四半期報告書-第97期第1四半期(令和2年1月1日-令和2年3月31日)
「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第四号の三様式記載上の注意(8)の規定を当事業年度に係る四半期報告書から適用しております。
(1)業績
当第1四半期連結累計期間(2020年1月1日~3月31日)における世界経済は、年初は全体として緩やかな回復傾向にありましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の抑制により、景気は急速に減速しました。日本経済におきましても、年初は雇用環境の改善などにより緩やかな回復基調にありましたが、国内における新型コロナウイルスの感染拡大や世界経済悪化の影響などにより、景気は厳しい状況となりました。
こうした状況のなかアサヒグループは、『稼ぐ力の強化』、『経営資源の高度化』、『ESGへの取組み深化』の3つを重点課題とする「中期経営方針」に基づいて“グローカルな価値創造経営”を推進し、各事業の主力ブランドの価値向上や新たな価値提案などを強化したものの、世界各国における新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外食産業の低迷や外出制限に伴う経済停滞のマイナス影響などにより、アサヒグループの当期の売上収益は4,091億3千3百万円(前年同期比4.7%減)となりました。また、利益につきましては、事業利益※1は158億7千4百万円(前年同期比36.0%減)、営業利益は129億2千3百万円(前年同期比44.5%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は83億3千4百万円(前年同期比45.3%減)となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比2.9%の減収、事業利益※1は前年同期比34.9%の減益となりました。※2
※1 事業利益(損失)とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。
※2 2020年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[酒類事業]
酒類事業につきましては、新たに策定した長期経営方針「“Value経営”への変革、お客様にとっての価値や新市場の創造を目指す」に基づき、ビール類を中心に、お客様にとって特別な価値や体験の創造などに取り組みました。
ビール類では、ビールにおいて、『アサヒスーパードライ』の新たなブランドメッセージを「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」と設定し、ビール飲用価値の再発見と特別な飲用体験を演出することにより、ビール市場の活性化を図りました。また、新ジャンルにおいては、食事と連動した『クリアアサヒ』のプロモーション活動の展開を強化するとともに、“プレミアムビールのような上質さ、贅沢感”を味わえる『アサヒ ザ・リッチ』の発売などにより、新ジャンル市場における存在感の向上に努めました。
ビール類以外では、RTD※において、『アサヒ贅沢搾り』をリニューアルし、消費者キャンペーンなどの広告販促活動を強化しました。また、アルコールテイスト清涼飲料において、『アサヒドライゼロ』を更にビールに近い味にリニューアルしたことにより、新たなユーザー層の拡大を図りました。
以上の結果、酒類事業の売上収益は、ビール類以外の売上は前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、飲食店におけるビールの売上が大幅に減少したことなどにより、前年同期比7.1%減の1,663億1千7百万円となりました。
事業利益については、製造原価の低減や収益構造改革などに取り組みましたが、売上収益の減少などにより、前年同期比7.1%減の135億7百万円となりました(営業利益は前年同期比14.4%減の121億1千3百万円)。
※ RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
[飲料事業]
飲料事業につきましては、炭酸カテゴリーのブランド強化と新価値創造商品の投入による市場の活性化に加え、社会的価値向上の取組み強化などにより、更なる成長に向けた強固な事業基盤の構築を目指しました。
主力ブランドにおいては、『三ツ矢』ブランドでは、国民的炭酸飲料としての広告訴求を強化するとともに、PETボトルラベルの軽量化を図ったほか、『ウィルキンソン』ブランドでは、炭酸水市場売上No.1※1を掲げたマーケティング活動を積極的に展開するなど、炭酸カテゴリーのブランド価値の強化を図りました。また、『ワンダ』ブランドでは、“極限の苦み”と“コク”に爽やかな後味を実現した、新感覚のブラックコーヒー『「ワンダ」X-BITTER』を発売し、『十六茶』ブランドでは、機能性表示食品『「アサヒ 十六茶プラス」3つのはたらき』を発売するなど、ブランドの強化に取り組みました。
新価値創造商品においては、植物ミルク※2を使用したラテ飲料『PLANT TIME』ブランドを新たに投入し、市場の活性化を図りました。
以上の結果、飲料事業の売上収益は、『ウィルキンソン』は前年実績を上回りましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自動販売機の売上低下などから他の主力ブランドが減少したことにより、前年同期比2.2%減の751億1千7百万円となりました。
事業利益については、内製化の促進などによる製造原価の低減を図りましたが、減収影響や自動販売機の売上低下に伴う構成差異の悪化などにより、前年同期比66.1%減の10億6千9百万円となりました(営業利益は前年同期比79.5%減の5億3千8百万円)。
※1 インテージSRI調べ 炭酸水市場(フレーバー含む)2019年1月~2019年12月 累計販売金額全国/全業態計(SM/CVS/DRUG)
※2 植物由来の素材で作られたミルクです。本商品(ソイミルクティー)では、豆乳を使用しています。
[食品事業]
食品事業につきましては、多様化するライフスタイルを見据えた主要ブランドの新価値提案などにより、持続的な成長基盤の構築に取り組みました。
タブレット菓子については、『ミンティア』の主力商品の強化に加え、新たな喫食シーンの創出を図る商品の拡充などにより、市場における地位の更なる向上に取り組みました。また、栄養調整食品については、健康志向の高まりやからだづくりへの関心などを背景にプロテインのニーズが高まるなか、『一本満足バー』のプロテインシリーズを積極的に展開するとともに、『クリーム玄米ブラン』のたんぱく栄養食シリーズをリニューアルするなど、主力ブランドの強化・育成に取り組みました。
ベビーフードについては、離乳食期に30種の食材を体験することで味覚を広げることをサポートする『WAKODO GLOBAL』ブランドの品揃えを強化し、新たな商品価値を提案しました。また、サプリメントについては、『ディアナチュラ』で新たなユーザーの獲得に向けた新商品を発売するなど、展開領域の拡大に取り組みました。
以上の結果、食品事業の売上収益は、主力ブランドを中心に好調に推移し、前年同期比7.5%増の281億7千2百万円となりました。
事業利益については、売上収益が増加したことなどにより、前年同期比20.9%増の36億7千8百万円となりました(営業利益は前年同期比24.2%増の36億7千万円)。
[国際事業]
国際事業につきましては、グローバル市場におけるプレミアムビールの拡大展開と各ローカル市場におけるポートフォリオのプレミアム化などにより、成長エンジン化の加速を図りました。
欧州事業については、チェコの『Pilsner Urquell』やポーランドの『Lech』を中心としたプレミアムブランドを強化したほか、イタリアの『Peroni』やオランダの『Grolsch』などの積極的なマーケティング活動などにより、各国における主力ブランドの価値向上を図りました。また、チェコの『Birell』やポーランドの『Lech Free』などビールテイスト清涼飲料の展開を強化し、新たな成長ドライバーの育成に取り組みました。
オセアニア事業については、酒類において、『アサヒスーパードライ』『Peroni Nastro Azzurro』などのプレミアムビールやクラフトビールのマーケティング活動を強化したほか、RTDの積極的な広告活動を展開しました。飲料においては、炭酸カテゴリーを中心にノンシュガー商品を積極的に展開し、市場における存在感の向上を図りました。
東南アジア事業については、マレーシアにおいて、加糖飲料課税の導入などによる健康志向の高まりを受け、無糖飲料の『WONDA Zero Max』などの付加価値の高い商品展開を強化しました。
グローバル市場全体に対するプレミアムビールブランドの拡大展開に向け、経営戦略の策定や経営管理などを行っているAsahi International, Ltd.※1については、『Peroni Nastro Azzurro』と『アサヒスーパードライ』を中心としたポートフォリオ戦略を軸に、欧州事業とオセアニア事業以外の国・地域におけるプレミアムビールブランドの拡大展開を図りました。
以上の結果、国際事業の売上収益は、プレミアム化の推進や新たな成長ドライバーの育成を図りましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の規制などによる市場縮小の影響などにより、前年同期比5.6%減の1,364億2百万円となりました。
事業利益については、固定費全般の効率化などを図りましたが、減収影響などにより、前年同期比40.3%減の88億1千3百万円となりました(営業利益は、前年同期比71.5%減の26億1千万円)。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比0.1%の減収、事業利益は前年同期比37.1%の減益となりました。※2
※1 2020年1月の国際ビール事業の再編に伴い、中東欧事業は欧州事業へ名称を変更し、従来の西欧事業に含まれているイタリア、オランダ事業を同事業へ移管しています。西欧事業はAsahi International, Ltd.へと名称を変更し、日本、オセアニア、欧州事業が管轄する国を除く各エリアでの輸出・ライセンス事業を同社に集約しています。
※2 2020年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[その他事業]
その他の事業につきましては、売上収益は、前年同期比2.5%減の234億8千2百万円となりました。
事業損失については、前年同期比1億2千6百万円悪化の6億3千1百万円となりました(営業損失は前年同期比1億2千4百万円悪化の7億1千2百万円)。
セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。
なお、当第1四半期連結累計期間より、国際セグメントに含まれていた一部の会社について、報告セグメントの区分を飲料セグメントに変更しております。以下の前年同期比較は前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
事業セグメント別の実績
※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間の連結総資産は、季節要因等による営業債権の減少や、為替相場の変動等に伴うのれん及び無形資産の減少等により、総資産は前年度末と比較して2,266億5千7百万円減少し、2兆9,141億3千1百万円となりました。
負債は、季節要因等による営業債務の減少があったものの、その他の金融負債が増加したこと等により、前年度末と比較して108億7千6百万円増加し、1兆9,033億8千5百万円となりました。
資本は、前年度末に比べ2,375億3千3百万円減少し、1兆107億4千5百万円となりました。これは、当第1四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上により利益剰余金が増加したものの、為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額及びキャッシュ・フロー・ヘッジが減少したこと等によるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は34.6%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益が94億7千3百万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加があり、42億4百万円(前年同期比:278億9百万円の収入増)の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、272億9千5百万円(前年同期比:141億2千4百万円の支出増)の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の実行による金融債務の増加があり、352億7千7百万円(前年同期比:72億8千6百万円の収入増)の収入となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間では、前第1四半期連結累計期間と比較して現金及び現金同等物の残高は112億2千9百万円増加し、615億5千7百万円となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、アサヒグループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は、28億9千万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、アサヒグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(1)業績
当第1四半期連結累計期間(2020年1月1日~3月31日)における世界経済は、年初は全体として緩やかな回復傾向にありましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の抑制により、景気は急速に減速しました。日本経済におきましても、年初は雇用環境の改善などにより緩やかな回復基調にありましたが、国内における新型コロナウイルスの感染拡大や世界経済悪化の影響などにより、景気は厳しい状況となりました。
こうした状況のなかアサヒグループは、『稼ぐ力の強化』、『経営資源の高度化』、『ESGへの取組み深化』の3つを重点課題とする「中期経営方針」に基づいて“グローカルな価値創造経営”を推進し、各事業の主力ブランドの価値向上や新たな価値提案などを強化したものの、世界各国における新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外食産業の低迷や外出制限に伴う経済停滞のマイナス影響などにより、アサヒグループの当期の売上収益は4,091億3千3百万円(前年同期比4.7%減)となりました。また、利益につきましては、事業利益※1は158億7千4百万円(前年同期比36.0%減)、営業利益は129億2千3百万円(前年同期比44.5%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は83億3千4百万円(前年同期比45.3%減)となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比2.9%の減収、事業利益※1は前年同期比34.9%の減益となりました。※2
※1 事業利益(損失)とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。
※2 2020年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[酒類事業]
酒類事業につきましては、新たに策定した長期経営方針「“Value経営”への変革、お客様にとっての価値や新市場の創造を目指す」に基づき、ビール類を中心に、お客様にとって特別な価値や体験の創造などに取り組みました。
ビール類では、ビールにおいて、『アサヒスーパードライ』の新たなブランドメッセージを「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」と設定し、ビール飲用価値の再発見と特別な飲用体験を演出することにより、ビール市場の活性化を図りました。また、新ジャンルにおいては、食事と連動した『クリアアサヒ』のプロモーション活動の展開を強化するとともに、“プレミアムビールのような上質さ、贅沢感”を味わえる『アサヒ ザ・リッチ』の発売などにより、新ジャンル市場における存在感の向上に努めました。
ビール類以外では、RTD※において、『アサヒ贅沢搾り』をリニューアルし、消費者キャンペーンなどの広告販促活動を強化しました。また、アルコールテイスト清涼飲料において、『アサヒドライゼロ』を更にビールに近い味にリニューアルしたことにより、新たなユーザー層の拡大を図りました。
以上の結果、酒類事業の売上収益は、ビール類以外の売上は前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、飲食店におけるビールの売上が大幅に減少したことなどにより、前年同期比7.1%減の1,663億1千7百万円となりました。
事業利益については、製造原価の低減や収益構造改革などに取り組みましたが、売上収益の減少などにより、前年同期比7.1%減の135億7百万円となりました(営業利益は前年同期比14.4%減の121億1千3百万円)。
※ RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
[飲料事業]
飲料事業につきましては、炭酸カテゴリーのブランド強化と新価値創造商品の投入による市場の活性化に加え、社会的価値向上の取組み強化などにより、更なる成長に向けた強固な事業基盤の構築を目指しました。
主力ブランドにおいては、『三ツ矢』ブランドでは、国民的炭酸飲料としての広告訴求を強化するとともに、PETボトルラベルの軽量化を図ったほか、『ウィルキンソン』ブランドでは、炭酸水市場売上No.1※1を掲げたマーケティング活動を積極的に展開するなど、炭酸カテゴリーのブランド価値の強化を図りました。また、『ワンダ』ブランドでは、“極限の苦み”と“コク”に爽やかな後味を実現した、新感覚のブラックコーヒー『「ワンダ」X-BITTER』を発売し、『十六茶』ブランドでは、機能性表示食品『「アサヒ 十六茶プラス」3つのはたらき』を発売するなど、ブランドの強化に取り組みました。
新価値創造商品においては、植物ミルク※2を使用したラテ飲料『PLANT TIME』ブランドを新たに投入し、市場の活性化を図りました。
以上の結果、飲料事業の売上収益は、『ウィルキンソン』は前年実績を上回りましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自動販売機の売上低下などから他の主力ブランドが減少したことにより、前年同期比2.2%減の751億1千7百万円となりました。
事業利益については、内製化の促進などによる製造原価の低減を図りましたが、減収影響や自動販売機の売上低下に伴う構成差異の悪化などにより、前年同期比66.1%減の10億6千9百万円となりました(営業利益は前年同期比79.5%減の5億3千8百万円)。
※1 インテージSRI調べ 炭酸水市場(フレーバー含む)2019年1月~2019年12月 累計販売金額全国/全業態計(SM/CVS/DRUG)
※2 植物由来の素材で作られたミルクです。本商品(ソイミルクティー)では、豆乳を使用しています。
[食品事業]
食品事業につきましては、多様化するライフスタイルを見据えた主要ブランドの新価値提案などにより、持続的な成長基盤の構築に取り組みました。
タブレット菓子については、『ミンティア』の主力商品の強化に加え、新たな喫食シーンの創出を図る商品の拡充などにより、市場における地位の更なる向上に取り組みました。また、栄養調整食品については、健康志向の高まりやからだづくりへの関心などを背景にプロテインのニーズが高まるなか、『一本満足バー』のプロテインシリーズを積極的に展開するとともに、『クリーム玄米ブラン』のたんぱく栄養食シリーズをリニューアルするなど、主力ブランドの強化・育成に取り組みました。
ベビーフードについては、離乳食期に30種の食材を体験することで味覚を広げることをサポートする『WAKODO GLOBAL』ブランドの品揃えを強化し、新たな商品価値を提案しました。また、サプリメントについては、『ディアナチュラ』で新たなユーザーの獲得に向けた新商品を発売するなど、展開領域の拡大に取り組みました。
以上の結果、食品事業の売上収益は、主力ブランドを中心に好調に推移し、前年同期比7.5%増の281億7千2百万円となりました。
事業利益については、売上収益が増加したことなどにより、前年同期比20.9%増の36億7千8百万円となりました(営業利益は前年同期比24.2%増の36億7千万円)。
[国際事業]
国際事業につきましては、グローバル市場におけるプレミアムビールの拡大展開と各ローカル市場におけるポートフォリオのプレミアム化などにより、成長エンジン化の加速を図りました。
欧州事業については、チェコの『Pilsner Urquell』やポーランドの『Lech』を中心としたプレミアムブランドを強化したほか、イタリアの『Peroni』やオランダの『Grolsch』などの積極的なマーケティング活動などにより、各国における主力ブランドの価値向上を図りました。また、チェコの『Birell』やポーランドの『Lech Free』などビールテイスト清涼飲料の展開を強化し、新たな成長ドライバーの育成に取り組みました。
オセアニア事業については、酒類において、『アサヒスーパードライ』『Peroni Nastro Azzurro』などのプレミアムビールやクラフトビールのマーケティング活動を強化したほか、RTDの積極的な広告活動を展開しました。飲料においては、炭酸カテゴリーを中心にノンシュガー商品を積極的に展開し、市場における存在感の向上を図りました。
東南アジア事業については、マレーシアにおいて、加糖飲料課税の導入などによる健康志向の高まりを受け、無糖飲料の『WONDA Zero Max』などの付加価値の高い商品展開を強化しました。
グローバル市場全体に対するプレミアムビールブランドの拡大展開に向け、経営戦略の策定や経営管理などを行っているAsahi International, Ltd.※1については、『Peroni Nastro Azzurro』と『アサヒスーパードライ』を中心としたポートフォリオ戦略を軸に、欧州事業とオセアニア事業以外の国・地域におけるプレミアムビールブランドの拡大展開を図りました。
以上の結果、国際事業の売上収益は、プレミアム化の推進や新たな成長ドライバーの育成を図りましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の規制などによる市場縮小の影響などにより、前年同期比5.6%減の1,364億2百万円となりました。
事業利益については、固定費全般の効率化などを図りましたが、減収影響などにより、前年同期比40.3%減の88億1千3百万円となりました(営業利益は、前年同期比71.5%減の26億1千万円)。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比0.1%の減収、事業利益は前年同期比37.1%の減益となりました。※2
※1 2020年1月の国際ビール事業の再編に伴い、中東欧事業は欧州事業へ名称を変更し、従来の西欧事業に含まれているイタリア、オランダ事業を同事業へ移管しています。西欧事業はAsahi International, Ltd.へと名称を変更し、日本、オセアニア、欧州事業が管轄する国を除く各エリアでの輸出・ライセンス事業を同社に集約しています。
※2 2020年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[その他事業]
その他の事業につきましては、売上収益は、前年同期比2.5%減の234億8千2百万円となりました。
事業損失については、前年同期比1億2千6百万円悪化の6億3千1百万円となりました(営業損失は前年同期比1億2千4百万円悪化の7億1千2百万円)。
セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。
なお、当第1四半期連結累計期間より、国際セグメントに含まれていた一部の会社について、報告セグメントの区分を飲料セグメントに変更しております。以下の前年同期比較は前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
事業セグメント別の実績
(単位:百万円) |
売上収益 | 前年同期比 | 事業利益 | 前年同期比 | 売上収益 事業利益率 | 営業利益 | 前年同期比 | |
酒類 | 166,317 | △7.1% | 13,507 | △7.1% | 8.1% | 12,113 | △14.4% |
飲料 | 75,117 | △2.2% | 1,069 | △66.1% | 1.4% | 538 | △79.5% |
食品 | 28,172 | 7.5% | 3,678 | 20.9% | 13.1% | 3,670 | 24.2% |
国際 | 136,402 | △5.6% | 8,813 | △40.3% | 6.5% | 2,610 | △71.5% |
その他 | 23,482 | △2.5% | △631 | - | △2.7% | △712 | - |
調整額計 | △20,358 | - | △5,347 | - | - | △5,296 | - |
無形資産償却費 | - | - | △5,215 | - | - | - | - |
合計 | 409,133 | △4.7% | 15,874 | △36.0% | 3.9% | 12,923 | △44.5% |
※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間の連結総資産は、季節要因等による営業債権の減少や、為替相場の変動等に伴うのれん及び無形資産の減少等により、総資産は前年度末と比較して2,266億5千7百万円減少し、2兆9,141億3千1百万円となりました。
負債は、季節要因等による営業債務の減少があったものの、その他の金融負債が増加したこと等により、前年度末と比較して108億7千6百万円増加し、1兆9,033億8千5百万円となりました。
資本は、前年度末に比べ2,375億3千3百万円減少し、1兆107億4千5百万円となりました。これは、当第1四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上により利益剰余金が増加したものの、為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額及びキャッシュ・フロー・ヘッジが減少したこと等によるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は34.6%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益が94億7千3百万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加があり、42億4百万円(前年同期比:278億9百万円の収入増)の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、272億9千5百万円(前年同期比:141億2千4百万円の支出増)の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の実行による金融債務の増加があり、352億7千7百万円(前年同期比:72億8千6百万円の収入増)の収入となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間では、前第1四半期連結累計期間と比較して現金及び現金同等物の残高は112億2千9百万円増加し、615億5千7百万円となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、アサヒグループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は、28億9千万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、アサヒグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。