有価証券報告書-第68期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/25 9:59
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【項目】
156項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、世界経済の変動の影響や消費税率引き上げ後の消費マインドの動向に留意する必要があるものの、所得環境の改善が続くなかで、景気は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、2020年1月以降、感染が拡大している新型コロナウイルス感染症の影響により、先行きは厳しい状況が続くと見込まれています。
このような状況の中で、当社グループは、事業の根幹であるプロバイオティクスの啓発・普及活動を展開し、商品の優位性を訴求してきました。また、販売組織の拡充、新商品の研究開発や生産設備の更新に加え、国際事業や医薬品事業にも積極的に取り組み、業績の向上に努めました。
この結果、当連結会計年度の連結売上高は406,004百万円(前期比0.2%減)となりました。利益面においては、営業利益は45,675百万円(前期比0.4%減)、経常利益は58,478百万円(前期比2.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は39,735百万円(前期比13.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
・飲料および食品製造販売事業部門(日本)
乳製品につきましては、当社独自の「乳酸菌 シロタ株」や「ビフィズス菌 BY株」などの科学性を広く普及するため、エビデンスを活用し、地域に根ざした「価値普及」活動を積極的に展開しました。
宅配チャネルにおいては、乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト400」および「ヤクルト400LT」の飲用促進を図りました。また、インターネット注文サービス「ヤクルト届けてネット」の広告展開を実施することで新たなお客さまとの接点づくりを強化しました。さらに、宅配組織の強化を図るため、ヤクルトレディの働く環境整備を推進するとともに、採用活動を積極的に実施しました。
店頭チャネルにおいては、乳製品乳酸菌飲料「Newヤクルト」および「Newヤクルトカロリーハーフ」を中心に、プロモーションスタッフの試飲宣伝による「価値普及」活動を推進しました。また、昨年10月に「Newヤクルトカロリーハーフ」のデザインリニューアルを実施し、店頭での視認性向上を図り、売り上げの増大に努めました。
商品別では、一時的な精神的ストレスがかかる状況での「ストレス緩和」「睡眠の質向上」の機能がある乳製品乳酸菌飲料「Yakult(ヤクルト)1000」を昨年10月に関東1都6県で先行発売し、広告展開と連動した飲用促進活動を実施しました。また、本年1月には、基幹商品である「ヤクルト400」のシリーズ品として「乳酸菌 シロタ株」と腸内の乳酸菌を増やす「ガラクトオリゴ糖」を一緒に摂ることができる乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト400W」を九州地区限定で先行発売しました。
一方、清涼飲料につきましては、「Tough-Man Refresh(タフマン リフレッシュ)」において広告展開と連動した消費者キャンペーンを実施するなど、「タフマン」シリーズをはじめとした健康飲料を中心に売り上げの増大を図りました。
このような取り組みを中心に販売強化に努めたものの、前年を下回る実績で推移しました。
これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(日本)の連結売上高は209,380百万円(前期比2.6%減)となりました。
・飲料および食品製造販売事業部門(海外)
海外につきましては、1964年3月の台湾ヤクルト株式会社の営業開始をかわきりに、現在29の事業所および1つの研究所を中心に、39の国と地域で主として乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」の製造、販売を行っており、本年3月の一日当たり平均販売本数は約3,061万本となっています。
ア.米 州 地 域
米州地域においては、ブラジル、メキシコおよび米国で乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」などを製造、販売しています。
米国においては、昨年7月に米国東部での営業を開始し、販売対象エリアを米国全土に拡大しました。
これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(米州地域)の連結売上高は48,746百万円(前期比0.3%減)となりました。
イ.アジア・オセアニア地域
アジア・オセアニア地域においては、香港、シンガポール、インドネシア、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、インド、ミャンマーおよび中国などで乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」などを製造、販売し、アラブ首長国連邦(UAE)などでは「ヤクルト」などを輸入販売しています。
中国においては、昨年6月に中国全体での販売拠点を46か所に拡大し、さらなる販売体制の強化を図りました。また、今後の販売地域拡大および市場深耕による需要増加に対応するため、無錫第2工場(無錫ヤクルト株式会社)の建設開始の準備を進めています。
ミャンマーにおいては、昨年8月に「ヤクルト」の製造、販売を開始しました。
これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(アジア・オセアニア地域)の連結売上高は122,317百万円(前期比1.3%増)となりました。
ウ.ヨーロッパ地域
ヨーロッパ地域においては、乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」などをオランダで製造し、同国を含め、ベルギー、イギリス、ドイツ、オーストリアおよびイタリアなどで販売しています。
ヨーロッパにおいては、プロバイオティクスを普及するための活動に対する厳しい規制の中で、健康強調表示(ヘルスクレーム)の承認に向け、各種の取り組みを行っています。このような状況の中、各国事業所による市場特性に合った販売活動の展開により、持続的成長を目指しました。
これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(ヨーロッパ地域)の連結売上高は7,940百万円(前期比8.4%減)となりました。
・医薬品製造販売事業部門
医薬品につきましては、がんおよびその周辺領域に特化した当社製品の啓発活動や適正使用を推奨する活動を推進しました。
当社の主力製品である抗悪性腫瘍剤「エルプラット」については、医療関係者を対象とした講演会などを積極的に開催し、シェアの維持に努めました。後発医薬品へ切り替える医療機関が増加傾向にあるものの、先発医薬品を開発した当社の強みである情報提供力や医療関係者との信頼関係により、引き続き「エルプラット」を選択してもらうための活動を展開しました。また、後発医薬品の当社主力製品である代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤「ゲムシタビン『ヤクルト』」などの販路拡大に努めました。そのほか、昨年6月に発売した抗悪性腫瘍剤「カペシタビン錠『ヤクルト』」および「ゲフィチニブ錠『ヤクルト』」の速やかな市場浸透を図る活動を推進し、売り上げの増大に努めました。しかしながら、消費税率引き上げに伴って実施された薬価基準改定により、大半の当社製品の薬価が引き下げられ、売り上げに影響を受けました。また、昨年10月に日本セルヴィエ社と日本におけるプロモーション契約を締結した抗悪性腫瘍剤「オニバイド®」(イリノテカン塩酸塩水和物 リポソーム製剤)については、同社が本年3月に製造販売承認を取得しました。
一方、研究開発においては、ベラステム社(米国)と日本における開発および商業化に関する独占的ライセンス契約を締結したPI3K阻害剤「デュベリシブ」や、4SC社(ドイツ)から導入しているHDAC阻害剤「レスミノスタット」などの開発品目の臨床開発を推進しました。これらにより、今後、がんおよびその周辺領域において、さらなる強固な地位の確立を目指します。
これらの結果、医薬品製造販売事業部門の連結売上高は19,670百万円(前期比9.3%減)となりました。
・その他事業部門
その他事業部門には、化粧品の製造販売およびプロ野球興行などがあります。
化粧品につきましては、当社が創業以来培ってきた乳酸菌研究から生まれたオリジナル保湿成分「S.E.(シロタエッセンス)」の「価値普及」活動に重点をおき、お客さまの「内外美容」の実現と化粧品愛用者数の増大に努めました。
具体的には、昨年7月に保湿効果の高い基礎化粧品「ラクトデュウ」シリーズをリニューアル発売するとともに、テレビCMの放映をはじめとする積極的な広告展開により商品の認知率向上に努めました。また、昨年11月には「パラビオ ACスペシャルプログラム セット」を、本年3月には薬用美白美容液「クリスタンス ホワイトリペア エッセンス」をそれぞれ発売し、お客さま満足度の向上と売り上げの増大に努めました。
これらにより、化粧品全体としては、前期を上回る実績となりました。
一方、プロ野球興行につきましては、神宮球場において各種イベントやさまざまな情報発信を行うなど、積極的なファンサービスに取り組んだ結果、入場者数が増加しました。
これらの結果、その他事業部門の連結売上高は22,911百万円(前期比2.1%増)となりました。
(注)各セグメントの連結売上高には、セグメント間売上高が含まれています。また、セグメント別売上高
には、消費税等は含まれていません。
当連結会計年度末の総資産は627,871百万円(前連結会計年度末比9,338百万円の増加)となりました。
純資産は412,082百万円(前連結会計年度末比19,803百万円の増加)となりました。主な要因は、株価下落によるその他有価証券評価差額金の減少や、円高による為替換算調整勘定の減少があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が増加したためです。
また、自己資本比率は59.5%(前連結会計年度末比1.7ポイントの増加)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ21,389百万円増加し、124,561百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が前期と比較し2,926百万円増加していますが、その主な増加要因はキャッシュの増加を伴わない減損損失の減少や持分法投資利益の増加などによるものです。なお、売上高は前期並みでその他の営業キャッシュ・フロー項目には大きな増減がなかったため、前期と比較し666百万円の増加に留まりました。その結果、営業活動によるキャッシュ・フローは62,791百万円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期と比較し定期預金(期間3ヵ月超)への預け入れに比べ払戻しが多かったことに加え、海外での設備投資が減少したこと等により、支出額が20,951百万円減少しました。その結果、投資活動によるキャッシュ・フローは△16,060百万円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、1株当たりの配当金を増やし配当金の支払い額が1,596百万円増加したこと等により、支出額が2,650百万円増加しました。その結果、財務活動によるキャッシュ・フローは、△25,631百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
ア.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
飲料および食品製造販売事業(日本)136,7362.0
飲料および食品製造販売事業(米州)48,770△0.3
飲料および食品製造販売事業(アジア・オセアニア)123,0531.4
飲料および食品製造販売事業(ヨーロッパ)7,915△9.1
医薬品製造販売事業12,699△11.9
その他事業10,7063.0
合計339,8810.6

(注) 1 金額は販売価格によっています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
イ.受注実績
当社グループは、受注生産は行っていません。
ウ.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
飲料および食品製造販売事業(日本)186,682△0.1
飲料および食品製造販売事業(米州)48,746△0.3
飲料および食品製造販売事業(アジア・オセアニア)122,3171.3
飲料および食品製造販売事業(ヨーロッパ)7,940△8.4
医薬品製造販売事業19,670△9.3
その他事業20,6462.8
合計406,004△0.2

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しています。
3 セグメント間の取引については相殺消去しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
ア.財政状態
当連結会計年度の自己資本比率は59.5%と前連結会計年度の57.8%から1.7ポイント増加しました。
非支配株主持分を含めた純資産額は、前期比5.0%、198億円増加しました。主な要因は、株価下落によるその他有価証券評価差額金の減少や、円高による為替換算調整勘定の減少があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が増加したためです。
また、当連結会計年度の自己資本利益率(ROE)は10.9%と前連結会計年度の9.8%から1.1ポイント増加しました。総資産経常利益率(ROA)は9.4%と前連結会計年度の9.2%から0.2ポイント増加しました。
有利子負債の短期借入金については、主に当社および海外子会社の返済により73億円減少しました。また、1年内返済予定を含む長期借入金についても、主に当社の返済により、57億円減少しました。この結果、有利子負債依存度(有利子負債÷総資産)は18.1%と前連結会計年度の19.8%から1.7ポイント減少しています。また、有利子負債対自己資本比率は30.5%と前連結会計年度の34.2%から3.7ポイント減少しています。
なお、財政状態は依然として堅固な状態が続いています。
イ.売上高
売上高は前連結会計年度から10億円減収(前期比0.2%減)の4,060億円となりました。飲料および食品製造販売事業部門(日本)では、55億円の減収(前期比2.6%減)、飲料および食品製造販売事業部門(海外)では、6億円の増収(同0.4%増)、医薬品製造販売事業部門では、20億円の減収(同9.3%減)、その他事業部門では、4億円の増収(同2.1%増)となりました。事業部門別の調整額控除前の売上高構成比は、飲料および食品製造販売事業部門(日本)が48.6%(前連結会計年度は49.1%)、飲料および食品製造販売事業部門(海外)が41.5%(同40.8%)、医薬品製造販売事業部門が4.6%(同5.0%)、その他事業部門が5.3%(同5.1%)となっています。飲料および食品製造販売事業部門(日本)が減収となった主な要因は、前期の生産機器売上増加の反動による減少があったためです。また、飲料および食品製造販売事業部門(海外)が増収となった主な要因は、アジアを中心とした販売本数増加に加え、価格改定効果もあったためです。医薬品製造販売事業部門が減収となった主な要因は、昨年10月に実施された薬価基準改定により、大半の当社製品の薬価が引き下げられたためです。
また、日本からの輸出を含めた海外売上高は前連結会計年度から0.5%増の1,815億円となり、海外売上高比率は44.7%と前連結会計年度の44.4%から0.3ポイント増加しました。
ウ.売上原価、販売費及び一般管理費およびその他収益(費用)
売上原価は1,713億円となり、前連結会計年度から0.2%増加しています。売上総利益は2,346億円となり、前連結会計年度に比べ0.5%減となりました。売上高売上総利益率は57.8%と前連結会計年度の58.0%から0.2ポイント減少しました。
販売費及び一般管理費は1,889億円と前連結会計年度から11億円減少しました。主な要因は、飲料および食品製造販売事業部門(海外)の事業拡大に伴う人件費の増加があったものの、医薬品製造販売事業部門において研究開発費が減少したことよるものです。
この結果、営業利益は456億円と前連結会計年度から1億円の減益(前期比0.4%減)となりました。事業部門別の調整額控除前の営業利益構成比は、飲料および食品製造販売事業部門(日本)が28.5%(前連結会計年度は25.9%)、飲料および食品製造販売事業部門(海外)が69.6%(同75.0%)、医薬品製造販売事業部門が△1.3%(同△2.8%)、その他事業部門が3.2%(同1.9%)となっており、増益であった飲料および食品製造販売事業部門(日本)の構成比が増加しました。
営業外収益は147億円と前連結会計年度から18億円増加しました。主な要因は、持分法による投資利益の増加によるものです。
営業外費用は19億円と前連結会計年度から3億円増加しました。
特別利益は27億円と前連結会計年度から7億円減少しました。
特別損失は24億円と前連結会計年度から22億円減少しました。主な要因は、前期に医薬品事業で減損損失を計上したためです。
税金費用は前連結会計年度から17億円減少しました。主な要因は、海外子会社において税効果会計により法人税等調整額が減少したためです。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は397億円と前連結会計年度から48億円の増益(前期比13.7%増)となりました。売上高当期純利益率は9.8%と前連結会計年度の8.6%から1.2ポイント増加しました。
エ.為替の影響
為替レートの変動による影響は、当連結会計年度の売上高では67億円の減収、営業利益では14億円の減益と試算されました。ただし、この試算は、在外子会社の現地通貨建ての売上高、売上原価、販売費及び一般管理費に、前連結会計年度の各在外子会社における期中平均レートを適用して算出したものであり、為替変動に対応した販売価格等の影響は考慮していません。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
ア.資金調達および資金の主要な使途
当社グループは事業活動の維持拡大に必要な資金を確保するため、内部資金および金融機関からの借入を活用しています。
当社においては安定的、効率的に資金調達を行うため、国内金融機関6行と総額600億円の貸出コミットメント契約を締結しています。国内子会社については、主として資金調達をグループのキャッシュ・マネジメント・サービスを活用することにより、資金調達の一元化および効率化を図っています。結果として当連結会計年度末の有利子負債(長期・短期借入金)の9割以上が当社による調達となっています。
また、保有資金については、主に事業拡大のための設備投資、新商品開発のための研究開発および株主還元に活用しています。
イ.資金の流動性
当社グループは事業活動を円滑に行うため、安全性、安定性を考慮し手許資金を確保しています。当連結会計年度末の短期有利子負債362億円に対し、現預金は1,756億円となっており、流動性において十分な安全性を確保しています。また、余資については、安全性の高い短期的な預金等に限定して運用し、資金運用を目的とした投機的な取引は行わない方針です。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたっては、作成時点で入手している情報に基づき、合理的と考えられる見積りおよび仮定を用いていますが、見積り特有の不確実性があるため実際の結果は異なる可能性があります。
作成にあたり用いた見積りおよび仮定のうち、重要なものと認識している項目は以下のとおりです。
ア.固定資産の減損
当社グループは、主要な事業である飲料および食品製造販売事業部門において、日本を除く39の国と地域で乳製品乳酸菌飲料を販売しており、その製造拠点として17の国と地域で27工場を建設、稼働し、生産設備を有しています。固定資産の減損に係る回収可能性の評価は、原則として製造拠点ごとにグルーピングを行い、減損損失の認識の判定を行っています。
当連結会計年度において、飲料および食品製造販売事業部門では固定資産の減損損失を計上すべき事象は発生していませんが、今後、国によっては政治的あるいは経済的な外部環境の変化等により、計画していた将来キャッシュ・フローを獲得できず、当該製造拠点グループの固定資産簿価相当額を限度とした減損損失を計上する可能性があります。
イ.退職給付債務の算定
当社グループは、主に確定給付型の退職給付制度を採用しているため、退職給付債務および退職給付費用の計算にあたっては、割引率、長期期待運用収益率等の数理計算上の仮定を用いて算定しています。
仮定した各数値が、将来の経済状況の変動等により大きく見直された場合、退職給付債務や退職給付費用に大きな影響を与える可能性があります。
④ 経営方針・経営戦略の達成状況
当連結会計年度は、連結売上高4,060億円(当社業績予想4,090億円に対して29億円減)、連結営業利益456億円(同460億円に対して3億円減)となりました。この結果、当社中期経営計画「Yakult Vision 2020 第3フェーズ計画」の連結売上高目標4,540億円に対し、3年目の進捗状況としては479億円の差、連結営業利益目標570億円に対しては同113億円の差となりました。
新型コロナウィルス感染拡大に伴う事業活動への制約や世界経済の先行き見通しへの不安からくる消費低迷の可能性など、外部環境の厳しさはありますが、「Yakult(ヤクルト)1000」をはじめとする日本国内での高付加価値商品の販売拡大や海外における市場深耕・事業展開拡大など、当社の企業理念に基づいた長期ビジョンの戦略展開を継続推進していきます。