有価証券報告書-第111期(2023/04/01-2024/03/31)

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2024/06/26 13:34
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146項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の経営成績等の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況
(経営成績の状況)
当期のわが国を含む世界経済は、コロナ禍から経済社会活動の正常化が加速し、景気の緩やかな回復が続くことが期待される一方、中国および欧州経済の減速や中東およびウクライナ情勢の長期化、世界的な金融引き締めに伴う影響等が懸念され、先行きが不透明な状況が続きました。
このような状況のなか、当社グループは、「中長期的な企業価値の向上」と「持続可能な社会への貢献」を両立し、サステナビリティ経営を推進して当社グループを一層発展させるべく、新たに『クレハグループ企業理念』、『クレハビジョン』、2030年度に向けた『経営方針』と「クレハグループ中長期経営計画『未来創造への挑戦』」を策定し、取組みをしております。
当連結会計年度は、機能製品事業のリチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂の売上げが減少したことに加え、「その他の費用」で欧州における熱収縮多層フィルム事業撤退に伴うリストラクチャリング費用の計上、および中国におけるフッ化ビニリデン樹脂製造設備の増強計画中止に伴う固定資産の減損損失を計上したこと等により、前期比で減収減益となりました。
売上収益は前期比7.0%減の1,779億73百万円、営業利益は前期比42.7%減の128億円、税引前利益は前期比39.5%減の139億13百万円、当期利益は前期比42.0%減の98億43百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比42.3%減の97億34百万円となりました。

セグメントの業績は次のとおりです。
(単位:百万円)
売 上 収 益営 業 損 益
前期当期増減前期当期増減
機能製品事業82,69364,510△18,18310,1474,837△5,310
化学製品事業31,78433,9492,1641,8491,655△194
樹脂製品事業46,79247,3285358,6078,194△412
建設関連事業11,31013,9482,6388811,480599
その他関連事業18,69618,237△4592,8212,466△355
セグメント合計191,277177,973△13,30324,30818,634△5,673
調整額 (注)---△1,957△5,834△3,876
連結合計191,277177,973△13,30322,35012,800△9,550

(注)営業損益の調整額には、報告セグメントに配分していないその他の収支が含まれております。詳細は、連結財務諸表注記「25.その他の収益」および「26.その他の費用」に記載しております。

機能製品事業
機能樹脂分野では、PPS樹脂およびシェールオイル・ガス掘削用途向けのPGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品の売上げは増加しましたが、リチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂およびその他の樹脂加工品等の売上げが減少したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。
炭素製品分野では、高温炉用断熱材の売上げが増加し、この分野での売上げ、営業利益はともに増加しました。
この結果、本セグメントの売上収益は前期比22.0%減の645億10百万円となり、営業利益は前期比52.3%減の48億37百万円となりました。


化学製品事業
農薬・医薬分野では、農業・園芸用殺菌剤および慢性腎不全用剤「クレメジン」の売上げが増加したことから、この分野での売上げは増加しましたが、研究開発費等の増加により営業利益は減少しました。
工業薬品分野では、無機薬品類の売上げが増加し、この分野での売上げ、営業利益はともに増加しました。
この結果、本セグメントの売上収益は前期比6.8%増の339億49百万円となり、営業利益は前期比10.5%減の16億55百万円となりました。

樹脂製品事業
コンシューマー・グッズ分野では、家庭用ラップ「NEWクレラップ」およびフッ化ビニリデン釣糸「シーガー」の売上げが増加したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに増加しました。
業務用食品包装材分野では、売上げ、営業利益はともに前年同期並みとなりました。
その他の分野では、売上げ、営業利益はともに減少しました。
この結果、本セグメントの売上収益は前期比1.1%増の473億28百万円となり、営業利益は前期比4.8%減の81億94百万円となりました。

建設関連事業
建設事業では、民間工事の増加により、売上げ、営業利益はともに増加しました。
この結果、本セグメントの売上収益は前期比23.3%増の139億48百万円となり、営業利益は前期比68.0%増の14億80百万円となりました。

その他関連事業
環境事業では、売上げは増加しましたが、経費の増加等により営業利益は減少しました。
運送事業では、売上げ、営業利益はともに減少しました。
病院事業では、売上げは増加し、営業損失は減少しました。
この結果、本セグメントの売上収益は前期比2.5%減の182億37百万円となり、営業利益は前期比12.6%減の24億66百万円となりました。

(財政状態の状況)
当期末の資産合計につきましては、前期末比342億25百万円増の3,306億30百万円となりました。流動資産は、営業債権及びその他の債権が増加した一方で、現金及び現金同等物等が減少したこと等により、前期末比10億94百万円減の1,199億円となりました。非流動資産は、有形固定資産ならびにその他の金融資産が増加したこと等により、前期末比353億19百万円増の2,107億29百万円となりました。
負債合計につきましては、前期末比278億51百万円増の1,074億81百万円となりました。これは、営業債務及びその他の債務が減少した一方で、有利子負債が社債および借入金等の増加により前期末比286億28百万円増の549億4百万円となったこと等によるものです。
資本合計につきましては、前期末比63億73百万円増の2,231億48百万円となりました。これは、自己株式の取得を100億4百万円、剰余金の配当を52億68百万円実施した一方で、親会社の所有者に帰属する当期利益を97億34百万円計上するとともに、投資有価証券の評価額の増加や為替市場での円安の影響によりその他の資本の構成要素が増加したこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは116億1百万円の収入となり、前期に比べ111億43百万円収入が減少しました。これは、税引前利益の減少等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは342億88百万円の支出となり、前期に比べ231億88百万円支出が増加しました。これは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出の増加、および前期に発生した持分法で会計処理されている投資の売却による収入が当期に発生しなかったこと等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは前期104億84百万円の支出から121億35百万円の収入となりました。これは、自己株式の取得による支出が増加した一方、社債の発行による収入および長期借入れによる収入が発生したこと等によるものです。
以上の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、前期末に比べ90億73百万円減少し231億31百万円となりました。
③ 生産、受注および販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)
機能製品事業63,938△29.8
化学製品事業18,776△12.0
樹脂製品事業32,213△27.3
合計114,927△26.7

(注)金額は平均販売単価によっております。
b. 受注実績
当連結会計年度における土木・建築工事の施工請負等の受注実績は次のとおりです。なお、これ以外の製品については見込生産を行っております。
セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)
建設関連事業14,127△2.87,986+2.3
その他関連事業1,150△11.7747△8.1
合計15,277△3.58,734+1.3

c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)
機能製品事業64,510△22.0
化学製品事業33,949+6.8
樹脂製品事業47,328+1.1
建設関連事業13,948+23.3
その他関連事業18,237△2.5
合計177,973△7.0

(注)主な相手先の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
相手先前連結会計年度
自 2022年4月1日
至 2023年3月31日
当連結会計年度
自 2023年4月1日
至 2024年3月31日
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
伊藤忠商事㈱19,48410.2

(注)当連結会計年度における伊藤忠商事㈱に対する売上収益は、連結損益計算書の売上収益の10%未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
(経営成績)
当社グループは、当連結会計年度において「中長期的な企業価値の向上」と、「持続可能な社会への貢献」を両立させるサステナビリティ経営を推進し当社グループを一層発展させるべく、新たに『クレハグループ企業理念』、『クレハビジョン』、2030年度に向けた『経営方針』と「クレハグループ中長期経営計画『未来創造への挑戦』」を策定し、事業活動を推進しております。
当連結会計年度は、中国および欧州経済の減速に伴う電気自動車普及の鈍化が見られ、顧客生産活動の低下により、リチウムイオン二次電池用バインダー用途向けフッ化ビニリデン樹脂の販売減少が当社グループ業績に大きく影響し、減収減益となりました。財務面では中国におけるフッ化ビニリデン樹脂に関する製造設備増強計画の中止や、業務用食品包装材分野における熱収縮多層フィルム事業撤退に伴う費用を計上しました。
引き続き、世界的な金融引き締めやそれに伴う急激な円安進行、エネルギー価格を含む物価の高騰、中国および欧州経済の減速や中東およびウクライナ情勢等による影響が懸念され、先行きが不透明な状況ではありますが、各セグメントにおいて事業への影響を注意深くモニタリングし、適時適切な対応を図り、安定した事業運営を図ってまいります。
なお、経営成績の分析については、「4. 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要①財政状態および経営成績の状況」に、分析に基づく検討内容については、「1. 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(経営成績に重要な影響を与える要因)
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「3. 事業等のリスク」に記載のとおりです。
(セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容)
機能製品事業
フッ化ビニリデン樹脂は、中国および欧州経済の減速により電気自動車の普及に鈍化が見られ、リチウムイオン二次電池用バインダー用途向け販売が減少しました。一方で、中長期的には各国政府の積極的な政策導入等による電気自動車の普及により、本用途での需要は底堅く、競争力のある製品の安定供給が求められるものと判断し、当連結会計年度において、日本における製造設備の増強を決定しました。一方、既に決定しておりました中国における製造設備の増強計画は、同国の環境政策変更によるスケジュール遅延や、米国の法規制の変更により、中止を決定しました。PGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品は、数年来推進してきました販売戦略見直しの効果が発現しており、販売量の増加に伴い、過剰在庫が解消されました。また、過剰在庫の解消に伴い在庫評価減の戻入を計上しております。PPS樹脂は、米国持分法適用会社における市況の悪化、ユーティリティ・輸送費等の高騰を受け、利益は減少しました。
化学製品事業
農薬は、ウクライナ情勢による穀物市場価格高騰の影響を見越した在庫確保の動きにより世界的に農薬の需要が旺盛であった状況から、在庫調整局面に入っております。当連結会計年度は、顧客への出荷時期等の要因により、販売量は維持したものの、研究開発費等の増加により営業利益は減少しました。工業薬品は、市況価格の変動に早期に対応し、営業利益は増加しました。
樹脂製品事業
コンシューマー・グッズ分野では、販売数量が減少したものの、原燃料価格の高騰に伴い前連結会計年度下期から価格改定を行った家庭用ラップ「NEWクレラップ」は、前年同期並みの利益を維持しました。フッ化ビニリデン釣糸「シーガー」は、米国向け等の海外販売は堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症流行時に旺盛であったアウトドアレジャーの国内需要が同感染症流行前の水準に戻ったこと等により、前年比増収減益となりました。
業務用食品包装材分野では、東南アジアの一部の地域の経済減速による顧客の生産活動の低迷と物価高に伴い、塩化ビニリデンフィルムの販売が減少しました。熱収縮多層フィルムにおいては原材料価格の高騰やプラスチック規制の強化等、市場環境が大きく変化し、また欧州およびオーストラリアで競合他社との競争が激化しており、予てより事業再構築を検討しておりましたが、継続的な収益性の悪化が見込まれ、事業を継続していくことが難しいと判断し、事業撤退の手続きを開始しております。
建設関連事業
建設事業では、土木、建築ともに市場の工事量の減少に伴い、受注競争が激化している中、継続顧客との関係強化やエンジニアリング会社との連携強化等を中心とした積極的な営業展開により、中小案件の受注を獲得し、販売、利益とも前年同期を上回りました。
その他関連事業
環境事業については、処理単価の改定等により売上収益は増加したものの、低濃度PCB廃棄物処理減少による収益性の低下および原燃料価格の高騰等によるコストアップにより、利益は減少しました。社会的にゼロエミッション、リサイクル推進の流れが進む中、確実な顧客獲得と原価低減等による競争力の強化を推進するとともに、新たな事業の開拓を進めております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に関する情報
(キャッシュ・フロー)
「4. 経営者による財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(資本の財源および資金の流動性)
当社グループは、必要な資金を金融機関からの借入、社債およびコマーシャル・ペーパーの発行により調達しております。また、当社グループとしての資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しております。資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、コマーシャル・ペーパーの発行枠の確保、金融機関とのコミットメントライン契約、当座貸越契約等の活用により、流動性を確保できております。
当社グループは、計画利益の確保と資産の効率化による営業キャッシュ・フローの最大化を図り、優先的に新規事業および既存事業拡大のための設備投資、投融資、研究開発投資、および株主への配当等に資金を配分することを基本方針としております。その上で、長期的な資金の確保を第一としながら、長短借入金のバランスについても考慮し、必要な資金調達を実施しております。
重要な資本的支出の予定およびその資金の調達源については、フッ化ビニリデン樹脂生産設備(当社)の増強をはじめとした機能製品事業を中心に設備投資を予定し、その資金調達は自己資金、社債及び借入金を考えております。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定は、「第5.経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積りおよび判断」に記載しております。

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