四半期報告書-第98期第3四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)
(1)業績
当第3四半期連結累計期間(2021年1月1日~9月30日)における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が続いている状況でしたが、米国や欧州などの経済活動の回復により、全体では景気は持ち直しの傾向にあります。日本経済においては、企業活動は各種政策や世界経済の改善などにより持ち直しの動きが見られるものの、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言などの影響により、外食を中心に個人消費が弱い動きとなったことで、景気は厳しい状況となりました。
こうした状況のなかアサヒグループは、本年更新した「中期経営方針」の重点課題に基づいて、引き続き“グローカルな価値創造経営”を推進するとともに、コロナ禍による環境変化を見据えた経営改革に取り組みました。
重点課題の『稼ぐ力の強化』においては、各事業の主力ブランドの価値向上や新たな価値提案の強化に加えて、更なるコスト効率化により業績回復を促進するとともに、『経営資源の高度化』や『ESGへの取組み深化』に再投資するための収益構造改革を推進しました。
その結果、アサヒグループの売上収益は、日本や欧州における外食産業の低迷によるマイナス影響があったものの、2020年6月に取得手続きが完了した豪州のビール・サイダー事業(以下「CUB事業」といいます。)の新規連結効果などにより、1兆6,203億3百万円(前年同期比10.1%増)となりました。また、利益につきましては、事業利益※1は1,543億円(前年同期比22.5%増)、営業利益は1,722億6千8百万円(前年同期比52.3%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1,245億7千6百万円(前年同期比63.7%増)となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比5.6%の増収、事業利益は前年同期比15.7%の増益となりました。※2
※1 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。
※2 2021年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[酒類事業]
酒類事業につきましては、各カテゴリーにおいて主力ブランドへの投資を重点化するとともに、多様化する消費者ニーズに対応した商品や飲み方提案を強化することにより、新たな市場の創造に取り組みました。
ビール類では、「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」を『アサヒスーパードライ』のブランドメッセージとし、飲食店のジョッキで飲む樽生ビールのような味わいが楽しめる『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』の発売や、家庭用生ビールサービス『THE DRAFTERS(ドラフターズ)』の展開を開始しました。また、これまで飲食店でのみ展開していた『アサヒ生ビール』を家庭用向けに缶商品として発売するなど、ビール市場の活性化を図りました。発泡酒や新ジャンルにおいては、『アサヒスタイルフリー<生>』、『クリアアサヒ』、『アサヒ ザ・リッチ』を中心とした主力ブランドでの広告・販売促進活動を強化し、各ブランドの価値向上に取り組みました。
ビール類以外では、RTD※において、主力ブランド『アサヒ贅沢搾り』をリニューアルし果実の味わいを強化するとともに、豊かなレモンの香りを実現した『アサヒ ザ・レモンクラフト』では広告・販売促進活動を積極的に展開するなど、ブランドの強化を図りました。また、アルコールテイスト清涼飲料において、『アサヒドライゼロ』で新たなユーザー層の拡大を図るとともに、“微アルコール”カテゴリーにおいて100%ビール由来原料ならではの麦のうまみとコクを実現した『アサヒ ビアリー』や、ウイスキーの本格的な味わいや上質な余韻が楽しめる『アサヒ ハイボリー』を発売するなど、お酒の飲み方の多様性を提案する「スマートドリンキング」の取組みを推進しました。
以上の結果、酒類事業の売上収益は、健康志向の高まりなどの消費者ニーズの変化を捉えた発泡酒やアルコールテイスト清涼飲料の売上は前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う酒類提供規制などの影響が続き、飲食店向けのビールの売上が大幅に減少したことなどにより、前年同期比8.1%減の5,034億9千万円となりました。
事業利益については、製造原価の低減や収益構造改革などに取り組みましたが、売上収益の減少により、前年同期比26.0%減の459億6千万円となりました(営業利益は前年同期比40.9%減の362億4千9百万円)。
※ RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
[飲料事業]
飲料事業につきましては、主力ブランドを中心にこれまで培ってきたブランド価値をより一層磨くとともに、変化する生活に寄り添った商品や社会的課題の解決に向けた提案の強化などに取り組みました。
主力ブランドにおいては、『三ツ矢』ブランドにおいて、有糖炭酸の“おいしさ”と無糖炭酸の“さっぱり”を兼ね備えた“甘すぎない”ハイブリッドな炭酸飲料として『「三ツ矢サイダー」レモラ』を発売し、新たな価値提案を強化しました。また、『ウィルキンソン』ブランドでは、脂肪や糖の吸収を抑える機能を有する機能性表示食品『「ウィルキンソン タンサン」エクストラ』をリニューアルするなど、健康需要や家庭内需要により好調な炭酸カテゴリーにおいてブランド価値の更なる向上を図りました。『カルピス』ブランドでは、生活様式の変化に合せ、砂糖を使わず果実由来の風味を活かした『「CALPIS」Light Blue』を発売し、ブランド力の強化に取り組みました。
社会的課題の解決に向けた提案においては、『十六茶』ブランドで、新たな素材や製法、環境配慮素材(PET再生樹脂、バイオ素材樹脂)を使用した新容器を採用するとともに、『おいしい水』ブランドでは、全国の量販店においてラベルレスボトル商品の販売を開始するなど、ブランド価値の向上と環境負荷低減に取り組みました。
以上の結果、飲料事業の売上収益は、最盛期における天候不順や新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、炭酸飲料やお茶飲料の販売数量が前年実績を上回ったことなどにより、前年同期比0.3%増収の2,713億2千9百万円となりました。
事業利益については、増収効果に加えて、ブランドの選択と集中による固定費全般の効率化などにより、前年同期比12.3%増の271億2千5百万円となりました(営業利益は前年同期比175.0%増の583億3千5百万円)。
[食品事業]
食品事業につきましては、新しい生活様式に合わせた価値創造と、市場構造の変化に適応した各カテゴリーの強化により、持続的な成長基盤の構築に取り組みました。
タブレット菓子『ミンティア』については、マスク着用時専用商品、健康志向の高まりに対応した栄養機能食品や機能性表示食品の商品、鋭く凍てつく冷涼感を感じられるクーリングフレーバーを使用した商品を発売するなど、新たな喫食シーンの提案によるブランド価値の向上に取り組みました。栄養サポート食品『1本満足バー』については、健康志向やからだづくりへの関心が高まる中、プロテインシリーズを中心に販売促進活動を強化しました。フリーズドライ食品『アマノフーズ』については、『いつものおみそ汁』シリーズの高価格帯商品のラインアップの拡充に加え、時短ニーズの高まりや個食化に対応した『お食事メニュー』シリーズを発売するなど、手軽で本格的な味わいを楽しめるフリーズドライの価値を訴求しました。
ベビーフードについては、『1歳からのMYジュレドリンク』シリーズや離乳食づくりをサポートする商品において、商品ラインアップを拡充しユーザー層の拡大を図りました。サプリメントについては、『ディアナチュラ』において、セルフケアニーズの高まりに対応したラインアップを拡充したほか、テレビCMを含めた広告・販売促進活動の展開によりブランド力の向上に取り組みました。
以上の結果、食品事業の売上収益は、オフィス勤務の減少に伴い『ミンティア』の売上が減少したものの、巣ごもり需要を捉えたフリーズドライみそ汁や健康ニーズの高まりに対応した『ディアナチュラ』などの売上が前年実績を上回ったことなどにより、前年同期比2.0%増の916億8千万円となりました。
事業利益については、増収効果に加えて、固定費全般の効率化などにより、前年同期比6.0%増の90億2千3百万円となりました(営業利益は、前年同期比7.4%減の84億6千3百万円)。
[国際事業]
国際事業につきましては、ローカル市場における主力ブランドやアルコールテイスト清涼飲料を軸としたプレミアム戦略の推進に加えて、グローバルプレミアムブランドの販路拡大を強化しました。
欧州事業については、『Pilsner Urquell』における100%リサイクル可能な素材の採用や、『Grolsch』の缶のマルチパックパッケージを段ボール製に切り替えるなど、環境負荷低減を通じたブランドの価値向上を図りました。また、アルコールテイスト清涼飲料では、各国における主力ブランドのフレーバー商品の強化や、モータースポーツチームAston Martin Cognizant FORMULA ONE™️ TEAMとのグローバルパートナーシップを締結した『Peroni Libera 0.0%』の積極的な販売促進活動の展開など、新たな飲用機会の獲得に向けた取組みを強化しました。また、グローバル市場全体に向けたブランドの拡大展開では、『アサヒスーパードライ』における「ラグビーワールドカップ2023フランス大会」とのワールドワイド・パートナーの契約締結や、主要展開国を中心に『Peroni Nastro Azzurro』の情報発信を積極的に展開するなど、ブランドの認知度の向上に向けた取組みを推進しました。
オセアニア事業については、酒類において、主力ブランドの『Great Northern』と『Victoria Bitter』を中心に積極的なマーケティング活動を展開したほか、『アサヒスーパードライ』と『Peroni Nastro Azzurro』の飲食店向けの販売強化など、CUB事業取得により確立した強固な販売体制を活かしたシナジーの創出に取り組みました。また、アルコールテイスト清涼飲料『Great Northern Zero』の販売地域を豪州全域に拡大するなど、多様化する飲用ニーズに向けた取組みを強化しました。飲料においては、炭酸カテゴリーやスポーツ飲料を中心にノンシュガー商品を積極的に展開し、市場における存在感の向上を図りました。
東南アジア事業については、マレーシアで、『WONDA』ブランドから『Brown Sugar Latte』を発売するなど、アサヒグループ保有ブランドを中心にラインアップを拡充することにより、ブランド認知度の向上を図りました。
以上の結果、国際事業の売上収益は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の規制などがあったものの、主力事業を中心に前年を上回ったことに加え、CUB事業の新規連結効果もあり、前年同期比33.9%増の7,470億4千万円となりました。
事業利益については、業態別の売上構成比の変化によるマイナス影響はありましたが、CUB事業の新規連結効果や固定費全般の効率化などにより、前年同期比71.0%増の1,147億円となりました(営業利益は、前年同期比118.2%増の894億1千7百万円)。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比21.9%の増収、事業利益は前年同期比55.6%の増益となりました。※
※ 2021年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[その他の事業]
その他の事業につきましては、売上収益は、前年同期比1.5%減の756億9千2百万円となりました。
事業損失については、前年同期比5億6百万円改善の8億2千1百万円となりました(営業損失は前年同期比20億4千7百万円改善の11億3千8百万円)。
セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。
なお、第1四半期連結累計期間より、酒類セグメントに含まれていた一部の会社について、報告セグメントの区分をその他セグメントに変更しております。
以下の前年同期比較は前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
事業セグメント別の実績
※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間の連結総資産は、季節要因等により営業債権が減少したものの、為替相場の変動によるのれん及び無形資産の増加等により、総資産は前年度末と比較して229億9千9百万円増加し、4兆4,623億7千8百万円となりました。
負債は、社債及び借入金の減少等により、前年度末と比較して1,293億8千7百万円減少し、2兆7,921億7千5百万円となりました。
資本は、前年度末に比べ1,523億8千6百万円増加し、1兆6,702億2百万円となりました。これは、配当金支出により利益剰余金が減少したものの、当第3四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上による利益剰余金の増加及び為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したこと等によるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は37.4%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益が1,647億6千3百万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加があり、2,697億1千5百万円(前年同期比:782億1千7百万円の収入増)の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、155億4千9百万円(前年同期比:1兆2,086億8千2百万円の支出減)の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の返済による金融債務の減少があり、2,495億6千7百万円(前年同期比:1兆3,493億9千7百万円の支出増)の支出となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間では、前第3四半期連結累計期間と比較して現金及び現金同等物の残高は684億7千4百万円減少し、542億8千1百万円となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、アサヒグループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は、91億8千3百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、アサヒグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第3四半期連結累計期間(2021年1月1日~9月30日)における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が続いている状況でしたが、米国や欧州などの経済活動の回復により、全体では景気は持ち直しの傾向にあります。日本経済においては、企業活動は各種政策や世界経済の改善などにより持ち直しの動きが見られるものの、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言などの影響により、外食を中心に個人消費が弱い動きとなったことで、景気は厳しい状況となりました。
こうした状況のなかアサヒグループは、本年更新した「中期経営方針」の重点課題に基づいて、引き続き“グローカルな価値創造経営”を推進するとともに、コロナ禍による環境変化を見据えた経営改革に取り組みました。
重点課題の『稼ぐ力の強化』においては、各事業の主力ブランドの価値向上や新たな価値提案の強化に加えて、更なるコスト効率化により業績回復を促進するとともに、『経営資源の高度化』や『ESGへの取組み深化』に再投資するための収益構造改革を推進しました。
その結果、アサヒグループの売上収益は、日本や欧州における外食産業の低迷によるマイナス影響があったものの、2020年6月に取得手続きが完了した豪州のビール・サイダー事業(以下「CUB事業」といいます。)の新規連結効果などにより、1兆6,203億3百万円(前年同期比10.1%増)となりました。また、利益につきましては、事業利益※1は1,543億円(前年同期比22.5%増)、営業利益は1,722億6千8百万円(前年同期比52.3%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1,245億7千6百万円(前年同期比63.7%増)となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比5.6%の増収、事業利益は前年同期比15.7%の増益となりました。※2
※1 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。
※2 2021年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[酒類事業]
酒類事業につきましては、各カテゴリーにおいて主力ブランドへの投資を重点化するとともに、多様化する消費者ニーズに対応した商品や飲み方提案を強化することにより、新たな市場の創造に取り組みました。
ビール類では、「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」を『アサヒスーパードライ』のブランドメッセージとし、飲食店のジョッキで飲む樽生ビールのような味わいが楽しめる『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』の発売や、家庭用生ビールサービス『THE DRAFTERS(ドラフターズ)』の展開を開始しました。また、これまで飲食店でのみ展開していた『アサヒ生ビール』を家庭用向けに缶商品として発売するなど、ビール市場の活性化を図りました。発泡酒や新ジャンルにおいては、『アサヒスタイルフリー<生>』、『クリアアサヒ』、『アサヒ ザ・リッチ』を中心とした主力ブランドでの広告・販売促進活動を強化し、各ブランドの価値向上に取り組みました。
ビール類以外では、RTD※において、主力ブランド『アサヒ贅沢搾り』をリニューアルし果実の味わいを強化するとともに、豊かなレモンの香りを実現した『アサヒ ザ・レモンクラフト』では広告・販売促進活動を積極的に展開するなど、ブランドの強化を図りました。また、アルコールテイスト清涼飲料において、『アサヒドライゼロ』で新たなユーザー層の拡大を図るとともに、“微アルコール”カテゴリーにおいて100%ビール由来原料ならではの麦のうまみとコクを実現した『アサヒ ビアリー』や、ウイスキーの本格的な味わいや上質な余韻が楽しめる『アサヒ ハイボリー』を発売するなど、お酒の飲み方の多様性を提案する「スマートドリンキング」の取組みを推進しました。
以上の結果、酒類事業の売上収益は、健康志向の高まりなどの消費者ニーズの変化を捉えた発泡酒やアルコールテイスト清涼飲料の売上は前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う酒類提供規制などの影響が続き、飲食店向けのビールの売上が大幅に減少したことなどにより、前年同期比8.1%減の5,034億9千万円となりました。
事業利益については、製造原価の低減や収益構造改革などに取り組みましたが、売上収益の減少により、前年同期比26.0%減の459億6千万円となりました(営業利益は前年同期比40.9%減の362億4千9百万円)。
※ RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
[飲料事業]
飲料事業につきましては、主力ブランドを中心にこれまで培ってきたブランド価値をより一層磨くとともに、変化する生活に寄り添った商品や社会的課題の解決に向けた提案の強化などに取り組みました。
主力ブランドにおいては、『三ツ矢』ブランドにおいて、有糖炭酸の“おいしさ”と無糖炭酸の“さっぱり”を兼ね備えた“甘すぎない”ハイブリッドな炭酸飲料として『「三ツ矢サイダー」レモラ』を発売し、新たな価値提案を強化しました。また、『ウィルキンソン』ブランドでは、脂肪や糖の吸収を抑える機能を有する機能性表示食品『「ウィルキンソン タンサン」エクストラ』をリニューアルするなど、健康需要や家庭内需要により好調な炭酸カテゴリーにおいてブランド価値の更なる向上を図りました。『カルピス』ブランドでは、生活様式の変化に合せ、砂糖を使わず果実由来の風味を活かした『「CALPIS」Light Blue』を発売し、ブランド力の強化に取り組みました。
社会的課題の解決に向けた提案においては、『十六茶』ブランドで、新たな素材や製法、環境配慮素材(PET再生樹脂、バイオ素材樹脂)を使用した新容器を採用するとともに、『おいしい水』ブランドでは、全国の量販店においてラベルレスボトル商品の販売を開始するなど、ブランド価値の向上と環境負荷低減に取り組みました。
以上の結果、飲料事業の売上収益は、最盛期における天候不順や新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、炭酸飲料やお茶飲料の販売数量が前年実績を上回ったことなどにより、前年同期比0.3%増収の2,713億2千9百万円となりました。
事業利益については、増収効果に加えて、ブランドの選択と集中による固定費全般の効率化などにより、前年同期比12.3%増の271億2千5百万円となりました(営業利益は前年同期比175.0%増の583億3千5百万円)。
[食品事業]
食品事業につきましては、新しい生活様式に合わせた価値創造と、市場構造の変化に適応した各カテゴリーの強化により、持続的な成長基盤の構築に取り組みました。
タブレット菓子『ミンティア』については、マスク着用時専用商品、健康志向の高まりに対応した栄養機能食品や機能性表示食品の商品、鋭く凍てつく冷涼感を感じられるクーリングフレーバーを使用した商品を発売するなど、新たな喫食シーンの提案によるブランド価値の向上に取り組みました。栄養サポート食品『1本満足バー』については、健康志向やからだづくりへの関心が高まる中、プロテインシリーズを中心に販売促進活動を強化しました。フリーズドライ食品『アマノフーズ』については、『いつものおみそ汁』シリーズの高価格帯商品のラインアップの拡充に加え、時短ニーズの高まりや個食化に対応した『お食事メニュー』シリーズを発売するなど、手軽で本格的な味わいを楽しめるフリーズドライの価値を訴求しました。
ベビーフードについては、『1歳からのMYジュレドリンク』シリーズや離乳食づくりをサポートする商品において、商品ラインアップを拡充しユーザー層の拡大を図りました。サプリメントについては、『ディアナチュラ』において、セルフケアニーズの高まりに対応したラインアップを拡充したほか、テレビCMを含めた広告・販売促進活動の展開によりブランド力の向上に取り組みました。
以上の結果、食品事業の売上収益は、オフィス勤務の減少に伴い『ミンティア』の売上が減少したものの、巣ごもり需要を捉えたフリーズドライみそ汁や健康ニーズの高まりに対応した『ディアナチュラ』などの売上が前年実績を上回ったことなどにより、前年同期比2.0%増の916億8千万円となりました。
事業利益については、増収効果に加えて、固定費全般の効率化などにより、前年同期比6.0%増の90億2千3百万円となりました(営業利益は、前年同期比7.4%減の84億6千3百万円)。
[国際事業]
国際事業につきましては、ローカル市場における主力ブランドやアルコールテイスト清涼飲料を軸としたプレミアム戦略の推進に加えて、グローバルプレミアムブランドの販路拡大を強化しました。
欧州事業については、『Pilsner Urquell』における100%リサイクル可能な素材の採用や、『Grolsch』の缶のマルチパックパッケージを段ボール製に切り替えるなど、環境負荷低減を通じたブランドの価値向上を図りました。また、アルコールテイスト清涼飲料では、各国における主力ブランドのフレーバー商品の強化や、モータースポーツチームAston Martin Cognizant FORMULA ONE™️ TEAMとのグローバルパートナーシップを締結した『Peroni Libera 0.0%』の積極的な販売促進活動の展開など、新たな飲用機会の獲得に向けた取組みを強化しました。また、グローバル市場全体に向けたブランドの拡大展開では、『アサヒスーパードライ』における「ラグビーワールドカップ2023フランス大会」とのワールドワイド・パートナーの契約締結や、主要展開国を中心に『Peroni Nastro Azzurro』の情報発信を積極的に展開するなど、ブランドの認知度の向上に向けた取組みを推進しました。
オセアニア事業については、酒類において、主力ブランドの『Great Northern』と『Victoria Bitter』を中心に積極的なマーケティング活動を展開したほか、『アサヒスーパードライ』と『Peroni Nastro Azzurro』の飲食店向けの販売強化など、CUB事業取得により確立した強固な販売体制を活かしたシナジーの創出に取り組みました。また、アルコールテイスト清涼飲料『Great Northern Zero』の販売地域を豪州全域に拡大するなど、多様化する飲用ニーズに向けた取組みを強化しました。飲料においては、炭酸カテゴリーやスポーツ飲料を中心にノンシュガー商品を積極的に展開し、市場における存在感の向上を図りました。
東南アジア事業については、マレーシアで、『WONDA』ブランドから『Brown Sugar Latte』を発売するなど、アサヒグループ保有ブランドを中心にラインアップを拡充することにより、ブランド認知度の向上を図りました。
以上の結果、国際事業の売上収益は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の規制などがあったものの、主力事業を中心に前年を上回ったことに加え、CUB事業の新規連結効果もあり、前年同期比33.9%増の7,470億4千万円となりました。
事業利益については、業態別の売上構成比の変化によるマイナス影響はありましたが、CUB事業の新規連結効果や固定費全般の効率化などにより、前年同期比71.0%増の1,147億円となりました(営業利益は、前年同期比118.2%増の894億1千7百万円)。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比21.9%の増収、事業利益は前年同期比55.6%の増益となりました。※
※ 2021年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[その他の事業]
その他の事業につきましては、売上収益は、前年同期比1.5%減の756億9千2百万円となりました。
事業損失については、前年同期比5億6百万円改善の8億2千1百万円となりました(営業損失は前年同期比20億4千7百万円改善の11億3千8百万円)。
セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。
なお、第1四半期連結累計期間より、酒類セグメントに含まれていた一部の会社について、報告セグメントの区分をその他セグメントに変更しております。
以下の前年同期比較は前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
事業セグメント別の実績
(単位:百万円) |
売上収益 | 前年同期比 | 事業利益 | 前年同期比 | 売上収益 事業利益率 | 営業利益 | 前年同期比 | |
酒類 | 503,490 | △8.1% | 45,960 | △26.0% | 9.1% | 36,249 | △40.9% |
飲料 | 271,329 | 0.3% | 27,125 | 12.3% | 10.0% | 58,335 | 175.0% |
食品 | 91,680 | 2.0% | 9,023 | 6.0% | 9.8% | 8,463 | △7.4% |
国際 | 747,040 | 33.9% | 114,700 | 71.0% | 15.4% | 89,417 | 118.2% |
その他 | 75,692 | △1.5% | △821 | - | - | △1,138 | - |
調整額計 | △68,929 | - | △18,429 | - | - | △19,058 | - |
無形資産償却費 | - | - | △23,258 | - | - | - | - |
合計 | 1,620,303 | 10.1% | 154,300 | 22.5% | 9.5% | 172,268 | 52.3% |
※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間の連結総資産は、季節要因等により営業債権が減少したものの、為替相場の変動によるのれん及び無形資産の増加等により、総資産は前年度末と比較して229億9千9百万円増加し、4兆4,623億7千8百万円となりました。
負債は、社債及び借入金の減少等により、前年度末と比較して1,293億8千7百万円減少し、2兆7,921億7千5百万円となりました。
資本は、前年度末に比べ1,523億8千6百万円増加し、1兆6,702億2百万円となりました。これは、配当金支出により利益剰余金が減少したものの、当第3四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上による利益剰余金の増加及び為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したこと等によるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は37.4%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益が1,647億6千3百万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加があり、2,697億1千5百万円(前年同期比:782億1千7百万円の収入増)の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、155億4千9百万円(前年同期比:1兆2,086億8千2百万円の支出減)の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の返済による金融債務の減少があり、2,495億6千7百万円(前年同期比:1兆3,493億9千7百万円の支出増)の支出となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間では、前第3四半期連結累計期間と比較して現金及び現金同等物の残高は684億7千4百万円減少し、542億8千1百万円となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、アサヒグループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は、91億8千3百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、アサヒグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。