有価証券報告書-第65期(2024/01/01-2024/12/31)
(1)経営成績等の状況の概要
コア営業利益は売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した利益であり、IFRSで定義されている指標ではありませんが、当社グループの経常的な事業業績を測る指標として有用な情報であると考えられるため、自主的に開示しております。
①財政状態及び経営成績の状況
(注)当社は、2025年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を実施しました。当該株式分割が前連結会計年度の期首に行われたと仮定して、基本的1株当たり当期利益を算定しております。
当連結会計年度の業績は、売上高988,981百万円(前連結会計年度比5.0%増)、コア営業利益138,463百万円(前連結会計年度比8.2%増)、税引前当期利益134,537百万円(前連結会計年度比1.7%増)、当期利益95,227百万円(前連結会計年度比2.8%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益81,842百万円(前連結会計年度比4.9%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(a)パーソナルケア
(注)外部顧客に対する売上高
●ウェルネスケア関連商品
海外においては、大人用排泄ケア用品の需要が高まっているタイやインドネシア、ベトナムなどの東南アジア地域で、商品ラインアップの拡充やパッド型と紙パンツの併用などによる日本式ケアモデルの普及促進に努めました。日本以上のスピードで高齢化が進行し、大人用排泄ケア用品の対象人口が多い一方で、専用品の認知や普及が進んでいない中国では、現地のニーズを捉えた商品ラインアップで積極的なマーケティング投資を継続しました。
国内においては、“できるはふやせる、ひとつずつ。”の想いのもと、健康寿命の延伸につながる軽度・中度商品を中心に豊富なラインアップで消費者の多様なニーズに応え続けました。なかでも軽い尿もれ専用品の軽度商品では、「夜用」をラインアップに加え、軽度商品の認知拡大に努めた結果、高い売上高成長を実現しました。また、中度商品でも引き続き好調な、ウエスト部分に“超音波接合”に関する特許技術を搭載した紙パンツに加え、世界で初めて※1の特許技術である「ピタッと足周りまで吸収体」※2を搭載した夜用紙パンツを発売するなど、幅広い消費者ニーズに応え、高い売上高成長を実現しました。
マスクカテゴリーにおいては、『超快適』・『超立体』両ブランドの多様な商品ラインアップで市場の活性化を図りました。引き続き、感染症や花粉対策としての需要が高まる秋から春に向けて、消費者ニーズを捉えた商品ラインアップで市場シェアの拡大を目指します。
※1 主要グローバルブランドにおける大人用パンツおむつ対象(2024年4月ユニ・チャーム㈱調べ)
※2 吸収コアの両側縁と重なる一対の着色領域と、その間の非着色領域を有し、吸収コアは長手方向中央部で防漏ギャザーの幅方向最内端よりも広く、着色領域の着色部より肌面側のシート資材数は非着色領域のそれ以下である構造
●フェミニンケア関連商品
海外においては、クールタイプナプキンやショーツ型ナプキンなど地域の特性や消費者ニーズに応じた独自性のある高付加価値商品を開発し、他の国・地域へ順次横展開することで高い売上高成長を実現しました。
中国では、景気の先行きに対する不透明感が続くなか、流通在庫は低水準で安定的に推移しています。このような状況のなか、3月8日の婦人節イベントを皮切りにプレミアム商品で多くの新商品を継続的に投入しました。特に、新コンセプトの昼用ショーツ型ナプキンは高い評価を受け、安定的な売上高成長を実現しました。また、厳しい雇用環境が続く若年層を中心にお手頃価格の商品への需要が高まっていることを踏まえ、お手頃価格のショーツ型ナプキンを発売するなど、消費者ニーズへの対応を強化しましたが、2024年11月に発生した生理用品の品質に関する報道と、それにともなう消費者の慎重な購買行動の影響を一部で受けました。
引き続き、日々変化する消費者ニーズに迅速かつ的確に対応した商品戦略を進めるとともに、沿岸部の都市部を重点に販売エリアと取扱店舗の拡大に注力します。また、成長著しいクイックコマースなどの新たな販売チャネルを活用した販売強化を図り、消費者満足度の向上及び市場シェアの拡大を目指します。
タイ、インドネシア、ベトナムといったアジア地域では、清涼感のあるつけ心地を実現したクールタイプナプキンや活性炭配合のナプキンなどの高付加価値商品の展開を進め、安定した売上高成長を実現しました。
インドでは、生理用品の普及率が依然として低い状況にあるなか、都市部を中心にアンチバクテリアをコンセプトにした商品や、使用実態や経済状況を踏まえたフラットタイプ商品の導入など、現地のニーズに応じた商品ラインアップの拡充と取扱店舗数の拡大を進めた結果、売上高は大きく成長し、収益性が改善いたしました。
中東では、現地の習慣を捉えたオリーブオイルを配合した新商品などへの積極的なマーケティング投資により、サウジアラビア国内販売が順調に推移したほか、近隣諸国への輸出も伸長しました。
国内においては、対象人口が減少傾向にあるなか、健康意識や安心志向の高まりに合わせた高付加価値商品の展開を進めました。また、店頭での陳列提案に加え、SNSを活用した消費者との継続的なコミュニケーション戦略を推進した結果、高い売上高成長を実現しました。さらに、ホルモンの変化に着眼することで体調をモニタリングする生理管理アプリ『ソフィBe』のサービスを開始しました。女性を取り巻く環境や価値観が変化し、ライフスタイルが多様化するなか、女性一人ひとりが自ら心身の管理を行い、健康と生活の質を向上させることができるよう、生理期だけではなく女性の毎日をトータルでサポートすることでライフタイムバリューの最大化を目指します。
●ベビーケア関連商品
海外においては、当社の強みとなるパンツタイプ紙おむつを中心に普及促進と独自性のある商品展開を進めました。参入国のなかでも紙おむつの普及率が低いインドでは、パンツタイプ紙おむつの普及促進と販売エリアの拡大に努めた結果、高い売上高成長と収益性の改善を実現しました。
タイ、ベトナム、インドネシアなどの市場では、eコマースを活用した新興企業による価格攻勢が続き、市場の伸び悩みが見られる状況下において、当社は、プレミアム志向層と価格志向層、それぞれの消費者ニーズに応じた商品を展開する2ブランド戦略を推進しました。また、eコマースの強化を図り、収益の確保に努めました。
ベトナムでは、昨年、世界初※3の片側が開閉できる新生児用パンツタイプ紙おむつを発売し、紙おむつの認知向上と使用開始を早める施策を展開しました。さらに8月には価格志向層向けに高月齢期サイズの商品を追加し豊富な商品ラインアップで多様なニーズに応えました。また、社内に配信スタジオを開設し、急速に成長するeコマースへの対応を進めました。
中国では、少子化の進行とローカル企業の台頭が著しく厳しい競争環境が続いているなか、中国ならではのニーズを捉えた新たなコンセプトの中国製プレミアム商品『ムーニー』ブランドへのシフトを進めた結果、収益性が改善しました。引き続き、中国消費者のニーズを捉えた独自価値の商品を展開することで消費者満足度の向上と収益性の改善を目指します。
サウジアラビア国内販売に加えて近隣諸国への輸出も堅調な中東では、現地の習慣を捉えたオリーブオイルを配合した新商品などへの積極的なマーケティング投資を継続し、高い売上高成長と市場シェアの拡大を実現しました。
少子化が進行し市場が縮小傾向にある国内においては、“笑顔あふれる育児生活”という事業理念のもと『ムーニー』と『マミーポコ』の2ブランドで価値伝達を続けてきました。『ムーニー』では、昨年新生児・Sサイズに搭載した、初めてのおむつ替えでも正しく簡単に装着できる「おしりガイド」が好評であることに加え、パンツタイプでは「肌にやさしいこと」と、「モレないこと」を両立した商品を発売し、高い売上高成長を実現しました。『マミーポコ』では2022年に発売した「夜用」の販売が引き続き好調に推移し、国内のベビーケア関連商品は安定した売上高成長と収益性の改善を実現しました。
また、BABY JOB株式会社と協働で展開する「手ぶら登園Ⓡ」※4を導入している保育施設を対象に、使用済みの紙おむつから取り出した「再生パルプ」を使用した施設専用品の導入を進めるなど、商品とサービスの両面で消費者の満足度向上と環境負荷低減に積極的に取り組みました。
この結果、パーソナルケアの売上高は826,100百万円(前連結会計年度比4.7%増)、セグメント利益(コア営業利益)は110,883百万円(前連結会計年度比7.3%増)となりました。
※3 主要なグローバルメーカーで販売されるベビー用パンツタイプ紙おむつブランドにおいて、片方の胴回りの側面が開閉可能で、なおかつ、他方側の長さより長い構造体(2022年10月ユニ・チャーム㈱調べ)
※4 「手ぶら登園Ⓡ」とは、保護者が紙おむつやおしりふきを準備する手間や、かさばる荷物を持っての登園、保育士による紙おむつやおしりふきの管理業務など、保護者と保育士双方の負担を軽減する保育施設向けの定額制サービス
●Kireiケア関連商品
当期よりグローバルKireiケアマーケティング本部を廃止しております。これまで国内において、『シルコット』ブランドを中心に事業を展開してきました。今後は、日本だけではなく世界的にも衛生意識の高まりによる使用の定着が見込まれるため、グローバルKireiケアマーケティング本部の機能をウェルネスケア、フェミニンケア、ベビーケアの各マーケティング本部へ移管し、グローバル展開の加速を目指します。
(b)ぺットケア
(注)外部顧客に対する売上高
“もっと一緒に、ずっと一緒を。”というスローガンのもと “ワンちゃん、ネコちゃんが社会とつながりながら、幸せな一生を全うできる社会”の実現をペットケア事業は目指しています。
国内ペットフードにおいては、犬・猫ともに、さまざまな食感や味を楽しんでもらいたいというニーズや健康志向の高まりに対応し、総合栄養食としてのおやつを展開しました。猫用では『銀のスプーン お魚味クリームどーにゃつ』を、犬用では、『グラン・デリ ワンちゃん専用 サッポロポテト』など独自性の高い新商品を発売し、多様なニーズに応えた豊富なラインアップで、それぞれ高い売上高成長を実現しました。
国内ペットトイレタリーにおいては、インテリアと調和するデザインが欲しいというニーズの高まりに応えた猫用のシステムトイレを発売するなどの商品ラインアップの拡充に加え、2022年より推進している『GO WITH わんこプロジェクト』を継続し、飼い主とワンちゃんが共に楽しめる社会の実現を目指しています。
また、ペットのQ&Aサービス『DOQAT』に加えて、AIを活用したキャットフード提案サービス『ごはんマッチング』を開始し、商品・サービスの両面から市場活性化に取り組みました。
北米では日本の技術を搭載した新たなコンセプトの猫ウェットタイプ副食などの販売が引き続き好調に推移した結果、高い売上高成長を実現しました。
北米に次ぐ世界第2位の市場規模を有し、今後も市場の成長が期待される中国では、2022年11月に中国現地法人にて資本業務提携を締結した江蘇吉家寵物用品有限公司(以下JIA PETS社)で、当社の独自コンセプトや技術を搭載したペットフード商品のラインアップを拡充しました。
引き続き日本の消費者に支持された当社グループの製造技術及び生産管理ノウハウとJIA PETS社が保有する生産体制や研究開発、eコマースチャネルにおける販売力などを活用することで、重点都市での市場シェアNo.1を目指します。
また、今後の市場成長が期待される東南アジア地域においても、タイやインドネシア、ベトナムなどでペットケア市場が顕在化していることから、フード、トイレタリーともに積極的に経営資源を投下することで、飛躍的な事業成長を目指します。
この結果、ペットケアの売上高は148,673百万円(前連結会計年度比6.6%増)、セグメント利益(コア営業利益)は25,840百万円(前連結会計年度比11.9%増)となりました。
(c)その他
(注)外部顧客に対する売上高
主に不織布・吸収体の加工・成形技術を活かした業務用商品分野において、産業用資材を中心に販売を進めました。
この結果、その他の売上高は14,208百万円(前連結会計年度比8.4%増)、セグメント利益(コア営業利益)は1,740百万円(前連結会計年度比14.3%増)となりました。
当期の財政状態の概況は次のとおりであります。
当連結会計年度末の財政状態は、資産合計が1,239,973百万円と前連結会計年度末に比べ106,346百万円増加いたしました。主な増加は、投資有価証券等のその他の金融資産45,586百万円、棚卸資産18,168百万円、売上債権及びその他の債権17,070百万円、長期前払税金等のその他の非流動資産13,260百万円によるものです。負債合計は、366,263百万円と前連結会計年度末に比べ20,885百万円増加いたしました。主な増加は、仕入債務及びその他の債務20,434百万円によるものです。資本合計は、873,711百万円と前連結会計年度末に比べ85,460百万円増加いたしました。主な増加は、親会社の所有者に帰属する当期利益81,842百万円によるものです。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前期末の61.4%から62.3%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は261,054百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,284百万円増加しております。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られたキャッシュ・フローは、137,099百万円の収入(前連結会計年度は、162,415百万円の収入)となりました。主な収入は、税引前当期利益によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用したキャッシュ・フローは、73,838百万円の支出(前連結会計年度は、67,527百万円の支出)となりました。主な支出は、金融資産の取得による支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用したキャッシュ・フローは、66,794百万円の支出(前連結会計年度は、67,007百万円の支出)となりました。主な支出は、親会社の所有者への配当金支払額、自己株式の取得による支出、非支配持分への配当金支払額によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
(b)受注実績
受注生産を行っていないので、該当事項はありません。
(c)販売実績
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境は、参入国・地域ごとに景況感に差が見られ、予測困難な状況が続いています。
海外においては、アジア地域で経済の不確実性が依然として残存していることに加え、COVID-19の影響を経て、特にベビーケア関連商品において、消費者の間で手頃な価格の商品への需要が高まりつつあります。また、eコマースにおける新興チャネルが急成長するなど、市場環境は目まぐるしく変化しています。当社は、これらの変化に柔軟かつ迅速に対応すべく戦略を展開し、計画達成に向けて取り組んでまいりました。
国内においては、物流の2024年問題など懸念材料がありましたが、当社が取り扱う商品は生活必需品であることに加え、消費者のニーズに合わせた高付加価値商品の連続提案と価格の引き上げにより、売上高成長は堅調に推移しました。
このような経営環境のなか、当社グループは“世界中の全ての人々のために、快適と感動と喜びを与えるような、世界初・世界No.1の商品とサービスを提供しつづけます”という基本方針に基づき、当期より第12次中期経営計画が始まることを契機に新たなコーポレート・ブランド・エッセンス「Love Your Possibilities」を掲げ、世界中の全ての人々が平等で不自由なく、その人らしさを尊重し、やさしさで包み支え合う、心つながる豊かな社会である「共生社会」=Social Inclusionの実現に向けて取り組みました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高988,981百万円(前連結会計年度比5.0%増)、コア営業利益138,463百万円(前連結会計年度比8.2%増)、税引前当期利益134,537百万円(前連結会計年度比1.7%増)、当期利益95,227百万円(前連結会計年度比2.8%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益81,842百万円(前連結会計年度比4.9%減)となりました。
(b)経営成績に重要な影響を与える要因
「3 事業等のリスク」をご参照下さい。
(c)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度においては、一部海外連結子会社において為替リスク軽減等の観点から外部借入を行った以外は、営業キャッシュ・フロー(当連結会計年度は137,099百万円のプラス)を主要な財源としております。また、事業活動や投資、自己株式取得を含めた株主還元を目的とした資金需要はできる限り自己資金で対応できるように資金の流動性を十分確保するように努めております。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フロー分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
2025年度の設備投資資金についても、自己資金をもって充当する予定であります。
(d)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度から始動した第12次中期経営計画が目標とする主な指標の状況は次のとおりであります。
初年度である当連結会計年度は、価値転嫁の推進、原材料関連費用の低減により、売上高、コア営業利益は過去最高更新を更新しましたが、物流費の高騰や、アジア地域での新興企業による価格攻勢の影響などにより、中期経営計画の目標に対して未達となりました。ROEについては税負担率の上昇により前連結会計年度比で悪化しました。
次期連結会計年度は、市場環境の変化が想定されるなか、持続的な高成長へ向け消費者ニーズを捉えた衛星関連用品の開発及び市場創造に努め、参入国・地域の経済レベルや人口動態などに適した事業戦略を実施し、中期計経営計画の目標達成を目指してまいります。
(注)売上高CAGR(年平均成長率)は、為替変動の影響を除いた数値を目標としております。
(e)戦略的現状と見通し
当社グループを取り巻く経営環境は、参入国・地域ごとに景況感に差が見られ、予測困難な状況が続いていますが、主要参入国においては、経済状況の不透明感は残るものの、緩やかな景気回復を見込んでおります。
このような経営環境のなかで、海外では、各国・地域のニーズを捉えた商品の提供と、積極的な販売活動を通じて、市場を上回るスピードで成長し、活性化を図ってまいります。国内パーソナルケアにおきましては、インフレーションに関連してコスト高が見込まれることから、消費者ニーズを捉えた高付加価値商品の提供による価値転嫁を推進し、安定的な成長と収益性の改善に努めてまいります。
(f)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しております。
なお、重要性がある会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表に対する注記」に記載しております。
コア営業利益は売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した利益であり、IFRSで定義されている指標ではありませんが、当社グループの経常的な事業業績を測る指標として有用な情報であると考えられるため、自主的に開示しております。
①財政状態及び経営成績の状況
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) | |
売上高 | 941,790 | 988,981 | 47,191 | 5.0 |
コア営業利益 | 127,974 | 138,463 | 10,489 | 8.2 |
税引前当期利益 | 132,308 | 134,537 | 2,229 | 1.7 |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 86,053 | 81,842 | △4,212 | △4.9 |
基本的1株当たり当期利益(円) | 48.47 | 46.41 | △2.1 | △4.3 |
(注)当社は、2025年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を実施しました。当該株式分割が前連結会計年度の期首に行われたと仮定して、基本的1株当たり当期利益を算定しております。
当連結会計年度の業績は、売上高988,981百万円(前連結会計年度比5.0%増)、コア営業利益138,463百万円(前連結会計年度比8.2%増)、税引前当期利益134,537百万円(前連結会計年度比1.7%増)、当期利益95,227百万円(前連結会計年度比2.8%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益81,842百万円(前連結会計年度比4.9%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(a)パーソナルケア
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) | |
売上高(注) | 789,238 | 826,100 | 36,862 | 4.7 |
コア営業利益 | 103,368 | 110,883 | 7,516 | 7.3 |
(注)外部顧客に対する売上高
●ウェルネスケア関連商品
海外においては、大人用排泄ケア用品の需要が高まっているタイやインドネシア、ベトナムなどの東南アジア地域で、商品ラインアップの拡充やパッド型と紙パンツの併用などによる日本式ケアモデルの普及促進に努めました。日本以上のスピードで高齢化が進行し、大人用排泄ケア用品の対象人口が多い一方で、専用品の認知や普及が進んでいない中国では、現地のニーズを捉えた商品ラインアップで積極的なマーケティング投資を継続しました。
国内においては、“できるはふやせる、ひとつずつ。”の想いのもと、健康寿命の延伸につながる軽度・中度商品を中心に豊富なラインアップで消費者の多様なニーズに応え続けました。なかでも軽い尿もれ専用品の軽度商品では、「夜用」をラインアップに加え、軽度商品の認知拡大に努めた結果、高い売上高成長を実現しました。また、中度商品でも引き続き好調な、ウエスト部分に“超音波接合”に関する特許技術を搭載した紙パンツに加え、世界で初めて※1の特許技術である「ピタッと足周りまで吸収体」※2を搭載した夜用紙パンツを発売するなど、幅広い消費者ニーズに応え、高い売上高成長を実現しました。
マスクカテゴリーにおいては、『超快適』・『超立体』両ブランドの多様な商品ラインアップで市場の活性化を図りました。引き続き、感染症や花粉対策としての需要が高まる秋から春に向けて、消費者ニーズを捉えた商品ラインアップで市場シェアの拡大を目指します。
※1 主要グローバルブランドにおける大人用パンツおむつ対象(2024年4月ユニ・チャーム㈱調べ)
※2 吸収コアの両側縁と重なる一対の着色領域と、その間の非着色領域を有し、吸収コアは長手方向中央部で防漏ギャザーの幅方向最内端よりも広く、着色領域の着色部より肌面側のシート資材数は非着色領域のそれ以下である構造
●フェミニンケア関連商品
海外においては、クールタイプナプキンやショーツ型ナプキンなど地域の特性や消費者ニーズに応じた独自性のある高付加価値商品を開発し、他の国・地域へ順次横展開することで高い売上高成長を実現しました。
中国では、景気の先行きに対する不透明感が続くなか、流通在庫は低水準で安定的に推移しています。このような状況のなか、3月8日の婦人節イベントを皮切りにプレミアム商品で多くの新商品を継続的に投入しました。特に、新コンセプトの昼用ショーツ型ナプキンは高い評価を受け、安定的な売上高成長を実現しました。また、厳しい雇用環境が続く若年層を中心にお手頃価格の商品への需要が高まっていることを踏まえ、お手頃価格のショーツ型ナプキンを発売するなど、消費者ニーズへの対応を強化しましたが、2024年11月に発生した生理用品の品質に関する報道と、それにともなう消費者の慎重な購買行動の影響を一部で受けました。
引き続き、日々変化する消費者ニーズに迅速かつ的確に対応した商品戦略を進めるとともに、沿岸部の都市部を重点に販売エリアと取扱店舗の拡大に注力します。また、成長著しいクイックコマースなどの新たな販売チャネルを活用した販売強化を図り、消費者満足度の向上及び市場シェアの拡大を目指します。
タイ、インドネシア、ベトナムといったアジア地域では、清涼感のあるつけ心地を実現したクールタイプナプキンや活性炭配合のナプキンなどの高付加価値商品の展開を進め、安定した売上高成長を実現しました。
インドでは、生理用品の普及率が依然として低い状況にあるなか、都市部を中心にアンチバクテリアをコンセプトにした商品や、使用実態や経済状況を踏まえたフラットタイプ商品の導入など、現地のニーズに応じた商品ラインアップの拡充と取扱店舗数の拡大を進めた結果、売上高は大きく成長し、収益性が改善いたしました。
中東では、現地の習慣を捉えたオリーブオイルを配合した新商品などへの積極的なマーケティング投資により、サウジアラビア国内販売が順調に推移したほか、近隣諸国への輸出も伸長しました。
国内においては、対象人口が減少傾向にあるなか、健康意識や安心志向の高まりに合わせた高付加価値商品の展開を進めました。また、店頭での陳列提案に加え、SNSを活用した消費者との継続的なコミュニケーション戦略を推進した結果、高い売上高成長を実現しました。さらに、ホルモンの変化に着眼することで体調をモニタリングする生理管理アプリ『ソフィBe』のサービスを開始しました。女性を取り巻く環境や価値観が変化し、ライフスタイルが多様化するなか、女性一人ひとりが自ら心身の管理を行い、健康と生活の質を向上させることができるよう、生理期だけではなく女性の毎日をトータルでサポートすることでライフタイムバリューの最大化を目指します。
●ベビーケア関連商品
海外においては、当社の強みとなるパンツタイプ紙おむつを中心に普及促進と独自性のある商品展開を進めました。参入国のなかでも紙おむつの普及率が低いインドでは、パンツタイプ紙おむつの普及促進と販売エリアの拡大に努めた結果、高い売上高成長と収益性の改善を実現しました。
タイ、ベトナム、インドネシアなどの市場では、eコマースを活用した新興企業による価格攻勢が続き、市場の伸び悩みが見られる状況下において、当社は、プレミアム志向層と価格志向層、それぞれの消費者ニーズに応じた商品を展開する2ブランド戦略を推進しました。また、eコマースの強化を図り、収益の確保に努めました。
ベトナムでは、昨年、世界初※3の片側が開閉できる新生児用パンツタイプ紙おむつを発売し、紙おむつの認知向上と使用開始を早める施策を展開しました。さらに8月には価格志向層向けに高月齢期サイズの商品を追加し豊富な商品ラインアップで多様なニーズに応えました。また、社内に配信スタジオを開設し、急速に成長するeコマースへの対応を進めました。
中国では、少子化の進行とローカル企業の台頭が著しく厳しい競争環境が続いているなか、中国ならではのニーズを捉えた新たなコンセプトの中国製プレミアム商品『ムーニー』ブランドへのシフトを進めた結果、収益性が改善しました。引き続き、中国消費者のニーズを捉えた独自価値の商品を展開することで消費者満足度の向上と収益性の改善を目指します。
サウジアラビア国内販売に加えて近隣諸国への輸出も堅調な中東では、現地の習慣を捉えたオリーブオイルを配合した新商品などへの積極的なマーケティング投資を継続し、高い売上高成長と市場シェアの拡大を実現しました。
少子化が進行し市場が縮小傾向にある国内においては、“笑顔あふれる育児生活”という事業理念のもと『ムーニー』と『マミーポコ』の2ブランドで価値伝達を続けてきました。『ムーニー』では、昨年新生児・Sサイズに搭載した、初めてのおむつ替えでも正しく簡単に装着できる「おしりガイド」が好評であることに加え、パンツタイプでは「肌にやさしいこと」と、「モレないこと」を両立した商品を発売し、高い売上高成長を実現しました。『マミーポコ』では2022年に発売した「夜用」の販売が引き続き好調に推移し、国内のベビーケア関連商品は安定した売上高成長と収益性の改善を実現しました。
また、BABY JOB株式会社と協働で展開する「手ぶら登園Ⓡ」※4を導入している保育施設を対象に、使用済みの紙おむつから取り出した「再生パルプ」を使用した施設専用品の導入を進めるなど、商品とサービスの両面で消費者の満足度向上と環境負荷低減に積極的に取り組みました。
この結果、パーソナルケアの売上高は826,100百万円(前連結会計年度比4.7%増)、セグメント利益(コア営業利益)は110,883百万円(前連結会計年度比7.3%増)となりました。
※3 主要なグローバルメーカーで販売されるベビー用パンツタイプ紙おむつブランドにおいて、片方の胴回りの側面が開閉可能で、なおかつ、他方側の長さより長い構造体(2022年10月ユニ・チャーム㈱調べ)
※4 「手ぶら登園Ⓡ」とは、保護者が紙おむつやおしりふきを準備する手間や、かさばる荷物を持っての登園、保育士による紙おむつやおしりふきの管理業務など、保護者と保育士双方の負担を軽減する保育施設向けの定額制サービス
●Kireiケア関連商品
当期よりグローバルKireiケアマーケティング本部を廃止しております。これまで国内において、『シルコット』ブランドを中心に事業を展開してきました。今後は、日本だけではなく世界的にも衛生意識の高まりによる使用の定着が見込まれるため、グローバルKireiケアマーケティング本部の機能をウェルネスケア、フェミニンケア、ベビーケアの各マーケティング本部へ移管し、グローバル展開の加速を目指します。
(b)ぺットケア
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) | |
売上高(注) | 139,446 | 148,673 | 9,227 | 6.6 |
コア営業利益 | 23,083 | 25,840 | 2,756 | 11.9 |
(注)外部顧客に対する売上高
“もっと一緒に、ずっと一緒を。”というスローガンのもと “ワンちゃん、ネコちゃんが社会とつながりながら、幸せな一生を全うできる社会”の実現をペットケア事業は目指しています。
国内ペットフードにおいては、犬・猫ともに、さまざまな食感や味を楽しんでもらいたいというニーズや健康志向の高まりに対応し、総合栄養食としてのおやつを展開しました。猫用では『銀のスプーン お魚味クリームどーにゃつ』を、犬用では、『グラン・デリ ワンちゃん専用 サッポロポテト』など独自性の高い新商品を発売し、多様なニーズに応えた豊富なラインアップで、それぞれ高い売上高成長を実現しました。
国内ペットトイレタリーにおいては、インテリアと調和するデザインが欲しいというニーズの高まりに応えた猫用のシステムトイレを発売するなどの商品ラインアップの拡充に加え、2022年より推進している『GO WITH わんこプロジェクト』を継続し、飼い主とワンちゃんが共に楽しめる社会の実現を目指しています。
また、ペットのQ&Aサービス『DOQAT』に加えて、AIを活用したキャットフード提案サービス『ごはんマッチング』を開始し、商品・サービスの両面から市場活性化に取り組みました。
北米では日本の技術を搭載した新たなコンセプトの猫ウェットタイプ副食などの販売が引き続き好調に推移した結果、高い売上高成長を実現しました。
北米に次ぐ世界第2位の市場規模を有し、今後も市場の成長が期待される中国では、2022年11月に中国現地法人にて資本業務提携を締結した江蘇吉家寵物用品有限公司(以下JIA PETS社)で、当社の独自コンセプトや技術を搭載したペットフード商品のラインアップを拡充しました。
引き続き日本の消費者に支持された当社グループの製造技術及び生産管理ノウハウとJIA PETS社が保有する生産体制や研究開発、eコマースチャネルにおける販売力などを活用することで、重点都市での市場シェアNo.1を目指します。
また、今後の市場成長が期待される東南アジア地域においても、タイやインドネシア、ベトナムなどでペットケア市場が顕在化していることから、フード、トイレタリーともに積極的に経営資源を投下することで、飛躍的な事業成長を目指します。
この結果、ペットケアの売上高は148,673百万円(前連結会計年度比6.6%増)、セグメント利益(コア営業利益)は25,840百万円(前連結会計年度比11.9%増)となりました。
(c)その他
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) | |
売上高(注) | 13,106 | 14,208 | 1,102 | 8.4 |
コア営業利益 | 1,522 | 1,740 | 217 | 14.3 |
(注)外部顧客に対する売上高
主に不織布・吸収体の加工・成形技術を活かした業務用商品分野において、産業用資材を中心に販売を進めました。
この結果、その他の売上高は14,208百万円(前連結会計年度比8.4%増)、セグメント利益(コア営業利益)は1,740百万円(前連結会計年度比14.3%増)となりました。
当期の財政状態の概況は次のとおりであります。
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | |
資産合計 | 1,133,627 | 1,239,973 | 106,346 |
負債合計 | 345,377 | 366,263 | 20,885 |
資本合計 | 788,250 | 873,711 | 85,460 |
親会社所有者帰属持分比率(%) | 61.4 | 62.3 | - |
当連結会計年度末の財政状態は、資産合計が1,239,973百万円と前連結会計年度末に比べ106,346百万円増加いたしました。主な増加は、投資有価証券等のその他の金融資産45,586百万円、棚卸資産18,168百万円、売上債権及びその他の債権17,070百万円、長期前払税金等のその他の非流動資産13,260百万円によるものです。負債合計は、366,263百万円と前連結会計年度末に比べ20,885百万円増加いたしました。主な増加は、仕入債務及びその他の債務20,434百万円によるものです。資本合計は、873,711百万円と前連結会計年度末に比べ85,460百万円増加いたしました。主な増加は、親会社の所有者に帰属する当期利益81,842百万円によるものです。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前期末の61.4%から62.3%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減額 (百万円) | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 162,415 | 137,099 | △25,316 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △67,527 | △73,838 | △6,311 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △67,007 | △66,794 | 213 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 253,770 | 261,054 | 7,284 |
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は261,054百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,284百万円増加しております。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られたキャッシュ・フローは、137,099百万円の収入(前連結会計年度は、162,415百万円の収入)となりました。主な収入は、税引前当期利益によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用したキャッシュ・フローは、73,838百万円の支出(前連結会計年度は、67,527百万円の支出)となりました。主な支出は、金融資産の取得による支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用したキャッシュ・フローは、66,794百万円の支出(前連結会計年度は、67,007百万円の支出)となりました。主な支出は、親会社の所有者への配当金支払額、自己株式の取得による支出、非支配持分への配当金支払額によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
セグメントの名称 | 生産高 (百万円) | 前年同期比 (%) |
パーソナルケア | 851,342 | 8.6 |
ペットケア | 159,021 | 23.7 |
その他 | 14,784 | 87.7 |
合計 | 1,025,146 | 11.4 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
(b)受注実績
受注生産を行っていないので、該当事項はありません。
(c)販売実績
セグメントの名称 | 販売高 (百万円) | 前年同期比 (%) |
パーソナルケア | 826,100 | 4.7 |
ペットケア | 148,673 | 6.6 |
その他 | 14,208 | 8.4 |
合計 | 988,981 | 5.0 |
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境は、参入国・地域ごとに景況感に差が見られ、予測困難な状況が続いています。
海外においては、アジア地域で経済の不確実性が依然として残存していることに加え、COVID-19の影響を経て、特にベビーケア関連商品において、消費者の間で手頃な価格の商品への需要が高まりつつあります。また、eコマースにおける新興チャネルが急成長するなど、市場環境は目まぐるしく変化しています。当社は、これらの変化に柔軟かつ迅速に対応すべく戦略を展開し、計画達成に向けて取り組んでまいりました。
国内においては、物流の2024年問題など懸念材料がありましたが、当社が取り扱う商品は生活必需品であることに加え、消費者のニーズに合わせた高付加価値商品の連続提案と価格の引き上げにより、売上高成長は堅調に推移しました。
このような経営環境のなか、当社グループは“世界中の全ての人々のために、快適と感動と喜びを与えるような、世界初・世界No.1の商品とサービスを提供しつづけます”という基本方針に基づき、当期より第12次中期経営計画が始まることを契機に新たなコーポレート・ブランド・エッセンス「Love Your Possibilities」を掲げ、世界中の全ての人々が平等で不自由なく、その人らしさを尊重し、やさしさで包み支え合う、心つながる豊かな社会である「共生社会」=Social Inclusionの実現に向けて取り組みました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高988,981百万円(前連結会計年度比5.0%増)、コア営業利益138,463百万円(前連結会計年度比8.2%増)、税引前当期利益134,537百万円(前連結会計年度比1.7%増)、当期利益95,227百万円(前連結会計年度比2.8%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益81,842百万円(前連結会計年度比4.9%減)となりました。
(b)経営成績に重要な影響を与える要因
「3 事業等のリスク」をご参照下さい。
(c)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度においては、一部海外連結子会社において為替リスク軽減等の観点から外部借入を行った以外は、営業キャッシュ・フロー(当連結会計年度は137,099百万円のプラス)を主要な財源としております。また、事業活動や投資、自己株式取得を含めた株主還元を目的とした資金需要はできる限り自己資金で対応できるように資金の流動性を十分確保するように努めております。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フロー分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
2025年度の設備投資資金についても、自己資金をもって充当する予定であります。
(d)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度から始動した第12次中期経営計画が目標とする主な指標の状況は次のとおりであります。
初年度である当連結会計年度は、価値転嫁の推進、原材料関連費用の低減により、売上高、コア営業利益は過去最高更新を更新しましたが、物流費の高騰や、アジア地域での新興企業による価格攻勢の影響などにより、中期経営計画の目標に対して未達となりました。ROEについては税負担率の上昇により前連結会計年度比で悪化しました。
次期連結会計年度は、市場環境の変化が想定されるなか、持続的な高成長へ向け消費者ニーズを捉えた衛星関連用品の開発及び市場創造に努め、参入国・地域の経済レベルや人口動態などに適した事業戦略を実施し、中期計経営計画の目標達成を目指してまいります。
前連結会計年度 (2023年度) | 当連結会計年度 (2024年度) | 第12次中期経営計画 目標(2026年度) | |
売上高 | 941,790百万円 | 988,981百万円 | 1,150,000百万円 |
売上高成長率 | 4.9% (前年度比) | 5.0% (前年度比) | (注)6.9% CAGR (年平均成長率) |
コア営業利益率 | 13.6% | 14.0% | 15.8% |
ROE (親会社所有者帰属持分 当期利益率) | 13.1% | 11.1% | 15.0% |
(注)売上高CAGR(年平均成長率)は、為替変動の影響を除いた数値を目標としております。
(e)戦略的現状と見通し
当社グループを取り巻く経営環境は、参入国・地域ごとに景況感に差が見られ、予測困難な状況が続いていますが、主要参入国においては、経済状況の不透明感は残るものの、緩やかな景気回復を見込んでおります。
このような経営環境のなかで、海外では、各国・地域のニーズを捉えた商品の提供と、積極的な販売活動を通じて、市場を上回るスピードで成長し、活性化を図ってまいります。国内パーソナルケアにおきましては、インフレーションに関連してコスト高が見込まれることから、消費者ニーズを捉えた高付加価値商品の提供による価値転嫁を推進し、安定的な成長と収益性の改善に努めてまいります。
(f)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しております。
なお、重要性がある会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表に対する注記」に記載しております。