訂正有価証券報告書-第178期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営成績
当連結会計年度の当社グループの売上高は、分譲事業が好調であった不動産事業は大幅な増収となりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)による影響を受けたマイクロデバイス事業、ブレーキ事業、精密機器事業および繊維事業が減収となったこと等により457,051百万円(前年同期比52,609百万円減、10.3%減)となりました。
営業利益は、売上減少等により1,248百万円(前年同期比5,234百万円減、80.7%減)となり、経常利益も、持分法による投資利益の減少や為替差損等の要因により3,466百万円(前年同期比8,237百万円減、70.4%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益や固定資産売却益等の特別利益の増加に加え、減損損失等の特別損失が減少したことにより13,540百万円(前年同期比20,144百万円改善)となりました。
事業セグメントの業績は下記のとおりです。セグメント利益またはセグメント損失は営業利益または営業損失ベースの数値です。
(無線・通信事業)
ソリューション・特機事業は、コロナ禍による海外案件の工期延期や航空・気象システムの大型案件一巡等があったものの、水・河川システムが好調に推移するなど防災・減災に資する官公需は底堅く推移したことで売上は前年同期並みとなり、外注加工費等の費用減も進んだことで増益となりました。
マリンシステム事業は、船舶の建造隻数減少に伴う商船新造船向け機器の価格競争激化による売上減に加え、コロナ禍による社会経済活動停滞と稼働船舶減少に伴う海外中小型船向け機器や換装向け機器の売上減により減収となりましたが、費用減により損失縮小となりました。
通信機器事業は、コロナ禍の影響で車載関連製品の売上が減少したことにより減収・減益となりました。
ICT(※1)・メカトロニクス事業(旧メカトロニクス・電源事業、2020年1月1日より名称変更。)は、2019年7月に連結子会社化したNJコンポーネント㈱による売上寄与がありましたが、コロナ禍の影響により欧米市場向けメカトロニクス機器の売上が減少したため減収・減益となりました。※1 ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)
その結果、無線・通信事業全体では、売上高144,312百万円(前年同期比5.2%減)、セグメント利益2,575百万円(前年同期比37.2%減)となりました。
なお、日本無線㈱の通信機器事業に関しては、JRCモビリティ㈱へ事業移管を段階的に進めました。2020年1月にGPS受信機やETC車載器等を扱うITS(※2)事業の移管を終え、2021年1月には業務用無線等の事業を移管します。事業の受け手であるJRCモビリティ㈱は、2020年4月に大手自動車メーカーの車載機器の開発支援を行っているドイツの現地法人RBI GmbHおよびLEAS GmbHを取得し、戦略的事業領域である「モビリティ」領域の事業拡大・成長を見据えています。これら組織再編により、日本無線㈱の通信機器事業は発展的に解消し、2021年よりJRCモビリティ㈱を主管会社とするモビリティ事業とする予定です。※2 ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)
(マイクロデバイス事業)
主力の電子デバイス事業は、家庭用ゲーム機やイヤフォン等において巣ごもり需要が発生したことからアミューズメント関連製品の売上は増加しましたが、コロナ禍に起因する各国のロックダウン等により顧客が工場の稼働を停止するなどサプライチェーンの機能不全が発生した影響を受け、車載用製品、コンシューマ関連製品および通信関連製品の売上は減少したことにより、減収・減益となりました。
マイクロ波事業は、マリンレーダ関連の補用部品やセンサー関連製品は堅調に推移したものの、衛星通信関連製品の受託生産の終了等により減収・減益となりました。
その結果、マイクロデバイス事業全体では、売上高61,140百万円(前年同期比6.3%減)、セグメント損失3,895百万円(前年同期比4,151百万円悪化)となりました。
(ブレーキ事業)
ブレーキ事業が大きく影響を受けるグローバルの自動車生産台数は、コロナ禍により前年比で大きく落ち込む結果となりました。特に当連結会計年度前半は各国のロックダウンや顧客の稼働停止といった事態が発生しました。年央より中国市場において改善が見られたものの、その他の国や地域はコロナ禍からの回復状況が異なります。依然、コロナ禍による影響は続いており、サプライチェーンの維持が課題となっています。
このような状況下、国内、米国、韓国およびタイ子会社は減収・減益となりました。中国では販売好調であった日系カーメーカーを主な顧客とする子会社が、コロナ禍から早期に回復するとともに新規ビジネスも受注し増収・増益となりました。欧州を中心とするTMD社は、新車組付用摩擦材、アフターマーケット向け摩擦材ともにコロナ禍による影響を受け減収となりましたが、年央以降のアフターマーケットの販売回復、経費削減活動、原価改善活動の成果により損失が縮小しています。
その結果、ブレーキ事業全体では、売上高114,826百万円(前年同期比12.6%減)、セグメント損失2,289百万円(前年同期比1,050百万円改善)となりました。
(精密機器事業)
自動車用精密部品は、コロナ禍による顧客の操業停止や生産調整等により減収・減益となりました。空調機器向け製品等を扱う成形品は、前年同期の一時的な需要増の反動や家電関連顧客からの受注減に加え、コロナ禍による顧客の操業停止や生産調整等により減収・減益となりました。
その結果、精密機器事業全体では、売上高51,419百万円(前年同期比21.4%減)、セグメント損失948百万円(前年同期比1,827百万円悪化)となりました。
(化学品事業)
断熱製品はコロナ禍による市況低迷の影響で減収となりましたが、経費削減や高採算製品の売上増により前年同期並みの利益となりました。機能化学品は環境配慮型製品である粉状改質剤の売上増により増収・増益となり、燃料電池用カーボンセパレータも海外定置用や車載用試作品の売上増により増収・増益となりました。
その結果、化学品事業全体では、売上高9,577百万円(前年同期比2.0%増)、セグメント利益1,811百万円(前年同期比9.8%増)となりました。
(繊維事業)
国内は、医療マスク用モビロンテープの販売は増加したものの、ビジネス衣料品需要の減退によりシャツ用生地の販売が落ち込んだことや、東京シャツ㈱が新型コロナウイルス感染症拡大防止のための店舗の一時閉鎖や営業時間短縮によって、再開後も都心部を中心に販売が低迷したこと等により減収・減益となりました。海外も、販売の落ち込みにより減収・減益となりました。
その結果、繊維事業全体では、売上高33,957百万円(前年同期比31.4%減)、セグメント損失812百万円(前年同期比1,849百万円悪化)となりました。
(不動産事業)
賃貸事業は前連結会計年度において大型商業施設用建物(愛知県)を販売したことにより減収・減益となりましたが、分譲事業は東京都三鷹市のマンション販売を開始したことに加え、愛知県岡崎市の宅地販売により大幅な増収・増益となりました。
その結果、不動産事業全体では、売上高20,279百万円(前年同期比74.0%増)、セグメント利益11,511百万円(前年同期比41.0%増)となりました。
(その他)
ニッシントーア・岩尾㈱(食品、産業資材等の商社機能)等の事業を、その他として区分しています。
その他の売上高は21,538百万円(前年同期比13.3%減)、セグメント利益は248百万円(前年同期比435百万円改善)となりました。
(注)上記金額に消費税等は含まれていません。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりです。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 金額は製造原価により算出しています。
2 不動産事業は生産活動を行っていないため、上記金額には含まれていません。
3 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
②受注状況
無線・通信事業、マイクロデバイス事業及び精密機器事業のうち、一部の製品において受注生産を行っています。当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が総販売実績の10%未満のため記載を省略しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)財政状態
当連結会計年度末における総資産は581,204百万円となり、前連結会計年度末と比較し36,323百万円減少しました。
現金及び預金の増加12,996百万円、受取手形及び売掛金の減少11,148百万円、たな卸資産の減少5,502百万円、その他(流動資産)の減少2,346百万円、有形固定資産の減少5,938百万円、投資有価証券の減少24,996百万円などが主な要因です。
当連結会計年度末における負債総額は339,136百万円となり、前連結会計年度末と比較し25,855百万円減少しました。
支払手形及び買掛金の減少2,117百万円、短期借入金の減少11,301百万円、その他(流動負債)の減少3,191百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)の減少2,422百万円、繰延税金負債の減少6,738百万円などが主な要因です。
当連結会計年度末における純資産は242,067百万円となり、前連結会計年度末と比較し10,467百万円減少しました。
利益剰余金の増加8,548百万円、その他有価証券評価差額金の減少13,788百万円、為替換算調整勘定の減少4,967百万円などが主な要因です。
以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は前連結会計年度末と比較し0.8ポイント上昇して39.4%となりました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は48,699百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,430百万円増加しました。
各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は42,590百万円となり、前連結会計年度に比べ16,340百万円資金流入が増加しました。これは主として、税金等調整前当期純利益の増加、減損損失の減少、投資有価証券売却益の増加および売上債権の減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は6,321百万円となり、前連結会計年度に比べ15,437百万円資金流出が減少しました。これは主として、定期預金の預入による支出の増加、投資有価証券の売却による収入の増加および連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の増加によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は24,230百万円となり、前連結会計年度に比べ14,165百万円資金流出が増加しました。これは主として、短期借入金の純増減額の増加、長期借入金の返済による支出の増加および自己株式の取得による支出の減少によるものです。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)1 自己資本比率:(純資産-新株予約権-非支配株主持分)/総資産
時価ベ-スの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
①各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。
②株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
③営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロ-計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象にしています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
2 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を2018年12月期の期首から適用しており、2018年3月期に係るキャッシュ・フロー関連指標については、当該会計基準を遡って適用した後の指標となっています。
3 2018年12月期は、決算期変更に伴い変則的な決算となっています。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①財務戦略
当社グループは、持続的な企業価値の向上を目指し、重点事業領域での成長投資を積極的に実行しつつ、連結配当性向30%程度を目安に、安定的かつ継続的な株主還元を行うことを財務戦略の基本方針としています。当社グループでは、中長期的な投資とリスクに備え、財務健全性を維持しながら、資本生産性を重視した経営を推進し、2025年ROE12%達成を長期目標に掲げるほか、ROICを重要な社内管理指標として導入し、投資の効率化(運転資本の圧縮)と固定資産(土地や有価証券)の流動化を進め、自律的な企業成長を目指します。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に債務依存を高める可能性がありますが、その場合でも中長期的には資金調達構造を見直し株主資本比率の水準を40%程度に保ち、強固な財務体質の維持に努めます。
②資金調達の方針と流動性の分析
当社グループの運転資金や成長投資等の必要資金については、主として営業キャッシュ・フローを財源としていますが、必要に応じて有利子負債を効果的に活用し資本効率の向上を図っています。主に短期的な資金についてはコミットメントライン等の短期銀行借入やコマーシャル・ペーパーによる調達を、設備投資、M&A投資等の長期的な資金については、金融市場動向や長短バランスなどを総合的に勘案し、適宜長期銀行借入を組成しています。
また、当社グループは、ガバナンス強化と資金効率向上を目的として、グループ一体となった資金調達と資金管理を実施しており、当社と国内子会社間、また海外の一部地域の関係会社間でCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)やグループローンによる資金融通を行ない、グループ内の流動性確保と資本コストの低減に努めています。
重要な資本的支出の予定及び資金の調達方法については、「第3設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
資金の流動性については、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化するリスクも勘案し、当連結会計年度において、当社は主要銀行とのコミットメントライン契約を5,000百万円増額し30,000百万円で更改しました。その他、当座貸越枠、コマーシャル・ペーパーも引き続き十分な調達枠を維持しており、必要とされる流動性を確保しています。
また、政策保有株式については、コーポレートガバナンス・ポリシーに基づき計画的に縮減していきますが、柔軟且つ機動的な売却の意思決定により、資金の流動性を補完することも可能です。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。海外子会社については、IFRS(国際財務報告基準)及び米国会計基準に準拠して作成され、現地監査法人の監査を受けた上で必要な調整を反映させています。
この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(たな卸資産)
主として個別法及び総平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)により評価しており、市場価格が簿価を下回る場合は評価損を計上しています。また、一定の保有期間を超えるたな卸資産を滞留もしくは陳腐化しているとみなし評価損を計上しています。市場価格が予測より悪化して正味売却価額が著しく悪化した場合、将来において追加の評価損の計上が必要となる可能性があります。
(有形固定資産及び無形固定資産)
のれんを含む固定資産について、事業の種類を基礎に、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位を識別し、資産のグルーピングを行っています。資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。なお、資産グループの回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い価額としています。将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生することにより損益に影響を及ぼす可能性があります。
(投資有価証券)
当社所有の投資有価証券は金融商品会計基準に基づき時価評価を行っています。減損処理にあたっては、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には、原則として減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っています。また、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券の減損処理にあたっては、財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っています。従って、将来の株式市場や投資先の業績動向により、これらの有価証券及び投資有価証券の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(繰延税金資産)
繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、あるいは税率変動等を含む各国税制の変更等があった場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上されることにより、損益に影響を及ぼす可能性があります。
(退職給付費用及び債務)
従業員の退職給付費用及び債務は、割引率、退職率、死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等を含む前提条件に基づいて算出しています。前提条件と実際の結果が異なる場合や前提条件が変更された場合、又は法改正や退職給付制度の変更があった場合、将来の退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う会計上の見積りについては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(追加情報)」に記載しております。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
(7)次期の業績見通し
2021年12月期も、主力のモビリティ分野を中心に経営資源を重点的に配分し、成長戦略を遂行します。
無線・通信事業では、主軸の公共事業向けソリューション・特機事業が引き続き堅調に推移していることに加え、マリンシステム事業の再建にも目処をつけました。マイクロデバイス事業では、2020年12月期第4四半期以降、業績の反転基調が顕著になってきています。なお、2021年1月8日発表のとおり、アナログソリューションプロバイダとしてのさらなる成長・発展を目指し、新日本無線㈱およびリコー電子デバイス㈱の両社を2022年1月に統合する予定です。また、ブレーキ事業では、半導体の供給問題を背景に自動車メーカーの新車生産台数の動向が懸念されていますが、環境規制に対応した銅レス・銅フリー摩擦材の受注は好調に推移しています。また、TMD社は主力のアフターマーケット向け摩擦材の業績回復が軌道に乗ってきています。
新型コロナウイルス感染症の収束の見通しについては不透明な状況が続きますが、次期の業績見通しは、売上高504,000百万円、営業利益6,800百万円、経常利益10,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,000百万円となる見込みです。なお、為替レートは通期平均で1米ドル=105円、1ユーロ=120円を前提としています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営成績
当連結会計年度の当社グループの売上高は、分譲事業が好調であった不動産事業は大幅な増収となりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)による影響を受けたマイクロデバイス事業、ブレーキ事業、精密機器事業および繊維事業が減収となったこと等により457,051百万円(前年同期比52,609百万円減、10.3%減)となりました。
営業利益は、売上減少等により1,248百万円(前年同期比5,234百万円減、80.7%減)となり、経常利益も、持分法による投資利益の減少や為替差損等の要因により3,466百万円(前年同期比8,237百万円減、70.4%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益や固定資産売却益等の特別利益の増加に加え、減損損失等の特別損失が減少したことにより13,540百万円(前年同期比20,144百万円改善)となりました。
事業セグメントの業績は下記のとおりです。セグメント利益またはセグメント損失は営業利益または営業損失ベースの数値です。
(無線・通信事業)
ソリューション・特機事業は、コロナ禍による海外案件の工期延期や航空・気象システムの大型案件一巡等があったものの、水・河川システムが好調に推移するなど防災・減災に資する官公需は底堅く推移したことで売上は前年同期並みとなり、外注加工費等の費用減も進んだことで増益となりました。
マリンシステム事業は、船舶の建造隻数減少に伴う商船新造船向け機器の価格競争激化による売上減に加え、コロナ禍による社会経済活動停滞と稼働船舶減少に伴う海外中小型船向け機器や換装向け機器の売上減により減収となりましたが、費用減により損失縮小となりました。
通信機器事業は、コロナ禍の影響で車載関連製品の売上が減少したことにより減収・減益となりました。
ICT(※1)・メカトロニクス事業(旧メカトロニクス・電源事業、2020年1月1日より名称変更。)は、2019年7月に連結子会社化したNJコンポーネント㈱による売上寄与がありましたが、コロナ禍の影響により欧米市場向けメカトロニクス機器の売上が減少したため減収・減益となりました。※1 ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)
その結果、無線・通信事業全体では、売上高144,312百万円(前年同期比5.2%減)、セグメント利益2,575百万円(前年同期比37.2%減)となりました。
なお、日本無線㈱の通信機器事業に関しては、JRCモビリティ㈱へ事業移管を段階的に進めました。2020年1月にGPS受信機やETC車載器等を扱うITS(※2)事業の移管を終え、2021年1月には業務用無線等の事業を移管します。事業の受け手であるJRCモビリティ㈱は、2020年4月に大手自動車メーカーの車載機器の開発支援を行っているドイツの現地法人RBI GmbHおよびLEAS GmbHを取得し、戦略的事業領域である「モビリティ」領域の事業拡大・成長を見据えています。これら組織再編により、日本無線㈱の通信機器事業は発展的に解消し、2021年よりJRCモビリティ㈱を主管会社とするモビリティ事業とする予定です。※2 ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)
(マイクロデバイス事業)
主力の電子デバイス事業は、家庭用ゲーム機やイヤフォン等において巣ごもり需要が発生したことからアミューズメント関連製品の売上は増加しましたが、コロナ禍に起因する各国のロックダウン等により顧客が工場の稼働を停止するなどサプライチェーンの機能不全が発生した影響を受け、車載用製品、コンシューマ関連製品および通信関連製品の売上は減少したことにより、減収・減益となりました。
マイクロ波事業は、マリンレーダ関連の補用部品やセンサー関連製品は堅調に推移したものの、衛星通信関連製品の受託生産の終了等により減収・減益となりました。
その結果、マイクロデバイス事業全体では、売上高61,140百万円(前年同期比6.3%減)、セグメント損失3,895百万円(前年同期比4,151百万円悪化)となりました。
(ブレーキ事業)
ブレーキ事業が大きく影響を受けるグローバルの自動車生産台数は、コロナ禍により前年比で大きく落ち込む結果となりました。特に当連結会計年度前半は各国のロックダウンや顧客の稼働停止といった事態が発生しました。年央より中国市場において改善が見られたものの、その他の国や地域はコロナ禍からの回復状況が異なります。依然、コロナ禍による影響は続いており、サプライチェーンの維持が課題となっています。
このような状況下、国内、米国、韓国およびタイ子会社は減収・減益となりました。中国では販売好調であった日系カーメーカーを主な顧客とする子会社が、コロナ禍から早期に回復するとともに新規ビジネスも受注し増収・増益となりました。欧州を中心とするTMD社は、新車組付用摩擦材、アフターマーケット向け摩擦材ともにコロナ禍による影響を受け減収となりましたが、年央以降のアフターマーケットの販売回復、経費削減活動、原価改善活動の成果により損失が縮小しています。
その結果、ブレーキ事業全体では、売上高114,826百万円(前年同期比12.6%減)、セグメント損失2,289百万円(前年同期比1,050百万円改善)となりました。
(精密機器事業)
自動車用精密部品は、コロナ禍による顧客の操業停止や生産調整等により減収・減益となりました。空調機器向け製品等を扱う成形品は、前年同期の一時的な需要増の反動や家電関連顧客からの受注減に加え、コロナ禍による顧客の操業停止や生産調整等により減収・減益となりました。
その結果、精密機器事業全体では、売上高51,419百万円(前年同期比21.4%減)、セグメント損失948百万円(前年同期比1,827百万円悪化)となりました。
(化学品事業)
断熱製品はコロナ禍による市況低迷の影響で減収となりましたが、経費削減や高採算製品の売上増により前年同期並みの利益となりました。機能化学品は環境配慮型製品である粉状改質剤の売上増により増収・増益となり、燃料電池用カーボンセパレータも海外定置用や車載用試作品の売上増により増収・増益となりました。
その結果、化学品事業全体では、売上高9,577百万円(前年同期比2.0%増)、セグメント利益1,811百万円(前年同期比9.8%増)となりました。
(繊維事業)
国内は、医療マスク用モビロンテープの販売は増加したものの、ビジネス衣料品需要の減退によりシャツ用生地の販売が落ち込んだことや、東京シャツ㈱が新型コロナウイルス感染症拡大防止のための店舗の一時閉鎖や営業時間短縮によって、再開後も都心部を中心に販売が低迷したこと等により減収・減益となりました。海外も、販売の落ち込みにより減収・減益となりました。
その結果、繊維事業全体では、売上高33,957百万円(前年同期比31.4%減)、セグメント損失812百万円(前年同期比1,849百万円悪化)となりました。
(不動産事業)
賃貸事業は前連結会計年度において大型商業施設用建物(愛知県)を販売したことにより減収・減益となりましたが、分譲事業は東京都三鷹市のマンション販売を開始したことに加え、愛知県岡崎市の宅地販売により大幅な増収・増益となりました。
その結果、不動産事業全体では、売上高20,279百万円(前年同期比74.0%増)、セグメント利益11,511百万円(前年同期比41.0%増)となりました。
(その他)
ニッシントーア・岩尾㈱(食品、産業資材等の商社機能)等の事業を、その他として区分しています。
その他の売上高は21,538百万円(前年同期比13.3%減)、セグメント利益は248百万円(前年同期比435百万円改善)となりました。
(注)上記金額に消費税等は含まれていません。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりです。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 無線・通信 | 145,559 | △5.0 |
| マイクロデバイス | 58,969 | △1.8 |
| ブレーキ | 92,590 | △13.3 |
| 精密機器 | 49,323 | △16.9 |
| 化学品 | 6,243 | +4.1 |
| 繊維 | 22,849 | △33.8 |
| その他 | 1,204 | +61.2 |
| 合計 | 376,740 | △10.5 |
(注) 1 金額は製造原価により算出しています。
2 不動産事業は生産活動を行っていないため、上記金額には含まれていません。
3 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
②受注状況
無線・通信事業、マイクロデバイス事業及び精密機器事業のうち、一部の製品において受注生産を行っています。当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 無線・通信 | 142,305 | △8.2 | 93,302 | +6.2 |
| マイクロデバイス | 67,892 | +2.7 | 17,545 | +55.8 |
| 精密機器 | 525 | △82.9 | 35 | △97.5 |
| 合計 | 210,724 | △6.0 | 110,883 | +10.3 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 無線・通信 | 144,312 | △5.2 |
| マイクロデバイス | 61,140 | △6.3 |
| ブレーキ | 114,826 | △12.6 |
| 精密機器 | 51,419 | △21.4 |
| 化学品 | 9,577 | +2.0 |
| 繊維 | 33,957 | △31.4 |
| 不動産 | 20,279 | +74.0 |
| その他 | 21,538 | △13.3 |
| 合計 | 457,051 | △10.3 |
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が総販売実績の10%未満のため記載を省略しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)財政状態
当連結会計年度末における総資産は581,204百万円となり、前連結会計年度末と比較し36,323百万円減少しました。
現金及び預金の増加12,996百万円、受取手形及び売掛金の減少11,148百万円、たな卸資産の減少5,502百万円、その他(流動資産)の減少2,346百万円、有形固定資産の減少5,938百万円、投資有価証券の減少24,996百万円などが主な要因です。
当連結会計年度末における負債総額は339,136百万円となり、前連結会計年度末と比較し25,855百万円減少しました。
支払手形及び買掛金の減少2,117百万円、短期借入金の減少11,301百万円、その他(流動負債)の減少3,191百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)の減少2,422百万円、繰延税金負債の減少6,738百万円などが主な要因です。
当連結会計年度末における純資産は242,067百万円となり、前連結会計年度末と比較し10,467百万円減少しました。
利益剰余金の増加8,548百万円、その他有価証券評価差額金の減少13,788百万円、為替換算調整勘定の減少4,967百万円などが主な要因です。
以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は前連結会計年度末と比較し0.8ポイント上昇して39.4%となりました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は48,699百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,430百万円増加しました。
各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は42,590百万円となり、前連結会計年度に比べ16,340百万円資金流入が増加しました。これは主として、税金等調整前当期純利益の増加、減損損失の減少、投資有価証券売却益の増加および売上債権の減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は6,321百万円となり、前連結会計年度に比べ15,437百万円資金流出が減少しました。これは主として、定期預金の預入による支出の増加、投資有価証券の売却による収入の増加および連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の増加によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は24,230百万円となり、前連結会計年度に比べ14,165百万円資金流出が増加しました。これは主として、短期借入金の純増減額の増加、長期借入金の返済による支出の増加および自己株式の取得による支出の減少によるものです。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 2016年3月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2018年12月期 | 2019年12月期 | 2020年12月期 | |
| 自己資本比率 | 35.9% | 35.5% | 41.2% | 40.1% | 38.6% | 39.4% |
| 時価ベースの自己資本比率 | 29.1% | 27.3% | 35.6% | 22.9% | 28.2% | 21.5% |
| 債務償還年数 | 3.8年 | 5.9年 | 4.6年 | 10.5年 | 6.3年 | 3.5年 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ | 39.5倍 | 27.9倍 | 38.2倍 | 18.6倍 | 23.1倍 | 37.6倍 |
(注)1 自己資本比率:(純資産-新株予約権-非支配株主持分)/総資産
時価ベ-スの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
①各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。
②株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
③営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロ-計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象にしています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
2 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を2018年12月期の期首から適用しており、2018年3月期に係るキャッシュ・フロー関連指標については、当該会計基準を遡って適用した後の指標となっています。
3 2018年12月期は、決算期変更に伴い変則的な決算となっています。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①財務戦略
当社グループは、持続的な企業価値の向上を目指し、重点事業領域での成長投資を積極的に実行しつつ、連結配当性向30%程度を目安に、安定的かつ継続的な株主還元を行うことを財務戦略の基本方針としています。当社グループでは、中長期的な投資とリスクに備え、財務健全性を維持しながら、資本生産性を重視した経営を推進し、2025年ROE12%達成を長期目標に掲げるほか、ROICを重要な社内管理指標として導入し、投資の効率化(運転資本の圧縮)と固定資産(土地や有価証券)の流動化を進め、自律的な企業成長を目指します。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に債務依存を高める可能性がありますが、その場合でも中長期的には資金調達構造を見直し株主資本比率の水準を40%程度に保ち、強固な財務体質の維持に努めます。
②資金調達の方針と流動性の分析
当社グループの運転資金や成長投資等の必要資金については、主として営業キャッシュ・フローを財源としていますが、必要に応じて有利子負債を効果的に活用し資本効率の向上を図っています。主に短期的な資金についてはコミットメントライン等の短期銀行借入やコマーシャル・ペーパーによる調達を、設備投資、M&A投資等の長期的な資金については、金融市場動向や長短バランスなどを総合的に勘案し、適宜長期銀行借入を組成しています。
また、当社グループは、ガバナンス強化と資金効率向上を目的として、グループ一体となった資金調達と資金管理を実施しており、当社と国内子会社間、また海外の一部地域の関係会社間でCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)やグループローンによる資金融通を行ない、グループ内の流動性確保と資本コストの低減に努めています。
重要な資本的支出の予定及び資金の調達方法については、「第3設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
資金の流動性については、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化するリスクも勘案し、当連結会計年度において、当社は主要銀行とのコミットメントライン契約を5,000百万円増額し30,000百万円で更改しました。その他、当座貸越枠、コマーシャル・ペーパーも引き続き十分な調達枠を維持しており、必要とされる流動性を確保しています。
また、政策保有株式については、コーポレートガバナンス・ポリシーに基づき計画的に縮減していきますが、柔軟且つ機動的な売却の意思決定により、資金の流動性を補完することも可能です。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。海外子会社については、IFRS(国際財務報告基準)及び米国会計基準に準拠して作成され、現地監査法人の監査を受けた上で必要な調整を反映させています。
この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(たな卸資産)
主として個別法及び総平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)により評価しており、市場価格が簿価を下回る場合は評価損を計上しています。また、一定の保有期間を超えるたな卸資産を滞留もしくは陳腐化しているとみなし評価損を計上しています。市場価格が予測より悪化して正味売却価額が著しく悪化した場合、将来において追加の評価損の計上が必要となる可能性があります。
(有形固定資産及び無形固定資産)
のれんを含む固定資産について、事業の種類を基礎に、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位を識別し、資産のグルーピングを行っています。資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。なお、資産グループの回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い価額としています。将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生することにより損益に影響を及ぼす可能性があります。
(投資有価証券)
当社所有の投資有価証券は金融商品会計基準に基づき時価評価を行っています。減損処理にあたっては、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には、原則として減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っています。また、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券の減損処理にあたっては、財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っています。従って、将来の株式市場や投資先の業績動向により、これらの有価証券及び投資有価証券の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(繰延税金資産)
繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、あるいは税率変動等を含む各国税制の変更等があった場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上されることにより、損益に影響を及ぼす可能性があります。
(退職給付費用及び債務)
従業員の退職給付費用及び債務は、割引率、退職率、死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等を含む前提条件に基づいて算出しています。前提条件と実際の結果が異なる場合や前提条件が変更された場合、又は法改正や退職給付制度の変更があった場合、将来の退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う会計上の見積りについては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(追加情報)」に記載しております。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
(7)次期の業績見通し
2021年12月期も、主力のモビリティ分野を中心に経営資源を重点的に配分し、成長戦略を遂行します。
無線・通信事業では、主軸の公共事業向けソリューション・特機事業が引き続き堅調に推移していることに加え、マリンシステム事業の再建にも目処をつけました。マイクロデバイス事業では、2020年12月期第4四半期以降、業績の反転基調が顕著になってきています。なお、2021年1月8日発表のとおり、アナログソリューションプロバイダとしてのさらなる成長・発展を目指し、新日本無線㈱およびリコー電子デバイス㈱の両社を2022年1月に統合する予定です。また、ブレーキ事業では、半導体の供給問題を背景に自動車メーカーの新車生産台数の動向が懸念されていますが、環境規制に対応した銅レス・銅フリー摩擦材の受注は好調に推移しています。また、TMD社は主力のアフターマーケット向け摩擦材の業績回復が軌道に乗ってきています。
新型コロナウイルス感染症の収束の見通しについては不透明な状況が続きますが、次期の業績見通しは、売上高504,000百万円、営業利益6,800百万円、経常利益10,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,000百万円となる見込みです。なお、為替レートは通期平均で1米ドル=105円、1ユーロ=120円を前提としています。