有価証券報告書-第120期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/24 11:08
【資料】
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【項目】
148項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①財政状態及び経営成績の状況
<資産>当連結会計年度末における流動資産は129,148百万円となり、前連結会計年度末に比べ739百万円減少いたしました。これは主に受取手形及び売掛金が1,381百万円、流動資産のその他が1,840百万円増加したことに対し、現金及び預金が4,897百万円減少したことによるものであります。固定資産は74,477百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,341百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が8,528百万円、無形固定資産が7,032百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、203,626百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,601百万円増加いたしました。
<負債>当連結会計年度末における流動負債は51,568百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,314百万円増加いたしました。これは主に短期借入金が1,391百万円、流動負債のその他が2,698百万円増加したことに対し、支払手形及び買掛金が1,532百万円減少したことによるものであります。固定負債は7,643百万円となり、前連結会計年度末に比べ988百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が482百万円、退職給付に係る負債が179百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、59,212百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,302百万円増加いたしました。
<純資産>当連結会計年度末における純資産合計は144,414百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,298百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益12,732百万円及び剰余金の配当6,855百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は63.9%(前連結会計年度末は66.2%)となりました。
<売上高>当連結会計年度の売上高は191,501百万円となり、前連結会計年度と比べ0.1%増加いたしました。
<売上総利益>経営資源の効率的な活用に一層の努力を続けるとともに、グループ一丸となって業務改革を推進し、生産効率の向上に努めました。この結果、売上総利益は51,936百万円となり、前連結会計年度と比べ4.9%増加いたしました。
<販売費及び一般管理費、営業利益>販売費及び一般管理費は荷造運搬費、給与及び賞与等の増加や新規連結会社により増加したことなどにより、2,413百万円増加し、31,085百万円となりました。この結果、営業利益は20,850百万円となり、前連結会計年度と比べ0.1%増加にとどまりました。
<営業外収益、営業外費用、経常利益>営業外収益は166百万円増加の1,446百万円、営業外費用は99百万円増加の963百万円となりました。この結果、経常利益は21,333百万円となり、前連結会計年度と比べ0.4%増加いたしました。
<税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益>税金等調整前当期純利益は21,355百万円となり、前連結会計年度と比べ0.2%増加いたしました。
しかしながら、法人税、住民税及び事業税が433百万円増加の7,047百万円となったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は12,732百万円となり、前連結会計年度と比べ4.4%減少いたしました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ、4,735百万円減少し、40,644百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるネットキャッシュ・フローは、18,240百万円の資金増加(前連結会計年度は13,275百万円の資金増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が21,355百万円(同21,310百万円)となったこと、減価償却費が4,664百万円(同4,207百万円)となったこと等の増加要因があったことと、仕入債務の3,669百万円の減少(同785百万円の資金増加)及び法人税等の支払額6,167百万円(同7,037百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるネットキャッシュ・フローは、16,798百万円の資金減少(同8,147百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出5,863百万円(同7,019百万円)、無形固定資産の取得による支出2,304百万円(同571百万円)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出7,033百万円等の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるネットキャッシュ・フローは、6,210百万円の資金減少(同7,557百万円の資金減少)となりました。これは主に、配当金の支払6,850百万円(同6,328百万円)、非支配株主への配当金の支払879百万円(同822百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
化成品89,97096.7
建装建材52,750103.1
合計142,72199.0

(注)1 金額は売価換算値によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは主として見込み生産を行っているため、記載すべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
化成品103,94595.3
建装建材87,555106.4
合計191,501100.1

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループにおける経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、中期経営計画の中で、売上高、経常利益、ROE、海外売上比率を取り上げ、目標を設定しております。
当連結会計年度の実績は以下のとおりであります。
2018年3月期
実績
2019年3月期
実績
2020年3月期
実績
2021年3月期
予想
2021年3月期
(当初)計画
売上高1,637億円1,913億円1,915億円1,745億円2,000億円
経常利益196億円212億円213億円147億円220億円
ROE10.1%10.7%9.9%6.9%10%以上
海外売上比率33.4%42.0%40.7%40%以上35%以上

当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、日本国内においては、雇用・所得環境の改善等を背景に前半は緩やかな回復基調で推移したものの、相次ぐ自然災害の発生や2019年10月の消費増税による消費者マインドの落ち込み、その後発生した新型コロナウイルス感染症の影響により景気の減速傾向が鮮明になりました。また、アジア・オセアニア地域の経済についても、個人消費を中心とした堅調な内需を牽引役に安定した拡大を続けていましたが、新型コロナウイルス感染症の急速な拡大により先行きの不透明感が高まりました。
国内建設市場は低調に推移しました。相続税の節税対策により貸家の着工が減少したことに加えて、2019年10月の消費増税の影響により持家や分譲住宅の着工にも落ち込みがみられ、住宅着工全体が減少しました。非住宅関連は、景気の先行き不透明感から企業の設備投資にやや減速傾向が見られ、人手不足や消費増税対応を背景として店舗・飲食サービス業の新規出店数も減少したことから前年を下回りました。
このような経営環境の下、当社グループは、中期経営計画「C&C2000」の方針に基づき、社会課題の解決に貢献する商品群の拡充、次世代を担う注力分野の育成、アジア・オセアニア地域における接着剤やメラミン化粧板の販売強化などを推進いたしました。
このような結果、当連結会計年度の業績は、売上高191,501百万円(前年同期比0.1%増)、営業利益20,850百万円(同0.1%増)、経常利益21,333百万円(同0.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益12,732百万円(同4.4%減)となりました。
また、1株当たり当期純利益は195.01円(同8.94円減)、ROEは9.9%(同0.8ポイント減)、海外売上比率は40.7%(同1.3ポイント減)となりました。
なお、財政状態につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりであります。
新型コロナウイルス感染症の影響は2021年3月期においても続くと予想され、中期経営計画で掲げた2021年3月期の当初計画には届かない見込みであります。しかしながら、日本の緊急事態宣言の解除ならびにアジア・オセアニア各国における経済活動再開等の動きが見え始めたことから、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響による市況悪化から徐々に回復し、年明けの2021年1月より、その影響からほぼ回復すると見込んでおります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については次のとおりであります。なお、セグメント間の内部売上は除いております。
(化成品セグメント)
接着剤系商品は、国内においては、集成材用接着剤、産業用フェノール樹脂が低迷しましたが、施工用接着剤や合板用接着剤が好調に推移し、売上を伸ばすことが出来ました。一方、海外においては、環境規制の強化が追い風となった中国や新規連結を組み入れたタイで販売量を伸ばしたものの、原材料価格低下に伴う売価の低下により売上が減少しました。
建設樹脂系商品は、外装・内装仕上塗材「ジョリパット」が前年を上回ったものの、工場・倉庫向けの塗り床材や橋梁・土木用の補修・補強材が低迷し、前年を下回りました。
非建設分野への取り組みとして注力している機能材料事業につきましては、国内会社においては、電子材料用UV樹脂やシリコーン製品が好調に推移しましたが、塗料・繊維用途のアクリル・コンパウンド製品や工業用途の有機微粒子が低迷し、前年を下回りました。前年より連結業績に組み入れたエバモア・ケミカル・インダストリー社については、低採算取引の見直しや原材料価格低下による売価の低下により売上は前年を下回りましたが、利益率の高いビジネスに注力することで利益は大幅に増加しました。
このような結果、売上高は103,945百万円(前年同期比4.7%減)、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は8,123百万円(同9.1%増)となりました。
(建装建材セグメント)
メラミン化粧板は、国内においては非住宅建設着工面積の減少の影響から売上が前年を下回りましたが、海外においては、インドやインドネシアでの販売量が増え、売上を伸ばすことができました。また、第2四半期連結会計期間より連結業績に組み入れた中国の化粧板商社ソイス社が寄与し、全体としては売上を伸ばすことができました。
ボード・フィルム類は、汎用的なポリエステル化粧合板が苦戦し、前年を下回りました。
メラミン不燃化粧材「セラール」は、住宅のキッチンパネル用途、教育施設、医療福祉施設、店舗、オフィス、公共施設等での需要を順調に獲得するとともに、「セラール消臭タイプ」や抗ウイルス建材「セラールウイルテクトタイプ」の採用が拡大したことから前年を上回りました。
不燃建材は、アイカテック建材株式会社とのシナジーにより、アクリル樹脂系塗装けい酸カルシウム板「ルナライト」や押出成形セメント板「メース」がスポーツ施設や教育施設、工場・倉庫、ホテル、商業施設の需要を取り込み、売上を伸ばすことができました。
カウンター・ポストフォーム商品は、旺盛な保育施設の新築・改修需要を取り込んだ人工大理石「コーリアン」製の幼児用手洗いカウンターや、キッチンや洗面カウンターでの需要を取り込んだ高級人造石「フィオレストーン」が好調で、売上を伸ばすことができました。
建具・インテリア建材は、医療福祉施設向け機能建具「U.D.(ユニバーサルデザイン)コンフォートシリーズ」が好調に推移しましたが、市場環境の厳しさから住宅向けの建具シリーズが低迷し、前年を下回りました。
このような結果、売上高は87,555百万円(前年同期比6.4%増)、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は15,874百万円(前年同期比1.8%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度末の借入金残高は7,194百万円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、将来必要とされる成長資金及び有利子負債の返済に対し、当面充分な流動性を確保しております。
当社グループは中期経営計画「C&C2000」の方針に基づき、持続的成長に向けて、設備投資、M&A、人材育成、研究開発等の戦略投資を今後さらに積極的に加速させると同時に、配当については連結配当性向50%を目処に、業績に連動した株主還元を行う方針としております。
なお、当社グループのこれらの資金需要につきましては、主に営業活動によるキャッシュ・フローによって賄っております。また、事業活動を円滑に行うための資金調達に際しては、事前に充分な検討を加え、低コストで安定的な資金の確保を重視しており、今後において資金需要が発生する場合に備えております。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③重要な会計上の見積りについて
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、会計上の見積りが必要となる事項につきましては、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (追加情報)」に記載のとおりであります。
当社グループの会計方針のうち、見積り等の重要性の高いものは以下のとおりであります。
・のれんの減損
減損の兆候を判断するにあたっては、損益実績及び将来利益計画を用いております。
のれんの減損の兆候がある場合、減損損失を認識するかどうかの判定は、資産グループにのれんを加えた、より大きな単位で行っております。
事業環境の悪化により収益性が当初の想定を下回る場合や保有資産の市場価額等が下落する場合には、回収可能価額が低下し損失が発生する可能性があります。