有価証券報告書-第157期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績に関する分析
① 当期の業績全般に関する概況
当期の世界経済は、期初において新型コロナウイルス感染症拡大の影響により経済活動が抑制されたことを受け、大きく減速しました。その後、経済活動の段階的再開、各国の財政・金融政策、先進国でワクチン接種開始等を受けて回復基調となりました。日本においても緊急事態宣言が発出された期初にはGDPが大きく落ち込みましたが、その後各種対策により、内需・外需ともに大きく持ち直し、プラス成長を維持しました。当社グループにおきましては、当期を最終年度とする中期経営計画「再生の礎」で掲げた4つの重点施策「組織風土の変革」「事業戦略の再構築」「グループ経営の強化」「財務体質改善」に取り組んでまいりました。
その結果、5Gの導入やリモートワークの増加を背景に半導体関連製品は販売が堅調に推移したものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から苛性ソーダ等の販売数量が減少し、減収減益となりました。
(売上高)
半導体関連製品は販売が堅調に推移しましたが、サン・トックス株式会社を第3四半期連結会計期間より連結の範囲から除外したこと、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から苛性ソーダの国内の販売数量が減少したこと、及び石油化学製品の販売価格が軟調に推移したこと等により、前期より13,689百万円減少し、302,407百万円(前期比4.3%減)となりました。
(売上原価)
原燃料コストの減少等により、前期より10,191百万円減少し、207,254百万円(前期比4.7%減)となりました。
(販売費及び一般管理費)
研究開発費等の増加はありましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から旅費・交通費などの経費が減少したこと、及び販売数量が低調に推移したことによる物流費の減少等により、前期より138百万円減少し、64,230百万円(前期比0.2%減)となりました。
(営業利益)
原燃料コストの減少はあったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から苛性ソーダなどの販売数量が減少したこと等により、前期より3,359百万円減少し、30,921百万円(前期比9.8%減)となりました。
(営業外損益・経常利益)
営業外損益は、前期より1,318百万円改善しました。
以上の結果、経常利益は前期より2,041百万円減少し、30,796百万円(前期比6.2%減)となりました。
(特別損益・税金等調整前当期純利益・当期純利益・親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損益は、前期より5,083百万円改善しました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前期より3,042百万円増加し、30,959百万円(前期比10.9%増)となりました。
応分の税金費用を加味した当期純利益は、前期より4,327百万円増加し、25,320百万円(前期比20.6%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期より4,597百万円増加し、24,534百万円(前期比23.1%増)となりました。
② 当期のセグメント別の状況
(セグメント別の状況)
(注) 各セグメントの売上高、営業利益にはセグメント間取引を含めております。
(化成品セグメント)
苛性ソーダは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から国内の販売数量が減少したこと、及び海外市況が下落したことにより、減益となりました。
塩化ビニルモノマー及び塩化ビニル樹脂は、輸出価格が上昇したことにより、増益となりました。
塩化カルシウムは、降雪の影響により販売数量が増加し、増益となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は85,459百万円(前期比8.8%減)、営業利益は14,118百万円(前期比8.1%減)で減収減益となりました。
(特殊品セグメント)
半導体向けの多結晶シリコンは、5Gの導入やリモートワークの増加を背景に販売が堅調に推移しましたが、売上構成の変動等により微減益となりました。
電子工業用高純度薬品は、海外向けを中心として販売数量が増加し、増益となりました。
乾式シリカは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等から販売数量が減少し、減益となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は57,779百万円(前期比6.1%増)、営業利益は6,572百万円(前期比6.9%減)で増収減益となりました。
(セメントセグメント)
セメントは、新型コロナウイルス感染症拡大の国内出荷への影響が限定的だったこと、及び原料価格の下落で製造コストが低減したことにより、増益となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は90,864百万円(前期比4.1%増)、営業利益は4,580百万円(前期比19.4%増)で増収増益となりました。
(ライフアメニティーセグメント)
医薬品原薬・中間体は、ジェネリック医薬品向けの販売数量が堅調に推移し、増益となりました。
歯科器材は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から減少していた欧米向け輸出数量が回復傾向にあり、広告宣伝費等が低減したことから、増益となりました。
医療診断システムは、臨床検査情報システム及び検体検査自動化システムの販売が減少し、減益となりました。
ポリオレフィンフィルムの製造・販売を行うサン・トックス株式会社の株式の一部を譲渡したことに伴い、第3四半期連結会計期間より、同社を連結の範囲から除外しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は45,936百万円(前期比18.4%減)、営業利益は3,107百万円(前期比7.7%増)で減収増益となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
ライフアメニティーセグメントの一部を除いて受注生産を行っておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)財政状態に関する分析
① 当期の資産、負債及び純資産の状況に関する分析
(注) D/Eレシオ :有利子負債/自己資本
ネットD/Eレシオ :(有利子負債-現金及び現金同等物)/自己資本
自己資本比率 :自己資本/資産合計
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/資産合計
(資産)
保有株式の時価評価等により投資有価証券が7,786百万円、現金及び預金が2,157百万円増加した一方、商品及び製品が3,831百万円、原材料及び貯蔵品が2,157百万円減少しました。
以上の結果、資産は前連結会計年度末に比べ3,347百万円増加し、386,794百万円となりました。なお、サン・トックス株式会社の連結除外の影響による減少額は13,051百万円です。
(負債)
長期リース債務が1,642百万円増加した一方、長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が18,650百万円、支払手形及び買掛金が3,248百万円、短期借入金が1,232百万円減少しました。
以上の結果、負債は前連結会計年度末に比べ21,483百万円減少し、181,533百万円となりました。なお、サン・トックス株式会社の連結除外の影響による減少額は8,844百万円です。
(純資産)
親会社株主に帰属する当期純利益の積み上げ等により利益剰余金が19,666百万円、株式交換による株式会社エイアンドティーの完全子会社化に伴う新株発行により資本剰余金が3,437百万円、その他有価証券評価差額金が2,942百万円増加しました。
以上の結果、純資産は前連結会計年度末に比べ24,831百万円増加し、205,261百万円となりました。
(財務指標)
当社は当期を最終年度とする中期経営計画において、2020年度の経営目標数値としてD/Eレシオ1.0倍以下を掲げておりました。当連結会計年度におきましては、有利子負債が17,906百万円減少したことに加えて、自己資本が29,700百万円増加したことにより、D/Eレシオは前連結会計年度末に比べ0.19改善し0.50倍となりました。
② 当期のキャッシュ・フローの状況に関する分析
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、43,314百万円の収入(前期比9,049百万円の減少)となりました。
主な内容は、税金等調整前当期純利益30,959百万円、減価償却費17,003百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、19,276百万円の支出(前期比1,272百万円の減少)となりました。
主な内容は、有形固定資産の取得による支出23,800百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入3,356百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、22,530百万円の支出(前期比4,181百万円の増加)となりました。
主な内容は、長期借入金の返済による支出15,857百万円、配当金の支払による支出4,861百万円です。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 2016年度~2020年度中期経営計画「再生の礎」に関する認識および分析
(経営目標の状況)
当社は2016 年5月に2016 年度から2020 年度までの中期経営計画「再生の礎」を発表し、「先端材料世界トップ」「伝統事業日本トップ」を掲げ、コスト競争力のある事業構造の実現に向け全社一丸となり取り組んでまいりました。その結果、不採算事業からの撤退、半導体関連製品や歯科器材等の成長事業の販売増加、及び有利子負債の削減など、一定の成果を上げることができましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響、及び先行投資の実施による固定費増加等により、売上高、営業利益、総資産利益率(ROA)、及びキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の最終年度目標値に関しましては未達となりました。
② 「中期経営計画2025」に関する認識
当社を取り巻く事業環境については、環境意識の高まりやデジタル革命の急進等を背景に、今後大きな変化が予想されます。自社で保有する石炭火力発電を競争力の源泉としてきた従来の戦略を根本的に見直し、これまでの延長線上にない事業の構築・成長が必要であることから、このたび新たに設定したビジョンのもと、2021 年度を初年度とする5年間の「中期経営計画2025」を策定いたしました。
当社が経営上の目標として掲げている指標については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)「中期経営計画2025」達成目標」に記載のとおりです。
③ 経営成績等の分析・経営目標の進捗状況
(経営成績等の分析)
経営成績の分析については「(1)経営成績に関する分析 ①当期の業績全般に関する概況」に記載のとおりです。
財政状態の分析については「(2)財政状態に関する分析 ①当期の資産、負債及び純資産の状況に関する分析」に記載のとおりです。
(新型コロナウイルス感染症に関する想定される当社グループ業績に与える影響)
新型コロナウイルス感染症が再拡大することにより想定される各セグメントへの影響は、以下のとおりです。
化成品セグメントにおいては、輸出先のロックダウン等による塩ビの輸入停止や、自動車生産減による石化製品の販売数量減など、建設・製紙・自動車向け用途の販売への影響を想定しています。
セメントセグメントにおいては、建設工事中断、作業所閉所などにより国内外のセメント販売数量への影響を想定しています。
電子材料セグメントにおいては、半導体市場について、5Gの導入やリモートワークの増加を背景に堅調な推移が予想され、関連する当社製品の需要増加が見込まれます。
ライフサイエンスセグメントにおいては、影響は限定的であるものの、歯科材料やメガネ関連製品等、一部の販売については、欧米のロックダウンが発生した場合による影響を想定しています。
環境事業セグメントにおいては、影響は限定的であるものの、営業活動の制限による影響を想定しています。
(中期経営計画「再生の礎」(2016年度~2020年度)の目標達成状況)
ROAは、主力製品を中心に販売が軟調に推移し営業利益が減少したことに加え、新規プラント建設等で総資産が増加したことにより、前期と比較して0.9悪化し、8.0%となりました。CCCは、前期と比較して1日悪化して65日となりました。D/Eレシオは、利益の蓄積と有利子負債の削減等により前期と比較して0.19改善し0.5倍となりました。なお、中期経営計画の目標値である1.0倍以下を2018年度に前倒しで達成しております。
(セグメントごとの経営成績分析)
セグメントごとの内容は、「(1)経営成績に関する分析② 当期のセグメント別の状況」に記載のとおりです。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況の分析)
キャッシュ・フローの状況の分析については「(2)財政状態に関する分析 ② 当期のキャッシュ・フローの状況に関する分析」に記載のとおりです。
(資本の財源の分析)
当社グループでは、財務体質の改善を当期を最終年度とする中期経営計画の財務方針として掲げており、自己資本の積み上げ、有利子負債の削減を進めてまいりました。また、中期経営計画終了時点で国内格付機関からの「シングルA格」の格付取得を目標としており、上記方針の下、当連結会計年度末で国内格付機関2社より「シングルA」「シングルAマイナス」の格付をそれぞれ取得・維持しております。
一方で、事業活動のための適切な運転資金の確保、及び成長事業の拡大や、伝統事業の競争力強化を目的とした設備投資、戦略的投資を推進するために一定の資金を必要としています。主な資金手当ての手段としましては、継続的な事業収益の計上による自己資金の積み上げによりますが、状況に応じて金融機関からの借入、社債の発行等も実施していきます。また、当期を最終年度とする中期経営計画で掲げたCCC改善にも取り組み、在庫削減、取引先との取引条件の改善等により、より少ない運転資金で事業活動を行える財務体質の構築を進めてまいりました。なお、次期の投資予定額は44,835百万円であり、主に自己資金及び金融機関からの借入金で充当する予定です。
(資金の流動性の分析)
当社グループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物は83,050百万円となっており、当社グループの事業活動を推進していく上で充分な流動性を確保していると考えています。また、金融機関との間にリボルビング・クレジット・ファシリティ契約や当座貸越契約、債権流動化契約も締結しており、流動性に一部支障をきたす事象が発生した場合にも、一定の流動性を維持できると考えています。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成して
おります。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積
り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がありま
す。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1
連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
① 当期の業績全般に関する概況
当期の世界経済は、期初において新型コロナウイルス感染症拡大の影響により経済活動が抑制されたことを受け、大きく減速しました。その後、経済活動の段階的再開、各国の財政・金融政策、先進国でワクチン接種開始等を受けて回復基調となりました。日本においても緊急事態宣言が発出された期初にはGDPが大きく落ち込みましたが、その後各種対策により、内需・外需ともに大きく持ち直し、プラス成長を維持しました。当社グループにおきましては、当期を最終年度とする中期経営計画「再生の礎」で掲げた4つの重点施策「組織風土の変革」「事業戦略の再構築」「グループ経営の強化」「財務体質改善」に取り組んでまいりました。
その結果、5Gの導入やリモートワークの増加を背景に半導体関連製品は販売が堅調に推移したものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から苛性ソーダ等の販売数量が減少し、減収減益となりました。
(単位:百万円) | ||||
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する 当期純利益 | |
2021年3月期 | 302,407 | 30,921 | 30,796 | 24,534 |
2020年3月期 | 316,096 | 34,281 | 32,837 | 19,937 |
増減率 | △4.3% | △9.8% | △6.2% | 23.1% |
(売上高)
半導体関連製品は販売が堅調に推移しましたが、サン・トックス株式会社を第3四半期連結会計期間より連結の範囲から除外したこと、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から苛性ソーダの国内の販売数量が減少したこと、及び石油化学製品の販売価格が軟調に推移したこと等により、前期より13,689百万円減少し、302,407百万円(前期比4.3%減)となりました。
(売上原価)
原燃料コストの減少等により、前期より10,191百万円減少し、207,254百万円(前期比4.7%減)となりました。
(販売費及び一般管理費)
研究開発費等の増加はありましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から旅費・交通費などの経費が減少したこと、及び販売数量が低調に推移したことによる物流費の減少等により、前期より138百万円減少し、64,230百万円(前期比0.2%減)となりました。
(営業利益)
原燃料コストの減少はあったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から苛性ソーダなどの販売数量が減少したこと等により、前期より3,359百万円減少し、30,921百万円(前期比9.8%減)となりました。
(営業外損益・経常利益)
営業外損益は、前期より1,318百万円改善しました。
以上の結果、経常利益は前期より2,041百万円減少し、30,796百万円(前期比6.2%減)となりました。
(特別損益・税金等調整前当期純利益・当期純利益・親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損益は、前期より5,083百万円改善しました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前期より3,042百万円増加し、30,959百万円(前期比10.9%増)となりました。
応分の税金費用を加味した当期純利益は、前期より4,327百万円増加し、25,320百万円(前期比20.6%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期より4,597百万円増加し、24,534百万円(前期比23.1%増)となりました。
② 当期のセグメント別の状況
(セグメント別の状況)
売上高 | (単位:百万円) | |||||||
報告セグメント | その他 | 合計 | 調整額 | 連結損益 計算書 計上額 | ||||
化成品 | 特殊品 | セメント | ライフアメニティー | |||||
2021年3月期 | 85,459 | 57,779 | 90,864 | 45,936 | 53,637 | 333,677 | △31,270 | 302,407 |
2020年3月期 | 93,730 | 54,466 | 87,289 | 56,307 | 65,232 | 357,026 | △40,929 | 316,096 |
増減率 | △8.8% | 6.1% | 4.1% | △18.4% | △17.8% | △6.5% | ― | △4.3% |
営業利益 | (単位:百万円) | |||||||
報告セグメント | その他 | 合計 | 調整額 | 連結損益 計算書 計上額 | ||||
化成品 | 特殊品 | セメント | ライフアメニティー | |||||
2021年3月期 | 14,118 | 6,572 | 4,580 | 3,107 | 5,623 | 34,002 | △3,080 | 30,921 |
2020年3月期 | 15,366 | 7,058 | 3,835 | 2,885 | 6,935 | 36,082 | △1,801 | 34,281 |
増減率 | △8.1% | △6.9% | 19.4% | 7.7% | △18.9% | △5.8% | ― | △9.8% |
(注) 各セグメントの売上高、営業利益にはセグメント間取引を含めております。
(化成品セグメント)
苛性ソーダは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から国内の販売数量が減少したこと、及び海外市況が下落したことにより、減益となりました。
塩化ビニルモノマー及び塩化ビニル樹脂は、輸出価格が上昇したことにより、増益となりました。
塩化カルシウムは、降雪の影響により販売数量が増加し、増益となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は85,459百万円(前期比8.8%減)、営業利益は14,118百万円(前期比8.1%減)で減収減益となりました。
(特殊品セグメント)
半導体向けの多結晶シリコンは、5Gの導入やリモートワークの増加を背景に販売が堅調に推移しましたが、売上構成の変動等により微減益となりました。
電子工業用高純度薬品は、海外向けを中心として販売数量が増加し、増益となりました。
乾式シリカは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等から販売数量が減少し、減益となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は57,779百万円(前期比6.1%増)、営業利益は6,572百万円(前期比6.9%減)で増収減益となりました。
(セメントセグメント)
セメントは、新型コロナウイルス感染症拡大の国内出荷への影響が限定的だったこと、及び原料価格の下落で製造コストが低減したことにより、増益となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は90,864百万円(前期比4.1%増)、営業利益は4,580百万円(前期比19.4%増)で増収増益となりました。
(ライフアメニティーセグメント)
医薬品原薬・中間体は、ジェネリック医薬品向けの販売数量が堅調に推移し、増益となりました。
歯科器材は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から減少していた欧米向け輸出数量が回復傾向にあり、広告宣伝費等が低減したことから、増益となりました。
医療診断システムは、臨床検査情報システム及び検体検査自動化システムの販売が減少し、減益となりました。
ポリオレフィンフィルムの製造・販売を行うサン・トックス株式会社の株式の一部を譲渡したことに伴い、第3四半期連結会計期間より、同社を連結の範囲から除外しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は45,936百万円(前期比18.4%減)、営業利益は3,107百万円(前期比7.7%増)で減収増益となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前期比(%) |
化成品(百万円) | 85,111 | △11.0 |
特殊品(百万円) | 49,470 | △7.4 |
セメント(百万円) | 52,943 | △4.9 |
ライフアメニティー(百万円) | 39,385 | △26.9 |
報告セグメント計(百万円) | 226,910 | △12.2 |
その他(百万円) | 10,042 | △18.3 |
合計(百万円) | 236,952 | △12.5 |
(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
ライフアメニティーセグメントの一部を除いて受注生産を行っておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前期比(%) |
化成品(百万円) | 84,590 | △8.8 |
特殊品(百万円) | 45,693 | 4.5 |
セメント(百万円) | 90,236 | 4.2 |
ライフアメニティー(百万円) | 44,206 | △18.7 |
報告セグメント計(百万円) | 264,727 | △4.6 |
その他(百万円) | 37,679 | △2.5 |
合計(百万円) | 302,407 | △4.3 |
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)財政状態に関する分析
① 当期の資産、負債及び純資産の状況に関する分析
連結貸借対照表の要約 (単位:百万円) | ||||
2020年3月期末 | 2021年3月期末 | 増減 | 増減率 | |
資産 | 383,447 | 386,794 | 3,347 | 0.9% |
負債 | 203,017 | 181,533 | △21,483 | △10.6% |
(内、有利子負債) | (116,344) | (98,437) | (△17,906) | (△15.4%) |
純資産 | 180,429 | 205,261 | 24,831 | 13.8% |
(内、自己資本) | (168,861) | (198,561) | (29,700) | (17.6%) |
財務関連指標の増減 | |||
2020年3月期末 | 2021年3月期末 | 増減 | |
D/Eレシオ | 0.69倍 | 0.50倍 | △0.19 |
ネットD/Eレシオ | 0.21倍 | 0.07倍 | △0.14 |
自己資本比率 | 44.0% | 51.3% | 7.3ポイント |
時価ベースの 自己資本比率 | 37.9% | 52.0% | 14.1ポイント |
(注) D/Eレシオ :有利子負債/自己資本
ネットD/Eレシオ :(有利子負債-現金及び現金同等物)/自己資本
自己資本比率 :自己資本/資産合計
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/資産合計
(資産)
保有株式の時価評価等により投資有価証券が7,786百万円、現金及び預金が2,157百万円増加した一方、商品及び製品が3,831百万円、原材料及び貯蔵品が2,157百万円減少しました。
以上の結果、資産は前連結会計年度末に比べ3,347百万円増加し、386,794百万円となりました。なお、サン・トックス株式会社の連結除外の影響による減少額は13,051百万円です。
(負債)
長期リース債務が1,642百万円増加した一方、長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が18,650百万円、支払手形及び買掛金が3,248百万円、短期借入金が1,232百万円減少しました。
以上の結果、負債は前連結会計年度末に比べ21,483百万円減少し、181,533百万円となりました。なお、サン・トックス株式会社の連結除外の影響による減少額は8,844百万円です。
(純資産)
親会社株主に帰属する当期純利益の積み上げ等により利益剰余金が19,666百万円、株式交換による株式会社エイアンドティーの完全子会社化に伴う新株発行により資本剰余金が3,437百万円、その他有価証券評価差額金が2,942百万円増加しました。
以上の結果、純資産は前連結会計年度末に比べ24,831百万円増加し、205,261百万円となりました。
(財務指標)
当社は当期を最終年度とする中期経営計画において、2020年度の経営目標数値としてD/Eレシオ1.0倍以下を掲げておりました。当連結会計年度におきましては、有利子負債が17,906百万円減少したことに加えて、自己資本が29,700百万円増加したことにより、D/Eレシオは前連結会計年度末に比べ0.19改善し0.50倍となりました。
② 当期のキャッシュ・フローの状況に関する分析
連結キャッシュ・フロー計算書の要約 | (単位:百万円) | |
2020年3月期 | 2021年3月期 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 52,364 | 43,314 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △20,548 | △19,276 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △18,348 | △22,530 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | △540 | 623 |
現金及び現金同等物の増減額 | 12,926 | 2,131 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 80,918 | 83,050 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、43,314百万円の収入(前期比9,049百万円の減少)となりました。
主な内容は、税金等調整前当期純利益30,959百万円、減価償却費17,003百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、19,276百万円の支出(前期比1,272百万円の減少)となりました。
主な内容は、有形固定資産の取得による支出23,800百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入3,356百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、22,530百万円の支出(前期比4,181百万円の増加)となりました。
主な内容は、長期借入金の返済による支出15,857百万円、配当金の支払による支出4,861百万円です。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 2016年度~2020年度中期経営計画「再生の礎」に関する認識および分析
(経営目標の状況)
当社は2016 年5月に2016 年度から2020 年度までの中期経営計画「再生の礎」を発表し、「先端材料世界トップ」「伝統事業日本トップ」を掲げ、コスト競争力のある事業構造の実現に向け全社一丸となり取り組んでまいりました。その結果、不採算事業からの撤退、半導体関連製品や歯科器材等の成長事業の販売増加、及び有利子負債の削減など、一定の成果を上げることができましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響、及び先行投資の実施による固定費増加等により、売上高、営業利益、総資産利益率(ROA)、及びキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の最終年度目標値に関しましては未達となりました。
② 「中期経営計画2025」に関する認識
当社を取り巻く事業環境については、環境意識の高まりやデジタル革命の急進等を背景に、今後大きな変化が予想されます。自社で保有する石炭火力発電を競争力の源泉としてきた従来の戦略を根本的に見直し、これまでの延長線上にない事業の構築・成長が必要であることから、このたび新たに設定したビジョンのもと、2021 年度を初年度とする5年間の「中期経営計画2025」を策定いたしました。
当社が経営上の目標として掲げている指標については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)「中期経営計画2025」達成目標」に記載のとおりです。
③ 経営成績等の分析・経営目標の進捗状況
(経営成績等の分析)
経営成績の分析については「(1)経営成績に関する分析 ①当期の業績全般に関する概況」に記載のとおりです。
財政状態の分析については「(2)財政状態に関する分析 ①当期の資産、負債及び純資産の状況に関する分析」に記載のとおりです。
(新型コロナウイルス感染症に関する想定される当社グループ業績に与える影響)
新型コロナウイルス感染症が再拡大することにより想定される各セグメントへの影響は、以下のとおりです。
化成品セグメントにおいては、輸出先のロックダウン等による塩ビの輸入停止や、自動車生産減による石化製品の販売数量減など、建設・製紙・自動車向け用途の販売への影響を想定しています。
セメントセグメントにおいては、建設工事中断、作業所閉所などにより国内外のセメント販売数量への影響を想定しています。
電子材料セグメントにおいては、半導体市場について、5Gの導入やリモートワークの増加を背景に堅調な推移が予想され、関連する当社製品の需要増加が見込まれます。
ライフサイエンスセグメントにおいては、影響は限定的であるものの、歯科材料やメガネ関連製品等、一部の販売については、欧米のロックダウンが発生した場合による影響を想定しています。
環境事業セグメントにおいては、影響は限定的であるものの、営業活動の制限による影響を想定しています。
(中期経営計画「再生の礎」(2016年度~2020年度)の目標達成状況)
ROAは、主力製品を中心に販売が軟調に推移し営業利益が減少したことに加え、新規プラント建設等で総資産が増加したことにより、前期と比較して0.9悪化し、8.0%となりました。CCCは、前期と比較して1日悪化して65日となりました。D/Eレシオは、利益の蓄積と有利子負債の削減等により前期と比較して0.19改善し0.5倍となりました。なお、中期経営計画の目標値である1.0倍以下を2018年度に前倒しで達成しております。
(セグメントごとの経営成績分析)
セグメントごとの内容は、「(1)経営成績に関する分析② 当期のセグメント別の状況」に記載のとおりです。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況の分析)
キャッシュ・フローの状況の分析については「(2)財政状態に関する分析 ② 当期のキャッシュ・フローの状況に関する分析」に記載のとおりです。
(資本の財源の分析)
当社グループでは、財務体質の改善を当期を最終年度とする中期経営計画の財務方針として掲げており、自己資本の積み上げ、有利子負債の削減を進めてまいりました。また、中期経営計画終了時点で国内格付機関からの「シングルA格」の格付取得を目標としており、上記方針の下、当連結会計年度末で国内格付機関2社より「シングルA」「シングルAマイナス」の格付をそれぞれ取得・維持しております。
一方で、事業活動のための適切な運転資金の確保、及び成長事業の拡大や、伝統事業の競争力強化を目的とした設備投資、戦略的投資を推進するために一定の資金を必要としています。主な資金手当ての手段としましては、継続的な事業収益の計上による自己資金の積み上げによりますが、状況に応じて金融機関からの借入、社債の発行等も実施していきます。また、当期を最終年度とする中期経営計画で掲げたCCC改善にも取り組み、在庫削減、取引先との取引条件の改善等により、より少ない運転資金で事業活動を行える財務体質の構築を進めてまいりました。なお、次期の投資予定額は44,835百万円であり、主に自己資金及び金融機関からの借入金で充当する予定です。
(資金の流動性の分析)
当社グループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物は83,050百万円となっており、当社グループの事業活動を推進していく上で充分な流動性を確保していると考えています。また、金融機関との間にリボルビング・クレジット・ファシリティ契約や当座貸越契約、債権流動化契約も締結しており、流動性に一部支障をきたす事象が発生した場合にも、一定の流動性を維持できると考えています。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成して
おります。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積
り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がありま
す。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1
連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。