四半期報告書-第96期第1四半期(平成31年1月1日-平成31年3月31日)

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2019/05/14 13:40
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(1) 業績
当第1四半期連結累計期間(2019年1月1日~3月31日)における世界経済は、アジアや欧州において景気に弱さが見られたものの、米国の景気が雇用者数の増加や個人消費の拡大を背景に堅調に推移したことなどにより、全体として景気の回復が継続しました。日本経済におきましては、企業収益の改善に足踏みが見られるものの、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しなどにより、景気は緩やかに回復しました。
こうした状況のなかアサヒグループは、新グループ理念“Asahi Group Philosophy(AGP)”のもと、「中期経
営方針」に基づき“グローカルな価値創造経営”を推進しました。「中期経営方針」では『稼ぐ力の強化』、『経営
資源の高度化』、『ESGへの取組み深化』の3つを重点課題に設定し、特に『稼ぐ力の強化』においては、国内外
の各事業における高付加価値ブランドの育成や収益構造改革などに取り組みました。
その結果、アサヒグループの当期の売上収益は4,293億7千6百万円(前年同期比2.9%減)となりました。また、利益につきましては、事業利益※は247億9千4百万円(前年同期比3.0%増)、営業利益は232億8千3百万円(前年
同期比6.1%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は152億3千4百万円(前年同期比2.9%増)となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比0.7%の減収、事業利益は前年同期比5.7%の増益とな
りました。
※事業利益(損失)とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業
績を測る当社独自の利益指標です。
[酒類事業]
酒類事業につきましては、「基幹ブランドの強化と新需要の創造」をテーマに、最高品質の提供と飲用機会の拡大
による市場全体の活性化や新需要の創造に向けた商品提案に取り組みました。
ビール類では、ビールにおいて、『アサヒスーパードライ』の中長期のブランドスローガンを“THE JAPAN
BRAND”と設定し、情報発信を強化するとともに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の応援デザイン
商品の展開※1などにより、ブランド価値の強化を推進しました。また、新ジャンルにおいては、麦の味わいと心地
よい香りを高めた『クリアアサヒ』のクオリティアップや冴えるシャープなキレと麦100%※2の飲みごたえを実現
した『アサヒ 極上<キレ味>』の発売などにより、市場における存在感の向上に努めました。
ビール類以外では、RTD※3において、アルコール度数9%で無糖の強炭酸が特長の『ウィルキンソン・ハードナ
イン』を発売したほか、洋酒において、設立50周年を迎えた宮城峡蒸溜所の情報発信の強化を図りました。また、ア
ルコールテイスト清涼飲料において、ペットボトル商品の『アサヒ ドライゼロスパーク』を通年発売するなど、各
カテゴリーにおける主力ブランドの強化・育成に取り組みました。
以上の結果、酒類事業の売上収益は、ビール類以外の売上は前年実績を上回ったものの、ビール類の市場全体の縮
小による販売数量の減少などにより、前年同期比0.0%減の1,790億7千9百万円となりました。
事業利益については製造原価の低減などに取り組んだことにより、前年同期比5.2%増の145億4千6百万円とな
りました(営業利益は前年同期比3.6%増の141億4千5百万円)。
※1 アサヒビール株式会社は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会ゴールドパートナー(ビール
&ワイン)です。 ※2 麦芽、大麦、スピリッツ(大麦)を使用。ホップ使用量を除きます。 ※3 RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
[飲料事業]
飲料事業につきましては、主力ブランドへの経営資源の集中に加え、健康機能領域での高付加価値商品の取組み強化など、新たな成長基盤の構築や最適生産物流体制の推進による収益構造改革に取り組みました。 主力ブランドにおいては、『三ツ矢』ブランドで、甘さを抑えた微糖商品を発売したほか、『ワンダ』ブランドでは、カフェラテとフルーツを組み合わせた新たなコーヒーの楽しみ方を提案するなど、新たな価値提案の推進に取り組みました。また、『ウィルキンソン』ブランドで、商品ラインアップを拡充するとともに、今年発売100周年を迎える『カルピス』ブランドでは、「人を想う記念日ACTION!」「発酵BLEND PROJECT」などの新しい取組みを積極的に展開し、ブランド力の強化を図りました。 健康機能領域においては、『カルピス』に由来する長年の乳酸菌研究から開発された機能性表示食品『「届く強さの乳酸菌」W(ダブル)』の発売など、ブランド資産を活用した高付加価値商品への取組みを強化し、市場における存在感の向上に努めました。
以上の結果、飲料事業の売上収益は、炭酸飲料や乳性飲料などの販売数量が前年実績を上回ったことにより、前年同期比4.5%増の766億6千7百万円となりました。 事業利益については、増収効果はあったものの、原材料の高騰や広告・販売促進費の増加などにより、前年同期比10.7%減の30億6千1百万円となりました(営業利益は前年同期比15.8%減の25億3千9百万円)。
[食品事業]
食品事業につきましては、主力ブランド・カテゴリーへの経営資源の集中による市場競争力の強化や最適生産物流体制の構築による収益性の向上など、成長基盤の盤石化に取り組みました。 タブレット菓子『ミンティア』においては、主力商品のリニューアルや商品ラインアップの拡充などにより、市場における地位の更なる向上に取り組みました。 サプリメントについては、『ディアナチュラ』において、プロテインパウダー『ディアナチュラアクティブ』の新フレーバーを発売し、ブランド力の向上を図りました。 ベビーフードについては、『栄養マルシェ』からお子さまとの「おでかけ」をさらに楽しくする新シリーズを発売するなど、新たな価値の提案を推進しました。 フリーズドライ食品については、『減塩いつものおみそ汁』や『減塩うちのおみそ汁』をリニューアルするなど、健康志向を背景に拡大している減塩タイプみそ汁市場における存在感の向上に取り組みました。
以上の結果、食品事業の売上収益は、事業ポートフォリオの見直しによる減収影響などにより、前年同期比5.0%減の262億8百万円となりました。 事業利益については、固定費の低減などに取り組んだものの、減収影響により、前年同期比6.9%減の30億4千1百万円となりました(営業利益は前年同期比10.7%減の29億5千5百万円)。
[国際事業]
国際事業につきましては、各事業における高付加価値商品を核としたブランド資産の強化や地域横断的な展開によるシナジー創出などにより、成長基盤の一層の拡大に取り組みました。 欧州事業については、西欧において、イタリアの『Peroni』やオランダの『Grolsch』など、主力ブランドの高付加価値商品の展開を強化したほか、英国を中心としたその他の国では『Peroni Nastro Azzurro』や『アサヒスーパードライ』の拡大展開など、プレミアム化の更なる推進とシナジーの創出に取り組みました。中東欧においては、チェコの『Pilsner Urquell』やポーランドの『Lech』などプレミアムビールの販売促進活動の強化に加えて、ルーマニアにおける各価格帯の主力ブランドの積極的なマーケティング活動などにより、各国における成長基盤の盤石化を図りました。 オセアニア事業については、飲料において、炭酸カテゴリーを中心に販売促進活動を積極的に展開することにより、市場における存在感の向上に努めました。酒類においては、『アサヒスーパードライ』や『Peroni Nastro Azzurro』などプレミアムビールを中心とした販売強化に加え、『アサヒスーパードライ』の瓶商品の現地製造を開始するなど、シナジーの拡大に向けて製造・販売体制を強化しました。 東南アジア事業については、マレーシアにおける『ワンダ』、『カルピス』や『Goodday』など、自社ブランドを中心に商品ラインアップを拡充するなど、ブランド力の強化に努めました。 中国事業については、『アサヒスーパードライ』や昨年から販売を開始した欧州プレミアムブランドの販売強化により、プレミアムビール市場における存在感の向上に取り組みました。
以上の結果、国際事業の売上収益は、前期に実施した中国事業子会社の持分法適用会社への一部移行や各地域での円高の影響などにより、前年同期比8.9%減の1,445億3千8百万円となりました。 事業利益については、円高の影響があったものの、欧州事業や東南アジア事業の増益などにより、前年同期比2.7%増の148億3千万円となりました(営業利益は前年同期比10.7%減の92億2千1百万円)。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前年同期比2.9%の減収、事業利益は前年同期比9.3%の増益となりました。
[その他事業]
その他の事業につきましては、売上収益は、前年同期比1.4%増の240億9千4百万円となりました。
事業損失については、前年同期比9千6百万円改善の5億4百万円となりました(営業損失は前年同期比5千1百万円改善の5億8千7百万円)。
セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。なお、当第1四半期連結累計期間より酒類事業に含まれていた輸出ビールの販売分について、報告セグメントの区分を国際事業に変更しており、国際事業に含まれていた一部の会社の報告セグメント区分を飲料事業に変更しております。また、事業利益の「調整額計」に含まれていた「IFRS調整額」を、各事業に配賦する開示方法に変更しております。以下の前年同期比較は前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
事業セグメント別の実績 (単位:百万円)
売上収益前年同期比事業利益前年同期比売上収益事業利益率営業利益前年同期比
酒類179,079△0.0%14,5465.2%8.1%14,1453.6%
飲料76,6674.5%3,061△10.7%4.0%2,539△15.8%
食品26,208△5.0%3,041△6.9%11.6%2,955△10.7%
国際144,538△8.9%14,8302.7%10.3%9,221△10.7%
その他24,0941.4%△504-△2.1%△587-
調整額計△21,210-△4,903--△4,991-
無形資産償却費--△5,276----
合計429,376△2.9%24,7943.0%5.8%23,283△6.1%

※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。
(2) 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間の連結総資産は、IFRS第16号「リース」※の適用により有形固定資産が増加したものの、季節要因を主因とした営業債権の減少等により、総資産は前年度末と比較して527億4千万円減少し、3兆265億7千4百万円となりました。
負債は、IFRS第16号「リース」※の適用によりその他の金融負債が増加したものの、季節要因を主因とした営業債務の減少等により、前年度末と比較して245億8千万円減少し、1兆9,050億8千7百万円となりました。
資本は、前年度末に比べ281億5千9百万円減少し、1兆1,214億8千7百万円となりました。これは、当第1四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上により利益剰余金が増加したものの、配当金支出により利益剰余金が減少したこと及び為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が減少したこと等によるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は37.0%となりました。
※詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 3 重要な会計
針」をご参照下さい。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益が220億6千8百万円となりましたが、減価償却費等の非資金損益項目による増加があった一方で、法人所得税等の支払いによる減少があり、236億5百万円(前年同期比:273億9千3百万円の支出増)の支出となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入があった一方で、有形固定資産の取得による支出により、131億7千万円(前年同期比:982億5千9百万円の支出増)の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の実行による金融債務の増加があり、279億9千1百万円(前年同期比:1,074億2千万円の収入増)の収入となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間末では、前第1四半期連結累計期間末と比較して現金及び現金同等物の残高は151億7千8百万円減少し、503億2千8百万円となりました。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、アサヒグループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は、26億8千4百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、アサヒグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。