四半期報告書-第98期第1四半期(令和3年1月1日-令和3年3月31日)
(1)業績
当第1四半期連結累計期間(2021年1月1日~3月31日)における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、欧州では景気は弱い動きとなりましたが、米国などにおける経済活動の緩やかな回復により、全体では景気は持ち直しつつあります。日本経済においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出や外出自粛の影響により、個人消費などが弱い動きとなったことで、景気は厳しい状況となりました。
こうした状況のなかアサヒグループは、本年更新した「中期経営方針」の重点課題に基づいて、引き続き“グローカルな価値創造経営”を推進するとともに、コロナ禍による環境変化を見据えた経営改革に取り組みました。
重点課題の『稼ぐ力の強化』においては、各事業の主力ブランドの価値向上や新たな価値提案の強化に加えて、更なるコスト効率化により業績回復を促進するとともに、『経営資源の高度化』や『ESGへの取組み深化』に再投資するための収益構造改革を推進しました。
その結果、アサヒグループの売上収益は、日本や欧州における外食産業の低迷によるマイナス影響があったものの、2020年6月に取得手続きが完了した豪州のビール・サイダー事業(以下「CUB事業」といいます。)の新規連結効果などにより、4,566億6千8百万円(前年同期比11.6%増)となりました。また、利益につきましては、事業利益※1は283億2百万円(前年同期比78.3%増)、営業利益は522億3千万円(前年同期比304.1%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は331億9千1百万円(前年同期比298.2%増)となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比6.6%の増収、事業利益は前年同期比63.0%の増益となりました。※2
※1 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。
※2 2021年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[酒類事業]
酒類事業につきましては、各カテゴリーにおいて主力ブランドへの投資を重点化するとともに、多様化する消費者ニーズに対応した商品や飲み方提案を強化することにより、新たな市場の創造に取り組みました。
ビール類では、「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」を『アサヒスーパードライ』のブランドメッセージとし、桜の季節に合わせた春限定『アサヒスーパードライ スペシャルパッケージ』や、苦味や渋みを抑えた冷涼感のある軽快な飲み口を実現した『アサヒスーパードライ ザ・クール』の缶商品を発売するなど、“最高品質の提供”と“飲用機会の拡大”によりビール市場の活性化を図りました。また、新ジャンルにおいては、『クリアアサヒ』、『アサヒ ザ・リッチ』を中心とした主力ブランドでの広告・販売促進活動を強化し、新ジャンル市場における存在感の向上に努めました。
ビール類以外では、RTD※において、主力ブランド『アサヒ贅沢搾り』をリニューアルし、果実の味わいを強化するとともに、期間限定商品を展開するなど、ブランドの強化に取り組みました。また、アルコールテイスト清涼飲料において、『アサヒドライゼロ』で新たなユーザー層の拡大を図るとともに、お酒の飲み方の多様性を提案する「スマートドリンキング」の考え方に基づき、100%ビール由来原料ならではの麦のうまみとコクを実現したアルコール度数0.5%の“微アルコール”ビールテイスト飲料『アサヒ ビアリー』を首都圏・関信越エリアで先行発売し、新たな市場の創出に取り組みました。
以上の結果、酒類事業の売上収益は、健康志向の高まりを受けた発泡酒の売上は前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、飲食店向けのビールの売上が大幅に減少したことなどにより、前年同期比16.5%減の1,361億4千万円となりました。
事業利益については、製造原価の低減や収益構造改革などに取り組みましたが、売上収益の減少により、前年同期比37.1%減の88億1千1百万円となりました(営業利益は前年同期比77.8%減の28億9千2百万円)。
※ RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
[飲料事業]
飲料事業につきましては、主力ブランドを中心にこれまで培ってきたブランド価値をより一層磨くとともに、変化する生活に寄り添った商品や社会的課題の解決に向けた提案の強化などに取り組みました。
主力ブランドにおいては、『三ツ矢』ブランドにおいて、有糖炭酸の“おいしさ”と無糖炭酸の“さっぱり”を兼ね備えた“甘すぎない”ハイブリッドな炭酸飲料として『「三ツ矢サイダー」レモラ』を発売し、新たな価値提案を強化しました。また、『ウィルキンソン』ブランドでは、機能性表示食品である『「ウィルキンソン タンサン」エクストラ』をリニューアルするなど、健康需要や家庭内需要により好調な炭酸カテゴリーにおいてブランド価値の更なる向上を図りました。『カルピス』ブランドでは、誕生30周年を迎えた『カルピスウォーター』をリニューアルするとともに、オンライン工場見学ツアーを開催するなど、消費者との接点拡大を図り、ブランド力の強化に取り組みました。
社会的課題の解決に向けた提案においては、『十六茶』ブランドで、リニューアルに伴い新たな素材や製法、環境配慮素材(PET再生樹脂、バイオ素材樹脂)を使用した新容器を採用するなど、強固なブランド価値の構築と環境負荷低減に取り組みました。
以上の結果、飲料事業の売上収益は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い自動販売機及びコンビニエンスストアでの売上が減少しましたが、炭酸飲料の販売数量が前年実績を上回ったことなどにより、前年同期比0.2%増収の753億円となりました。
事業利益については、自動販売機及びコンビニエンスストアでの売上低下に伴う品種・容器構成比の悪化はあるものの、ブランドの選択と集中による広告・販売促進費の効率化や、委託製造品の自社製造への切替えなどによる製造原価の低減などにより、前年同期比321.8%増の45億1千2百万円となりました(営業利益は前年同期比364億9百万円増の369億4千7百万円)。
[食品事業]
食品事業につきましては、新しい生活様式に合わせた価値創造と、市場構造の変化に適応した各カテゴリーの強化により、持続的な成長基盤の構築に取り組みました。
タブレット菓子『ミンティア』については、マスク着用時専用商品『ミンティア +MASK』シリーズや大容量ボトルタイプ商品のほか、健康志向の高まりに対応した栄養機能食品の商品を発売することにより、新たな喫食提案によるブランド価値の向上に取り組みました。フリーズドライみそ汁については、『いつものおみそ汁』シリーズの高価格帯商品のラインアップを拡充し、手軽で本格的な味わいを楽しめるフリーズドライの価値を訴求しました。
ベビーフードについては、『1歳からのMYジュレドリンク』シリーズにおいて新フレーバーを発売し、ユーザー層の拡大を図りました。サプリメントについては、『ディアナチュラ』において、『カルピス』乳酸菌研究から生まれた原料を活用した機能性表示食品の発売など、セルフケアニーズの高まりに対応したラインアップの強化を図りました。
以上の結果、食品事業の売上収益は、巣ごもり需要を捉えたフリーズドライみそ汁や健康ニーズの高まりに対応した『ディアナチュラ』などの売上が前年実績を上回ったものの、オフィス勤務の減少に伴い『ミンティア』の売上が減少したことなどにより、前年同期比4.2%減の295億3千2百万円となりました。
事業利益については、固定費全般の効率化に取り組みましたが、売上収益が減少したことなどにより、前年同期比10.5%減の32億9百万円となりました(営業利益は、前年同期比24.3%減の27億5百万円)。
[国際事業]
国際事業につきましては、ローカル市場における主力ブランドやアルコールテイスト清涼飲料を軸としたプレミアム戦略の推進に加えて、グローバルプレミアムブランドの販路拡大を強化しました。
欧州事業については、『Pilsner Urquell』において、100%リサイクル可能な素材を採用したパッケージにリニューアルするなど、各国の主力ビールブランドの価値向上を図りました。また、アルコールテイスト清涼飲料では、ポーランドの『Lech Free』におけるフレーバー展開の強化や、『Peroni Libera 0.0%』とモータースポーツチームAston Martin Cognizant FORMULA ONETM TEAMとのグローバルパートナーシップの締結など、新たな飲用機会の獲得に向けた取組みを強化しました。グローバルブランドについては、『アサヒスーパードライ』において、世界中の消費者に向けたバーチャルイベント「DISCOVER TOKYO」を開催するなど、ブランドの認知度の向上に向けた販売促進活動に取り組みました。
オセアニア事業については、酒類において、主力ブランド『Great Northern』、『Victoria Bitter』の積極的なマーケティング活動に取り組んだほか、『アサヒスーパードライ』、『Peroni Nastro Azzurro』の飲食店向けの販売強化など、CUB事業取得により確立した強固な販売体制を活かしたシナジーの創出に取り組みました。飲料においては、炭酸カテゴリーを中心にノンシュガー商品を積極的に展開したほか、外出などの規制緩和に合わせてスポーツ飲料などの販売促進活動を強化し、市場における存在感の向上を図りました。
東南アジア事業については、マレーシアで、『WONDA』ブランドから『Brown Sugar Latte』を発売するなど、アサヒグループ保有ブランドを中心にラインアップを拡充することにより、ブランド認知の向上を図りました。
以上の結果、国際事業の売上収益は、欧州事業を中心に新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の規制などによる市場縮小の影響などがあったものの、CUB事業の新規連結効果などにより、前年同期55.6%増の2,122億6千3百万円となりました。
事業利益については、業態別の売上構成比の変化により収益性は悪化しましたが、CUB事業の新規連結効果や固定費全般の効率化などにより、前年同期比185.7%増の251億7千4百万円となりました(営業利益は、前年同期比528.7%増の164億1千4百万円)。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比40.6%の増収、事業利益は前年同期比151.6%の増益となりました。※
※ 2021年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[その他の事業]
その他の事業につきましては、売上収益は、前年同期比6.4%減の226億5千5百万円となりました。
事業損失については、前年同期比6億8千1百万円改善の3億6千4百万円となりました(営業損失は前年同期比4億5千6百万円改善の10億6千3百万円)。
セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。
なお、当第1四半期連結累計期間より、酒類セグメントに含まれていた一部の会社について、報告セグメントの区分をその他セグメントに変更しております。また、前第2四半期連結累計期間より、その他セグメントに含まれていた一部の事業を食品セグメントへ変更しております。
以下の前年同期比較は前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
事業セグメント別の実績
※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間の連結総資産は、季節要因等により営業債権が減少したものの、為替相場の変動によるのれん及び無形資産の増加等により、総資産は前年度末と比較して699億1千7百万円増加し、4兆5,092億9千6百万円となりました。
負債は、季節要因等による営業債務の減少等により、前年度末と比較して693億7千1百万円減少し、2兆8,521億9千1百万円となりました。
資本は、前年度末に比べ1,392億8千8百万円増加し、1兆6,571億4百万円となりました。これは、配当金支出により利益剰余金が減少したものの、当第1四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上による利益剰余金の増加及び為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したこと等によるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は36.7%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益が488億9千2百万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加があり、206億1百万円(前年同期比:163億9千7百万円の収入増)の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入などにより、393億9千5百万円(前年同期比:666億9千1百万円の収入増)の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の返済による金融債務の減少があり、622億9千3百万円(前年同期比:975億7千1百万円の支出増)の支出となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間では、前第1四半期連結累計期間と比較して現金及び現金同等物の残高は93億1千8百万円減少し、522億3千9百万円となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、アサヒグループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は、28億2千3百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、アサヒグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第1四半期連結累計期間(2021年1月1日~3月31日)における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、欧州では景気は弱い動きとなりましたが、米国などにおける経済活動の緩やかな回復により、全体では景気は持ち直しつつあります。日本経済においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出や外出自粛の影響により、個人消費などが弱い動きとなったことで、景気は厳しい状況となりました。
こうした状況のなかアサヒグループは、本年更新した「中期経営方針」の重点課題に基づいて、引き続き“グローカルな価値創造経営”を推進するとともに、コロナ禍による環境変化を見据えた経営改革に取り組みました。
重点課題の『稼ぐ力の強化』においては、各事業の主力ブランドの価値向上や新たな価値提案の強化に加えて、更なるコスト効率化により業績回復を促進するとともに、『経営資源の高度化』や『ESGへの取組み深化』に再投資するための収益構造改革を推進しました。
その結果、アサヒグループの売上収益は、日本や欧州における外食産業の低迷によるマイナス影響があったものの、2020年6月に取得手続きが完了した豪州のビール・サイダー事業(以下「CUB事業」といいます。)の新規連結効果などにより、4,566億6千8百万円(前年同期比11.6%増)となりました。また、利益につきましては、事業利益※1は283億2百万円(前年同期比78.3%増)、営業利益は522億3千万円(前年同期比304.1%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は331億9千1百万円(前年同期比298.2%増)となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比6.6%の増収、事業利益は前年同期比63.0%の増益となりました。※2
※1 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。
※2 2021年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[酒類事業]
酒類事業につきましては、各カテゴリーにおいて主力ブランドへの投資を重点化するとともに、多様化する消費者ニーズに対応した商品や飲み方提案を強化することにより、新たな市場の創造に取り組みました。
ビール類では、「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」を『アサヒスーパードライ』のブランドメッセージとし、桜の季節に合わせた春限定『アサヒスーパードライ スペシャルパッケージ』や、苦味や渋みを抑えた冷涼感のある軽快な飲み口を実現した『アサヒスーパードライ ザ・クール』の缶商品を発売するなど、“最高品質の提供”と“飲用機会の拡大”によりビール市場の活性化を図りました。また、新ジャンルにおいては、『クリアアサヒ』、『アサヒ ザ・リッチ』を中心とした主力ブランドでの広告・販売促進活動を強化し、新ジャンル市場における存在感の向上に努めました。
ビール類以外では、RTD※において、主力ブランド『アサヒ贅沢搾り』をリニューアルし、果実の味わいを強化するとともに、期間限定商品を展開するなど、ブランドの強化に取り組みました。また、アルコールテイスト清涼飲料において、『アサヒドライゼロ』で新たなユーザー層の拡大を図るとともに、お酒の飲み方の多様性を提案する「スマートドリンキング」の考え方に基づき、100%ビール由来原料ならではの麦のうまみとコクを実現したアルコール度数0.5%の“微アルコール”ビールテイスト飲料『アサヒ ビアリー』を首都圏・関信越エリアで先行発売し、新たな市場の創出に取り組みました。
以上の結果、酒類事業の売上収益は、健康志向の高まりを受けた発泡酒の売上は前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、飲食店向けのビールの売上が大幅に減少したことなどにより、前年同期比16.5%減の1,361億4千万円となりました。
事業利益については、製造原価の低減や収益構造改革などに取り組みましたが、売上収益の減少により、前年同期比37.1%減の88億1千1百万円となりました(営業利益は前年同期比77.8%減の28億9千2百万円)。
※ RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
[飲料事業]
飲料事業につきましては、主力ブランドを中心にこれまで培ってきたブランド価値をより一層磨くとともに、変化する生活に寄り添った商品や社会的課題の解決に向けた提案の強化などに取り組みました。
主力ブランドにおいては、『三ツ矢』ブランドにおいて、有糖炭酸の“おいしさ”と無糖炭酸の“さっぱり”を兼ね備えた“甘すぎない”ハイブリッドな炭酸飲料として『「三ツ矢サイダー」レモラ』を発売し、新たな価値提案を強化しました。また、『ウィルキンソン』ブランドでは、機能性表示食品である『「ウィルキンソン タンサン」エクストラ』をリニューアルするなど、健康需要や家庭内需要により好調な炭酸カテゴリーにおいてブランド価値の更なる向上を図りました。『カルピス』ブランドでは、誕生30周年を迎えた『カルピスウォーター』をリニューアルするとともに、オンライン工場見学ツアーを開催するなど、消費者との接点拡大を図り、ブランド力の強化に取り組みました。
社会的課題の解決に向けた提案においては、『十六茶』ブランドで、リニューアルに伴い新たな素材や製法、環境配慮素材(PET再生樹脂、バイオ素材樹脂)を使用した新容器を採用するなど、強固なブランド価値の構築と環境負荷低減に取り組みました。
以上の結果、飲料事業の売上収益は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い自動販売機及びコンビニエンスストアでの売上が減少しましたが、炭酸飲料の販売数量が前年実績を上回ったことなどにより、前年同期比0.2%増収の753億円となりました。
事業利益については、自動販売機及びコンビニエンスストアでの売上低下に伴う品種・容器構成比の悪化はあるものの、ブランドの選択と集中による広告・販売促進費の効率化や、委託製造品の自社製造への切替えなどによる製造原価の低減などにより、前年同期比321.8%増の45億1千2百万円となりました(営業利益は前年同期比364億9百万円増の369億4千7百万円)。
[食品事業]
食品事業につきましては、新しい生活様式に合わせた価値創造と、市場構造の変化に適応した各カテゴリーの強化により、持続的な成長基盤の構築に取り組みました。
タブレット菓子『ミンティア』については、マスク着用時専用商品『ミンティア +MASK』シリーズや大容量ボトルタイプ商品のほか、健康志向の高まりに対応した栄養機能食品の商品を発売することにより、新たな喫食提案によるブランド価値の向上に取り組みました。フリーズドライみそ汁については、『いつものおみそ汁』シリーズの高価格帯商品のラインアップを拡充し、手軽で本格的な味わいを楽しめるフリーズドライの価値を訴求しました。
ベビーフードについては、『1歳からのMYジュレドリンク』シリーズにおいて新フレーバーを発売し、ユーザー層の拡大を図りました。サプリメントについては、『ディアナチュラ』において、『カルピス』乳酸菌研究から生まれた原料を活用した機能性表示食品の発売など、セルフケアニーズの高まりに対応したラインアップの強化を図りました。
以上の結果、食品事業の売上収益は、巣ごもり需要を捉えたフリーズドライみそ汁や健康ニーズの高まりに対応した『ディアナチュラ』などの売上が前年実績を上回ったものの、オフィス勤務の減少に伴い『ミンティア』の売上が減少したことなどにより、前年同期比4.2%減の295億3千2百万円となりました。
事業利益については、固定費全般の効率化に取り組みましたが、売上収益が減少したことなどにより、前年同期比10.5%減の32億9百万円となりました(営業利益は、前年同期比24.3%減の27億5百万円)。
[国際事業]
国際事業につきましては、ローカル市場における主力ブランドやアルコールテイスト清涼飲料を軸としたプレミアム戦略の推進に加えて、グローバルプレミアムブランドの販路拡大を強化しました。
欧州事業については、『Pilsner Urquell』において、100%リサイクル可能な素材を採用したパッケージにリニューアルするなど、各国の主力ビールブランドの価値向上を図りました。また、アルコールテイスト清涼飲料では、ポーランドの『Lech Free』におけるフレーバー展開の強化や、『Peroni Libera 0.0%』とモータースポーツチームAston Martin Cognizant FORMULA ONETM TEAMとのグローバルパートナーシップの締結など、新たな飲用機会の獲得に向けた取組みを強化しました。グローバルブランドについては、『アサヒスーパードライ』において、世界中の消費者に向けたバーチャルイベント「DISCOVER TOKYO」を開催するなど、ブランドの認知度の向上に向けた販売促進活動に取り組みました。
オセアニア事業については、酒類において、主力ブランド『Great Northern』、『Victoria Bitter』の積極的なマーケティング活動に取り組んだほか、『アサヒスーパードライ』、『Peroni Nastro Azzurro』の飲食店向けの販売強化など、CUB事業取得により確立した強固な販売体制を活かしたシナジーの創出に取り組みました。飲料においては、炭酸カテゴリーを中心にノンシュガー商品を積極的に展開したほか、外出などの規制緩和に合わせてスポーツ飲料などの販売促進活動を強化し、市場における存在感の向上を図りました。
東南アジア事業については、マレーシアで、『WONDA』ブランドから『Brown Sugar Latte』を発売するなど、アサヒグループ保有ブランドを中心にラインアップを拡充することにより、ブランド認知の向上を図りました。
以上の結果、国際事業の売上収益は、欧州事業を中心に新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の規制などによる市場縮小の影響などがあったものの、CUB事業の新規連結効果などにより、前年同期55.6%増の2,122億6千3百万円となりました。
事業利益については、業態別の売上構成比の変化により収益性は悪化しましたが、CUB事業の新規連結効果や固定費全般の効率化などにより、前年同期比185.7%増の251億7千4百万円となりました(営業利益は、前年同期比528.7%増の164億1千4百万円)。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比40.6%の増収、事業利益は前年同期比151.6%の増益となりました。※
※ 2021年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[その他の事業]
その他の事業につきましては、売上収益は、前年同期比6.4%減の226億5千5百万円となりました。
事業損失については、前年同期比6億8千1百万円改善の3億6千4百万円となりました(営業損失は前年同期比4億5千6百万円改善の10億6千3百万円)。
セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。
なお、当第1四半期連結累計期間より、酒類セグメントに含まれていた一部の会社について、報告セグメントの区分をその他セグメントに変更しております。また、前第2四半期連結累計期間より、その他セグメントに含まれていた一部の事業を食品セグメントへ変更しております。
以下の前年同期比較は前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
事業セグメント別の実績
(単位:百万円) |
売上収益 | 前年同期比 | 事業利益 | 前年同期比 | 売上収益 事業利益率 | 営業利益 | 前年同期比 | |
酒類 | 136,140 | △16.5% | 8,811 | △37.1% | 6.5% | 2,892 | △77.8% |
飲料 | 75,300 | 0.2% | 4,512 | 321.8% | 6.0% | 36,947 | - |
食品 | 29,532 | △4.2% | 3,209 | △10.5% | 10.9% | 2,705 | △24.3% |
国際 | 212,263 | 55.6% | 25,174 | 185.7% | 11.9% | 16,414 | 528.7% |
その他 | 22,655 | △6.4% | △364 | - | - | △1,063 | - |
調整額計 | △19,222 | - | △5,469 | - | - | △5,665 | - |
無形資産償却費 | - | - | △7,570 | - | - | - | - |
合計 | 456,668 | 11.6% | 28,302 | 78.3% | 6.2% | 52,230 | 304.1% |
※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間の連結総資産は、季節要因等により営業債権が減少したものの、為替相場の変動によるのれん及び無形資産の増加等により、総資産は前年度末と比較して699億1千7百万円増加し、4兆5,092億9千6百万円となりました。
負債は、季節要因等による営業債務の減少等により、前年度末と比較して693億7千1百万円減少し、2兆8,521億9千1百万円となりました。
資本は、前年度末に比べ1,392億8千8百万円増加し、1兆6,571億4百万円となりました。これは、配当金支出により利益剰余金が減少したものの、当第1四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上による利益剰余金の増加及び為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したこと等によるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は36.7%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益が488億9千2百万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加があり、206億1百万円(前年同期比:163億9千7百万円の収入増)の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入などにより、393億9千5百万円(前年同期比:666億9千1百万円の収入増)の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の返済による金融債務の減少があり、622億9千3百万円(前年同期比:975億7千1百万円の支出増)の支出となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間では、前第1四半期連結累計期間と比較して現金及び現金同等物の残高は93億1千8百万円減少し、522億3千9百万円となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、アサヒグループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は、28億2千3百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、アサヒグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。