四半期報告書-第69期第1四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/08/12 10:12
【資料】
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【項目】
34項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、極めて厳しい状況にあるものの、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待されています。
このような状況の中で、当社グループは、事業の根幹であるプロバイオティクスの啓発・普及活動を展開し、商品の優位性を訴求してきました。また、販売組織の拡充、新商品の研究開発や生産設備の更新に加え、国際事業や医薬品事業にも積極的に取り組み、業績の向上に努めました。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間の連結売上高は92,528百万円(前年同期比3.5%減)となりました。また、利益面におきましては、営業利益は11,046百万円(前年同期比10.7%増)、経常利益は17,710百万円(前年同期比29.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は11,419百万円(前年同期比32.3%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
・飲料および食品製造販売事業部門(日本)
国内における営業活動につきましては、全国的に新型コロナウイルス感染拡大による影響を受けましたが、商品の安定供給に努め、感染拡大防止策を講じながら活動を継続しました。
宅配チャネルにおいては、一部地域でヤクルトレディのお届けを休止しましたが、お客さま、従事者それぞれへの感染拡大防止に配慮しつつ、乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト400」シリーズおよび「Yakult(ヤクルト)1000」を中心にお届けを継続しました。
店頭チャネルにおいては、試飲宣伝による「価値普及」活動を自粛するなどの影響がありましたが、お客さまの健康維持の備えとして乳酸菌に対する期待が高まり、乳製品乳酸菌飲料「Newヤクルト」および「Newヤクルトカロリーハーフ」を中心に需要が増加しました。
一方、事業所やレジャー施設、交通等のマーケットで営業自粛、休業および消費者の外出自粛の影響を受け、自動販売機の売上が減少しました。
商品別では、3月にリニューアルしたはっ酵乳「ジョア」について、「SixTONES(ストーンズ)」を起用したテレビCMなどを展開し、ブランドの活性化を図りました。また、1月に九州地区で先行発売した乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト400W」については、6月までに販売地区を中国、四国、近畿、北陸、東海地区に拡大しました。さらに、栄養ドリンク「タフマン」シリーズについては、4月にリニューアルを実施し、ブランド活性化を図りました。
これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(日本)の連結売上高は、51,461百万円(前年同期比0.7%減)となりました。
・飲料および食品製造販売事業部門(海外)
海外につきましては1964年3月の台湾ヤクルト株式会社の営業開始をかわきりに、現在29の事業所および1つの研究所を中心に、39の国と地域で主として乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」の製造、販売を行っており、本年6月の一日当たり平均販売本数は約3,275万本となっています。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響は国・地域の感染拡大状況、各国政府・地方政府の事業制限指令等により異なりますが、それぞれ対策を講じ、行政機関の指示に従い、営業・生産活動を行っています。
ア.米州地域
米州地域においては、ブラジル、メキシコおよび米国で乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」などを製造、販売しています。
同地域では、宅配・店頭の両チャネルにおける販売体制強化を図り、売り上げの増大に努めました。
これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(米州地域)の連結売上高は11,544百万円(前年同期比8.4%減)となりました。
イ.アジア・オセアニア地域
アジア・オセアニア地域においては、香港、シンガポール、インドネシア、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、インド、ミャンマーおよび中国などで乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」などを製造、販売し、アラブ首長国連邦(UAE)などでは「ヤクルト」などを輸入販売しています。
中国においては、湖南省衡陽市に衡陽支店、安徽省蕪湖市に蕪湖支店、広東省肇慶市に肇慶支店を設立し、店頭チャネルでの「ヤクルト」および「ヤクルトライト」の販売を開始します。これにより、中国の販売拠点は49か所となります。
これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(アジア・オセアニア地域)の連結売上高は25,807百万円(前年同期比0.6%増)となりました。
ウ.ヨーロッパ地域
ヨーロッパ地域においては、乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」などをオランダで製造し、同国を含め、ベルギー、イギリス、ドイツ、オーストリアおよびイタリアなどで販売しています。
ヨーロッパにおいては、プロバイオティクスを普及するための活動に対する厳しい規制の中で、健康強調表示(ヘルスクレーム)の承認に向け、各種の取り組みを行っています。このような状況の中、各国事業所による市場特性に合った販売活動の展開により、持続的成長を目指しました。
これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(ヨーロッパ地域)の連結売上高は2,230百万円(前年同期比3.5%増)となりました。
・医薬品製造販売事業部門
医薬品につきましては、新型コロナウイルス感染拡大防止のため医療機関への訪問を自粛していますが、医療関係者のニーズに合わせてWeb会議等を活用し、がんおよびその周辺領域に特化した当社製品の啓発活動や適正使用を推奨する活動を推進しました。
当社の主力製品である抗悪性腫瘍剤「エルプラット」については、Web会議等を通じた情報提供やセミナーの開催などによりシェアの維持に努めました。後発医薬品へ切り替える医療機関が増加傾向にあるものの、先発医薬品を開発した当社の強みである情報提供力や医療関係者との信頼関係により、引き続き「エルプラット」を選択してもらうための活動を展開しました。また、後発医薬品の当社主力製品である代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤「ゲムシタビン『ヤクルト』」の販路拡大に加え、抗悪性腫瘍剤「カペシタビン錠『ヤクルト』」および「ゲフィチニブ錠『ヤクルト』」の速やかな市場浸透を図る活動を推進し、売り上げの増大に努めました。そのほか、日本セルヴィエ社と日本におけるプロモーション契約を締結した抗悪性腫瘍剤「オニバイド®」(イリノテカン塩酸塩水和物 リポソーム製剤)を6月に発売し、本剤の速やかな採用と市場浸透に向けた活動を推進しました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響および昨年10月と本年4月に実施された薬価改定において大半の当社製品の薬価が引き下げられたことにより、売り上げに影響を受けました。
一方、研究開発においては、ベラステム社(米国)と日本における開発および商業化に関する独占的ライセンス契約を締結したPI3K阻害剤「デュベリシブ」や、4SC社(ドイツ)から導入しているHDAC阻害剤「レスミノスタット」などの開発品目の臨床開発を推進しました。これらにより、今後、がんおよびその周辺領域において、さらなる強固な地位の確立を目指します。
これらの結果、医薬品製造販売事業部門の連結売上高は4,442百万円(前年同期比18.6%減)となりました。
・その他事業部門
その他事業部門には、化粧品の製造販売およびプロ野球興行などがあります。
化粧品につきましては、当社が創業以来培ってきた乳酸菌研究から生まれたオリジナル保湿成分「S.E.(シロタエッセンス)」の「価値普及」活動に重点をおき、お客さまの「内外美容」の実現と化粧品愛用者数の増大に努めました。
また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、一部エステサロンにおけるサービス提供の自粛などの影響を受けましたが、従事者およびお客さまの安全を最優先とする感染防止策を講じたうえで営業活動を継続しました。
具体的には、6月から基礎化粧品「ラクトデュウ」シリーズのブランド育成策および薬用歯みがき剤「ヤクルト 薬用アパコート S.E.⦅ナノテクノロジー⦆」の春季販売促進策を展開し、商品の継続愛用促進および売り上げの増大に努めました。
一方、プロ野球興行につきましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、開幕延期や無観客試合での興行など影響を受けています。今後、安心して観戦していただける環境づくりをはじめ、ファンの皆さまの期待に応えられるよう対応を図っていきます。
これらの結果、その他事業部門の連結売上高は4,139百万円(前年同期比5.5%減)となりました。
(注) 各セグメントの連結売上高には、セグメント間売上高が含まれています。また、セグメント別売上高
には、消費税等は含まれていません。
当第1四半期連結会計期間末の総資産は609,163百万円(前連結会計年度末比18,707百万円の減少)となりました。
純資産は398,823百万円(前連結会計年度末比13,259百万円の減少)となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益等により利益剰余金が増加したものの、円高により為替換算調整勘定が減少したためです。
また、自己資本比率は60.0%(前連結会計年度末から0.5%増)となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は1,983百万円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 従業員数
当第1四半期連結累計期間において、連結会社または提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(6) 生産、受注及び販売の実績
当第1四半期連結累計期間において、生産、受注および販売実績の著しい変動はありません。
(7) 主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動および主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。