四半期報告書-第97期第2四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)
「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第四号の三様式記載上の注意(8)の規定を当事業年度に係る四半期報告書から適用しております。
(1)業績
当第2四半期連結累計期間(2020年1月1日~6月30日)における世界経済は、年初は緩やかな回復傾向にありましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の抑制により、景気は急速に悪化し極めて厳しい状況になりました。日本経済におきましても、国内における新型コロナウイルスの感染拡大や世界経済悪化の影響などにより、同様に困難な状況となりましたが、5月の緊急事態宣言解除に伴う個人消費の持ち直しによって、景気は下げ止まりつつあります。
こうした状況のなかアサヒグループは、『稼ぐ力の強化』、『経営資源の高度化』、『ESGへの取組み深化』の3つを重点課題とする「中期経営方針」に基づいて“グローカルな価値創造経営”を推進し、各事業の主力ブランドの価値向上や新たな価値提案などを強化しました。しかしながら、世界各国における新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外食産業の低迷や外出制限による経済停滞のマイナス影響などにより、アサヒグループの当期の売上収益は8,742億8千9百万円(前年同期比11.1%減)となりました。また、利益につきましては、事業利益※1は526億1千1百万円(前年同期比41.3%減)、営業利益は453億1千8百万円(前年同期比48.8%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は301億9千2百万円(前年同期比50.9%減)となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比9.5%の減収、事業利益は前年同期比40.4%の減益となりました。※2
※1 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。
※2 2020年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[酒類事業]
酒類事業につきましては、新たに策定した長期経営方針「“Value経営”への変革、お客様にとっての価値や新市場の創造を目指す」に基づき、ビール類を中心に、お客様にとって特別な価値や体験の創造などに取り組みました。
ビール類では、ビールにおいて、『アサヒスーパードライ』のブランドメッセージ「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」に基づくビール飲用価値の再発見と特別な飲用体験を提供し、新たなデジタル施策にも取り組むなど、ビール市場の活性化を図りました。また、新ジャンルにおいては、主力ブランド『クリアアサヒ』での食事と連動したプロモーション活動の展開や、3月に発売した『アサヒ ザ・リッチ』でのSNSと連動した広告・販売促進活動により、新ジャンル市場における存在感の向上に努めました。
ビール類以外では、RTD※において、主力ブランド『アサヒ贅沢搾り』をリニューアルするとともに、飲食店向けに展開している日本初の樽詰めサワーブランド『樽ハイ倶楽部』の缶商品を発売するなど、新たな価値提案の強化に取り組みました。また、アルコールテイスト清涼飲料において、『アサヒドライゼロ』を更にビールに近い味にリニューアルし、新たなユーザー層の拡大を図りました。
以上の結果、酒類事業の売上収益は、RTDの売上は前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、飲食店向けのビールの売上が大幅に減少したことなどにより、前年同期比16.0%減の3,450億8千1百万円となりました。
事業利益については、製造原価の低減や収益構造改革などに取り組みましたが、売上収益の減少などにより、前年同期比23.4%減の327億8千万円となりました(営業利益は前年同期比25.3%減の315億1千7百万円)。
※ RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
[飲料事業]
飲料事業につきましては、炭酸カテゴリーのブランド強化と新価値創造商品の投入による市場の活性化に加え、社会的価値向上の取組み強化などにより、更なる成長に向けた強固な事業基盤の構築を目指しました。
主力ブランドにおいては、『三ツ矢』ブランドでは、新たな広告の積極的な展開や限定復刻シリーズ商品を発売したほか、『ウィルキンソン』ブランドでは、炭酸水市場売上No.1※を掲げたマーケティング活動を積極的に展開するなど、炭酸カテゴリーのブランド価値の強化を図りました。また、『カルピス』ブランドでは、巣ごもり需要を受け希釈タイプの商品を積極的に展開するなど、ブランド力を活かした取組みを強化するとともに、『おいしい水』ブランドでは、ケース販売専用商品の完全ラベルレス化を実現するなど、環境負荷の低減にも努めました。
新価値創造商品においては、『カルピス』ブランドから豆乳を発酵した植物生まれの『GREEN CALPIS』を発売し、市場の活性化を図りました。
以上の結果、飲料事業の売上収益は、炭酸飲料の販売数量が前年実績を上回りましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自動販売機の売上低下などから他の主力ブランドが減少したことにより、前年同期比8.4%減の1,665億9千6百万円となりました。
事業利益については、内製化の促進などによる製造原価の低減を図りましたが、減収影響や自動販売機の売上低下に伴う構成差異の悪化などにより、前年同期比41.5%減の99億1百万円となりました(営業利益は前年同期比49.8%減の79億1千9百万円)。
※ インテージSRI調べ 炭酸水市場(フレーバー含む)2019年1月~2019年12月 累計販売金額全国/全業態計(SM/CVS/DRUG)
[食品事業]
食品事業につきましては、多様化するライフスタイルを見据えた主要ブランドの新価値提案などにより、持続的な成長基盤の構築に取り組みました。
タブレット菓子については、『ミンティア』において、新たな喫食シーンの創出を図る商品の拡充と広告展開などにより、ユーザー層の拡大を図りました。また、栄養サポート食品については、からだづくりへの関心の高まりを背景にしたプロテインへのニーズに応えるため、『1本満足バー』プロテインシリーズの商品ラインアップを拡充するとともに、栄養調整食品については『クリーム玄米ブラン』のたんぱく栄養食シリーズをリニューアルするなど、主力ブランドの強化・育成に取り組みました。フリーズドライみそ汁については、『うちのおみそ汁』シリーズにおいて、健康志向の高まりに対応した新商品を発売するなど、ブランドの価値向上を図りました。
ベビーフードについては、離乳食作りをサポートする下ごしらえ済み素材シリーズの『1食分の野菜入り そのまま素材』を発売し、市場における存在感の向上に努めました。また、サプリメントについては、『ディアナチュラ』で新たなユーザーの獲得に向けた新商品を発売するなど、展開領域の拡大に取り組みました。
以上の結果、食品事業の売上収益は、栄養サポート食品やフリーズドライみそ汁等の売上が前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うオフィス勤務時や通勤・通学時など従来の喫食シーンの減少によって『ミンティア』の売上が大幅に減少したことなどにより、前年同期比4.1%減の598億7千4百万円となりました。
事業利益については、固定費全般の効率化に取り組みましたが、売上収益が減少したことなどにより、前年同期比8.9%減の54億2千6百万円となりました(営業利益は前年同期比6.3%減の53億8千5百万円)。
[国際事業]
国際事業につきましては、グローバル市場におけるプレミアムビールの拡大展開と各ローカル市場におけるポートフォリオのプレミアム化などにより、成長エンジン化の加速を図りました。
欧州事業※1については、チェコの『Pilsner Urquell』やポーランドの『Lech』を中心としたプレミアムブランドを強化したほか、イタリアの『Peroni』やオランダの『Grolsch』において、オンラインを活用したイベントの開催などにより、各国における主力ブランドの価値向上を図りました。また、チェコの『Birell』やポーランドの『Lech Free』などアルコールテイスト清涼飲料の展開を強化することにより、新たな成長ドライバーの育成に取り組みました。
オセアニア事業については、酒類において、『アサヒスーパードライ』、『Peroni Nastro Azzurro』などのプレミアムビールのブランド価値の訴求を強化したほか、RTDの積極的な広告活動を展開しました。飲料においては、炭酸カテゴリーを中心にノンシュガー商品を積極的に展開し、市場における存在感の向上を図りました。また、Eコマースの拡大に合わせ、酒類と飲料の自社商品を販売する専用プラットフォームを立ち上げ、運用を開始しました。さらに、6月には「Anheuser-Busch InBev SA/NV」が保有していた豪州のビール・サイダー事業(以下「CUB事業」といいます。)及びその他関連資産の取得手続きが完了し、シナジー創出に向けた統合プロジェクトがスタートしました。
東南アジア事業については、マレーシアにおいて、加糖飲料課税の導入などによる健康志向の高まりを受け、無糖飲料の『WONDA Zero Max』などの付加価値の高い商品展開を強化しました。
グローバル市場全体に対するプレミアムブランドの拡大展開に向けた経営戦略を推進しているAsahi International, Ltd.※1については、『Peroni Nastro Azzurro』と『アサヒスーパードライ』を中心としたポートフォリオ戦略を軸に、欧州事業とオセアニア事業以外の国・地域におけるプレミアムビールブランドの拡大展開を図りました。
以上の結果、国際事業の売上収益は、プレミアム化の推進や新たな成長ドライバーの育成に取り組みましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の規制などによる市場縮小の影響などにより、前年同期比8.3%減の3,036億3千5百万円となりました。
事業利益については、固定費全般の効率化などを図りましたが、減収影響などにより、前年同期比41.5%減の260億8千5百万円となりました(営業利益は、前年同期比65.9%減の120億3百万円)。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比3.5%の減収、事業利益は前年同期比38.8%の減益となりました。※2
※1 2020年1月の国際ビール事業の再編に伴い、中東欧事業は欧州事業へ名称を変更し、従来の西欧事業に含まれているイタリア、オランダ事業を同事業へ移管しています。西欧事業はAsahi International, Ltd.へと名称を変更し、日本、オセアニア、欧州事業が管轄する国を除く欧州以外のエリアでの輸出・ライセンス事業を同社に集約しています。
※2 2020年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[その他事業]
その他の事業につきましては、売上収益は、前年同期比4.6%減の447億1千1百万円となりました。
事業利益については、前年同期比95.8%減の3千3百万円となりました(営業損失は前年同期比7億2千7百万円悪化の1億1百万円)。
セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。なお、第1四半期連結累計期間より、国際セグメントに含まれていた一部の会社について、報告セグメントの区分を飲料セグメントに変更しております。また、当第2四半期連結累計期間よりその他セグメントに含まれていた一部の事業を食品セグメントへ変更しております。
以下の前年同期比較は前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
事業セグメント別の実績
※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。
(2)財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間の連結総資産は、CUB事業(注)を新たに連結範囲に含めたことによるのれんの増加等により、総資産は前年度末と比較して1兆1,161億9千7百万円増加し、4兆2,569億8千6百万円となりました。
負債は、CUB事業買収に伴って短期借入金を中心に金融債務が増加したこと等により、前年度末と比較して1兆1,839億6千6百万円増加し、3兆764億7千6百万円となりました。
資本は、前年度末に比べ677億6千9百万円減少し、1兆1,805億1千万円となりました。これは、当第2四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上により利益剰余金が増加したものの、配当金支出により利益剰余金が減少したことや、為替相場の変動による在外営業活動体の換算差額の減少及びキャッシュ・フロー・ヘッジが減少したこと等によるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は27.7%となりました。
(注)CUB事業買収に伴って、発生したのれんの金額、企業結合日に受け入れた資産及び引き受けた負債の額等については、企業結合日における識別可能資産及び負債の特定を精査中であり、取得価額の配分が完了していないため、暫定的な会計処理を行っております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益が411億3千5百万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加があり、585億8千3百万円(前年同期比:311億6千5百万円の収入減)の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、オセアニア事業における子会社株式の取得などにより、1兆1,988億4千2百万円(前年同期比:1兆1,428億8百万円の支出増)の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の実行による金融債務の増加があり、1兆1,921億4千2百万円(前年同期比:1兆2,304億3千1百万円の収入増)の収入となりました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間では、前第2四半期連結累計期間と比較して現金及び現金同等物の残高は493億8千6百万円増加し、1,011億7百万円となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、アサヒグループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は、57億7千7百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、アサヒグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)従業員数
当第2四半期連結累計期間において、CUB事業を新たに取得したことに伴い国際事業における従業員数が1,024人増加しております。
(7)設備の状況
当第2四半期連結累計期間において、CUB事業を新たに取得したことに伴い、国際事業において主要な設備が増加しております。
(1)業績
当第2四半期連結累計期間(2020年1月1日~6月30日)における世界経済は、年初は緩やかな回復傾向にありましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の抑制により、景気は急速に悪化し極めて厳しい状況になりました。日本経済におきましても、国内における新型コロナウイルスの感染拡大や世界経済悪化の影響などにより、同様に困難な状況となりましたが、5月の緊急事態宣言解除に伴う個人消費の持ち直しによって、景気は下げ止まりつつあります。
こうした状況のなかアサヒグループは、『稼ぐ力の強化』、『経営資源の高度化』、『ESGへの取組み深化』の3つを重点課題とする「中期経営方針」に基づいて“グローカルな価値創造経営”を推進し、各事業の主力ブランドの価値向上や新たな価値提案などを強化しました。しかしながら、世界各国における新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外食産業の低迷や外出制限による経済停滞のマイナス影響などにより、アサヒグループの当期の売上収益は8,742億8千9百万円(前年同期比11.1%減)となりました。また、利益につきましては、事業利益※1は526億1千1百万円(前年同期比41.3%減)、営業利益は453億1千8百万円(前年同期比48.8%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は301億9千2百万円(前年同期比50.9%減)となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比9.5%の減収、事業利益は前年同期比40.4%の減益となりました。※2
※1 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。
※2 2020年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[酒類事業]
酒類事業につきましては、新たに策定した長期経営方針「“Value経営”への変革、お客様にとっての価値や新市場の創造を目指す」に基づき、ビール類を中心に、お客様にとって特別な価値や体験の創造などに取り組みました。
ビール類では、ビールにおいて、『アサヒスーパードライ』のブランドメッセージ「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」に基づくビール飲用価値の再発見と特別な飲用体験を提供し、新たなデジタル施策にも取り組むなど、ビール市場の活性化を図りました。また、新ジャンルにおいては、主力ブランド『クリアアサヒ』での食事と連動したプロモーション活動の展開や、3月に発売した『アサヒ ザ・リッチ』でのSNSと連動した広告・販売促進活動により、新ジャンル市場における存在感の向上に努めました。
ビール類以外では、RTD※において、主力ブランド『アサヒ贅沢搾り』をリニューアルするとともに、飲食店向けに展開している日本初の樽詰めサワーブランド『樽ハイ倶楽部』の缶商品を発売するなど、新たな価値提案の強化に取り組みました。また、アルコールテイスト清涼飲料において、『アサヒドライゼロ』を更にビールに近い味にリニューアルし、新たなユーザー層の拡大を図りました。
以上の結果、酒類事業の売上収益は、RTDの売上は前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、飲食店向けのビールの売上が大幅に減少したことなどにより、前年同期比16.0%減の3,450億8千1百万円となりました。
事業利益については、製造原価の低減や収益構造改革などに取り組みましたが、売上収益の減少などにより、前年同期比23.4%減の327億8千万円となりました(営業利益は前年同期比25.3%減の315億1千7百万円)。
※ RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
[飲料事業]
飲料事業につきましては、炭酸カテゴリーのブランド強化と新価値創造商品の投入による市場の活性化に加え、社会的価値向上の取組み強化などにより、更なる成長に向けた強固な事業基盤の構築を目指しました。
主力ブランドにおいては、『三ツ矢』ブランドでは、新たな広告の積極的な展開や限定復刻シリーズ商品を発売したほか、『ウィルキンソン』ブランドでは、炭酸水市場売上No.1※を掲げたマーケティング活動を積極的に展開するなど、炭酸カテゴリーのブランド価値の強化を図りました。また、『カルピス』ブランドでは、巣ごもり需要を受け希釈タイプの商品を積極的に展開するなど、ブランド力を活かした取組みを強化するとともに、『おいしい水』ブランドでは、ケース販売専用商品の完全ラベルレス化を実現するなど、環境負荷の低減にも努めました。
新価値創造商品においては、『カルピス』ブランドから豆乳を発酵した植物生まれの『GREEN CALPIS』を発売し、市場の活性化を図りました。
以上の結果、飲料事業の売上収益は、炭酸飲料の販売数量が前年実績を上回りましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自動販売機の売上低下などから他の主力ブランドが減少したことにより、前年同期比8.4%減の1,665億9千6百万円となりました。
事業利益については、内製化の促進などによる製造原価の低減を図りましたが、減収影響や自動販売機の売上低下に伴う構成差異の悪化などにより、前年同期比41.5%減の99億1百万円となりました(営業利益は前年同期比49.8%減の79億1千9百万円)。
※ インテージSRI調べ 炭酸水市場(フレーバー含む)2019年1月~2019年12月 累計販売金額全国/全業態計(SM/CVS/DRUG)
[食品事業]
食品事業につきましては、多様化するライフスタイルを見据えた主要ブランドの新価値提案などにより、持続的な成長基盤の構築に取り組みました。
タブレット菓子については、『ミンティア』において、新たな喫食シーンの創出を図る商品の拡充と広告展開などにより、ユーザー層の拡大を図りました。また、栄養サポート食品については、からだづくりへの関心の高まりを背景にしたプロテインへのニーズに応えるため、『1本満足バー』プロテインシリーズの商品ラインアップを拡充するとともに、栄養調整食品については『クリーム玄米ブラン』のたんぱく栄養食シリーズをリニューアルするなど、主力ブランドの強化・育成に取り組みました。フリーズドライみそ汁については、『うちのおみそ汁』シリーズにおいて、健康志向の高まりに対応した新商品を発売するなど、ブランドの価値向上を図りました。
ベビーフードについては、離乳食作りをサポートする下ごしらえ済み素材シリーズの『1食分の野菜入り そのまま素材』を発売し、市場における存在感の向上に努めました。また、サプリメントについては、『ディアナチュラ』で新たなユーザーの獲得に向けた新商品を発売するなど、展開領域の拡大に取り組みました。
以上の結果、食品事業の売上収益は、栄養サポート食品やフリーズドライみそ汁等の売上が前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うオフィス勤務時や通勤・通学時など従来の喫食シーンの減少によって『ミンティア』の売上が大幅に減少したことなどにより、前年同期比4.1%減の598億7千4百万円となりました。
事業利益については、固定費全般の効率化に取り組みましたが、売上収益が減少したことなどにより、前年同期比8.9%減の54億2千6百万円となりました(営業利益は前年同期比6.3%減の53億8千5百万円)。
[国際事業]
国際事業につきましては、グローバル市場におけるプレミアムビールの拡大展開と各ローカル市場におけるポートフォリオのプレミアム化などにより、成長エンジン化の加速を図りました。
欧州事業※1については、チェコの『Pilsner Urquell』やポーランドの『Lech』を中心としたプレミアムブランドを強化したほか、イタリアの『Peroni』やオランダの『Grolsch』において、オンラインを活用したイベントの開催などにより、各国における主力ブランドの価値向上を図りました。また、チェコの『Birell』やポーランドの『Lech Free』などアルコールテイスト清涼飲料の展開を強化することにより、新たな成長ドライバーの育成に取り組みました。
オセアニア事業については、酒類において、『アサヒスーパードライ』、『Peroni Nastro Azzurro』などのプレミアムビールのブランド価値の訴求を強化したほか、RTDの積極的な広告活動を展開しました。飲料においては、炭酸カテゴリーを中心にノンシュガー商品を積極的に展開し、市場における存在感の向上を図りました。また、Eコマースの拡大に合わせ、酒類と飲料の自社商品を販売する専用プラットフォームを立ち上げ、運用を開始しました。さらに、6月には「Anheuser-Busch InBev SA/NV」が保有していた豪州のビール・サイダー事業(以下「CUB事業」といいます。)及びその他関連資産の取得手続きが完了し、シナジー創出に向けた統合プロジェクトがスタートしました。
東南アジア事業については、マレーシアにおいて、加糖飲料課税の導入などによる健康志向の高まりを受け、無糖飲料の『WONDA Zero Max』などの付加価値の高い商品展開を強化しました。
グローバル市場全体に対するプレミアムブランドの拡大展開に向けた経営戦略を推進しているAsahi International, Ltd.※1については、『Peroni Nastro Azzurro』と『アサヒスーパードライ』を中心としたポートフォリオ戦略を軸に、欧州事業とオセアニア事業以外の国・地域におけるプレミアムビールブランドの拡大展開を図りました。
以上の結果、国際事業の売上収益は、プレミアム化の推進や新たな成長ドライバーの育成に取り組みましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の規制などによる市場縮小の影響などにより、前年同期比8.3%減の3,036億3千5百万円となりました。
事業利益については、固定費全般の効率化などを図りましたが、減収影響などにより、前年同期比41.5%減の260億8千5百万円となりました(営業利益は、前年同期比65.9%減の120億3百万円)。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比3.5%の減収、事業利益は前年同期比38.8%の減益となりました。※2
※1 2020年1月の国際ビール事業の再編に伴い、中東欧事業は欧州事業へ名称を変更し、従来の西欧事業に含まれているイタリア、オランダ事業を同事業へ移管しています。西欧事業はAsahi International, Ltd.へと名称を変更し、日本、オセアニア、欧州事業が管轄する国を除く欧州以外のエリアでの輸出・ライセンス事業を同社に集約しています。
※2 2020年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[その他事業]
その他の事業につきましては、売上収益は、前年同期比4.6%減の447億1千1百万円となりました。
事業利益については、前年同期比95.8%減の3千3百万円となりました(営業損失は前年同期比7億2千7百万円悪化の1億1百万円)。
セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。なお、第1四半期連結累計期間より、国際セグメントに含まれていた一部の会社について、報告セグメントの区分を飲料セグメントに変更しております。また、当第2四半期連結累計期間よりその他セグメントに含まれていた一部の事業を食品セグメントへ変更しております。
以下の前年同期比較は前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
事業セグメント別の実績
(単位:百万円) |
売上収益 | 前年同期比 | 事業利益 | 前年同期比 | 売上収益 事業利益率 | 営業利益 | 前年同期比 | |
酒類 | 345,081 | △16.0% | 32,780 | △23.4% | 9.5% | 31,517 | △25.3% |
飲料 | 166,596 | △8.4% | 9,901 | △41.5% | 5.9% | 7,919 | △49.8% |
食品 | 59,874 | △4.1% | 5,426 | △8.9% | 9.1% | 5,385 | △6.3% |
国際 | 303,635 | △8.3% | 26,085 | △41.5% | 8.6% | 12,003 | △65.9% |
その他 | 44,711 | △4.6% | 33 | △95.8% | 0.1% | △101 | - |
調整額計 | △45,609 | - | △11,319 | - | - | △11,406 | - |
無形資産償却費 | - | - | △10,297 | - | - | - | - |
合計 | 874,289 | △11.1% | 52,611 | △41.3% | 6.0% | 45,318 | △48.8% |
※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。
(2)財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間の連結総資産は、CUB事業(注)を新たに連結範囲に含めたことによるのれんの増加等により、総資産は前年度末と比較して1兆1,161億9千7百万円増加し、4兆2,569億8千6百万円となりました。
負債は、CUB事業買収に伴って短期借入金を中心に金融債務が増加したこと等により、前年度末と比較して1兆1,839億6千6百万円増加し、3兆764億7千6百万円となりました。
資本は、前年度末に比べ677億6千9百万円減少し、1兆1,805億1千万円となりました。これは、当第2四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上により利益剰余金が増加したものの、配当金支出により利益剰余金が減少したことや、為替相場の変動による在外営業活動体の換算差額の減少及びキャッシュ・フロー・ヘッジが減少したこと等によるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は27.7%となりました。
(注)CUB事業買収に伴って、発生したのれんの金額、企業結合日に受け入れた資産及び引き受けた負債の額等については、企業結合日における識別可能資産及び負債の特定を精査中であり、取得価額の配分が完了していないため、暫定的な会計処理を行っております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益が411億3千5百万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加があり、585億8千3百万円(前年同期比:311億6千5百万円の収入減)の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、オセアニア事業における子会社株式の取得などにより、1兆1,988億4千2百万円(前年同期比:1兆1,428億8百万円の支出増)の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の実行による金融債務の増加があり、1兆1,921億4千2百万円(前年同期比:1兆2,304億3千1百万円の収入増)の収入となりました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間では、前第2四半期連結累計期間と比較して現金及び現金同等物の残高は493億8千6百万円増加し、1,011億7百万円となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、アサヒグループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は、57億7千7百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、アサヒグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)従業員数
当第2四半期連結累計期間において、CUB事業を新たに取得したことに伴い国際事業における従業員数が1,024人増加しております。
(7)設備の状況
当第2四半期連結累計期間において、CUB事業を新たに取得したことに伴い、国際事業において主要な設備が増加しております。