有価証券報告書-第60期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

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2020/03/26 9:52
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78項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループは2017年12月期より、財務情報の国際的な比較可能性と経営管理の品質向上を目指して、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しております。
また、コア営業利益は売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した利益であり、IFRSで定義されている指標ではありませんが、当社グループの経常的な事業業績を測る指標として有用な情報であると考えられるため、自主的に開示しております。
①財政状態及び経営成績の状況
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減額
(百万円)
増減率
(%)
売上高688,290714,23325,9433.8
コア営業利益95,10789,779△5,328△5.6
税引前当期利益91,56169,538△22,023△24.1
親会社の所有者に帰属する当期利益61,35346,116△15,236△24.8
基本的1株当たり当期利益(円)103.7377.53△26.20△25.3

当連結会計年度の業績は、売上高714,233百万円(前連結会計年度比3.8%増)、コア営業利益89,779百万円(前連結会計年度比5.6%減)、税引前当期利益69,538百万円(前連結会計年度比24.1%減)、当期利益52,638百万円(前連結会計年度比21.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益46,116百万円(前連結会計年度比24.8%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(a)パーソナルケア
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減額
(百万円)
増減率
(%)
売上高(注)599,290620,74221,4533.6
コア営業利益84,83378,893△5,940△7.0

(注)外部顧客に対する売上高
●ベビーケア関連商品
海外におきましては、中国で「安心・安全・高品質」ニーズに応えるべく日本からの高付加価値輸入商品である『ムーニー』ブランドをE-コマースチャネルで積極的に販売し業績は緩やかに回復いたしました。しかしながら、昨今の中国における経済環境や消費者の価値観の著しい変化から日本製への需要が一巡し、また現地メーカーの台頭で競争環境が激しいことから短期間に販売数量が大きく伸張することは難しいと判断し、減損損失を計上いたしました。今後はデジタル情報を活用しながら消費者の変化の兆しを捉えた商品展開に努めてまいります。『Baby Love』、『Fitti』及び『PetPet』ブランドを保有しているDSG (Cayman) Ltd.が展開する東南アジア地域におきましては、飛躍的な成長に向けたシナジー追求に努めてまいりました。新興国のなかでも紙おむつの普及率が未だ低いインドにおきましては、パンツ型紙おむつで普及促進を図りながら販売エリアと市場シェアの拡大に努めたほか、中東サウジアラビアでは、消費者ニーズに合わせた商品のご提案を継続し、昨年獲得したNo.1市場シェア※1の維持に努めてまいりました。
国内におきましては、お世話をする方のポジティブ感情を喚起することで育児に対する自己効力感を高める研究を京都大学大学院教育学研究科の明和政子(みょうわ まさこ)教授と共同研究し、日本初※2となる紙おむつの表面シートにオーガニックコットンを配合した『Natural moony(ナチュラル ムーニー)』※3に赤ちゃんがおしっこをすると「ありがとう」「だいすき」といったポジティブなメッセージが浮かびあがるHappyお知らせサインを採用したほか、豊島㈱が展開する「オーガビッツ(ORGABITS)プロジェクト」※4に賛同し、地球環境や労働環境、子供の未来のためにちょっと良いことをお客様といっしょに考え、活動する取り組みに協賛してまいりました。“ふんわりぴたりでモレ安心”の『ムーニー エアフィット』シリーズでは、『Natural moony(ナチュラル ムーニー)』シリーズとともに「折り紙工学」や「力学」を応用した設計により、新米パパやママでも習熟度に関係なく、誰でも上手に装着できることが育児ストレスを軽減させるとして高く評価され、2019年度グッドデザイン賞を受賞したほか、1,000g未満で産まれた赤ちゃんのために看護師さんと共同開発した世界最小※5の紙おむつ『ムーニー フラットタイプ』を全国の病院・産院向けに発売し、産まれてくる全ての赤ちゃんに寄り添えるよう努めてまいりました。また、NICU※6で育つ赤ちゃんやそのご家族、医療従事者の方々への継続的な支援を行うための「ちいさないのち応援プロジェクト」を昨年に引き続き今年も実施してまいりました。かわいいデザインとたっぷり吸収の『マミーポコパンツ』シリーズでは、お子様に大人気の「ドラえもん」デザインを新しいデザインとして追加し、デザインバリエーションを高めてまいりました。『トレパンマン』や『オヤスミマン』などのサブカテゴリーブランドでは、子供が自分自身に自信をもち、周囲と信頼関係をつくる重要な発達時期にあたるトイレトレーニング開始時期にお役立ち頂けるよう無料配信している「ムーニーちゃんとトイレトレーニングアプリ」におねしょ対策のオヤスミマンモードを追加したアプリの無料配信を開始し、朝晩に子供が進んでトイレに行きたくなる習慣づくりを支援したほか、保育士の人材サービス等を手掛けるBABY JOB㈱と提携して保育園向けにベビー用紙おむつの定額制サービスを開始し、増加する共働き世帯の負担軽減と笑顔あふれる育児生活の実現に向けて取り組んでまいりました。
※1 サウジアラビア国内幼児用紙おむつ市場(2018年7月~2019年6月累計販売金額ニールセン調べ)
※2 国内の主要ベビー用紙おむつの表面シートにおいて(2016年3月ユニ・チャーム㈱調べ)
※3 対象サイズ:新生児お誕生~3,000g、新生児お誕生~5,000g、Sの3サイズ
※4 オーガニックコットンを通して、みんなで“ちょっと(bits)”ずつ地球環境に貢献しようという想いから始まったプロジェクト
※5 主要グローバルブランドの低出生体重児対象のおむつにおいて(2019年3月ユニ・チャーム㈱調べ)
※6 新生児集中治療室。Neonatal Intensive Care Unitの頭文字をとったもの
●フェミニンケア関連商品
海外におきましては、中国におきまして、若年層から品質の高さとデザインのかわいらしさに対して引き続き高いご支持を頂いているなか、販売エリアと取り扱い店舗数の拡大に取り組んでまいりました。また、インドネシアやタイ、ベトナム、インドといった新興国におきましても、消費者ニーズに合わせた商品で販売エリアとさらなる市場シェアの拡大に努めてまいりました。
国内におきましては、健康や安心志向の高まりに応え、オーガニックコットンを配合した『ソフィ ORGANIC オーガニックコットン』シリーズを“はばたけ、わたし!”の想いを込めた『ソフィ』ブランドのラインアップに追加し、ナプキン、タンポン、パンティライナー、サニタリー用ショーツの各カテゴリーにおいてプレミアムラインとして新発売したほか、快適なはき心地と抜群の通気性で下着のようなシルエットを実現した“はく”スタイルのショーツ型ナプキン『ソフィ 超熟睡ショーツ』を新発売し、多い日の夜でもさらにモレの不安がなく眠れる安心感をご提供してまいりました。パンティライナーにおいては、おりものも水分も吸収する新しいパンティライナー『ソフィ Kiyora贅沢吸収』シリーズを新発売するなど、独自の不織布技術を活かした高付加価値商品のご提案に努めてまいりました。また、生理や生理用品について隠すことなく、気兼ねなく話せる世の中の実現を願って、ソフィ『#NoBagForMe』プロジェクトを始動したほか、「ピンクリボン活動」を2008年から12年連続で今年も応援するなど、女性の体と心の仕組みを科学的に捉えながら、女性の物理的・精神的な束縛からの解放と、全ての女性がより自分らしく、健やかに毎日を過ごしながら活躍できる社会を目指して取り組んでまいりました。
●ヘルスケア関連商品
海外におきましては、日本以上のスピードで台湾やインドネシア、タイ、ベトナム、中国といったアジア地域でも高齢化が進み、大人用排泄ケア用品の需要が本格化することから、日本で確立したケアモデルをアジア地域に普及させる準備を進めてまいりました。また、大人用紙おむつ市場において優位なポジションを築き、『Certainty』ブランドを保有しているDSG (Cayman) Ltd.が展開するタイ及びマレーシアにおきましては、普及加速に向けた取り組みを進めてまいりました。
高齢者人口の増加により拡大が続く国内市場におきましては、今までどおり自分らしく生活が送れるようサポートする商品の普及活動や、使用済み紙おむつを独自のリサイクルシステムにより再資源化する「使用済み紙おむつリサイクル技術」の事業化と「循環型モデル」の認知拡大、普及浸透に向けて取り組んでまいりました。軽い尿もれ専用品では、吸水ケアを通じて笑顔ある毎日を応援する『チャームナップ』ブランドにおきまして、『チャームナップ 吸水さらフィ』ブランドに、天然素材のオーガニックコットンを使用した『チャームナップ 吸水さらフィ organic cotton 100%※1』を自然なつけ心地で安心してご使用頂ける商品としてラインアップに追加し、“ズボンにしみない、目立たない”工夫をした男性用尿もれ専用品『ライフリー さわやかパッド』シリーズとともに“軽い尿もれ”は誰にでもあることとして抵抗感を払拭する活動を継続して実施してまいりました。大人用紙おむつ・尿もれ専用品『ライフリー』ブランドでは、軽い力でも紙パンツの両脇が破きやすい特許技術「らくらくステッチ」を『ライフリー パンツ』シリーズに搭載し、交換簡便性向上により、ご本人と介護をされる方の双方のサポートと、健康寿命の延伸に取り組んできたほか、24時間365日排泄ケアに関するお問い合わせに対応できるよう、大人用紙おむつ業界で初めて人工知能(Artificial Intelligence)チャットボット※2を採用した「大人用おむつNAVI」などで心と体の健康をサポートしてまいりました。また、高齢化の進行に伴う「閉じこもり」や「認知症」といった社会問題の改善に寄与するため、目的を持って社会と触れ合い誰でも取り組める形にした認知症予防に役立つ取組みライフリー「ソーシャル・ウォーキング※3」体験会を継続的に開催したほか、テレビコマーシャル、ウェブサイト、店頭でのカウンセリングや日常生活動作に合わせた売り場づくりを通じて販売促進にも積極的に取り組み、排泄ケア市場をリードしてまいりました。
日々の健康を守り、安心で快適な暮らしをサポートする『超快適』ブランドにおきましては、多様化する使用実態やニーズの変化に合わせて『超快適マスク 息ムレクリアタイプ ブラック』や、『超快適マスク ピンクふつうサイズ』、『超快適マスク 園児専用 おやこ動物柄』を新発売するなど、お子様から大人まで一年を通して快適にご使用頂けるマスクのご提案と市場の活性化に努めてまいりました。
※1 肌が触れる面の上層に100%オーガニックコットンを使用
※2 人間の代わりに対話するプログラム(もしくは、それを含むシステム全体)のこと
※3 「社会参加&歩行」の造語で、人と関わり、楽しみながら歩くことを誰もが取り組みやすい形にした認知症予防のためのウォーキング(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所の監修のもと、当社考案)
●クリーン&フレッシュ関連商品
クリーン&フレッシュ国内市場におきましては、住環境やライフスタイルの変化に伴い、リビング周りをいつも清潔に、家中を限られた時間で簡単にお掃除したいというお客様が増えているなか、“片手でポン!ですぐキレイ”のボックス型ウェットティッシュ『シルコット ウェットティッシュ』シリーズに、キユーピー㈱が開発した身体に安心・安全な100%自然由来の抗ウィルス成分「ノロクリアプロテイン」を配合した『シルコット ノロクリア ウェット除菌※1』をラインアップに追加し、多様化する消費者ニーズに応えてまいりました。“家中まるごと、これ一本!”のお掃除用品『ウェーブ』ブランドでは、ヘッドを持ち上げると自動で起き上がる構造により家具や家電のタテのスキマの奥にも入り込み、すっきりキレイを実現する『ウェーブ フロアワイパー』と『ウェーブ フロアシート(ウェットタイプ、ドライタイプ)』を新発売し、日常生活を快適に過ごして頂くためのご提案に努めてまいりました。
毎日変化するお肌を健やかに保ち、日々のお手入れを気楽に効果的にする『シルコット コットン』シリーズでは、2分の1の化粧水でも驚くほどうるおう※2『シルコット うるうるコットン スポンジ仕立て』が3年連続※3@cosmeベストコスメアワードを受賞し、殿堂入りを果たすなど、日本初※4の極細長繊維でミクロ汚れまですっきりふきとる“ふきとり用コットン”『シルコット ふきとりコットン シルキー仕立て』とともに、多様化する化粧用コットン市場を活性化してまいりました。
お料理の下ごしらえ、調理、保存からふきんまで幅広い用途に使えるクッキングペーパー『クックアップ』では、生鮮食品の鮮度保持などの便利な使い方をご紹介したほか、余分な水分のみを吸収し、空気を通すことにより鮮度の劣化や変色を防ぐ『フレッシュマスター』とともに生鮮食品の食品ロス削減に取り組んでまいりました。
※1 全ての菌を除菌するわけではありません
※2 当社従来品比
※3 @cosmeベストコスメアワードベスト美容グッズ2016年、2017年ベスト美容グッズ第1位受賞。@cosmeベストコスメアワード2018殿堂入り
※4 パフを覆うシートが二層構造。肌に接する外側層は10μm以下の極細長繊維で、内側が粗いセルロース繊維で形成されている構造。日本における主要ブランドの化粧綿対象。(2015年10月ユニ・チャーム㈱調べ)
この結果、パーソナルケアの売上高は620,742百万円(前連結会計年度比3.6%増)、セグメント利益(コア営業利益)は78,893百万円(前連結会計年度比7.0%減)となりました。
(b)ぺットケア
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減額
(百万円)
増減率
(%)
売上高(注)82,07386,9774,9046.0
コア営業利益10,12310,6675435.4

(注)外部顧客に対する売上高
人とペットがともに長生きし豊かな生活が送れる「共生社会」と「健康長寿社会」の実現に向け、衛生用品からフードまでペットの生活を総合的にサポートする商品の開発と市場創造に努めてまいりました。
国内ペットトイレタリーにおきましては、犬用では、近年、人間と同様に犬でも高齢化が進むなか、お洒落で可愛く、洋服感覚で使えるデザインで、ズレやヨレを大幅に改良した『マナーウェア 長時間オムツ』を新発売し、愛犬が寝たきりになることなく、いつまでも今までと同じように遊んだり、お散歩ができる生活が続けられるような商品のご提案に努めてまいりました。猫用では、不快なニオイからの開放を目指して『デオトイレ消臭・抗菌シート』シリーズの消臭力をアップし、清潔で、快適に暮らせる商品のご提案に努めてまいりました。
国内ペットフードにおきましては、犬用では、良質素材を彩り良く使い、味、食感、栄養バランスの全てにこだわった『グラン・デリ』ブランドに、無添加※1で、100%国産鶏肉を使用し、素材の旨みをしっかり残したドッグフード『グラン・デリ 無添加仕立て 国産パウチ』シリーズと、低脂肪な鶏ささみとチーズやかぼちゃなどの素材をトッピングした無着色のおやつ『グラン・デリ 素材贅沢』シリーズを新発売し、自然に近い素材で「おいしさ」や「品質」を追求したほか、『グラン・デリふっくら仕立て』に新フレーバー「ささみ入り大豆フレーク※2」の素材を新たに加え、素材の量も増やすことで素材感をアップし、犬のグルメ市場の拡大に努めてまいりました。また、栄養、食べやすさ、おいしさ、全てをバランス良く、ベストを目指した犬種で選べる健康フード『ベストバランス』においても愛犬の健康維持に必要な栄養素を詰め込んだ新「マルチ健康サポート粒」を新たに採用し、犬種ごとの特徴に合わせて健康をサポートしてまいりました。
猫用では、贅沢な味わいと香りを引き出したプレミアムフード『銀のスプーン 三ツ星グルメ』ブランドに毎食色々な味が楽しめるアソートタイプ『銀のスプーン 三ツ星グルメ お魚クリーム3種のアソート』や、食べ応えと食べやすさの双方を実現したウェットフード『銀のスプーン 三ツ星グルメ パウチとろみ仕立て』を新発売したほか、厳選された素材で猫が夢中になるおいしさと、食べきりサイズで毎回新鮮なおやつを与えることができる『銀のスプーン三ツ星グルメおやつ』シリーズには、素材の“つぶつぶ”食感を楽しめる猫用おやつ『銀のスプーン三ツ星グルメおやつ つぶリッチ』を新発売し、健康で幸せな毎日をサポートできるよう取り組んでまいりました。また、保護犬・保護猫の存在を知って頂き、新しい家族に迎え入れるという選択肢が当たり前となる社会を目指して様々な企画を提案する一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブルが取り組む「PANEL FOR LIFE」を応援するキャンペーンを展開し、人とペットの「共生社会」の実現を目指してまいりました。
北米市場におきましては、日本の技術を搭載した犬用シート、猫用ウェットタイプ副食の販売が引き続き堅調に推移したほか、今後のさらなる成長に向け、近年台頭が著しいインターネット販売やペット専門店・米国特有のDollar store(均一価格店)業態への取り組みを強化してまいりました。
※1 着色料・調味料・発色剤 不使用
※2 大豆が主原料のフレークにワンちゃんの好きなササミを配合した特許出願中の素材
この結果、ペットケアの売上高は86,977百万円(前連結会計年度比6.0%増)、セグメント利益(コア営業利益)は10,667百万円(前連結会計年度比5.4%増)となりました。
(c)その他
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減額
(百万円)
増減率
(%)
売上高(注)6,9276,514△413△6.0
コア営業利益1512196845.1

(注)外部顧客に対する売上高
不織布・吸収体の加工・成形技術を活かした業務用商品分野におきまして、産業用資材を中心に販売を進めてまいりました。
この結果、その他の売上高は6,514百万円(前連結会計年度比6.0%減)、セグメント利益(コア営業利益)は219百万円(前連結会計年度比45.1%増)となりました。
当期の財政状態の概況は次のとおりであります。
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減額
(百万円)
資産合計795,483864,00368,520
負債合計291,813321,10229,289
資本合計503,670542,90039,231
親会社所有者帰属持分比率(%)55.554.8-

当連結会計年度末の財政状態は、資産合計が864,003百万円と前連結会計年度末に比べ68,520百万円増加いたしました。主な増加は、有形固定資産43,477百万円、預入期間が3ヶ月を超える定期預金等のその他の金融資産25,249百万円、売上債権及びその他の債権21,625百万円、主な減少は、長期前払費用等のその他の非流動資産7,913百万円によるものです。負債合計は、321,102百万円と前連結会計年度末に比べ29,289百万円増加いたしました。主な増加は、リース負債等のその他の金融負債44,653百万円、主な減少は、未払法人所得税6,538百万円、仕入債務及びその他の債務3,487百万円、社債及び借入金2,396百万円によるものです。資本合計は、542,900百万円と前連結会計年度末に比べ39,231百万円増加いたしました。主な増加は、親会社の所有者に帰属する当期利益46,116百万円、主な減少は、親会社の所有者への配当金の支払い15,475百万円、自己株式の増加5,993百万円によるものです。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前期末の55.5%から54.8%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減額
(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー110,86784,936△25,932
投資活動によるキャッシュ・フロー△113,400△69,23544,165
財務活動によるキャッシュ・フロー△27,723△23,0624,662
現金及び現金同等物の期末残高135,065128,787△6,278

営業活動によるキャッシュ・フローは84,936百万円のプラス(前連結会計年度比25,932百万円のマイナス)、投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産及び無形資産の取得による支出などにより69,235百万円のマイナス(前連結会計年度比44,165百万円のプラス)、財務活動によるキャッシュ・フローは親会社の所有者への配当金の支払額などにより23,062百万円のマイナス(前連結会計年度比4,662百万円のプラス)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、為替変動による影響を含めて前連結会計年度末に比べ6,278百万円減少し、128,787百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
セグメントの名称生産高
(百万円)
前年同期比
(%)
パーソナルケア607,465△1.4
ペットケア87,2414.5
その他6,528△6.8
合計701,233△0.8

(注)1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(b)受注実績
受注生産を行っていないので、該当事項はありません。
(c)販売実績
セグメントの名称販売高
(百万円)
前年同期比
(%)
パーソナルケア620,7423.6
ペットケア86,9776.0
その他6,514△6.0
合計714,2333.8

(注)1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しております。
なお、重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表に対する注記」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループをとりまく経営環境は、海外におきましては、米中貿易摩擦による世界経済の先行き不透明感が残り、中国、インドネシア、タイなどの主要参入国において景気減速懸念が続くなか、当社グループは、消費者ニーズに合わせたパーソナルケア関連商品の販売活動を積極的に実施し、持続的な成長を実現いたしました。
そのような中、中国ベビー用紙おむつ市場向け生産設備について、投資回収可能価額が帳簿価額を下回るため、当期において、11,987百万円の減損損失を計上いたしました。また、2018年9月に買収しましたDSG (Cayman) Ltd.のインドネシア事業につきましては、既存事業との融合を進め、流通チャネルの再編を行ったことに伴い、買収事業の帳合に係る無形資産(顧客関連資産)等について、当期において、5,543百万円を減損損失として計上いたしました。
一方、国内におきましては、相次ぐ自然災害や、インバウンド消費にも底打ちの兆しがありながらも、消費増税の影響は限定的となり、個人消費は緩やかな増加基調のなか、引き続き高付加価値パーソナルケア関連商品の需要を喚起するための新価値提案を実施し、市場の拡大に努めてまいりました。
このような経営環境のなか、当社グループは、“世界中の全ての人々のために、快適と感動と喜びを与えるような、世界初・世界No.1の商品とサービスを提供しつづけます”の基本方針に基づき、独自の不織布加工・成形技術と消費者ニーズを捉えた商品の開発に努め、あらゆる世代の人々がお互いに負担を感じることなく、その人らしさを尊重し合いながら暮らせる「共生社会」の実現に向けて取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高714,233百万円(前連結会計年度比3.8%増)、コア営業利益89,779百万円(前連結会計年度比5.6%減)、税引前当期利益69,538百万円(前連結会計年度比24.1%減)、当期利益52,638百万円(前連結会計年度比21.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益46,116百万円(前連結会計年度比24.8%減)となりました。
(b)経営成績に重要な影響を与える要因
「2 事業等のリスク」をご参照下さい。
(c)資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度においては、連結子会社であるPT UNI-CHARM INDONESIA Tbkは、2019年12月20日付でインドネシア証券取引所メインボード市場へ上場し、総額9,602百万円の資金調達を行いましたが、営業キャッシュ・フロー(当連結会計年度は84,936百万円のプラス)を主要な財源としております。また、2019年3月12日に竣工し稼働を開始した九州新工場の投資においては全額保有現預金で対価を支払うなど、投資を目的とした資金需要は出来る限り自己資金で対応出来るように資金の流動性を十分確保するように努めております。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フロー分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
2020年度の設備投資資金につきましても、自己資金をもって充当する予定であります。
(d)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
現在遂行中の第10次中期経営計画が目標とする主な指標の状況は次のとおりであります。当連結会計年度は中国ベビーケアが想定を下回ったこと等により、売上高を除いた指標は前連結会計年度を下回る結果となりました。中期経営計画の最終年度である次期連結会計年度は、想定以上に市場環境が急速に変化するなか、持続的な高成長へ向け消費者ニーズに即した新商品開発及び市場創造に努めるとともに、高収益、高成長市場であるフェミニンケア、ヘルスケア、ペットケアへの経営資源投下を促進し、事業構造の変革を図ってまいります。
前々連結会計年度
(2017年度)
前連結会計年度
(2018年度)
当連結会計年度
(2019年度)
中期経営計画目標
(2020年度)
売上高641,647百万円688,290百万円714,233百万円800,000百万円
売上高成長率6.1%
(前年度比)
7.3%
(前年度比)
3.8%
(前年度比)
(注)7.0%
CAGR
(年平均成長率)
コア営業利益率13.5%13.8%12.6%15.0%
ROE
(親会社所有者帰属持分
当期利益率)
14.3%14.8%10.1%15.0%

(注)中期経営計画の売上高CAGR(年平均成長率)7.0%は、為替変動の影響を除いた数値を目標としております。
(e)戦略的現状と見通し
当社グループを取り巻く経営環境は、地政学的リスク、新興国経済の動向、金融市場の変動など、依然として先行きに不確実性が見られるなか、当社が事業展開しているアジア各国におきましては、内需主導の成長が続くものと想定しております。国内におきましては、キャッシュレス・ポイント還元事業が2020年6月に終了することや、東京オリンピック・パラリンピック後の景気の先行き不透明感があるものの、民間投資や外需が堅調に推移して、景気回復基調が続くものと想定しております。
このような経営環境のなかで、海外では、各国のニーズを捉えた商品の提供と、積極的な販売活動を通じて、市場を上回るスピードで成長し、活性化を図ってまいります。国内では、パーソナルケアにおいて、消費者ニーズを捉えた高付加価値商品を提供し、市場の活性化をリードし続けてまいります。また、ペットケアにおいては、ペットの生活を総合的にサポートする商品の開発と市場創造に努めてまいります。
(f)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
(3)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(のれん)
日本基準では、のれんは効果が発現すると合理的に見積もられる期間にわたって償却しておりますが、IFRSではのれんの償却をしておらず、毎期減損テストを実施しております。
日本基準では、「企業結合に関する会計基準」(2013年9月13日企業会計基準第21号。以下「企業結合会計基準」という。)を早期適用した2015年12月31日より前に発生した企業結合に係る取得関連費用のうち、対価性が認められるものは資産計上しておりました。
IFRSでは、当社グループは2010年9月1日以降に発生した企業結合に対して、IFRS第3号「企業結合」を遡及適用しており、当該企業結合に直接起因する取引コストは発生時に費用処理しております。
また、子会社に対する持分の追加取得について、企業結合会計基準を早期適用する前の日本基準においては、追加投資額と追加取得持分の差額は、のれんとして計上しておりました。IFRSでは、当該差額は資本剰余金として計上しております。
これらの影響により、IFRSでは日本基準に比べてのれんが23,349百万円減少しております。また、販売費及び一般管理費が5,835百万円減少しております。
(売上高)
一部のリベート等について、日本基準では主に販売費及び一般管理費に表示しておりましたが、IFRSでは売上高の控除としております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて売上高が99,654百万円減少しております。