帰属 する当期純利益 | 40,053百万円(前年同期比 38.7%増) |
売上高については、設備工事業は増加、その他は減少し、セグメント合計で前年同期から2,169百万円増の、476,123百万円となった。
営業利益は、前年同期から13,212百万円増加し、54,600百万円、経常利益は、13,722百万円増加し、58,157百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、11,169百万円増加し、40,053百万円となった。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりである。
(設備工事業)
工事受注高は、首都圏や福岡の再開発案件、関西圏の統合型リゾート案件及び、データセンター関連工事を中心に、諸物価の上昇を適切に価格へ転嫁しつつ、最適要員配置を踏まえた計画的な受注活動を進めた結果、前連結会計年度と比べ26,901百万円増加(6.0%増)し、479,014百万円となった。
売上高は、物価上昇を反映した価格転嫁等による配電委託工事などが増加し、3,150百万円増加(0.7%増)し、457,524百万円となった。
また、セグメント利益(営業利益)については、工事利益率の向上により、前連結会計年度と比べ13,226百万円増加(34.8%増)し、51,219百万円となった。
宇久島メガソーラー事業については、引き続き、京セラや当社を中心として設立した発電事業者(以下、SPC)が、長崎県が管轄する海域の占用許可について、県及び関係者と協議し取得の手続きを進めている。
当該事業のEPC工事を請け負う当社は、工程上のクリティカルパスである佐世保側の交直変換所について、その建設用地の使用権を2026年5月1日に取得したことから、今後は、佐世保側の交直変換所建設や宇久島島内の工事に、当社グループの総力を傾注し、早期竣工に向け取り組んでいく。
なお、現時点での具体的な完成時期については、交直変換所建設用地の地盤調査を終えたうえで、建設工事の契約を締結することから2026年度中の完成から遅れる見通しである。一方で当社も出資するSPCでは、環境配慮等のコストも増加する中で、FIP制度への転換やコーポレートPPAの活用、社会情勢を踏まえた事業性向上施策など、新たな収益改善スキームへの見直しを検討している。
(その他)
売上高は、材料及び機器の販売事業が減少したことから、前連結会計年度と比べ981百万円減少(5.0%減)し、18,598百万円となった。
また、セグメント利益(営業利益)については、利益率の向上により、前連結会計年度と比べ251百万円増加(8.3%増)し、3,292百万円となった。
② 財政状態の概況
[連結財政状態]
流動資産は、仕入債務の決済や戦略投資としての投資有価証券の取得等による現金・預金の減少などにより、前連結会計年度末と比べ965百万円減少し、298,303百万円となった。
固定資産は、戦略投資としての投資有価証券の取得による増加などにより、前連結会計年度末と比べ35,762百万円増加し、224,965百万円となった。
これらの結果、資産合計は、前連結会計年度末と比べ34,796百万円増加し、523,268百万円となった。
流動負債は、仕入債務の決済による電子記録債務の減少などにより、前連結会計年度末と比べ823百万円減少し、146,706百万円となった。
固定負債は、長期借入金の流動負債への振り替えに伴う減少などにより、前連結会計年度末と比べ3,871百万円減少し、24,917百万円となった。
これらの結果、負債合計は、前連結会計年度末と比べ4,695百万円減少し、171,624百万円となった。
純資産合計は、配当金の支払いがあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末と比べ39,491百万円増加し、351,644百万円となった。
[キャッシュ・フローの状況]
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、19,888百万円減少し、50,548百万円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、12,332百万円(前連結会計年度比3,675百万円の収入額の増加)となった。
これは、主に売上債権の増加や仕入債務の減少を、税金等調整前当期純利益の計上が上回ったことによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、18,143百万円(前連結会計年度比9,232百万円の支出額の増加)となった。
これは、主に戦略投資としての投資有価証券の取得によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、14,307百万円(前連結会計年度比10,244百万円の支出額の減少)となった。
これは、主に配当金の支払いによるものである。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
中期経営計画には、期間中に取り組むべき課題として、「技術力強化」、「社会課題」及び「前中期経営計画からの課題」も含まれており、それらの課題を解決すべく、経営基本方針のテーマを「Challenge2025 ~技術の深化と成長への投資~」と定め、「Challenge Stage(未来への投資・挑戦期間)」として、グループを挙げて取り組みを進めてきた。
また、不安定な国際情勢や国内における物価上昇、労働需給の逼迫など、当社グループを取り巻く環境に対応していくためには、中期経営計画の「財務目標」「非財務目標」の達成に向けて、特に重点的に取り組む項目として掲げている11の取組施策と5つの投資戦略を実践し、それぞれ具体的な施策を定め実行した。

具体的には、グループ企業各社の「技術力強化」「人事戦略」「ガバナンス強化」などの課題を統括管理する「グループ事業統括部」、設備工事のみならず、不動産事業などのストックビジネスも拡大し、安定的な収益構造を目指す「不動産事業部」を設置した。これらは当社グループでシナジーを最大化させ、企業価値を向上させることを目的としている。
この他にも技術職従業員の採用数の確保や、若年技術職従業員の離職対策については、2024年度から導入している奨学金返還支援制度の実施期間を延長し、個別面談を通じた悩みや課題の共有スキームの構築など様々な取り組みを講じている。また、投資戦略の一つとして、CVCファンド「クラフティアイノベーション投資事業有限責任組合」を設立した。今後、グリーン・イノベーションやデジタル領域をはじめとするスタートアップとの共創を通じて、社会価値と企業価値の両立を実現していく。
[当連結会計年度の分析]
当連結会計年度の営業利益は、工事利益率の向上により、増益となった。
設備工事業の売上高の増加は、物価上昇を反映した価格移転等による配電委託工事の増加などが主な要因である。
設備工事業の利益率向上については、竣工を迎えた大型案件の利益率改善を中心に、過年度に受注した採算性が良好な案件の工事が進捗したことなどが主な要因であると分析している。
一方で、材料費の価格上昇に対しては、㈱Q-mastと連携し早期に資材発注を行うなどその影響の抑制に努めている。また、営業・技術が一体となったフロントローディングの実施やタイムリーな追加工事の交渉に加え、コストダウン専門部隊である技術管理部による図面や原価見積りの検討など利益率改善のための様々な施策を実施している。なお、足元の大型案件の受注時点での想定利益率については、材料費・人件費の高騰を反映した価格交渉の推進により、過年度と比較し向上してきている。
販売管理費の増加は、主に、処遇改善による人件費の増加、生産性向上に向けたDX投資や新本社への移転に伴うものである。
② 生産、受注及び販売の実績
(a) 受注実績
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | |||
| 設備工事業 | 452,113 | 479,014 | (6.0%増) | |
| その他 | ― | ― | (―) | |
| 合計 | 452,113 | 479,014 | (6.0%増) | |
(b) 売上実績
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | |||
| 設備工事業 | 454,373 | 457,524 | (0.7%増) | |
| その他 | 19,580 | 18,598 | (5.0%減) | |
| 合計 | 473,954 | 476,123 | (0.5%増) | |
総売上実績に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上実績及びその割合は、次のとおりである。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| 九州電力送配電㈱ | 51,039 | 10.8 | 55,104 | 11.6 |
(c) 次期繰越高
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (2025年3月31日) | 当連結会計年度 (2026年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | |||
| 設備工事業 | 454,059 | 476,049 | (4.8%増) | |
| その他 | ― | ― | (―) | |
| 合計 | 454,059 | 476,049 | (4.8%増) | |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去している。
2 当社グループでは設備工事業以外は受注生産を行っていない。
3 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況
〇 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
| 期別 | 工事種別 | 前期繰越工事高(百万円) | 当期受注工事高(百万円) | 計(百万円) | 当期完成工事高(百万円) | 次期繰越工事高(百万円) |
| 前事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 配電線工事 | 2,585 | 49,607 | 52,193 | 48,376 | 3,817 |
| 屋内線工事 | 288,305 | 197,962 | 486,268 | 213,755 | 272,512 | |
| 空調管工事 | 120,442 | 136,449 | 256,891 | 128,333 | 128,558 | |
| 計 | 411,333 | 384,019 | 795,352 | 390,465 | 404,887 | |
| 当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 配電線工事 | 3,817 | 53,305 | 57,122 | 53,322 | 3,799 |
| 屋内線工事 | 272,512 | 238,541 | 511,053 | 212,842 | 298,210 | |
| 空調管工事 | 128,558 | 125,557 | 254,115 | 124,188 | 129,926 | |
| 計 | 404,887 | 417,403 | 822,291 | 390,354 | 431,937 |
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
〇 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争並びに九州電力送配電㈱との委託契約によるものに大別される。
| 期別 | 区分 | 特命(%) | 競争(%) | 委託契約(%) | 計(%) |
| 前事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 配電線工事 | 7.6 | 8.3 | 84.1 | 100 |
| 屋内線工事 | 72.3 | 27.7 | ― | 100 | |
| 空調管工事 | 70.6 | 29.4 | ― | 100 | |
| 当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 配電線工事 | 7.0 | 8.8 | 84.2 | 100 |
| 屋内線工事 | 78.9 | 21.1 | ― | 100 | |
| 空調管工事 | 72.9 | 27.1 | ― | 100 |
(注) 百分比は請負金額比である。
〇 完成工事高
| 期別 | 区分 | 官公庁 (百万円) | 民間(百万円) | 合計 (百万円) | ||
| 九州電力 グループ | 一般民間会社 | 計 | ||||
| 前事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 配電線工事 | 281 | 45,544 | 2,550 | 48,094 | 48,376 |
| 屋内線工事 | 11,841 | 2,338 | 199,576 | 201,914 | 213,755 | |
| 空調管工事 | 5,778 | 762 | 121,791 | 122,554 | 128,333 | |
| 計 | 17,901 | 48,645 | 323,918 | 372,564 | 390,465 | |
| 当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 配電線工事 | 992 | 48,902 | 3,428 | 52,330 | 53,322 |
| 屋内線工事 | 21,412 | 1,395 | 190,035 | 191,430 | 212,842 | |
| 空調管工事 | 5,787 | 517 | 117,883 | 118,400 | 124,188 | |
| 計 | 28,192 | 50,814 | 311,347 | 362,162 | 390,354 | |
(注) 1 九州電力グループとは、九州電力㈱、九州電力送配電㈱及び㈱九電送配サービスのことである。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
前事業年度 請負金額 10億円以上の主なもの
| 鹿島・安藤ハザマ・松本・西鉄建設 特定建設工事共同企業体 | 福ビル街区建替プロジェクト新築工事 |
| 東京センチュリー㈱ | 鹿児島霧島メガソーラー発電所建設工事 |
| ヤマエ久野㈱ | エコーデリカ株式会社本社工場 |
| 戸田建設㈱ | 福岡市民ホール |
| ㈱竹中工務店 | うめきたⅡ期区域開発事業(南街区) |
当事業年度 請負金額 10億円以上の主なもの
| ㈱錢高組 | 京セラ㈱鹿児島川内工場第23工場新築工事 |
| ㈱大林組 | THE LINKPILLAR 2 |
| 大成建設㈱ | 福岡空港国際線ターミナルビル等増改築工事 |
| ㈱大林組 | 近畿大学医学部病院新築工事 |
| ㈱竹中工務店 | 天神住友生命FJビジネスセンター |
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりである。
| 前事業年度 | ||
| 九州電力送配電㈱ | 45,610百万円 | 11.7% |
| 当事業年度 | ||
| 九州電力送配電㈱ | 48,752百万円 | 12.5% |
〇 次期繰越工事高(2026年3月31日現在)
| 区分 | 官公庁 (百万円) | 民間(百万円) | 合計 (百万円) | ||
| 九州電力グループ | 一般民間会社 | 計 | |||
| 配電線工事 | 1,525 | 811 | 1,463 | 2,274 | 3,799 |
| 屋内線工事 | 22,017 | 608 | 275,584 | 276,193 | 298,210 |
| 空調管工事 | 7,880 | 91 | 121,954 | 122,045 | 129,926 |
| 計 | 31,423 | 1,511 | 399,002 | 400,514 | 431,937 |
次期繰越工事のうち請負金額 10億円以上の主なものは、次のとおりである。
| 宇久島みらいエネルギー 合同会社 | 宇久島メガソーラーパーク発電所建設工事 | 2027年度以降完成予定 |
| ラピスセミコンダクタ㈱ | ラピスセミコンダクタ株式会社宮崎第二工場 電源工事 | 2026年9月完成予定 |
| 清水建設㈱ | 大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発 | 2028年5月完成予定 |
| 大成建設㈱ | 福岡空港国内線複合施設及び既存ターミナルビル 増改築工事 | 2027年5月完成予定 |
| ㈱大林組 | 京セラ諫早工場Ⅰ期工事(1期実装工事) | 2026年8月完成予定 |
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
営業活動によるキャッシュ・フローについて
当連結会計年度における営業キャッシュ・フローは、12,332百万円となり、前連結会計年度に比べ、3,675百万円の収入額の増加となった。事業規模の拡大及び施工案件の大型化に伴い、運転資本は増加する傾向にあるが、日頃よりこまめな出来高請求を行うことに加え、毎月末に長期未収金の確認を行うなど貸倒れリスクの低減に努めている。また、全社で集金に取り組む集金強調期間を年2回設けるなど、キャッシュ・フロー経営の浸透を図っている。
投資活動によるキャッシュ・フローについて
当社グループは、中期経営計画の経営指標としてROICを採用し、加重平均資本コストを意識した投資を行っている。当連結会計年度における設備投資等の概要については「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に、設備の新設、除却等の計画については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載している。なお、設備工事業に係る通常の維持更新投資については、年間50億円程度を想定している。
また、再生可能エネルギー発電事業を行うSPCへの出資や、連結子会社であるクラフティアイノベーション投資事業有限責任組合を通じてスタートアップへの出資も行っている。
財務活動によるキャッシュ・フローについて
設備工事業に関する運転資金は、400億円程度を想定していたが、宇久島メガソーラープロジェクトの動向や事業規模の拡大に伴い、増加傾向にある。一方で、ウクライナ、トランプ米政権の関税政策、中国政府による対日輸出規制の強化、中東情勢の緊迫化など不確実性の増大に備えるため、手元流動性の確保に努めている。
加えて、再生可能エネルギーや脱炭素などESGへの取り組みをはじめとした投融資を主な使途とした社債発行登録を行っている。今後も、調達コストを勘案しながら、機動的に資金使途に応じた資金調達を遂行していく。
業容拡大やリスク対応に伴う棚卸資産や運転資金の回転率の低下に対しては、営業債権の回収率改善や事業外資産の見直しを行うことで対処し、営業活動及び投資活動のキャッシュ・フローを通じたROICの改善を図っていく。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成されている。この連結財務諸表作成に際し、当社グループ経営陣は、決算日における資産・負債の数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える様々な要因・仮定に対し、継続して可能な限り正確な見積りと適正な評価を行っている。
なお、見積り、判断及び評価は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っているが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる可能性がある。
当社グループの会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4 会計方針に関する事項」に記載している。個別の取引や経済事象に会計方針を適用するに当たり、現在及び将来の財政状態及び経営成績に大きな影響を与えると想定される事項は以下のとおりである。
宇久島メガソーラー建設工事に係る収益及び費用の計上基準について
宇久島メガソーラーについては、顧客と工事請負契約を締結しているが、当社グループは、当該契約を、財又はサービスの支配を一定期間にわたって顧客に移転するものと判断し、当連結会計年度末における見積総原価(工事原価総額)に対する発生原価の割合を、履行義務の充足に係る進捗度とし、その収益を認識している。ただし、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができなくなった場合において、発生する費用を回収することが見込まれるとき、あるいは、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、コストの上昇や予期しない工事進捗の遅れにより工事原価総額が増加した場合において、不可抗力条項や保険の付保にもかかわらずその影響を工事請負契約に十分に反映できないときは、採算性が低下するリスクがある。