有価証券報告書-第119期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①財政状態及び経営成績の状況
<資産>当連結会計年度末における流動資産は129,888百万円となり、前連結会計年度末に比べ311百万円減少いたしました。これは主に受取手形及び売掛金が1,049百万円、商品及び製品が1,241百万円増加したことに対し、現金及び預金が3,933百万円減少したことによるものであります。固定資産は61,136百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,709百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が2,485百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、191,025百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,398百万円増加いたしました。
<負債>当連結会計年度末における流動負債は48,254百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,325百万円減少いたしました。これは主に未払法人税等が797百万円、未払消費税等が263百万円減少したことによるものであります。固定負債は6,655百万円となり、前連結会計年度末に比べ775百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が345百万円、繰延税金負債が252百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、54,909百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,101百万円減少いたしました。
<純資産>当連結会計年度末における純資産合計は136,116百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,499百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益13,316百万円及び剰余金の配当6,333百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は66.2%(前連結会計年度末は64.7%)となりました。
<売上高>当連結会計年度の売上高は191,363百万円となり、前連結会計年度と比べ16.9%増加いたしました。
<売上総利益>経営資源の効率的な活用に一層の努力を続けるとともに、グループ一丸となって業務改革を推進し、生産効率の向上に努めましたが、原材料価格高騰の影響等を受け、売上総利益は49,506百万円となり、前連結会計年度と比べ4.0%増加にとどまりました。
<販売費及び一般管理費、営業利益>販売費及び一般管理費は荷造運搬費、給与及び賞与等の増加や新規連結会社により増加しましたが、コスト削減やのれん償却額の減少などにより、150百万円増加にとどまり、28,672百万円となりました。この結果、営業利益は20,834百万円となり、前連結会計年度と比べ9.1%増加いたしました。
<営業外収益、営業外費用、経常利益>営業外収益は147百万円減少の1,279百万円、営業外費用は55百万円減少の864百万円となりました。この結果、経常利益は21,249百万円となり、前連結会計年度と比べ8.4%増加いたしました。
<税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益>税金等調整前当期純利益は21,310百万円となり、前連結会計年度と比べ8.7%増加いたしました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は13,316百万円となり、前連結会計年度と比べ11.0%増加いたしました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ、3,516百万円減少し、45,379百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるネットキャッシュ・フローは、13,275百万円の資金増加(前連結会計年度は16,436百万円の資金増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が21,310百万円(同19,600百万円)となったこと、減価償却費が4,207百万円(同3,638百万円)となったこと、仕入債務の785百万円増加(同3,587百万円)等の増加要因があったことと、たな卸資産の2,710百万円増加(同1,072百万円)、売上債権の1,742百万円増加(同3,630百万円)、その他の流動負債の1,714百万円減少(同118百万円の資金増加)及び法人税等の支払額7,037百万円(同6,547百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるネットキャッシュ・フローは、8,147百万円の資金減少(同7,950百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出7,019百万円(同4,088百万円)、無形固定資産の取得による支出571百万円(同225百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるネットキャッシュ・フローは、7,557百万円の資金減少(同7,406百万円の資金減少)となりました。これは主に、配当金の支払6,328百万円(同5,805百万円)、非支配株主への配当金の支払822百万円(同594百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は売価換算値によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは主として見込み生産を行っているため、記載すべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、日本国内においては、相次ぐ自然災害の影響により一時的に足踏み状態となりましたが、堅調な企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調が持続しました。また、アジア・オセアニア地域の経済は、全体としては個人消費を中心とした内需に牽引され堅調に推移しましたが、中国では一部に弱い動きも見られ、底堅さは維持しているものの、通商問題の動向及び影響、過剰債務問題を含む金融市場の動向等に留意が必要な状況が続きました。
国内建設市場においては、賃貸住宅の供給過剰感から貸家の着工が一服しましたが、分譲住宅が持ち直したことにより、住宅着工はほぼ横ばいで推移しました。非住宅関連は、企業の設備投資やインバウンド効果による工場、ホテルの新築・改修需要が増加しましたが、医療福祉施設や商業施設、オフィス等は落ち込み、着工面積は減少しました。
このような経営環境の下、当社グループは、中期経営計画「C&C2000」の方針に基づき、社会課題の解決に貢献する商品群の拡充、次世代を担う注力分野の育成、アジア・オセアニア地域における接着剤やメラミン化粧板の販売強化などを推進いたしました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高191,363百万円(前年同期比16.9%増)、営業利益20,834百万円(同9.1%増)、経常利益21,249百万円(同8.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益13,316百万円(同11.0%増)となりました。
また、1株当たり当期純利益は203.95円(同20.19円増)、ROEは10.7%(同0.6ポイント増)、海外売上比率は42.0%となりました。
セグメントの業績については次のとおりであります。なお、セグメント間の内部売上は除いております。
(化成品セグメント)
接着剤系商品は、国内においては集成材用接着剤が低迷しましたが、施工用接着剤や産業用フェノール樹脂が好調に推移し、売上を伸ばすことが出来ました。海外においてはアジア・オセアニア地域における接着剤・産業用樹脂の需要を取り込むことができたことに加えて、第2四半期連結会計期間より連結業績に組み入れたタイ・ケミカル・コーポレーション社も寄与し、売上を伸ばすことができました。
建設樹脂系商品は、新築住宅向けの外装・内装仕上塗材「ジョリパット」やベランダ用防水材、土木用の補修・補強材が低迷しましたが、高耐久塗り床材「アイカピュール」を中心とした工場・倉庫向けの塗り床材や、外壁タイルの剥落防止工法である「タフレジンクリアガード工法」が好調に推移し、売上を伸ばすことができました。
非建設分野への取り組みとして注力している機能材料事業につきましては、電子材料用UV樹脂や太陽電池用ホットメルトが低迷しましたが、自動車用や衛生材用のホットメルト、化粧品用の有機微粒子などが伸長し、また第1四半期連結会計期間より連結業績に組み入れたエバモア・ケミカル・インダストリー社が寄与し、売上を伸ばすことができました。
このような結果、売上高は109,062百万円(前年同期比31.5%増)となりました。営業利益(配賦不能営業費用控除前)は、原材料価格高騰の影響をうけましたが、アイカ・アジア・パシフィック・ホールディング社ののれん償却減の効果もあり、7,444百万円(前年同期比13.9%増)となりました。
(建装建材セグメント)
メラミン化粧板は、国内においては汎用の単色化粧板が好調であったことに加えて、高い意匠性と指紋などの汚れが目立ちにくい特性をもつメラミン化粧板「セルサス」や、不燃性や耐スクラッチ性などの機能を付与した高付加価値品がホテルや商業施設の新築・改修需要を取り込み、売上を伸ばすことができました。また、海外においても、インドネシアやシンガポール、ベトナムを中心に売上を伸ばすことができました。
ボード・フィルム類は、加工品を拡充した粘着剤付化粧フィルム「オルティノ」関連商品は好調でしたが、汎用的なポリエステル化粧合板が苦戦し、前年を下回りました。
メラミン不燃化粧材「セラール」は、着工減の影響をうけた医療福祉施設向けが減少しましたが、待機児童問題から増設が進む育児施設、五輪関連で活況なスポーツ施設やホテルなどの新築・改修需要を獲得するとともに、駅や学校などのトイレでは「セラール消臭タイプ」の採用が拡大し、売上を伸ばすことができました。
不燃建材は、アクリル樹脂系塗装けい酸カルシウム板「ルナライト」がスポーツ施設やホテル、工場・倉庫、教育施設用途で伸長し、多機能建材「モイス」が住宅から育児施設、公共施設まで幅広い用途で採用されるなど、アイカテック建材株式会社とのシナジー商品を中心に売上を伸ばすことができました。
カウンター・ポストフォーム商品は、人工大理石「コーリアン」製の幼児用手洗いカウンターとそれに付随する収納キャビネットが、育児施設の新築・改修向けに好調に推移しました。また、高価格帯のキッチンカウンター向けに売上を伸ばしてきた高級人造石「フィオレストーン」がホテルなどの非住宅施設へも販路を広げ、売上を伸ばすことができました。
建具・インテリア建材は、メラミン化粧板の特性を活かした「メラフュージョンシリーズ」は好調でしたが、普及グレードの建具シリーズや医療福祉施設向け機能引戸「U.D.(ユニバーサルデザイン)コンフォートシリーズ」が低調で、売上が前年を下回りました。
このような結果、売上高は82,300百万円(前年同期比1.8%増)、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は16,169百万円(前年同期比3.5%増)となりました。
b.当連結会計年度の資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの当連結会計年度末の借入金残高は5,298百万円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、将来必要とされる成長資金及び有利子負債の返済に対し、当面充分な流動性を確保しております。
当社グループは中期経営計画「C&C2000」の方針に基づき、持続的成長に向けて、設備投資、M&A、人材育成、研究開発等の戦略投資を今後さらに積極的に加速させると同時に、配当については連結配当性向50%を目処に、業績に連動した株主還元を行う方針としております。
なお、当社グループのこれらの資金需要につきましては、主に営業活動によるキャッシュ・フローによって賄っております。また、事業活動を円滑に行うための資金調達に際しては、事前に充分な検討を加え、低コストで安定的な資金の確保を重視しており、今後において資金需要が発生する場合に備えております。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
<中期経営計画の進捗>
当社グループにおける経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、中期経営計画の中で、売上高、経常利益、ROE、海外売上比率を取り上げ、目標を設定しております。
当連結会計年度において、売上高1,913億円、経常利益212億円、ROE10.7%、海外売上比率42.0%となり、一部の目標については既に達成しており、他の項目についても目標達成に向け順調に推移しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①財政状態及び経営成績の状況
<資産>当連結会計年度末における流動資産は129,888百万円となり、前連結会計年度末に比べ311百万円減少いたしました。これは主に受取手形及び売掛金が1,049百万円、商品及び製品が1,241百万円増加したことに対し、現金及び預金が3,933百万円減少したことによるものであります。固定資産は61,136百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,709百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が2,485百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、191,025百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,398百万円増加いたしました。
<負債>当連結会計年度末における流動負債は48,254百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,325百万円減少いたしました。これは主に未払法人税等が797百万円、未払消費税等が263百万円減少したことによるものであります。固定負債は6,655百万円となり、前連結会計年度末に比べ775百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が345百万円、繰延税金負債が252百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、54,909百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,101百万円減少いたしました。
<純資産>当連結会計年度末における純資産合計は136,116百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,499百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益13,316百万円及び剰余金の配当6,333百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は66.2%(前連結会計年度末は64.7%)となりました。
<売上高>当連結会計年度の売上高は191,363百万円となり、前連結会計年度と比べ16.9%増加いたしました。
<売上総利益>経営資源の効率的な活用に一層の努力を続けるとともに、グループ一丸となって業務改革を推進し、生産効率の向上に努めましたが、原材料価格高騰の影響等を受け、売上総利益は49,506百万円となり、前連結会計年度と比べ4.0%増加にとどまりました。
<販売費及び一般管理費、営業利益>販売費及び一般管理費は荷造運搬費、給与及び賞与等の増加や新規連結会社により増加しましたが、コスト削減やのれん償却額の減少などにより、150百万円増加にとどまり、28,672百万円となりました。この結果、営業利益は20,834百万円となり、前連結会計年度と比べ9.1%増加いたしました。
<営業外収益、営業外費用、経常利益>営業外収益は147百万円減少の1,279百万円、営業外費用は55百万円減少の864百万円となりました。この結果、経常利益は21,249百万円となり、前連結会計年度と比べ8.4%増加いたしました。
<税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益>税金等調整前当期純利益は21,310百万円となり、前連結会計年度と比べ8.7%増加いたしました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は13,316百万円となり、前連結会計年度と比べ11.0%増加いたしました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ、3,516百万円減少し、45,379百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるネットキャッシュ・フローは、13,275百万円の資金増加(前連結会計年度は16,436百万円の資金増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が21,310百万円(同19,600百万円)となったこと、減価償却費が4,207百万円(同3,638百万円)となったこと、仕入債務の785百万円増加(同3,587百万円)等の増加要因があったことと、たな卸資産の2,710百万円増加(同1,072百万円)、売上債権の1,742百万円増加(同3,630百万円)、その他の流動負債の1,714百万円減少(同118百万円の資金増加)及び法人税等の支払額7,037百万円(同6,547百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるネットキャッシュ・フローは、8,147百万円の資金減少(同7,950百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出7,019百万円(同4,088百万円)、無形固定資産の取得による支出571百万円(同225百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるネットキャッシュ・フローは、7,557百万円の資金減少(同7,406百万円の資金減少)となりました。これは主に、配当金の支払6,328百万円(同5,805百万円)、非支配株主への配当金の支払822百万円(同594百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) (百万円) | 前年同期比(%) |
化成品 | 93,068 | 143.8 |
建装建材 | 51,147 | 109.1 |
合計 | 144,215 | 129.2 |
(注)1 金額は売価換算値によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは主として見込み生産を行っているため、記載すべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) (百万円) | 前年同期比(%) |
化成品 | 109,062 | 131.5 |
建装建材 | 82,300 | 101.8 |
合計 | 191,363 | 116.9 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、日本国内においては、相次ぐ自然災害の影響により一時的に足踏み状態となりましたが、堅調な企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調が持続しました。また、アジア・オセアニア地域の経済は、全体としては個人消費を中心とした内需に牽引され堅調に推移しましたが、中国では一部に弱い動きも見られ、底堅さは維持しているものの、通商問題の動向及び影響、過剰債務問題を含む金融市場の動向等に留意が必要な状況が続きました。
国内建設市場においては、賃貸住宅の供給過剰感から貸家の着工が一服しましたが、分譲住宅が持ち直したことにより、住宅着工はほぼ横ばいで推移しました。非住宅関連は、企業の設備投資やインバウンド効果による工場、ホテルの新築・改修需要が増加しましたが、医療福祉施設や商業施設、オフィス等は落ち込み、着工面積は減少しました。
このような経営環境の下、当社グループは、中期経営計画「C&C2000」の方針に基づき、社会課題の解決に貢献する商品群の拡充、次世代を担う注力分野の育成、アジア・オセアニア地域における接着剤やメラミン化粧板の販売強化などを推進いたしました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高191,363百万円(前年同期比16.9%増)、営業利益20,834百万円(同9.1%増)、経常利益21,249百万円(同8.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益13,316百万円(同11.0%増)となりました。
また、1株当たり当期純利益は203.95円(同20.19円増)、ROEは10.7%(同0.6ポイント増)、海外売上比率は42.0%となりました。
セグメントの業績については次のとおりであります。なお、セグメント間の内部売上は除いております。
(化成品セグメント)
接着剤系商品は、国内においては集成材用接着剤が低迷しましたが、施工用接着剤や産業用フェノール樹脂が好調に推移し、売上を伸ばすことが出来ました。海外においてはアジア・オセアニア地域における接着剤・産業用樹脂の需要を取り込むことができたことに加えて、第2四半期連結会計期間より連結業績に組み入れたタイ・ケミカル・コーポレーション社も寄与し、売上を伸ばすことができました。
建設樹脂系商品は、新築住宅向けの外装・内装仕上塗材「ジョリパット」やベランダ用防水材、土木用の補修・補強材が低迷しましたが、高耐久塗り床材「アイカピュール」を中心とした工場・倉庫向けの塗り床材や、外壁タイルの剥落防止工法である「タフレジンクリアガード工法」が好調に推移し、売上を伸ばすことができました。
非建設分野への取り組みとして注力している機能材料事業につきましては、電子材料用UV樹脂や太陽電池用ホットメルトが低迷しましたが、自動車用や衛生材用のホットメルト、化粧品用の有機微粒子などが伸長し、また第1四半期連結会計期間より連結業績に組み入れたエバモア・ケミカル・インダストリー社が寄与し、売上を伸ばすことができました。
このような結果、売上高は109,062百万円(前年同期比31.5%増)となりました。営業利益(配賦不能営業費用控除前)は、原材料価格高騰の影響をうけましたが、アイカ・アジア・パシフィック・ホールディング社ののれん償却減の効果もあり、7,444百万円(前年同期比13.9%増)となりました。
(建装建材セグメント)
メラミン化粧板は、国内においては汎用の単色化粧板が好調であったことに加えて、高い意匠性と指紋などの汚れが目立ちにくい特性をもつメラミン化粧板「セルサス」や、不燃性や耐スクラッチ性などの機能を付与した高付加価値品がホテルや商業施設の新築・改修需要を取り込み、売上を伸ばすことができました。また、海外においても、インドネシアやシンガポール、ベトナムを中心に売上を伸ばすことができました。
ボード・フィルム類は、加工品を拡充した粘着剤付化粧フィルム「オルティノ」関連商品は好調でしたが、汎用的なポリエステル化粧合板が苦戦し、前年を下回りました。
メラミン不燃化粧材「セラール」は、着工減の影響をうけた医療福祉施設向けが減少しましたが、待機児童問題から増設が進む育児施設、五輪関連で活況なスポーツ施設やホテルなどの新築・改修需要を獲得するとともに、駅や学校などのトイレでは「セラール消臭タイプ」の採用が拡大し、売上を伸ばすことができました。
不燃建材は、アクリル樹脂系塗装けい酸カルシウム板「ルナライト」がスポーツ施設やホテル、工場・倉庫、教育施設用途で伸長し、多機能建材「モイス」が住宅から育児施設、公共施設まで幅広い用途で採用されるなど、アイカテック建材株式会社とのシナジー商品を中心に売上を伸ばすことができました。
カウンター・ポストフォーム商品は、人工大理石「コーリアン」製の幼児用手洗いカウンターとそれに付随する収納キャビネットが、育児施設の新築・改修向けに好調に推移しました。また、高価格帯のキッチンカウンター向けに売上を伸ばしてきた高級人造石「フィオレストーン」がホテルなどの非住宅施設へも販路を広げ、売上を伸ばすことができました。
建具・インテリア建材は、メラミン化粧板の特性を活かした「メラフュージョンシリーズ」は好調でしたが、普及グレードの建具シリーズや医療福祉施設向け機能引戸「U.D.(ユニバーサルデザイン)コンフォートシリーズ」が低調で、売上が前年を下回りました。
このような結果、売上高は82,300百万円(前年同期比1.8%増)、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は16,169百万円(前年同期比3.5%増)となりました。
b.当連結会計年度の資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの当連結会計年度末の借入金残高は5,298百万円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、将来必要とされる成長資金及び有利子負債の返済に対し、当面充分な流動性を確保しております。
当社グループは中期経営計画「C&C2000」の方針に基づき、持続的成長に向けて、設備投資、M&A、人材育成、研究開発等の戦略投資を今後さらに積極的に加速させると同時に、配当については連結配当性向50%を目処に、業績に連動した株主還元を行う方針としております。
なお、当社グループのこれらの資金需要につきましては、主に営業活動によるキャッシュ・フローによって賄っております。また、事業活動を円滑に行うための資金調達に際しては、事前に充分な検討を加え、低コストで安定的な資金の確保を重視しており、今後において資金需要が発生する場合に備えております。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
<中期経営計画の進捗>
2018年3月期実績 | 2019年3月期実績 | 2020年3月期計画 | 2021年3月期 (当初)計画 | ||
売上高 | 1,637億円 | 1,913億円 | 2,000億円 | 2,000億円 | |
経常利益 | 196億円 | 212億円 | 220億円 | 220億円 | |
ROE | 10.1% | 10.7% | 10.6% | 10%以上 | |
海外売上比率 | 33.4% | 42.0% | 42%以上 | 35%以上 |
当社グループにおける経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、中期経営計画の中で、売上高、経常利益、ROE、海外売上比率を取り上げ、目標を設定しております。
当連結会計年度において、売上高1,913億円、経常利益212億円、ROE10.7%、海外売上比率42.0%となり、一部の目標については既に達成しており、他の項目についても目標達成に向け順調に推移しております。