四半期報告書-第120期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)

【提出】
2019/08/05 10:00
【資料】
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【項目】
36項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間の当社グループを取り巻く経営環境は、日本国内においては、雇用・所得環境の改善が続くなか、緩やかな回復基調で推移しましたが、輸出や生産には弱さが見られ、先行きの不透明感が高まりました。
また、アジア・オセアニア地域の経済は、中国においては、米中間の通商問題が経済成長の鈍化を招き、東南アジア諸国については、中国向けの減少等により輸出は軟調に推移しているものの、個人消費を中心とした堅調な内需を牽引役に安定した拡大を続けました。
国内建設市場においては、住宅着工は、借家や分譲の着工が減少し弱含みで推移しました。非住宅関連は、景気の先行き不透明感から企業の設備投資にやや減速傾向が見られ工場、オフィス、飲食サービス業などの着工面積が減少し、全体としても前年を下回りました。
このような経営環境の下、当社グループは、中期経営計画「C&C2000」の方針に基づき、社会課題の解決に貢献する商品群の拡充、次世代を担う注力分野の育成、アジア・オセアニア地域における接着剤やメラミン化粧板の販売強化などを推進いたしました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高43,558百万円(前年同期比2.0%増)、営業利益4,405百万円(同1.1%増)、経常利益4,608百万円(同0.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益2,781百万円(同5.2%増)となりました。
セグメントの業績については次のとおりであります。なお、セグメント間の内部売上は除いております。
(化成品セグメント)
接着剤系商品は、国内においては施工用接着剤が好調に推移しましたが、木工・家具向け汎用接着剤、合板用接着剤、集成材用接着剤、産業用フェノール樹脂が稼働日減少の影響を受け前年を下回りました。また、海外においては国や地域によって接着剤・産業用樹脂の需要に強弱があったものの、前第2四半期連結会計期間より連結業績に組み入れたタイ・ケミカル・コーポレーション社が寄与し、売上を伸ばすことができました。
建設樹脂系商品は、新築住宅向けの外装・内装仕上塗材「ジョリパット」が前年を下回ったものの、建築・土木用の補修・補強材「ジョリシール」や外壁タイルの剥落防止工法である「タフレジンクリアガード工法」、高耐久塗り床材「アイカピュール」が好調に推移し、売上を伸ばすことができました。
非建設分野への取り組みとして注力している機能材料事業につきましては、国内会社においては、電子材料用UV樹脂や化粧品向けの有機微粒子が前年を上回った一方、塗料・繊維用途のアクリル・コンパウンド製品などが低調で、前年を下回りました。前年より連結業績に組み入れたエバモア・ケミカル・インダストリー社については、低採算取引の見直しにより売上は前年を下回りましたが、利益率の高いビジネスに注力することで利益は改善しました。
このような結果、売上高は25,048百万円(前年同期比2.5%増)、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は1,856百万円(前年同期比9.4%増)となりました。
(建装建材セグメント)
メラミン化粧板は、国内においては薄物メラミン不燃化粧板「フレアテクト」や超マットタイプ化粧板「ベルタッチ」など特長のある商品が好調でしたが、前第1四半期連結会計期間に値上げ前の駆け込み需要があった反動や稼働日減少の影響をうけ、売上は前年を下回りました。また、海外においては、インドネシアやシンガポール、ベトナムを中心に売上を伸ばすことができました。
ボード・フィルム類は、粘着剤付化粧フィルム「オルティノ」は好調でしたが、汎用的なポリエステル化粧合板が苦戦し、前年を下回りました。
メラミン不燃化粧材「セラール」は、キッチンパネル用途を中心に、教育施設や工場・倉庫、ホテルや商業施設の新築・改修需要を獲得するとともに、駅のトイレや医療福祉施設、商業施設などで「セラール消臭タイプ」の採用が拡大し、前年を上回りました。
不燃建材は、アクリル樹脂系塗装けい酸カルシウム板「ルナライト」が工場・倉庫や医療福祉施設、コンビニエンスストアなどの需要を取り込み伸長しましたが、多機能建材「モイス」や押出成型セメント板「メース」が苦戦し、前年を下回りました。
カウンター・ポストフォーム商品は、人工大理石「コーリアン」製の幼児用手洗いカウンターが保育施設の新設需要を取り込んだほか、茨城の新工場で製造を開始した高級人造石「フィオレストーン」がキッチン・洗面カウンター用途で天然石の代替品としての需要を獲得し、売上を伸ばすことができました。
建具・インテリア建材は、非住宅施設向けのトイレブースは売上を伸ばすことができましたが、住宅着工件数減少の影響を受け住宅向け建具が苦戦し、前年を下回りました。
このような結果、売上高は18,509百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は3,249百万円(前年同期比0.6%減)となりました。
財政状態に関しては次のとおりであります。
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は127,068百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,819百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が2,521百万円、受取手形及び売掛金が1,899百万円減少したことと、商品及び製品が1,019百万円増加したことによるものであります。固定資産は62,745百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,609百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が1,445百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、189,814百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,210百万円減少いたしました。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は47,512百万円となり、前連結会計年度末に比べ741百万円減少いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が800百万円、未払法人税等が1,206百万円減少したことと、賞与引当金が563百万円増加したことによるものであります。固定負債は7,046百万円となり、前連結会計年度末に比べ391百万円増加いたしました。これは主にその他が259百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、54,559百万円となり、前連結会計年度末に比べ349百万円減少いたしました。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は135,255百万円となり、前連結会計年度末に比べ860百万円減少いたしました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益2,781百万円及び剰余金の配当3,656百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は66.0%(前連結会計年度末は66.2%)となりました。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
[株式会社の支配に関する基本方針]
1.当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する者が望ましいと考えております。当社は、株式を上場して市場での自由な取引に委ねているため、会社を支配する者の在り方は、最終的には株主の皆様の全体の意思に基づき決定されるべきであり、会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるかどうかの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えます。
しかしながら、当社株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、株主が買付の条件等について検討したり、当社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、当社の企業価値および株主共同の利益を毀損するものもありえます。
このような大規模な買付行為や買付提案を行う者は、例外的に当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として適当でないと判断します。
2.基本方針の実現に資する取り組み
<中長期的な会社の経営方針>アイカグループは、「挑戦と創造」を社是に掲げ、「共生の理念のもと、たえざる革新により新しい価値を創造し、社会に貢献してまいります」との経営理念のもと、以下の項目を経営方針と定め経営を進めています。
[経営方針]
①化学とデザイン
化学とデザインの力で独創性のある商品をつくり、豊かな社会の実現に貢献します。
②グループシナジー
技術・素材連携やチャネル活用を追求し、グループシナジーを創出します。
③No.1
事業分野や地域におけるNo.1商品を拡充します。
④グローバル
海外における生産・販売拠点と人材の充実を図り、グローバル市場で持続的な成長を目指します。
⑤人材と組織
人材を最も重要な経営資源と捉え、相互理解と成長を通じ、活力あふれる人材・組織を形成します。
⑥コンプライアンス経営
法令や社会秩序を守り、公正で透明性の高いコンプライアンス経営を実践します。
⑦安心・安全への約束
ステークホルダーとのコミュニケーションを重視し、「信頼される品質の確保」や「環境に配慮した事業活動」を推進します。
以上の経営方針のもと、2017年4月から新たに中期4ヵ年計画をスタートさせました。連結売上高2,000億円、連結経常利益220億円、ROE10%以上、海外売上比率35%以上という目標を達成するために、①AS商品(※1)群の拡充による国内基幹事業の成長持続、②次世代を担う注力分野の育成・投資、③ジャパンテクノロジーの海外展開、に注力いたします。また、C&C活動(※2)を通じた社員一人ひとりの成長、QEOマネジメント(※3)とIT基盤刷新によるCS・ES(※4)向上、コンプライアンス遵守、を重点方針に掲げ、成長を支える経営基盤を強化し、株主・顧客などのステークホルダーから絶大の信頼を得られるよう取り組んでまいります。
※1 AS商品
AICA Solution商品の略。様々な社会課題(インフラ老朽化・高齢化・環境・安全・人手不足など)を解決する商品
※2 C&C活動
挑戦と創造(Challenge & Creation)の精神のもと、製品・サービス・仕事などの質の管理・改善を行う小集団活動。1977年から行っている
※3 QEOマネジメント
品質(Quality)・環境(Environment)・労働安全衛生(Occupation health and safety)、三位一体のマネジメントシステム
※4 CS・ES
CSは顧客満足度、ESは従業員満足度を表す
<コーポレート・ガバナンス(企業統治)の推進>当社は「コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化」を通じて、グループ会社とともに企業価値および株主共同の利益の確保・向上を実現させていきたいと考えています。
①基本規程として「行動規範」を策定し、企業理念の精神を具体化した役員および社員の「行動指針」として定めています。更に、全社横断組織として「企業倫理委員会」を設置するなど企業統治に関する組織、規程を充実させ、企業の透明性、効率性、健全性を向上すべく推進しています。
②経営の体制として、業務執行と監督機能区分を明確化するため、執行役員制度を導入しております。取締役会は、経営の透明性・客観性を確保するため社外取締役を含む取締役にて構成しております。監査役会は、監査役監査の透明性、公平性を確保するため社外監査役を含む監査役にて構成しております。また、任意の諮問委員会として、社外役員を主な構成員とする「ガバナンス委員会」を設置し、企業の持続的な成長と統治機能の更なる充実を目指しています。
当社では多数の投資家の皆様に長期的に当社に投資を継続していただくため、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を向上させるための取り組みとして、以上のような施策を実施しております。
(3)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、781百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。