訂正有価証券報告書-第121期(2020/04/01-2021/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
<資産>当連結会計年度末における流動資産は126,468百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,679百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が1,730百万円、流動資産のその他が579百万円増加したことに対し、受取手形及び売掛金が3,799百万円減少したことによるものであります。固定資産は80,894百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,603百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券が3,108百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、207,363百万円となり、前連結会計年度末に比べ924百万円増加いたしました。
<負債>当連結会計年度末における流動負債は47,524百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,044百万円減少いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が1,330百万円、流動負債のその他が2,638百万円減少したことによるものであります。固定負債は9,333百万円となり、前連結会計年度末に比べ684百万円増加いたしました。
この結果、負債合計は、56,858百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,360百万円減少いたしました。
<純資産>当連結会計年度末における純資産合計は150,505百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,284百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益10,759百万円及び剰余金の配当6,921百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は65.0%(前連結会計年度末は63.1%)となりました。
<売上高>当連結会計年度の売上高は174,628百万円となり、前連結会計年度と比べ8.8%減少いたしました。
<売上総利益>経営資源の効率的な活用に一層の努力を続けるとともに、グループ一丸となって業務改革を推進し、生産効率の向上に努めましたが、新型コロナウイルス感染症による売上減の影響により売上総利益は49,532百万円となり、前連結会計年度と比べ4.6%減少いたしました。
<販売費及び一般管理費、営業利益>販売費及び一般管理費は、売上減少に伴う物流費の減少等があったものの、新規連結会社により増加したことなどにより、455百万円増加し、31,541百万円となりました。この結果、営業利益は17,991百万円となり、前連結会計年度と比べ13.7%減少いたしました。
<営業外収益、営業外費用、経常利益>営業外収益は578百万円増加の2,024百万円、営業外費用は613百万円増加の1,576百万円となりました。この結果、経常利益は18,438百万円となり、前連結会計年度と比べ13.6%減少いたしました。
<税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益>税金等調整前当期純利益は18,159百万円となり、前連結会計年度と比べ15.0%減少いたしました。
また、法人税、住民税及び事業税が579百万円減少の6,467百万円となったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は10,759百万円となり、前連結会計年度と比べ15.5%減少いたしました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ、541百万円増加し、41,185百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるネットキャッシュ・フローは、19,713百万円の資金増加(前連結会計年度は18,240百万円の資金増加)となりました。これは主に、減価償却費が5,773百万円(同4,664百万円)となったこと、売上債権の3,857百万円の減少(同178百万円)等の増加要因があったことに対し、法人税等の支払額6,577百万円(同6,167百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるネットキャッシュ・フローは、9,756百万円の資金減少(同16,798百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出5,560百万円(同5,863百万円)、無形固定資産の取得による支出1,306百万円(同2,304百万円)、投資有価証券の取得による支出1,492百万円(同612百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるネットキャッシュ・フローは、9,179百万円の資金減少(同6,210百万円の資金減少)となりました。これは主に、配当金の支払6,921百万円(同6,850百万円)、非支配株主への配当金の支払1,067百万円(同879百万円)、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出1,253百万円(同264百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は売価換算値によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは主として見込み生産を行っているため、記載すべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループにおける経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、中期経営計画の中で、売上高、経常利益、ROE、海外売上比率を取り上げ、目標を設定しております。
当連結会計年度の実績及び中期経営計画は以下のとおりであります。
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、日本国内においては、新型コロナウイルス感染症の影響による景気の後退から持ち直しの動きも見られましたが、感染の再拡大により再び経済活動が一部制限されるなど、先行き不透明な状況が続いております。また、アジア・オセアニア地域の経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響から持ち直した中国やベトナムは緩やかな回復基調で推移したものの、インドネシアやタイでは依然として厳しい状況が継続しています。
国内建設市場は、雇用・所得環境に対する先行き懸念もあり、住宅着工全体は減少しましたが、下半期において持家に回復の動きが見られました。非住宅関連では、景気の先行き不透明感から、店舗、工場、ホテル、医療・福祉施設などの着工面積が減少し、全体としても前年を下回りました。
このような経営環境の下、当社グループは、中期経営計画「C&C2000」の方針に基づき、社会課題の解決に貢献する商品群の拡充、次世代を担う注力分野の育成、アジア・オセアニア地域における接着剤やメラミン化粧板の販売強化などを推進いたしました。また、グループ一丸となって業務改革を推進し、生産効率の向上、各種コスト削減などに努め、下半期においては利益改善効果が現れました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高174,628百万円(前年同期比8.8%減)、営業利益17,991百万円(同13.7%減)、経常利益18,438百万円(同13.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益10,759百万円(同15.5%減)となりました。
また、1株当たり当期純利益は164.79円(同30.22円減)、ROEは8.1%(同1.8ポイント減)、海外売上比率は42.7%(同2.0ポイント増)となりました。
なお、財政状態につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については次のとおりであります。なお、セグメント間の内部売上は除いております。
(化成品セグメント)
接着剤系商品は、国内においては、木工・家具向け汎用接着剤、施工用接着剤、集成材用接着剤などが低調で売上が前年を下回りました。海外においては、中国やベトナムなどでは新型コロナウイルスの影響から持ち直しましたが、インドネシアでは影響が長期化しており、売上が減少しました。
建設樹脂系商品は、外装・内装仕上塗材「ジョリパット」が前年を上回り、橋梁・土木用の補修・補強材が好調に推移したものの、工場・倉庫向けの塗り床材が低迷し、売上が減少しました。
非建設分野への取り組みとして注力している機能材料事業につきましては、国内会社においては、電子機器関連用途のUV樹脂は前年を上回りましたが、自動車用ホットメルトや紙・粘着剤・繊維用途のアクリル・コンパウンド製品、化粧品用の有機微粒子が低迷し、前年を下回りました。エバモア・ケミカル・インダストリー社につきましては、主力製品のシューズおよびスポーツウエア向けのウレタン樹脂や家具等の塗料向け架橋剤が低迷し、前年を下回りました。
このような結果、売上高は90,446百万円(前年同期比13.0%減)、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は7,109百万円(前年同期比12.5%減)となりました。
(建装建材セグメント)
メラミン化粧板は、国内においては、抗ウイルスメラミン化粧板「アイカウイルテクト」が好調でしたが、大都市圏を中心とした店舗需要の低迷などが影響し、前年を下回りました。海外においては、インドやインドネシアで売上が低迷しましたが、当連結会計年度より連結業績に組み入れたウィルソナート各社やアイカHPLトレーディング社が寄与し伸長しました。全体としても売上を伸ばすことができました。
ボード・フィルム類は、汎用的なポリエステル化粧合板が低迷し、前年を下回りました。
メラミン不燃化粧板「セラール」は、教育施設での需要を順調に獲得するとともに、抗ウイルスメラミン不燃化粧板「セラールウイルテクト」が売上を大幅に伸ばしましたが、首都圏需要低迷の影響を受けて、全体としては売上が前年を下回りました。
不燃建材は、多機能建材「モイス」が耐力面材用途の好調により、アクリル樹脂系塗装けい酸カルシウム板「ルナライト」が医療・福祉施設や教育施設の好調により、それぞれ伸長しましたが、押出成型セメント板「メース」が低迷し、前年を下回りました。
カウンター・ポストフォーム商品は、学校や公共施設向けで好調なポストフォームカウンターや天然石の代替品としてキッチン・洗面カウンター需要を獲得した高級人造石「フィオレストーン」が伸長しましたが、戸建て住宅や集合住宅向けのキッチン対面カウンター「バリューエッジカウンター」が低調で、全体として売上が前年を下回りました。
建具・インテリア建材は、住宅向けの洗面化粧台「スマートサニタリー」が好調で売上を伸ばしましたが、住宅向けの建具が低調で、前年を下回りました。
このような結果、売上高は84,182百万円(前年同期比3.9%減)、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は13,751百万円(前年同期比13.4%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度末の借入金残高は7,671百万円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、将来必要とされる成長資金及び有利子負債の返済に対し、当面充分な流動性を確保しております。
当社グループは新中期経営計画「Change&Grow2400」の方針に基づき、持続的成長に向けて、設備投資、M&A、人材育成、研究開発等の戦略投資を今後さらに積極的に加速させると同時に、配当については連結配当性向50%を目処に、安定的な株主還元を行う方針としております。
なお、当社グループのこれらの資金需要につきましては、主に営業活動によるキャッシュ・フローによって賄っております。また、事業活動を円滑に行うための資金調達に際しては、事前に充分な検討を加え、低コストで安定的な資金の確保を重視しており、今後において資金需要が発生する場合に備えております。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
・のれん及び無形固定資産(顧客関連資産)の減損
減損の兆候を判断するにあたっては、損益実績及び将来利益計画を用いております。
のれんの減損の兆候がある場合、減損損失を認識するかどうかの判定は、資産グループにのれんを加えた、より大きな単位で行っております。
事業環境の悪化により収益性が当初の想定を下回る場合や保有資産の市場価額等が下落する場合には、回収可能価額が低下し損失が発生する可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
<資産>当連結会計年度末における流動資産は126,468百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,679百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が1,730百万円、流動資産のその他が579百万円増加したことに対し、受取手形及び売掛金が3,799百万円減少したことによるものであります。固定資産は80,894百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,603百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券が3,108百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、207,363百万円となり、前連結会計年度末に比べ924百万円増加いたしました。
<負債>当連結会計年度末における流動負債は47,524百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,044百万円減少いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が1,330百万円、流動負債のその他が2,638百万円減少したことによるものであります。固定負債は9,333百万円となり、前連結会計年度末に比べ684百万円増加いたしました。
この結果、負債合計は、56,858百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,360百万円減少いたしました。
<純資産>当連結会計年度末における純資産合計は150,505百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,284百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益10,759百万円及び剰余金の配当6,921百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は65.0%(前連結会計年度末は63.1%)となりました。
<売上高>当連結会計年度の売上高は174,628百万円となり、前連結会計年度と比べ8.8%減少いたしました。
<売上総利益>経営資源の効率的な活用に一層の努力を続けるとともに、グループ一丸となって業務改革を推進し、生産効率の向上に努めましたが、新型コロナウイルス感染症による売上減の影響により売上総利益は49,532百万円となり、前連結会計年度と比べ4.6%減少いたしました。
<販売費及び一般管理費、営業利益>販売費及び一般管理費は、売上減少に伴う物流費の減少等があったものの、新規連結会社により増加したことなどにより、455百万円増加し、31,541百万円となりました。この結果、営業利益は17,991百万円となり、前連結会計年度と比べ13.7%減少いたしました。
<営業外収益、営業外費用、経常利益>営業外収益は578百万円増加の2,024百万円、営業外費用は613百万円増加の1,576百万円となりました。この結果、経常利益は18,438百万円となり、前連結会計年度と比べ13.6%減少いたしました。
<税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益>税金等調整前当期純利益は18,159百万円となり、前連結会計年度と比べ15.0%減少いたしました。
また、法人税、住民税及び事業税が579百万円減少の6,467百万円となったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は10,759百万円となり、前連結会計年度と比べ15.5%減少いたしました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ、541百万円増加し、41,185百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるネットキャッシュ・フローは、19,713百万円の資金増加(前連結会計年度は18,240百万円の資金増加)となりました。これは主に、減価償却費が5,773百万円(同4,664百万円)となったこと、売上債権の3,857百万円の減少(同178百万円)等の増加要因があったことに対し、法人税等の支払額6,577百万円(同6,167百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるネットキャッシュ・フローは、9,756百万円の資金減少(同16,798百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出5,560百万円(同5,863百万円)、無形固定資産の取得による支出1,306百万円(同2,304百万円)、投資有価証券の取得による支出1,492百万円(同612百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるネットキャッシュ・フローは、9,179百万円の資金減少(同6,210百万円の資金減少)となりました。これは主に、配当金の支払6,921百万円(同6,850百万円)、非支配株主への配当金の支払1,067百万円(同879百万円)、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出1,253百万円(同264百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) (百万円) | 前年同期比(%) |
化成品 | 74,165 | 82.4 |
建装建材 | 52,213 | 99.0 |
合計 | 126,379 | 88.5 |
(注)1 金額は売価換算値によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは主として見込み生産を行っているため、記載すべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) (百万円) | 前年同期比(%) |
化成品 | 90,446 | 87.0 |
建装建材 | 84,182 | 96.1 |
合計 | 174,628 | 91.2 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループにおける経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、中期経営計画の中で、売上高、経常利益、ROE、海外売上比率を取り上げ、目標を設定しております。
当連結会計年度の実績及び中期経営計画は以下のとおりであります。
2018年3月期 実績 | 2019年3月期 実績 | 2020年3月期 実績 | 2021年3月期 実績 | 2024年3月期 中期経営計画 | |||
売上高 | 1,637億円 | 1,913億円 | 1,915億円 | 1,746億円 | 2,400億円 | ||
経常利益 | 196億円 | 212億円 | 213億円 | 184億円 | 240億円 | ||
ROE | 10.1% | 10.7% | 9.9% | 8.1% | 10.0% | ||
海外売上比率 | 33.4% | 42.0% | 40.7% | 42.7% | 47.9% |
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、日本国内においては、新型コロナウイルス感染症の影響による景気の後退から持ち直しの動きも見られましたが、感染の再拡大により再び経済活動が一部制限されるなど、先行き不透明な状況が続いております。また、アジア・オセアニア地域の経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響から持ち直した中国やベトナムは緩やかな回復基調で推移したものの、インドネシアやタイでは依然として厳しい状況が継続しています。
国内建設市場は、雇用・所得環境に対する先行き懸念もあり、住宅着工全体は減少しましたが、下半期において持家に回復の動きが見られました。非住宅関連では、景気の先行き不透明感から、店舗、工場、ホテル、医療・福祉施設などの着工面積が減少し、全体としても前年を下回りました。
このような経営環境の下、当社グループは、中期経営計画「C&C2000」の方針に基づき、社会課題の解決に貢献する商品群の拡充、次世代を担う注力分野の育成、アジア・オセアニア地域における接着剤やメラミン化粧板の販売強化などを推進いたしました。また、グループ一丸となって業務改革を推進し、生産効率の向上、各種コスト削減などに努め、下半期においては利益改善効果が現れました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高174,628百万円(前年同期比8.8%減)、営業利益17,991百万円(同13.7%減)、経常利益18,438百万円(同13.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益10,759百万円(同15.5%減)となりました。
また、1株当たり当期純利益は164.79円(同30.22円減)、ROEは8.1%(同1.8ポイント減)、海外売上比率は42.7%(同2.0ポイント増)となりました。
なお、財政状態につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については次のとおりであります。なお、セグメント間の内部売上は除いております。
(化成品セグメント)
接着剤系商品は、国内においては、木工・家具向け汎用接着剤、施工用接着剤、集成材用接着剤などが低調で売上が前年を下回りました。海外においては、中国やベトナムなどでは新型コロナウイルスの影響から持ち直しましたが、インドネシアでは影響が長期化しており、売上が減少しました。
建設樹脂系商品は、外装・内装仕上塗材「ジョリパット」が前年を上回り、橋梁・土木用の補修・補強材が好調に推移したものの、工場・倉庫向けの塗り床材が低迷し、売上が減少しました。
非建設分野への取り組みとして注力している機能材料事業につきましては、国内会社においては、電子機器関連用途のUV樹脂は前年を上回りましたが、自動車用ホットメルトや紙・粘着剤・繊維用途のアクリル・コンパウンド製品、化粧品用の有機微粒子が低迷し、前年を下回りました。エバモア・ケミカル・インダストリー社につきましては、主力製品のシューズおよびスポーツウエア向けのウレタン樹脂や家具等の塗料向け架橋剤が低迷し、前年を下回りました。
このような結果、売上高は90,446百万円(前年同期比13.0%減)、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は7,109百万円(前年同期比12.5%減)となりました。
(建装建材セグメント)
メラミン化粧板は、国内においては、抗ウイルスメラミン化粧板「アイカウイルテクト」が好調でしたが、大都市圏を中心とした店舗需要の低迷などが影響し、前年を下回りました。海外においては、インドやインドネシアで売上が低迷しましたが、当連結会計年度より連結業績に組み入れたウィルソナート各社やアイカHPLトレーディング社が寄与し伸長しました。全体としても売上を伸ばすことができました。
ボード・フィルム類は、汎用的なポリエステル化粧合板が低迷し、前年を下回りました。
メラミン不燃化粧板「セラール」は、教育施設での需要を順調に獲得するとともに、抗ウイルスメラミン不燃化粧板「セラールウイルテクト」が売上を大幅に伸ばしましたが、首都圏需要低迷の影響を受けて、全体としては売上が前年を下回りました。
不燃建材は、多機能建材「モイス」が耐力面材用途の好調により、アクリル樹脂系塗装けい酸カルシウム板「ルナライト」が医療・福祉施設や教育施設の好調により、それぞれ伸長しましたが、押出成型セメント板「メース」が低迷し、前年を下回りました。
カウンター・ポストフォーム商品は、学校や公共施設向けで好調なポストフォームカウンターや天然石の代替品としてキッチン・洗面カウンター需要を獲得した高級人造石「フィオレストーン」が伸長しましたが、戸建て住宅や集合住宅向けのキッチン対面カウンター「バリューエッジカウンター」が低調で、全体として売上が前年を下回りました。
建具・インテリア建材は、住宅向けの洗面化粧台「スマートサニタリー」が好調で売上を伸ばしましたが、住宅向けの建具が低調で、前年を下回りました。
このような結果、売上高は84,182百万円(前年同期比3.9%減)、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は13,751百万円(前年同期比13.4%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度末の借入金残高は7,671百万円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、将来必要とされる成長資金及び有利子負債の返済に対し、当面充分な流動性を確保しております。
当社グループは新中期経営計画「Change&Grow2400」の方針に基づき、持続的成長に向けて、設備投資、M&A、人材育成、研究開発等の戦略投資を今後さらに積極的に加速させると同時に、配当については連結配当性向50%を目処に、安定的な株主還元を行う方針としております。
なお、当社グループのこれらの資金需要につきましては、主に営業活動によるキャッシュ・フローによって賄っております。また、事業活動を円滑に行うための資金調達に際しては、事前に充分な検討を加え、低コストで安定的な資金の確保を重視しており、今後において資金需要が発生する場合に備えております。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
・のれん及び無形固定資産(顧客関連資産)の減損
減損の兆候を判断するにあたっては、損益実績及び将来利益計画を用いております。
のれんの減損の兆候がある場合、減損損失を認識するかどうかの判定は、資産グループにのれんを加えた、より大きな単位で行っております。
事業環境の悪化により収益性が当初の想定を下回る場合や保有資産の市場価額等が下落する場合には、回収可能価額が低下し損失が発生する可能性があります。