有価証券報告書-第61期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/29 9:00
【資料】
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【項目】
120項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループは2017年12月期より、財務情報の国際的な比較可能性と経営管理の品質向上を目指して、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しております。
また、コア営業利益は売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した利益であり、IFRSで定義されている指標ではありませんが、当社グループの経常的な事業業績を測る指標として有用な情報であると考えられるため、自主的に開示しております。
①財政状態及び経営成績の状況
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減額
(百万円)
増減率
(%)
売上高714,233727,47513,2421.9
コア営業利益89,779114,74424,96527.8
税引前当期利益69,53895,84926,31137.8
親会社の所有者に帰属する当期利益46,11652,3446,22713.5
基本的1株当たり当期利益(円)77.5387.6010.0713.0

当連結会計年度の業績は、売上高727,475百万円(前連結会計年度比1.9%増)、コア営業利益114,744百万円(前連結会計年度比27.8%増)、税引前当期利益95,849百万円(前連結会計年度比37.8%増)、当期利益62,580百万円(前連結会計年度比18.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益52,344百万円(前連結会計年度比13.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(a)パーソナルケア
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減額
(百万円)
増減率
(%)
売上高(注)620,742624,7584,0150.6
コア営業利益78,893100,00521,11226.8

(注)外部顧客に対する売上高
●ウェルネスケア関連商品
日本、アジアを中心に高齢化のスピードが加速するなか、従来の高齢者という観点だけでなく、より幸福で充実した人生を送るために、豊かで健康的な生活を志向する社会=共生社会の実現に向けて、2020年4月1日より、ヘルスケア関連商品とクリーン&フレッシュ関連商品を「ウェルネスケア関連商品」として統合いたしました。
そのようななか、海外におきましては、日本以上のスピードで高齢化が進む中国をはじめ、タイ、インドネシア、ベトナムといったアジア地域でも、大人用排泄ケア用品の本格的な需要が見込まれることから、日本で確立したケアモデルの普及促進に向けて取り組んでまいりました。
高齢者人口の増加により拡大が続く国内市場におきましては、感染予防意識の高まりから外出が抑制されるなか、健康寿命の延伸に繋がる軽度・中度商品を中心に日常生活動作に合わせた新たなコンセプトの商品を新発売するなど、幅広い商品ラインアップの拡充により、安定的な成長を実現いたしました。
また、COVID-19発生後からの消費者の感染予防意識の高まりに加え、安心・安全の面から日本製需要が高まるなか、マスクの『超快適』、『超立体』両ブランドと、ウェットティッシュの『シルコット』ブランドの供給強化に努め、売上拡大を実現いたしました。
今後は日本だけではなく世界的にも同様に衛生意識や感染予防意識の高まりが見込まれることから、マスクやウェットティッシュの海外展開も視野に入れ、さらなる供給体制の強化に努めてまいります。
●フェミニンケア関連商品
中国におきましては、若年層から品質の高さとデザインのかわいらしさに対して引き続き高いご支持を頂いているなか、販売エリアや取り扱い店舗数の拡大とeコマースチャネルの販売強化に努め、高い成長を実現いたしました。また、その他のアジア地域におきましても、安定的な成長となりました。
国内におきましては、健康意識と安心志向の高まりに応え、オーガニックコットンを配合した『ソフィ ORGANIC オーガニックコットン』シリーズや、『ソフィ SPORTS』シリーズを新発売するなど、女性のライフスタイルに合わせた高付加価値商品を展開し、市場の活性化に努めた一方、COVID-19の影響による外出機会の減少などによる使用枚数の落ち込みで売上が伸び悩みました。
●ベビーケア関連商品
COVID-19の影響で市場の二極化が進むタイやインドネシアにおきましては、2018年に買収したDSG (Cayman) Ltd.とのシナジーを活かし、幅広いお客様のニーズに応えてまいりました。新興国のなかでも紙おむつの普及率が未だ低いインドにおきましては、パンツ型紙おむつで普及促進を図りながら販売エリアと市場シェアの拡大に努めていたなか、インド西部の工場火災により供給不足が発生したことから、近隣諸国からの輸入と既存工場の生産増強を進めてまいりました。また、日本製需要の減退がみられる中国では、eコマースチャネルを中心に高付加価値商品である中国製『ムーニー』ブランドの販売強化に努め、多様化する消費者ニーズに応えてまいりました。一方、政情不安が続く中東では、サウジアラビア国内販売に加え、サウジアラビアから近隣中東諸国への輸出も堅調に推移した結果、安定的な成長を実現いたしました。
国内におきましては、『ムーニー』『ナチュラル ムーニー』など高付加価値商品を含めた幅広い商品ラインアップで笑顔あふれる育児生活の実現に取り組み、ブランド価値の向上に努めた一方、COVID-19の影響による外出機会の減少などによって売上が伸び悩みました。
この結果、パーソナルケアの売上高は624,758百万円(前連結会計年度比0.6%増)、セグメント利益(コア営業利益)は100,005百万円(前連結会計年度比26.8%増)となりました。
(b)ぺットケア
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減額
(百万円)
増減率
(%)
売上高(注)86,97795,6938,71610.0
コア営業利益10,66714,1743,50732.9

(注)外部顧客に対する売上高
飼育頭数の増加に加え、COVID-19の影響でペットとの接触機会が増えるなか、国内ペットフードにおきましては、犬用では犬種ごとの身体の特徴や年齢に合わせた商品を新発売したほか、猫用では、健康志向の高まりに応えた商品を発売し、消費者の満足度向上に努めてまいりました。また、国内ペットトイレタリーにおきましても、犬用ペットシートや猫用システムトイレなどが堅調に推移したほか、ペット用紙おむつ『マナーウェア』ブランドから猫用を新発売するなど、新市場創造に努めた結果、高成長を実現いたしました。
北米市場におきましてもCOVID-19の影響で飼育頭数やペットとの接触機会が増えるなか、日本の技術を搭載した犬用シートや、これまで市場になかった新たなコンセプトの猫用ウェットタイプ副食などの販売が堅調に推移したほか、さらなる成長に向け、近年台頭が著しいeコマースチャネルやペット専門店、米国特有のダラーストア(均一価格店)業態などへの取り組みを強化し販売チャネルを拡大した結果、高い成長を実現いたしました。
この結果、ペットケアの売上高は95,693百万円(前連結会計年度比10.0%増)、セグメント利益(コア営業利益)は14,174百万円(前連結会計年度比32.9%増)となりました。
(c)その他
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減額
(百万円)
増減率
(%)
売上高(注)6,5147,0245117.8
コア営業利益219565346157.6

(注)外部顧客に対する売上高
不織布・吸収体の加工・成形技術を活かした業務用商品分野におきまして、産業用資材を中心に販売を進めてまいりました。
この結果、その他の売上高は7,024百万円(前連結会計年度比7.8%増)、セグメント利益(コア営業利益)は565百万円(前連結会計年度比157.6%増)となりました。
当期の財政状態の概況は次のとおりであります。
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減額
(百万円)
資産合計864,003893,41329,410
負債合計321,102330,7609,658
資本合計542,900562,65319,752
親会社所有者帰属持分比率(%)54.855.2-

当連結会計年度末の財政状態は、資産合計が893,413百万円と前連結会計年度末に比べ29,410百万円増加いたしました。主な増加は、現金及び現金同等物70,735百万円、預入期間が3ヶ月を超える定期預金等のその他の金融資産6,201百万円、主な減少は、有形固定資産25,292百万円、売上債権及びその他の債権9,086百万円、前払消費税等のその他の流動資産5,354百万円、無形資産4,156百万円によるものです。負債合計は、330,760百万円と前連結会計年度末に比べ9,658百万円増加いたしました。主な増加は、未払費用等のその他の流動負債13,419百万円、未払法人所得税9,142百万円、主な減少は、仕入債務及びその他の債務4,691百万円、社債及び借入金4,689百万円、リース負債等のその他の金融負債3,990百万円によるものです。資本合計は、562,653百万円と前連結会計年度末に比べ19,752百万円増加いたしました。主な増加は、親会社の所有者に帰属する当期利益52,344百万円、主な減少は、親会社の所有者への配当金の支払い17,898百万円、在外営業活動体の為替換算差額等のその他の資本の構成要素16,709百万円によるものです。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前期末の54.8%から55.2%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減額
(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー84,936150,25465,318
投資活動によるキャッシュ・フロー△69,235△41,69827,537
財務活動によるキャッシュ・フロー△23,062△35,239△12,177
現金及び現金同等物の期末残高128,787199,52270,735

営業活動によるキャッシュ・フローは150,254百万円のプラス(前連結会計年度比65,318百万円のプラス)、投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産及び無形資産の取得による支出などにより41,698百万円のマイナス(前連結会計年度比27,537百万円のプラス)、財務活動によるキャッシュ・フローは親会社の所有者への配当金の支払額などにより35,239百万円のマイナス(前連結会計年度比12,177百万円のマイナス)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、為替変動による影響を含めて前連結会計年度末に比べ70,735百万円増加し、199,522百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
セグメントの名称生産高
(百万円)
前年同期比
(%)
パーソナルケア627,1033.2
ペットケア89,2652.3
その他9,87151.2
合計726,2393.6

(注)1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(b)受注実績
受注生産を行っていないので、該当事項はありません。
(c)販売実績
セグメントの名称販売高
(百万円)
前年同期比
(%)
パーソナルケア624,7580.6
ペットケア95,69310.0
その他7,0247.8
合計727,4751.9

(注)1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループをとりまく経営環境は、海外におきましては、主要参入国である中国ではCOVID-19による景気の悪化から持ち直しの傾向がみられるものの、インドネシアやタイ、インドなどでは依然として厳しい状況が続くなか、当社商品は生活必需品であることから安定供給に向けて取り組んでまいりました。
そのようななか、2020年6月24日に当社子会社である、Unicharm India Private Ltd. アーメダバード工場にて火災事故が発生し、その被害額として合計15,929百万円をその他の費用に計上いたしました。
国内におきましては、COVID-19の影響により景気は依然として厳しいものの、マスクやウェットティッシュなどの感染症対策商品の需要が引き続き拡大した結果、持続的な成長を実現いたしました。
前年度値上りしていた石油由来の原材料を中心に価格が下落したことや、内外において生産効率の改善に努めたことにより、売上原価率の低下を実現し、また、販売費及び一般管理費の増加を抑制しました結果、コア営業利益率も上昇いたしました。このような経営環境のなか、当社グループは、“世界中の全ての人々のために、快適と感動と喜びを与えるような、世界初・世界No.1の商品とサービスを提供しつづけます”の基本方針に基づき、独自の不織布加工・成形技術と消費者ニーズを捉えた商品の開発に努め、あらゆる世代の人々がお互いに負担を感じることなく、その人らしさを尊重し合いながら暮らせる「共生社会」の実現に向けて取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高727,475百万円(前連結会計年度比1.9%増)、コア営業利益114,744百万円(前連結会計年度比27.8%増)、税引前当期利益95,849百万円(前連結会計年度比37.8%増)、当期利益62,580百万円(前連結会計年度比18.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益52,344百万円(前連結会計年度比13.5%増)となりました。
(b)経営成績に重要な影響を与える要因
「2 事業等のリスク」をご参照下さい。
(c)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におきましては、一部海外連結子会社において為替リスク軽減等の観点から外部借入を行った以外は、営業キャッシュ・フロー(当連結会計年度は150,254百万円のプラス)を主要な財源としております。また、事業活動や投資、自己株式取得を含めた株主還元を目的とした資金需要は出来る限り自己資金で対応出来るように資金の流動性を十分確保するように努めております。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フロー分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
2021年度の設備投資資金につきましても、自己資金をもって充当する予定であります。
(d)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度で終了した第10次中期経営計画及び現在遂行中の第11次中期経営計画が目標とする主な指標の状況は次のとおりであります。第10次中期経営計画の目標に関しまして、当連結会計年度にコア営業利益率は目標を達成いたしましたが、その他の目標はベビーケアが想定を下回ったことやインドでの火災による損失計上の影響もあって未達成に終わりました。第11次中期経営計画の初年度である次期連結会計年度は、想定以上に市場環境が急速に変化するなか、持続的な高成長へ向け消費者ニーズに即した新商品開発及び市場創造に努めるとともに、高収益、高成長市場であるウェルネスケア、ペットケアへの経営資源投下を促進し、事業構造の変革を図ってまいります。
前連結会計年度
(2019年度)
当連結会計年度
(2020年度)
第10次中期経営計画
目標(2020年度)
第11次中期経営計画
目標(2023年度)
売上高714,233百万円727,475百万円800,000百万円888,000百万円
売上高成長率3.8%
(前年度比)
1.9%
(前年度比)
(注)7.0%
CAGR
(年平均成長率)
(注)6.9%
CAGR
(年平均成長率)
コア営業利益率12.6%15.8%15.0%15.5%
ROE
(親会社所有者帰属持分
当期利益率)
10.1%10.8%15.0%15.0%

(注)売上高CAGR(年平均成長率)は、為替変動の影響を除いた数値を目標としております。
(e)戦略的現状と見通し
当社グループを取り巻く経営環境は、地政学的リスク、新興国経済の動向、金融市場の変動など、依然として先行きに不確実性が見られるなか、当社が事業展開しているアジア各国におきましては、COVID-19の影響が収束に向かえば内需主導の成長に戻るものと想定しております。国内におきましては、政府の財政的支援政策の効果もあって、消費や民間投資が下支えされ、景気回復基調に転じると想定しております。
このような経営環境のなかで、海外では、各国のニーズを捉えた商品の提供と、積極的な販売活動を通じて、市場を上回るスピードで成長し、活性化を図ってまいります。国内では、パーソナルケアにおきまして、消費者ニーズを捉えた高付加価値商品を提供し、市場の活性化をリードし続けてまいります。
(f)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しております。
なお、重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表に対する注記」に記載しております。