四半期報告書-第91期第1四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)

【提出】
2022/07/28 15:40
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【項目】
36項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第1四半期連結会計年度(2022年4月1日~2022年6月30日、以下、当四半期累計期間)のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され経済活動の正常化に向けた動きが見られましたが、急速に進行した円安やウクライナ情勢の長期化などに伴う資源・エネルギー価格の上昇、依然として継続する半導体や各種部材不足の影響などにより、その先行きは不透明な状況となっております。
このような経済環境下、当社の事業領域においては、全般として投資意欲は堅調なものの、足元では、半導体や各種部材不足による製品調達の遅れや不透明な環境のなかにおいて投資時期の見極めなどの影響が一部に見られました。
企業においては、新型コロナウイルス感染症対策を契機とした働き方改革関連へのニーズが引き続き堅調であり、クラウドやAI、IoT、RPAといったDX(※1)などの最先端技術を活用した新しい働き方(ニューノーマルな働き方)への投資内容のシフトが進んでおります。通信事業者においては、トラフィック増に対応した通信品質の改善に向けた設備投資が継続する一方で、コスト削減、オペレーション効率化のニーズも高まっております。官庁・自治体、公益関連においては、デジタル田園都市国家構想など街づくりにおけるデジタルインフラの整備に向けた動きが活発化してくるとともに、官庁・自治体における働き方改革への動きも顕在化いたしました。
こうした市場環境のもと、当社グループでは、2022年5月に中期経営計画「Shift up 2024」を発表し、Sustainable Symphonic Societyの実現に向け、社会への提供価値を高めるべく、DX×次世代ネットワーク時代に向けて、コンサルテーションを軸に顧客伴走によるスパイラル型成長を行う新しい事業モデルへのシフトに注力しております。
DX領域につきましては、2007年より取り組んでいる働き方改革関連事業を、さらにお客様の経営強化、事業強化につながるサービスへと進化させるべく、DX技術の積極的な活用によるイノベーションを生む働き方/プロセス改革に取り組んでおります。そこから得られた技術・ノウハウなどを強みとして提案活動を実施し、サービス開発を強化するとともに、ニーズが高まる官庁・自治体向けには、自治体DX推進に向け、お客様がソリューションを実際に目で見て体験出来る課題解決型ショーケースをオープンするなど、企業向けのみならず、官庁・自治体における働き方改革ニーズへの対応を強化しました。
5Gを含む次世代ネットワーク領域につきましては、ローカル5Gを活用した基地局インフラシェアリング分野への対応強化を行うとともに、海外企業や東京大学発のベンチャー企業などへの出資を含めた5G技術、製品に関する新たなパートナーシップを築き、サービス提供力の強化を進めました。また、技術拠点である新川崎テクニカルベースにおいて、ローカル5G(Sub6帯)の商用局免許を取得し、ローカル5G環境を活用した技術者の育成を強化するなど、5Gの事業体制をより一層強化いたしました。
社会課題としての重要性がさらに拡大している気候変動に関しては、全ての事業を気候変動対応の視点で見直し、これまで培ってきた様々な環境関連のサービス、ノウハウと合わせて気候変動対応ビジネスの強化を図ることを宣言するとともに、2021年12月にTCFDへの賛同を表明し、2022年6月にTCFDフレームワークに基づく情報開示を開始しました。そして、これら取り組みを推進していくための全社横断組織として、2022年4月に「カーボンニュートラル推進本部」を設置しました。
このような、自社実践と共創実践、気候変動対応の取り組みをより加速すべく、ローカル5Gなどの高度なネットワーク活用や最先端のDXソリューション実証の場として、2023年の年明けに新本社ビルに移転することも決定、準備を進めております。
このようにサステナブルな成長に向けた取り組みを進める一方で、当四半期累計期間においては、半導体や各種部材の不足によりシステム構築や施工等に必要な製品、部材の調達が滞り、売上計上の時期が遅れるなどの影響を受けたことに加え、円安による調達コスト上昇などの影響が生じました。
これらの結果、当四半期累計期間における連結業績は、
売上高676億28百万円(前年同期比 0.1%減少)
営業利益14億99百万円(前年同期比 49.2%減少)
経常利益15億26百万円(前年同期比 49.9%減少)
親会社株主に帰属する四半期純利益4億96百万円(前年同期比 70.0%減少)

<参考>
受注高807億85百万円(前年同期比 3.5%減少)

となりました。
売上高は、前年同期比0.1%の減少の676億28百万円とほぼ横ばいとなりました。半導体や各種部材不足に起因した製品調達の遅れなどが影響した一方で、DX技術を活用した働き方改革に関連したICT(※2)サービスや、地域エリアにおけるSI・施工事業の売上高は増加となりました。なお、受注高は、注力領域であるDX分野が拡大しましたが、今期は大型案件が第2四半期以降に偏重している影響や、投資の先送りの影響を受け、前年同期比3.5%の減少の807億85百万円となりました。
利益面では、事業力の強化は引き続き進展しているものの、半導体や各種部材不足の影響で売上高が横ばいにとどまったことや、今後の成長に向けた積極的な費用増を行ったこと、急速な円安の影響で調達コストが増加したことなどで、営業利益が前年同期比49.2%減少の14億99百万円、経常利益は49.9%減少の15億26百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は、本社移転に関わる費用を特別損失に計上したことにより70.0%減少の4億96百万円となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
<セグメント別売上高>(単位:百万円)

DXソリュー
ション事業
ネットワーク
ソリューション事業
社会・環境ソリューション事業その他


当第1四半期
連結累計期間
24,73616,54724,2322,11067,628
前第1四半期
連結累計期間
24,75117,42022,8572,63367,662
増減額△14△8721,375△522△34
増減率(%)△0.1△5.06.0△19.8△0.1

<参考:セグメント別受注高>(単位:百万円)

DXソリュー
ション事業
ネットワーク
ソリューション事業
社会・環境ソリューション事業その他


当第1四半期
連結累計期間
26,85521,51229,6872,73080,785
前第1四半期
連結累計期間
29,93020,99331,1601,63283,717
増減額△3,075519△1,4731,097△2,931
増減率(%)△10.32.5△4.767.2△3.5

1.DXソリューション事業(247億36百万円:前年同期比0.1%減):
注力領域であるDX技術を活用した働き方改革などのサービス事業が拡大しましたが、景気の不透明感などの影響により当注当売の案件が減少したことなどで、売上高は前年同期比0.1%減少の247億36百万円と微減になりました。
2.ネットワークソリューション事業(165億47百万円:前年同期比5.0%減):
半導体・各種部材不足による製品調達遅れの影響を受け、売上高は前年同期比5.0%減少の165億47百万円となりました。
3.社会・環境ソリューション事業(242億32百万円:前年同期比6.0%増):
半導体・各種部材不足による製品調達遅れの影響を受けましたが、受注残の着実な取り込みにより地域エリアにおけるSI・施工事業が増加した結果、売上高は前年同期比6.0%増加の242億32百万円となりました。
※1 DX:
Digital Transformationの略。AI・IoT・RPA(Robotic Process Automation)等の最先端技術を用いて、企業・産業の事業活動や都市運営などを大きく変革すること。
※2 ICT:
Information and Communication Technology(情報通信技術)の略。
<セグメントの概要>
セグメント主な事業内容
DXソリューション事業主に企業などの業務系ICTプラットフォームに関するシステムインテグレー
ションおよびこれらに関するアウトソーシング/クラウドサービスや、最先端/デジタル技術を活用し、お客様のビジネス変革に資するソリュー
ション、サービスの提供、ならびにコンタクトセンターサービスの提供
ネットワークソリューション事業主に通信事業者や、宇宙・海洋・放送などの専門技術が必要な社会基盤事業者向けの、信頼性が要求される公共性の高いネットワークインフラに関するシステムインテグレーション、サービスの提供、ならびにネットワーク機器などの製造開発、販売およびシステムインテグレーションの提供
社会・環境ソリューション
事業
主に社会・公共事業者向けの施工事業、および当社が提供する各種ICTシステム、サービスに関する保守、運用などの全社サービス基盤の運用とそれらを活用したテクニカルサービスなどのサポートサービスの提供、ならびに海外現地法人によるネットワークインフラの施工事業
その他主に情報通信機器等の仕入販売

当社の組織再編を2022年4月1日付で実施したことに伴い、「デジタルソリューション事業」「ネットワークインフラ事業」および「エンジニアリング&サポートサービス事業」としていた報告セグメントを、2023年3月期から「DXソリューション事業」「ネットワークソリューション事業」および「社会・環境ソリューション事業」に変更することといたしました。
なお、前第1四半期連結累計期間に係る報告セグメントに関する情報につきましても、当該事象による変更を反映したものに組替えて開示しております。
(2)財政状態の状況
(資産)
当第1四半期連結会計期間の総資産は、前年度末に比べ129億1百万円減少し、2,417億99百万円となりました。流動資産は、前年度末に比べ162億80百万円減少し、1,978億81百万円となりました。これは主に、前年度末の売上債権の回収などにより、受取手形、売掛金及び契約資産が297億95百万円減少した一方、現金及び預金が114億31百万円増加したことなどによるものであります。固定資産は、前年度末に比べ33億78百万円増加し、439億18百万円となりました。
(負債)
当第1四半期連結会計期間の負債は、前年度末に比べ103億72百万円減少し、1,061億79百万円となりました。これは主に、前年度末の仕入債務の支払などにより、支払手形及び買掛金が102億39百万円減少したほか、未払法人税等が33億13百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間の純資産は、前年度末に比べ25億29百万円減少し、1,356億20百万円となりました。これは主に、利益剰余金が30億78百万円減少したことなどによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当第1四半期連結累計期間の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年度末に比べ114億31百万円増加し、911億63百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は162億70百万円となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の減少、棚卸資産の増加、仕入債務の減少、法人税等の支払などによるものであります。前年同期と比べると68億56百万円の資金の減少となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、16億62百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得などによるもので、前年同期と比べると4億56百万円の資金の減少となっております。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、146億8百万円の資金の増加となりました。前年同期と比べると73億12百万円の資金の減少となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、32億49百万円となりました。これは主に、配当金の支払などによるもので、前年同期と比べると4億19百万円の資金の減少となっております。なお、利益配当金につきましては、前年度末の1株当たり配当金を24円にしたことにより、前年同期と比べると4億47百万円増加し、35億49百万円の支払となっております。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(6)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は1億64百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)従業員数
当第1四半期連結累計期間において、連結会社または提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(8)生産、受注および販売の実績
当第1四半期連結累計期間において、生産、受注および販売実績の著しい変動はありません。
(9)主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動および主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変動はありません。