有価証券報告書-第57期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/29 13:26
【資料】
PDFをみる
【項目】
107項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当連結会計年度から、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては「第5経理の状況」の冒頭に記載のとおり、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づいて作成しております。
重要な会計方針についての詳細および見積りに関する事項につきましては「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループにおける当連結会計年度における業績は、電子売上では、スマートフォン等での無料ナビアプリの影響や軽自動車の販売不振の影響を受け、電子売上の売上高が大幅に減少しました。一方で、市販出版物においては、期首における返品が当初想定通り大幅に減少したことに加え、新ガイドシリーズやマガジンmini版の出版による売上拡大もあり、市販出版物の売上高は大きく増加いたしました。その結果、売上高合計は前連結会計年度に比べ6億39百万円(5.2%)増加し、130億35百万円となりました。
損益面におきましては、利益率の高い電子売上の売上減少等により売上原価負担が増加いたしましたが、前連結会計年度におけるデータベースの減損処理に伴う償却負担の減少、市販出版物の原価削減等により売上原価は大きく減少しました。販売費及び一般管理費におきましても、新規事業での先行投資、営業経費等の増加はあるものの、広告宣伝費や研究開発費、業務委託費、のれん償却額等の費用削減により販売費及び一般管理費も前連結会計年度を下回る結果となりました。これにより、営業利益3億6百万円(前連結会計年度は、営業損失9億34百万円)、経常利益は3億63百万円となりました(前連結会計年度は、経常損失8億87百万円)。また、保有有価証券の売却に伴う特別利益等を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は5億38百万円となりました(前連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失70億42百万円)。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
近年、当社グループにおきましては、従来の主力事業である出版事業では、インターネットやカーナビゲーション等情報提供媒体の多様化により、その売上高は長期下落傾向にあり、厳しい事業環境のもと業績も伸び悩む状況が続いております。今後の当社グループでの業績回復のためには、既に保有するデータベースを活用した電子事業の積極展開と事業の早期拡大が不可欠な状況にあります。しかし一方で、電子事業における事業環境自体も携帯電話からスマートフォン等への普及が急速に拡大するなど劇的に変化しており、このような市場への対応次第では、当社グループにおける今後の業績において大きく異なる結果となる可能性があります。なお、詳細なリスク等につきましては、「第2事業の状況 4 事業等のリスク」に記載しております。
(4)経営戦略の現状と見通し
近年、当社グループにおける従来の主力事業である出版事業では、当連結会計年度では増収を確保したものの依然として厳しい事業環境が続いておりますが、一方、電子事業ではスマートフォン等モバイルツールの普及拡大が急速に伸びており、新たなビジネスチャンスも多くなってきております。この様な事業環境の中、出版物連携のアプリケーション『まっぷるリンク』の更なる機能充実を図り出版物の売上増加を目指すとともに、連携したサービスの提供を進めてまいります。また「ことりっぷ」のブランド展開も積極的に進めてまいります。『マップルナビ』においては、PNDや軽自動車の販売状況は厳しくなってきておりますが、今後さらに当社独自のガイド情報を活用したナビゲーションシステムを開発し普通車の車載カーナビゲーションへの採用を目指してまいります。また、新規事業である「インバウンド事業」は、今後の事業拡大の可能性が非常に大きい事業であると判断しており、これまでに構築してきた情報、技術をフル活用し、訪日外国人観光客にとって利便性が高く、お得な情報を獲得できるサービスを提供し、有力海外企業と提携しそのサービスを広く普及させていきます。これにより訪日外国人観光客に向けた情報発信を必要とする企業に対し、その機会を提供できる状況を構築するとともに多種多様な売上を獲得してまいります。
一方で、上記記載の新規事業や新規取り組みを積極的に展開していくためには、各種システム開発やデータベースの強化充実等の投資が必要となってきます。また海外企業との提携等も積極的に行っていく必要性もあり、それに係る投資も行ってまいります。
次期の業績につきましては、市販出版物においては、まっぷるマガジンmini版出版による売上増加要因はあるものの、当連結会計年度にあった期首返品負担の減少や新刊商品の積極的出版といった特殊要因がなくなる関係から、その売上高は大きく減少する見通しとなっております。また、当連結会計年度において大幅減収となったカーナビ関連売上では、これ以上の減収は防げる見通しとなっております。新規事業であるインバウンド事業の増収に加え、新たに設立した㈱トリプコンにおける旅行関連プラットフォーム提供事業に係る売上の獲得等、増収要因もあるものと見通しております。原価、販売費及び一般管理費においては、インバウンド事業関連の経費が引き続き先行して発生、特に新会社である㈱トリプコンでは営業経費、システム開発費用の負担が売上獲得よりも先行いたします。返品調整引当金は当連結会計年度末に大幅に積み増した影響から、次期には大幅な戻入となる見通しとなっております。また、退職給付会計において、日銀のマイナス金利政策に伴う国債金利低下の影響を受け、割引率を変更することにより退職給付費用負担が大幅に増加する等人件費負担が増加する見通しとなっております。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度における資産、負債、純資産及びキャッシュ・フローの状況は以下のとおりとなっております。
当連結会計年度末における資産合計は280億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億65百万円(0.9%)減少いたしました。この主な要因は、受取手形及び売掛金が12億13百万円、有価証券が3億円、商品及び製品が1億86百万円、仕掛品が1億57百万円、流動資産その他が2億90百万円、データベースが1億18百万円、ソフトウェアが2億98百万円、投資有価証券が1億7百万円増加した一方で、現金及び預金が24億33百万円、割引率見直しに伴い退職給付に係る資産が3億23百万円減少したことであります。負債合計は64億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ60百万円(1.0%)増加いたしました。この主な要因は、支払手形及び買掛金が2億89百万円、未払費用が1億34百万円、繰延税金負債が2億70百万円減少した一方で、返品調整引当金が4億6百万円、流動負債その他が3億45百万円増加したことであります。純資産においては、利益剰余金が剰余金の配当3億32百万円及び親会社株主に帰属する当期純利益5億38百万円等により2億5百万円増加する一方で、その他有価証券評価差額金が3億27百万円減少、退職給付に係る調整累計額が2億31百万円減少いたしました。これにより、純資産合計は3億25百万円(1.5%)減少し、216億52百万円となりました。
この結果、自己資本比率は77.1%と0.5ポイント悪化しております。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローにおいて9億42百万円の資金を使用、投資活動によるキャッシュ・フローにおいて5億24百万円の資金を使用、財務活動によるキャッシュ・フローにおいて3億66百万円の資金を使用した結果、その期末残高は前連結会計年度末に比べ18億32百万円減少し、99億49百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
営業活動によるキャッシュ・フローでは、9億42百万円の支出となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益が5億33百万円であったことに加え、減価償却費及びその他の償却費が3億28百万円、返品調整引当金の増加額が4億6百万円あった一方で、有価証券及び投資有価証券売却益が1億71百万円、売上債権の増加額が12億13百万円、たな卸資産の増加額が3億39百万円、仕入債務の減少額が2億89百万円、その他流動負債の減少額が1億42百万円あったことであります。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、5億24百万円の支出となりました。その主な要因は、定期預金の払戻による収入が6億円あった一方で、有形固定資産の取得による支出が55百万円、無形固定資産の取得による支出が5億71百万円、投資有価証券の取得による支出が5億11百万円あったことであります。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、3億66百万円の支出となりました。その主な要因は、新株予約権の発行による収入が16百万円あった一方で、配当金の支払額が3億33百万円あったことに加え、長期借入金の返済による支出が50百万円あったことであります。