有価証券報告書-第118期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/25 9:31
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【項目】
115項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、日本国内においては、円高の進行や中東・東アジアの政治的緊張の影響が懸念されるなか、堅調な輸出や設備投資に支えられた企業業績の回復、雇用環境の改善等により、緩やかながら景気の回復が続きました。
また、アジア・オセアニア地域の経済は、インドでは税制変更に伴う景気の減速が見られたものの、中国並びにインドネシア等のアセアン地域は、好調な輸出や個人消費に支えられ概ね堅調に推移しました。
国内建設市場においては、賃貸住宅の供給過剰感から借家や持家の着工が一服し住宅着工件数が減少に転じました。非住宅関連は、企業の設備投資やインバウンド効果による工場・倉庫やホテルの新築・改修需要を背景に着工面積の回復が見られました。
このような経営環境の下、当社グループは、中期経営計画「C&C2000」の方針に基づき、社会課題の解決に貢献する商品群の拡充、次世代を担う注力分野の育成、アジア・オセアニア地域における接着剤やメラミン化粧板の販売強化などを推進いたしました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高163,726百万円(前年同期比8.0%増)、営業利益19,092百万円(同5.5%増)、経常利益19,600百万円(同6.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益11,996百万円(同8.4%増)となりました。
また、1株当たり当期純利益は183.76円となり、ROEは10.1%(同0.2ポイント増)となりました。
セグメントの業績については次のとおりであります。なお、セグメント間の内部売上は除いております。また、前連結会計年度において「建装材セグメント」「住器建材セグメント」と分けて報告していましたが、当連結会計年度より「建装建材セグメント」として統合して記載する方法に変更しております。以下の前期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(化成品セグメント)
接着剤系商品は、国内においてはフェノール樹脂系の合板用接着剤や、施工用接着剤が好調に推移するとともに、海外においてもアジア・オセアニア地域における接着剤・産業用樹脂の需要を取り込むことができた結果、売上を伸ばすことができました。
建設樹脂系商品は、建築・土木用の補修・補強材や工場・倉庫用の塗り床材は好調に推移しましたが、新築住宅向けの外装・内装仕上塗材「ジョリパット」や住宅ベランダ向け防水材が低迷したことなどから、売上が前年を下回りました。
非建設分野への取り組みとして注力している機能材料事業につきましては、国内太陽光市場の低迷によりホットメルトが前年を下回ったものの、化粧品や拡散材用途の有機微粒子、繊維・紙加工用途のアクリル・コンパウンド商品が好調に推移し、売上を伸ばすことができました。
このような結果、売上高は82,911百万円(前年同期比10.7%増)、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は
6,537百万円(同5.0%増)となりました。
(建装建材セグメント)
メラミン化粧板は、国内においては、高い意匠性と指紋などの汚れが目立ちにくい特性をもつ「セルサス」や、メラミン化粧板の強さとフィルムの施工性を兼ね備えた粘着剤付メラミンシート「メラタック」など特長のある商品が好調で、売上を伸ばすことができました。また、海外においても、インドやインドネシア、中
国、タイ、ベトナムを中心に売上を伸ばすことができました。
ボード・フィルム類は、汎用的なポリエステル化粧合板や、加工品を拡充した粘着剤付化粧フィルム「オルティノ」関連商品が好調で売上を伸ばすことができました。
メラミン不燃化粧材「セラール」は、キッチンパネル用途を中心に、教育施設や店舗・ホテルの改修需要、オフィス・工場・倉庫の新築需要を獲得するとともに、駅のトイレや医療福祉施設などでは「セラール消臭タイプ」の採用が拡大し、売上を伸ばすことができました。
不燃建材は、汎用性の高いアクリル樹脂系塗装けい酸カルシウム板「ルナライト・カラー」や、耐摩耗性・耐薬品性に優れる不燃ボード「マーレス不燃」を中心に、教育施設や医療福祉施設、工場・倉庫等の需要を取り込み、売上を伸ばすことができました。
カウンター・ポストフォーム商品は、メラミン化粧板を曲面加工(ポストフォーム加工)したカウンターや扉、人工大理石「コーリアン」、高級人造石「フィオレストーン」が好調に推移し、売上を伸ばすことができました。特に、幼児用手洗いカウンターは保育施設の新設需要を取り込み大きく売上を伸ばしました。
建具・インテリア建材は、医療福祉施設に適した機能引戸「U.D.(ユニバーサルデザイン)コンフォートシリーズ」や、非住宅施設向けのトイレブースが好調でしたが、住宅向けの建具シリーズが前年を下回り、売上は前年を下回りました。
このような結果、売上高は80,815百万円(前年同期比5.3%増)、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は15,623百万円(同7.8%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ、1,274百万円増加し、48,896百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるネットキャッシュ・フローは、16,436百万円の資金増加(前連結会計年度は18,331百万円の資金増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が19,600百万円(同18,201百万円)となったこと、減価償却費が3,638百万円(同3,512百万円)となったこと、仕入債務の3,587百万円増加(同1,326百万円)等の増加要因があったことと、売上債権の3,630百万円増加(同1,631百万円)及び法人税等の支払額6,547百万円(同5,450百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるネットキャッシュ・フローは、7,950百万円の資金減少(同3,269百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出4,088百万円(同3,189百万円)、連結範囲の変更に伴う子会社株式の取得による支出3,477百万円等の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるネットキャッシュ・フローは、7,406百万円の資金減少(同4,587百万円の資金減少)となりました。これは主に、配当金の支払5,805百万円(同4,110百万円)、非支配株主への配当金の支払594百万円(同644百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
化成品64,727108.3
建装建材46,866105.1
合計111,594106.9

(注)1 金額は売価換算値によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは主として見込み生産を行っているため、記載すべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
化成品82,911110.7
建装建材80,815105.3
合計163,726108.0

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の概要は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりでありますが、そのポイントは次のとおりであります。
<売上高>国内建設市場においては、賃貸住宅の供給過剰感から借家や持家の着工が一服し住宅着工件数が減少に転じました。非住宅建設市場は、企業の設備投資やインバウンド効果による工場・倉庫やホテルの新築・改修需要を背景に着工面積の回復が見られました。
このような経営環境の下、当社グループは、中期経営計画「C&C2000」の方針に基づき、社会的課題の解決に貢献する商品群の拡充、次世代を担う注力分野の育成、アジア・オセアニア地域における接着剤やメラミン化粧板の販売強化などを推進いたしました。
この結果、当連結会計年度の売上高は163,726百万円となり、前連結会計年度と比べ8.0%増加いたしました。
<売上総利益>売上総利益は47,614百万円となり、前連結会計年度と比べ4.6%増加いたしました。
経営資源の効率的な活用に一層の努力を続けるとともに、グループ一丸となって業務改革を推進し、生産効率の向上に努めました。
<販売費及び一般管理費、営業利益>販売費及び一般管理費は荷造運搬費、退職給付費用等の増加により1,122百万円増加の28,521百万円となりました。この結果、営業利益は19,092百万円となり、前連結会計年度と比べ5.5%増加いたしました。
<営業外収益、営業外費用、経常利益>営業外収益は316百万円増加の1,426百万円、営業外費用は82百万円増加の919百万円となりました。この結果、経常利益は19,600百万円となり、前連結会計年度と比べ6.7%増加いたしました。
<税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益>税金等調整前当期純利益は19,600百万円となり、前連結会計年度と比べ7.7%増加いたしました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は11,996百万円となり、前連結会計年度と比べ8.4%増加いたしました。
b.当連結会計年度の資本の財源及び資金の流動性についての分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。