有価証券報告書-第55期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/27 13:12
【資料】
PDFをみる
【項目】
104項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては「第5経理の状況」の冒頭に記載のとおり、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づいて作成しております。
重要な会計方針についての詳細および見積りに関する事項につきましては「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループにおける当連結会計年度の業績は、引き続きスマートフォン等の普及に伴う地図出版物の売上減少が続く中、マップルマガジン『梅田』、マップルマガジン『富士山』といった話題性の高い商品や「ことりっぷシリーズ」における他企業とのタイアップ商品も多数投入してまいりましたが、中国、韓国といった海外マガジン、ガイドの売上が減少するとともに、前期の様な新規シリーズの創刊といった特殊要因がなかったことによる影響もあり、市販出版物の売上高は73億63百万円と前連結会計年度に比べ7億95百万円(9.8%)減少いたしました。電子売上においては、引き続きPND(簡易型カーナビゲーション)の売上が好調に推移したことに加え、軽自動車にも採用されたことで『マップルナビ』のロイヤリティ収入が増加するとともに、企業業績の好転を受け民間企業への地図データ提供が堅調に推移しました。しかし一方で、子会社の「国内におけるデータ作成受託業務」等の事業を6月に事業譲渡した影響で、同事業に関する売上が大幅に減少いたしました。これにより電子売上の売上高は49億24百万円となり、前連結会計年度に比べ3百万円(0.1%)の増加に留まりました。
当連結会計年度においては、現在当社グループが注力しているスマートフォン向けサービスとして、従来提供している出版物へのデジタル付録『マップルリンク』採用商品の拡大や機能拡充等を引き続き推進するとともに、旅好きな女性に圧倒的支持を得ている『ことりっぷ』でのコミュニティサイトや、ことりっぷ編集部が目利きとなりセレクトした商品を提供する通販サイト『ことりっぷお取り寄せ』を展開してまいりました。また急増している海外からの外国人観光客に向けた情報提供サービスを展開するべく、台湾向け・タイ向けFacebookページの開設や台湾向け観光アプリケーション(スマートフォン向け)の提供等を行ってまいりました。
この結果、売上高合計は前連結会計年度に比べ5.2%減少し、138億70百万円となりました。
損益面におきましては、市販出版物の売上減少による減益要因はあるものの、前期にあった新海外ガイドシリーズ創刊に伴う原価高の影響は小さくなったため、売上総利益は若干の減少となりました。一方で、マップルリンクやことりっぷ関連事業への積極的投資は実施したものの、新規シリーズの創刊等がなかったことによる、広告宣伝費、販売促進費等の減少や管理部門の縮小による人件費の減少もあり販売費及び一般管理費が大幅削減となり、営業利益は6億59百万円と前連結会計年度に比べ3億87百万円(142.3%)増加いたしました。これにより経常利益は6億99百万円となり、前連結会計年度に比べ3億64百万円(108.9%)の増加となりました。また、当社子会社の事業の一部を吸収分割の方法で事業譲渡したことに伴い、事業分離における移転利益33百万円を特別利益として計上いたしました。この結果、税金等調整前当期純利益は7億32百万円となりましたが、退職給付会計における前払年金費用の計上等に伴い法人税等調整額が2億50百万円となったため、当期純利益は、4億33百万円となり、前連結会計年度に比べ75百万円(21.1%)の増加となりました。
なお、当社グループにおける事業セグメントにつきましては、従来、事業の中核である地図・ガイドデータベースの情報の提供方法に基づき、出版物等の紙媒体で提供する「出版事業」と各種データ等を電子媒体で提供する「電子事業」の2事業区分として報告しておりました。しかし変化の激しい近年、情報提供媒体も紙媒体中心から、インターネットや携帯端末といった電子媒体へと急速な広がりを見せております。そのような状況の中、当社グループにおきましても出版物とスマートフォンとの連動したサービスや電子書籍等、単一の媒体にとどまらない総合的サービスが重要となってきております。これにより従来の提供媒体に基づく事業セグメントは適切ではないと判断し、当連結会計年度より単一セグメントに変更しております。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
近年、当社グループにおきましては、従来の主力事業である出版事業では、インターネットやカーナビゲーション等情報提供媒体の多様化により、その売上高は長期下落傾向にあり、厳しい事業環境のもと業績も伸び悩む状況が続いております。今後の当社グループでの業績回復のためには、既に保有するデータベースを活用した電子事業の積極展開と事業の早期拡大が不可欠な状況にあります。しかし一方で、電子事業における事業環境自体も携帯電話からスマートフォン等への普及が急速に拡大するなど劇的に変化しており、このような市場への対応次第では、当社グループにおける今後の業績において大きく異なる結果となる可能性があります。なお、詳細なリスク等につきましては、「第2事業の状況 4 事業等のリスク」に記載しております。
(4)経営戦略の現状と見通し
近年、当社グループにおける従来の主力事業である出版事業では、依然として厳しい事業環境が続いておりますが、一方、電子事業ではスマートフォン等モバイルツールの普及拡大が急速に伸びており、新たなビジネスチャンスも多くなってきております。この様な事業環境の中、出版物連携のアプリケーション『マップルリンク』の更なる機能充実を図り出版物の売上増加を目指すとともに、連携したサービスの提供を進めてまいります。また『マップルナビ』においては、PNDに加え軽自動車の車載カーナビゲーションとしての採用の拡大等も見込まれております。また『ことりっぷ』ブランドを活用した関連事業も広く展開していく予定であります。利用者が急増しているスマートフォンに向け、引き続き利便性の高いアプリケーション開発にも注力し、特に当社の出版物との連携を特徴とする多くのアプリケーションを提供することで、今後の新しい市場を築いてまいります。また、市販出版物では国内ガイドブックの新シリーズの創刊を予定しております。この様な取組みにより、ここ数年減少傾向であった売上高を増収に転換いたします。
一方で、上記記載の新規事業や新規取り組みを積極的に展開していくためには、各種システム開発やデータベースの強化充実等の投資が必要となってきます。また新シリーズ創刊に伴う製造原価や広告宣伝費、販売促進費等の負担も増加いたします。反面、利益の減少要因である返品を減少させるべく、今まで以上に返品抑制戦略を徹底し、市場在庫の適正化を進め返品減少を実現してまいります。
次期の業績は、販売費及び一般管理費の負担増の影響が大きく、利益ベースでは前連結会計年度を下回る結果となる見込みとなっておりますが、中長期的な業績拡大には、当社グループ保有のコンテンツの強化充実や新しいサービスを実現するための技術の研究が重要であり、そのための積極投資は欠かせないものと判断しております。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度における資産、負債、純資産及びキャッシュ・フローの状況は以下のとおりとなっております。
当連結会計年度末における資産合計は339億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億96百万円(0.6%)増加いたしました。この主な要因は、受取手形及び売掛金が4億52百万円、商品及び製品が1億50百万円、仕掛品が1億62百万円、流動資産その他が5億64百万円、建物及び構築物(純額)が1億29百万円、データベースが5億77百万円、投資その他の資産その他が6億78百万円減少した一方で、現金及び預金が18億66百万円、投資有価証券が2億26百万円、退職給付に係る資産が11億58百万円増加したことであります。負債合計は49億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億55百万円(3.0%)減少いたしました。この主な要因は、返品調整引当金が1億円、繰延税金負債(固定)が2億42百万円増加した一方で、支払手形及び買掛金が1億29百万円、短期借入金が1億74百万円、退職給付引当金が1億28百万円減少したことであります。純資産においては、利益剰余金が剰余金の配当3億32百万円及び当期純利益4億33百万円により1億円増加するとともにその他有価証券評価差額金が1億61百万円増加いたしました。これにより、純資産合計は3億52百万円(1.2%)増加し、290億4百万円となりました。
この結果、自己資本比率は85.3%と0.5ポイント改善しております。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローにおいて22億87百万円の資金を獲得、投資活動によるキャッシュ・フローにおいて3億16百万円の資金を獲得、財務活動におけるキャッシュ・フローにおいて6億36百万円の資金を使用した結果、その期末残高は前連結会計年度末に比べ19億67百万円増加し、104億46百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローでは、営業活動の結果得られた資金は22億87百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が7億32百万円となったことに対し、退職給付に係る資産の増加額が4億34百万円、仕入債務の減少額が1億22百万円あった一方で、減価償却費及びその他の償却費が12億77百万円であったとともに、返品調整引当金の増加額が1億円、売上債権の減少額が4億23百万円、たな卸資産の減少額が3億2百万円あったことが主な要因であります。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、投資活動の結果得られた資金は3億16百万円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出が3億56百万円あった一方で、定期預金の払戻による収入が1億円、投資有価証券の売却による収入が5億96百万円あったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、財務活動の結果使用した資金は6億36百万円となりました。これは主に、短期借入金の純減額が1億74百万円、長期借入金の返済による支出が1億29百万円、配当金の支払額が3億33百万円あったことによるものであります。