四半期報告書-第97期第3四半期(令和2年7月1日-令和2年9月30日)
「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第四号の三様式記載上の注意(8)の規定を当事業年度に係る四半期報告書から適用しております。
(1)業績
当第3四半期連結累計期間(2020年1月1日~9月30日)における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の抑制により極めて厳しい状況になりましたが、各地域での経済活動の段階的な再開により景気は持ち直しつつあります。日本経済におきましても、新型コロナウイルスの感染拡大により同様に厳しい状況となりましたが、各種政策の効果や世界経済の改善に伴い、景気は持ち直しの動きがみられます。
こうした状況のなかアサヒグループは、『稼ぐ力の強化』、『経営資源の高度化』、『ESGへの取組み深化』の3つを重点課題とする「中期経営方針」に基づく“グローカルな価値創造経営”を推進し、各事業の主力ブランドの価値向上や新たな価値提案などを強化するとともに、新型コロナウイルスへの対策に取り組みました。感染拡大期、リカバリー期、ニュー・ノーマルの3つのフェーズに応じた対策を講じ、リカバリー期にあたる第3四半期においては、強いブランドに集中したマーケティング戦略の重点化を図るとともに、設備投資や固定費の抑制などにより財務健全性の確保に努めました。
しかしながら、第2四半期を底として回復傾向となっているものの、世界各国における外食産業の低迷や外出自粛の影響などにより、アサヒグループの当期の売上収益は1兆4,713億9千3百万円(前年同期比5.1%減)となりました。また、利益につきましては、事業利益※1は1,309億1百万円(前年同期比19.6%減)、営業利益は1,180億2千6百万円(前年同期比26.2%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は795億7千3百万円(前年同期比29.5%減)となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比4.3%の減収、事業利益※1は前年同期比19.1%の減益となりました。※2
※1 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。
※2 2020年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[酒類事業]
酒類事業につきましては、新たに策定した長期経営方針「“Value経営”への変革、お客様にとっての価値や新市場の創造を目指す」に基づき、ビール類を中心に、お客様にとって特別な価値や体験の創造などに取り組みました。
ビール類では、ビールにおいて、『アサヒスーパードライ』のブランドメッセージ「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」に基づき、“氷点下のスーパードライ”をご家庭でも実感できる消費者キャンペーンを展開し、新たな飲用体験の機会を提供するなど、ビール市場の活性化を図りました。また、新ジャンルにおいては、主力ブランド『クリアアサヒ』での食事と連動したプロモーション活動の展開や、3月に発売した『アサヒ ザ・リッチ』でSNSなどデジタルを活用した広告・販売促進活動を強化することにより、新ジャンル市場における存在感の向上に努めました。
ビール類以外では、RTD※において、主力ブランド『アサヒ贅沢搾り』の商品ラインアップを拡充するとともに、洋酒において、スコットランドと日本のモルト原酒をブレンドした『ニッカ セッション』を発売するなど、新たな価値提案の強化に取り組みました。また、アルコールテイスト清涼飲料において、『アサヒドライゼロ』ブランドで夏の季節に冷涼感を特長とした期間限定商品を発売するなど新たなユーザー層の拡大を図りました。
以上の結果、酒類事業の売上収益は、RTDの売上は前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食店向けのビールの売上が大幅に減少したことなどにより、前年同期比15.5%減の5,553億7千4百万円となりました。
事業利益については、製造原価の低減や収益構造改革などに取り組みましたが、売上収益の減少などにより、前年同期比23.2%減の599億3千1百万円となりました(営業利益は前年同期比25.3%減の575億3千8百万円)。
※ RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
[飲料事業]
飲料事業につきましては、炭酸カテゴリーのブランド強化と新価値創造商品の投入による市場の活性化に加え、社会的価値向上の取組み強化などにより、更なる成長に向けた強固な事業基盤の構築を目指しました。
主力ブランドにおいては、『三ツ矢』ブランドでは、新たな広告の積極的な展開や限定復刻シリーズなどの商品を発売したほか、『ウィルキンソン』ブランドでは、炭酸水市場売上No.1※を掲げたマーケティング活動を展開するなど、炭酸カテゴリーのブランド価値の向上を図りました。また、『カルピス』ブランドでは、巣ごもり需要を受け希釈タイプの商品を積極的に展開するとともに、『十六茶』ブランドでは、機能性表示食品『「アサヒ 十六茶プラス」やすらぎブレンド』を発売するなど、ブランド力の強化に取り組みました。
新価値創造商品においては、『カルピス』ブランドから豆乳を発酵した植物生まれの『GREEN CALPIS』を発売し、市場の活性化を図りました。
以上の結果、飲料事業の売上収益は、炭酸飲料の販売数量が前年実績を上回りましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自動販売機の売上低下などから他の主力ブランドが減少したことにより、前年同期比4.9%減の2,704億2千3百万円となりました。
事業利益については、内製化の促進などによる製造原価の低減を図りましたが、減収影響や自動販売機の売上低下に伴う構成差異の悪化などにより、前年同期比6.7%減の241億5千2百万円となりました(営業利益は前年同期比12.2%減の212億1千6百万円)。
※ インテージSRI調べ 炭酸水市場(フレーバー含む)2019年1月~2019年12月 累計販売金額全国/全業態計(SM/CVS/DRUG)
[食品事業]
食品事業につきましては、多様化するライフスタイルを見据えた主要ブランドの新価値提案などにより、持続的な成長基盤の構築に取り組みました。
タブレット菓子については、『ミンティア』において、本質的価値である“リフレッシュ”を強みに、オフィス勤務をはじめ、マスク着用時やテレワーク時など多様な喫食シーンに対応した広告・販売促進活動を展開しました。また、栄養サポート食品については、健康志向やからだづくりへの関心の高まりを背景に、『1本満足バー』プロテインシリーズの商品ラインアップを拡充するなど、主力ブランドの強化・育成に取り組みました。フリーズドライみそ汁については、主力の『いつものおみそ汁』シリーズのパッケージ刷新やラインアップ拡充により、手軽で本格的な味わいを楽しめるフリーズドライの価値向上に取り組みました。
ベビーフードについては、「赤ちゃんのやさしいおやきミックス」シリーズを新発売するなど、おやつの手作りニーズに合わせた商品を提案しました。また、サプリメントについては、『ディアナチュラ』で健康意識の高まりを受けた商品訴求を強化することにより、新規ユーザーの獲得とブランド力の強化に取り組みました。
以上の結果、食品事業の売上収益は、栄養サポート食品やフリーズドライみそ汁などの売上が前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い特にオフィス勤務時の喫食シーンが減少し『ミンティア』の売上が大幅に減少したことなどにより、前年同期比4.8%減の899億3百万円となりました。
事業利益については、固定費全般の効率化に取り組みましたが、売上収益が減少したことなどにより、前年同期比14.2%減の85億1千4百万円となりました(営業利益は前年同期比4.9%減の91億3千9百万円)。
[国際事業]
国際事業につきましては、グローバル市場におけるグローバルプレミアムビールブランドの拡大展開と各ローカル市場におけるポートフォリオのプレミアム化などにより、成長エンジン化の加速を図りました。
欧州事業※1については、チェコの『Pilsner Urquell』の積極的なマーケティング活動やルーマニアの『Ursus』における派生商品の発売などによりプレミアムブランドを強化したほか、イタリアの『Peroni』やオランダの『Grolsch』では、オンラインを活用したイベントを開催するなど、各国における主力ブランドの価値向上を図りました。また、市場が拡大するアルコールテイスト清涼飲料において、チェコの『Birell』やポーランドの『Lech Free』などの展開を強化することにより、新たな成長ドライバーの育成に取り組みました。
オセアニア事業については、酒類において、『アサヒスーパードライ』、『Peroni Nastro Azzurro』などのグローバルプレミアムビールブランドや『Vodka Cruiser』などのRTDブランドなど、主力ブランドの価値強化に取り組みました。飲料においては、炭酸カテゴリーを中心にノンシュガー商品を積極的に展開し、市場における存在感の向上を図りました。また、6月に取得手続きを完了したCUB事業においては、消費者からの信頼の厚い定番ブランドである『Victoria Bitter』、『Great Northern』などの販売活動を強化するとともに、既存事業とのシナジー創出に向けた統合プロジェクトを立ち上げ、具体的な計画策定と取組みを開始しました。
東南アジア事業については、マレーシアにおいて、加糖飲料課税の導入などによる健康志向の高まりを受け、砂糖不使用飲料の『WONDA Zero Max』などの付加価値の高い商品展開を強化しました。
グローバル市場全体に向けたプレミアムブランドの拡大展開を担うAsahi International, Ltd.※1においては、『Peroni Nastro Azzurro』と『アサヒスーパードライ』について、ブランド広告の積極的な展開やSNSを通じたイベント配信のキャンペーンに取り組むなど、グローバルプレミアムビールブランドとしての認知度の向上を図りました。
以上の結果、国際事業の売上収益は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の規制などによる市場縮小の影響などがあったものの、CUB事業の新規連結効果などにより、前年同期比7.5%増の5,578億9千4百万円となりました。
事業利益については、固定費全般の効率化などを図りましたが、業態売上構成比の変化による収益性の悪化やCUB事業取得に伴う一時費用の発生などにより、前年同期比12.6%減の694億4千8百万円となりました(営業利益は、前年同期比29.2%減の459億1千4百万円)。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比9.8%の増収、事業利益は前年同期比11.4%の減益となりました。※2
※1 2020年1月の国際ビール事業の再編に伴い、中東欧事業は欧州事業へ名称を変更し、従来の西欧事業に含まれているイタリア、オランダ事業を同事業へ移管しています。西欧事業はAsahi International, Ltd.へと名称を変更し、日本、オセアニア、欧州事業が管轄する国を除く各エリアでのグローバルプレミアムビールの輸出・ライセンス事業を同社に集約しています。
※2 2020年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[その他事業]
その他の事業につきましては、売上収益は、前年同期比4.0%減の694億5百万円となりました。
事業利益については、前年同期比20.7%減の8億3千1百万円となりました(営業利益は前年同期比20.5%減の6億5千1百万円)。
セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。なお、第1四半期連結累計期間より、国際セグメントに含まれていた一部の会社について、報告セグメントの区分を飲料セグメントに変更しております。また、第2四半期連結累計期間よりその他セグメントに含まれていた一部の事業を食品セグメントへ変更しております。
以下の前年同期比較は前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
事業セグメント別の実績
※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間の連結総資産は、CUB事業(注)を新たに連結範囲に含めたことによるのれんの増加等により、総資産は前年度末と比較して1兆1,676億9千5百万円増加し、4兆3,084億8千4百万円となりました。
負債は、CUB事業買収に伴って短期借入金を中心に金融債務が増加したこと等により、前年度末と比較して1兆111億9千5百万円増加し、2兆9,037億4百万円となりました。
資本は、前年度末に比べ1,565億円増加し、1兆4,047億7千9百万円となりました。これは、公募による新株式の発行により、資本金及び資本剰余金が増加したことや公募による自己株式の処分を実施したこと、当第3四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上により利益剰余金が増加したこと等によるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は32.6%となりました。
(注)CUB事業買収に伴って、発生したのれんの金額、企業結合日に受け入れた資産及び引き受けた負債の額等については、企業結合日における識別可能資産及び負債の特定を精査中であり、取得価額の配分が完了していないため、暫定的な会計処理を行っております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益が1,106億3千9百万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加があり、1,914億9千8百万円(前年同期比:144億2千3百万円の収入増)の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、CUB事業の取得などにより、1兆2,242億3千1百万円(前年同期比:1兆1,433億6千7百万円の支出増)の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、新株の発行や、短期借入金の実行による金融債務の増加により、1兆998億3千万円(前年同期比:1兆2,159億8千4百万円の収入増)の収入となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間では、前第3四半期連結累計期間と比較して現金及び現金同等物の残高は866億7千4百万円増加し、1,227億5千5百万円となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、アサヒグループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は、90億1千5百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、アサヒグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)従業員数
当第3四半期連結累計期間において、CUB事業を新たに取得したことに伴い国際事業における従業員数がおよそ1,020人増加しております。
(7)設備の状況
当第3四半期連結累計期間において、CUB事業を新たに取得したことに伴い、国際事業において主要な設備が増加しており、当第3四半期連結会計期間末における詳細は次の通りです。
(1)業績
当第3四半期連結累計期間(2020年1月1日~9月30日)における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の抑制により極めて厳しい状況になりましたが、各地域での経済活動の段階的な再開により景気は持ち直しつつあります。日本経済におきましても、新型コロナウイルスの感染拡大により同様に厳しい状況となりましたが、各種政策の効果や世界経済の改善に伴い、景気は持ち直しの動きがみられます。
こうした状況のなかアサヒグループは、『稼ぐ力の強化』、『経営資源の高度化』、『ESGへの取組み深化』の3つを重点課題とする「中期経営方針」に基づく“グローカルな価値創造経営”を推進し、各事業の主力ブランドの価値向上や新たな価値提案などを強化するとともに、新型コロナウイルスへの対策に取り組みました。感染拡大期、リカバリー期、ニュー・ノーマルの3つのフェーズに応じた対策を講じ、リカバリー期にあたる第3四半期においては、強いブランドに集中したマーケティング戦略の重点化を図るとともに、設備投資や固定費の抑制などにより財務健全性の確保に努めました。
しかしながら、第2四半期を底として回復傾向となっているものの、世界各国における外食産業の低迷や外出自粛の影響などにより、アサヒグループの当期の売上収益は1兆4,713億9千3百万円(前年同期比5.1%減)となりました。また、利益につきましては、事業利益※1は1,309億1百万円(前年同期比19.6%減)、営業利益は1,180億2千6百万円(前年同期比26.2%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は795億7千3百万円(前年同期比29.5%減)となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比4.3%の減収、事業利益※1は前年同期比19.1%の減益となりました。※2
※1 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。
※2 2020年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[酒類事業]
酒類事業につきましては、新たに策定した長期経営方針「“Value経営”への変革、お客様にとっての価値や新市場の創造を目指す」に基づき、ビール類を中心に、お客様にとって特別な価値や体験の創造などに取り組みました。
ビール類では、ビールにおいて、『アサヒスーパードライ』のブランドメッセージ「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」に基づき、“氷点下のスーパードライ”をご家庭でも実感できる消費者キャンペーンを展開し、新たな飲用体験の機会を提供するなど、ビール市場の活性化を図りました。また、新ジャンルにおいては、主力ブランド『クリアアサヒ』での食事と連動したプロモーション活動の展開や、3月に発売した『アサヒ ザ・リッチ』でSNSなどデジタルを活用した広告・販売促進活動を強化することにより、新ジャンル市場における存在感の向上に努めました。
ビール類以外では、RTD※において、主力ブランド『アサヒ贅沢搾り』の商品ラインアップを拡充するとともに、洋酒において、スコットランドと日本のモルト原酒をブレンドした『ニッカ セッション』を発売するなど、新たな価値提案の強化に取り組みました。また、アルコールテイスト清涼飲料において、『アサヒドライゼロ』ブランドで夏の季節に冷涼感を特長とした期間限定商品を発売するなど新たなユーザー層の拡大を図りました。
以上の結果、酒類事業の売上収益は、RTDの売上は前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食店向けのビールの売上が大幅に減少したことなどにより、前年同期比15.5%減の5,553億7千4百万円となりました。
事業利益については、製造原価の低減や収益構造改革などに取り組みましたが、売上収益の減少などにより、前年同期比23.2%減の599億3千1百万円となりました(営業利益は前年同期比25.3%減の575億3千8百万円)。
※ RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
[飲料事業]
飲料事業につきましては、炭酸カテゴリーのブランド強化と新価値創造商品の投入による市場の活性化に加え、社会的価値向上の取組み強化などにより、更なる成長に向けた強固な事業基盤の構築を目指しました。
主力ブランドにおいては、『三ツ矢』ブランドでは、新たな広告の積極的な展開や限定復刻シリーズなどの商品を発売したほか、『ウィルキンソン』ブランドでは、炭酸水市場売上No.1※を掲げたマーケティング活動を展開するなど、炭酸カテゴリーのブランド価値の向上を図りました。また、『カルピス』ブランドでは、巣ごもり需要を受け希釈タイプの商品を積極的に展開するとともに、『十六茶』ブランドでは、機能性表示食品『「アサヒ 十六茶プラス」やすらぎブレンド』を発売するなど、ブランド力の強化に取り組みました。
新価値創造商品においては、『カルピス』ブランドから豆乳を発酵した植物生まれの『GREEN CALPIS』を発売し、市場の活性化を図りました。
以上の結果、飲料事業の売上収益は、炭酸飲料の販売数量が前年実績を上回りましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自動販売機の売上低下などから他の主力ブランドが減少したことにより、前年同期比4.9%減の2,704億2千3百万円となりました。
事業利益については、内製化の促進などによる製造原価の低減を図りましたが、減収影響や自動販売機の売上低下に伴う構成差異の悪化などにより、前年同期比6.7%減の241億5千2百万円となりました(営業利益は前年同期比12.2%減の212億1千6百万円)。
※ インテージSRI調べ 炭酸水市場(フレーバー含む)2019年1月~2019年12月 累計販売金額全国/全業態計(SM/CVS/DRUG)
[食品事業]
食品事業につきましては、多様化するライフスタイルを見据えた主要ブランドの新価値提案などにより、持続的な成長基盤の構築に取り組みました。
タブレット菓子については、『ミンティア』において、本質的価値である“リフレッシュ”を強みに、オフィス勤務をはじめ、マスク着用時やテレワーク時など多様な喫食シーンに対応した広告・販売促進活動を展開しました。また、栄養サポート食品については、健康志向やからだづくりへの関心の高まりを背景に、『1本満足バー』プロテインシリーズの商品ラインアップを拡充するなど、主力ブランドの強化・育成に取り組みました。フリーズドライみそ汁については、主力の『いつものおみそ汁』シリーズのパッケージ刷新やラインアップ拡充により、手軽で本格的な味わいを楽しめるフリーズドライの価値向上に取り組みました。
ベビーフードについては、「赤ちゃんのやさしいおやきミックス」シリーズを新発売するなど、おやつの手作りニーズに合わせた商品を提案しました。また、サプリメントについては、『ディアナチュラ』で健康意識の高まりを受けた商品訴求を強化することにより、新規ユーザーの獲得とブランド力の強化に取り組みました。
以上の結果、食品事業の売上収益は、栄養サポート食品やフリーズドライみそ汁などの売上が前年実績を上回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い特にオフィス勤務時の喫食シーンが減少し『ミンティア』の売上が大幅に減少したことなどにより、前年同期比4.8%減の899億3百万円となりました。
事業利益については、固定費全般の効率化に取り組みましたが、売上収益が減少したことなどにより、前年同期比14.2%減の85億1千4百万円となりました(営業利益は前年同期比4.9%減の91億3千9百万円)。
[国際事業]
国際事業につきましては、グローバル市場におけるグローバルプレミアムビールブランドの拡大展開と各ローカル市場におけるポートフォリオのプレミアム化などにより、成長エンジン化の加速を図りました。
欧州事業※1については、チェコの『Pilsner Urquell』の積極的なマーケティング活動やルーマニアの『Ursus』における派生商品の発売などによりプレミアムブランドを強化したほか、イタリアの『Peroni』やオランダの『Grolsch』では、オンラインを活用したイベントを開催するなど、各国における主力ブランドの価値向上を図りました。また、市場が拡大するアルコールテイスト清涼飲料において、チェコの『Birell』やポーランドの『Lech Free』などの展開を強化することにより、新たな成長ドライバーの育成に取り組みました。
オセアニア事業については、酒類において、『アサヒスーパードライ』、『Peroni Nastro Azzurro』などのグローバルプレミアムビールブランドや『Vodka Cruiser』などのRTDブランドなど、主力ブランドの価値強化に取り組みました。飲料においては、炭酸カテゴリーを中心にノンシュガー商品を積極的に展開し、市場における存在感の向上を図りました。また、6月に取得手続きを完了したCUB事業においては、消費者からの信頼の厚い定番ブランドである『Victoria Bitter』、『Great Northern』などの販売活動を強化するとともに、既存事業とのシナジー創出に向けた統合プロジェクトを立ち上げ、具体的な計画策定と取組みを開始しました。
東南アジア事業については、マレーシアにおいて、加糖飲料課税の導入などによる健康志向の高まりを受け、砂糖不使用飲料の『WONDA Zero Max』などの付加価値の高い商品展開を強化しました。
グローバル市場全体に向けたプレミアムブランドの拡大展開を担うAsahi International, Ltd.※1においては、『Peroni Nastro Azzurro』と『アサヒスーパードライ』について、ブランド広告の積極的な展開やSNSを通じたイベント配信のキャンペーンに取り組むなど、グローバルプレミアムビールブランドとしての認知度の向上を図りました。
以上の結果、国際事業の売上収益は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の規制などによる市場縮小の影響などがあったものの、CUB事業の新規連結効果などにより、前年同期比7.5%増の5,578億9千4百万円となりました。
事業利益については、固定費全般の効率化などを図りましたが、業態売上構成比の変化による収益性の悪化やCUB事業取得に伴う一時費用の発生などにより、前年同期比12.6%減の694億4千8百万円となりました(営業利益は、前年同期比29.2%減の459億1千4百万円)。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比9.8%の増収、事業利益は前年同期比11.4%の減益となりました。※2
※1 2020年1月の国際ビール事業の再編に伴い、中東欧事業は欧州事業へ名称を変更し、従来の西欧事業に含まれているイタリア、オランダ事業を同事業へ移管しています。西欧事業はAsahi International, Ltd.へと名称を変更し、日本、オセアニア、欧州事業が管轄する国を除く各エリアでのグローバルプレミアムビールの輸出・ライセンス事業を同社に集約しています。
※2 2020年の外貨金額を、前年同期の為替レートで円換算して比較しています。
[その他事業]
その他の事業につきましては、売上収益は、前年同期比4.0%減の694億5百万円となりました。
事業利益については、前年同期比20.7%減の8億3千1百万円となりました(営業利益は前年同期比20.5%減の6億5千1百万円)。
セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。なお、第1四半期連結累計期間より、国際セグメントに含まれていた一部の会社について、報告セグメントの区分を飲料セグメントに変更しております。また、第2四半期連結累計期間よりその他セグメントに含まれていた一部の事業を食品セグメントへ変更しております。
以下の前年同期比較は前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
事業セグメント別の実績
(単位:百万円) |
売上収益 | 前年同期比 | 事業利益 | 前年同期比 | 売上収益 事業利益率 | 営業利益 | 前年同期比 | |
酒類 | 555,374 | △15.5% | 59,931 | △23.2% | 10.8% | 57,538 | △25.3% |
飲料 | 270,423 | △4.9% | 24,152 | △6.7% | 8.9% | 21,216 | △12.2% |
食品 | 89,903 | △4.8% | 8,514 | △14.2% | 9.5% | 9,139 | △4.9% |
国際 | 557,894 | 7.5% | 69,448 | △12.6% | 12.4% | 45,914 | △29.2% |
その他 | 69,405 | △4.0% | 831 | △20.7% | 1.2% | 651 | △20.5% |
調整額計 | △71,607 | - | △16,346 | - | - | △16,433 | - |
無形資産償却費 | - | - | △15,630 | - | - | - | - |
合計 | 1,471,393 | △5.1% | 130,901 | △19.6% | 8.9% | 118,026 | △26.2% |
※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間の連結総資産は、CUB事業(注)を新たに連結範囲に含めたことによるのれんの増加等により、総資産は前年度末と比較して1兆1,676億9千5百万円増加し、4兆3,084億8千4百万円となりました。
負債は、CUB事業買収に伴って短期借入金を中心に金融債務が増加したこと等により、前年度末と比較して1兆111億9千5百万円増加し、2兆9,037億4百万円となりました。
資本は、前年度末に比べ1,565億円増加し、1兆4,047億7千9百万円となりました。これは、公募による新株式の発行により、資本金及び資本剰余金が増加したことや公募による自己株式の処分を実施したこと、当第3四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上により利益剰余金が増加したこと等によるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は32.6%となりました。
(注)CUB事業買収に伴って、発生したのれんの金額、企業結合日に受け入れた資産及び引き受けた負債の額等については、企業結合日における識別可能資産及び負債の特定を精査中であり、取得価額の配分が完了していないため、暫定的な会計処理を行っております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益が1,106億3千9百万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加があり、1,914億9千8百万円(前年同期比:144億2千3百万円の収入増)の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、CUB事業の取得などにより、1兆2,242億3千1百万円(前年同期比:1兆1,433億6千7百万円の支出増)の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、新株の発行や、短期借入金の実行による金融債務の増加により、1兆998億3千万円(前年同期比:1兆2,159億8千4百万円の収入増)の収入となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間では、前第3四半期連結累計期間と比較して現金及び現金同等物の残高は866億7千4百万円増加し、1,227億5千5百万円となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、アサヒグループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は、90億1千5百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、アサヒグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)従業員数
当第3四半期連結累計期間において、CUB事業を新たに取得したことに伴い国際事業における従業員数がおよそ1,020人増加しております。
(7)設備の状況
当第3四半期連結累計期間において、CUB事業を新たに取得したことに伴い、国際事業において主要な設備が増加しており、当第3四半期連結会計期間末における詳細は次の通りです。
会社名 | 事業所名 (所在地) | セグメント名称 | 設備の内容 | 帳簿価額 (百万円) |
CUB Pty Ltd | アボッツフォード工場 他4工場 (ヴィクトリア州 他) | 国際 | ビール等製造設備 | 58,698 |