有価証券報告書-第56期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/29 10:28
【資料】
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【項目】
85項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表作成に当たりまして、期末時点の資産・負債及び期中の収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや仮定が必要とされます。当社は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行い、その結果は資産・負債の簿価及び収益・費用の計上についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社は、次の重要な会計方針の適用における見積りや仮定は財務諸表に重要な影響を与えると考えております。
①収益の認識
完成工事高の計上は、当事業年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。
工事進行基準を適用する場合は、工事収益総額、工事原価総額及び期末における工事進捗度を合理的に見積り、これに応じて完成工事高を計上しております。なお、工事収益総額の見積りは、お客様からの注文書に基づいた請負金額によっており、工事原価総額及び工事進捗度の見積りは、適時・適切に見直した実行予算等により算出しております。
工事完成基準を適用する場合は、お客様からの注文書に基づいた請負金額により完成工事高を計上しております。また、計上時期は目的物の引き渡しが実質的に行われた時点としております。目的物の引き渡しが実質的に行われた時点の判断は、「竣工検査終了後、検査に基づく手直し工事及び試運転、調整が完了した時点」を原則としております。
②貸倒引当金
当社の債権のうち、損失の発生が合理的に予想される債権に対しては、貸倒引当金を計上しております。
貸倒引当金の計上にあたっては、債務者からの債権回収状況、過去の貸倒実績率、債務者の財務内容及び担保価値等を総合的に判断した上で、債権の回収可能額を見積り、必要な貸倒引当金を計上しております。
なお、債務者の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
③投資の減損
当社は、特定のお客様や金融機関等の取引先に対する少数持分を所有しております。これら株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれております。
公開会社の株式については、期末時点で市場価格が取得価額に対して著しく下落している場合、非公開会社の株式については、投資先の純資産価額の当社持分が当社の帳簿価額に対して著しく下落している場合につき、将来の回復の可能性を検討し、評価損を計上することとしております。
④繰延税金資産
当社は、財務諸表と税務上の資産・負債との間に生じる一時的な差異に係る税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して、繰延税金資産・負債を計上しております。
繰延税金資産の計上にあたっては、将来の課税所得と実現可能なタックス・プランニングを考慮して一時差異の解消に係るスケジューリングを行い、回収可能と判断される繰延税金資産を計上しております。回収可能性の判断には、実績情報とともに将来に関するあらゆる入手可能な情報が考慮されております。
当社は、繰延税金資産の回収可能性の判断は合理的なものと考えておりますが、スケジューリング期間における課税所得の見積りの変動及びタックス・プランニングの変更等により、将来において繰延税金資産の増減が生じる可能性があり、将来の財務諸表に重要な影響を及ぼすことも考えられます。
⑤退職給付費用
当社は、従業員の退職給付費用及び年金債務について、年金数理計算に使用される前提条件に基づいて算定しております。
年金数理計算の前提には、割引率及び年金資産の長期期待運用収益率等の重要な見積りが含まれております。これらの前提条件の決定にあたっては、金利変動等の市場動向を含め、入手可能なあらゆる情報を総合的に判断し決定しております。
当社は、これらの前提条件の決定は合理的に行われたと判断しておりますが、前提条件と実際の結果が異なる場合は、将来の退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼす可能性があり、将来の財務諸表に重要な影響を及ぼすことも考えられます。
(2)当事業年度の経営成績の分析
①売上高
売上高は、前事業年度に比べ1,039百万円減少し23,477百万円となりました。
空調計装関連事業における新設工事の完成工事高は、事務所向け物件を中心に1,001百万円増加しました。既設工事の完成工事高は、大型物件の減少により1,553百万円減少しました。制御機器類の販売については、新設向け、既設向け共に増加し10百万円増加となりました。
産業計装関連事業における完成工事高は、設備工事、小型の補修工事の減少等により454百万円減少しました。制御機器類の販売については43百万円減少しました。
②売上総利益
売上総利益は、前事業年度に比べ101百万円減少し,7,110百万円となりました。
空調計装関連事業においては、既設工事の売上高の減少により、前事業年度に比べ15百万円減少しました。
産業計装関連事業においては、設備工事、小型の補修工事の売上高の減少等により、前事業年度に比べ86百万円減少しました。
売上総利益率については、主に空調計装関連事業の新設工事と産業計装関連事業の利益率の上昇により、全体で0.9ポイント上昇し30.3%となりました。
③販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、従業員給料手当の増加等により前事業年度に比べ173百万円増加し5,049百万円となりました。
④営業利益
営業利益は、完成工事高が減少したこと等により前事業年度に比べ275百万円減少し2,061百万円となりました。売上高営業利益率についても0.8ポイント低下し8.8%となりました。
⑤営業外収益及び営業外費用、特別利益及び特別損失
営業外収益及び営業外費用は、営業外収益で主にデリバティブ評価益の増加により前事業年度の収益61百万円(純額)から、108百万円の収益(純額)となりました。
特別利益及び特別損失は、特別損失で主に固定資産売却損の減少により前事業年度の損失117百万円(純額)から、6百万円の損失(純額)となりました。
⑥税引前当期純利益
税引前当期純利益は、前事業年度に比べ117百万円減少し2,164百万円となりました。
⑦法人税等
法人税等は、主に税引前当期純利益の減少により、前事業年度に比べ117百万円減少し796百万円となりました。税効果会計適用後の法人税等の負担率は、法人税率の引き下げ等により前事業年度の40.1%から36.8%に低下しております。
⑧当期純利益
当期純利益は、前事業年度とほぼ同額の1,367百万円となりました。これにより1株当たり当期純利益は、前事業年度の166.84円から166.81円とわずかに減少しております。
(3)流動性及び資金の源泉
①キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローでは、前事業年度より1,372百万円多い1,589百万円の資金を得ました。これは主に未成工事支出金の増加等の減少要因はあったものの、売上債権の減少及び未成工事受入金の増加等の増加要因がそれを上回りキャッシュが増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、前事業年度より70百万円多い318百万円の資金を使用しました。これは主に投資有価証券の取得による支出が減少したものの、有価証券の償還・売却による収入及び有形固定資産の売却による収入の減少等がそれを上回り使用資金が増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、前事業年度より179百万円多い409百万円の資金を使用しました。これは主に配当金の支払額が増加したことによるものであります。
②資金需要
当社の運転資金需要のうち主なものは、各種工事のための原材料購入及び外注工事費の支払いの他、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。営業費用の主なものは人件費であります。
③財務政策
当社は現在、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金を充当しており借入金はございません。しかしながら、不測の事態に備え資金の機動的調達手段の確保を目的に取引銀行5行と総額1,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。なお、同契約に基づく当事業年度末の借入実行残高はありません。また、今後も引き続き、最適な資本構成や設備投資等のあり方について経営計画との整合性を図りながら検討してまいります。