四半期報告書-第119期第2四半期(平成30年7月1日-平成30年9月30日)

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2018/11/05 13:15
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34項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間の当社グループを取り巻く経営環境は、日本国内においては、相次ぐ自然災害の経済への影響に留意する必要があるものの、設備投資の増加や企業業績および雇用環境の改善等により、緩やかな回復基調で推移しました。また、アジア・オセアニア地域の経済は、通商問題の動向が与える影響や為替の変動が懸念されるものの、中国では底堅い景気を維持し、インドネシア・タイ・インド等の地域においては緩やかな回復基調で推移しました。
国内建設市場においては、賃貸住宅の供給過剰感から借家や持家の着工が一服し、住宅着工は減少しました。非住宅関連は、企業の設備投資やインバウンド効果による工場、オフィス、ホテルの新築・改修需要は増加したものの、医療福祉施設や商業施設は落ち込み、着工面積はほぼ横ばいで推移しました。
このような経営環境の下、当社グループは、中期経営計画「C&C2000」の方針に基づき、社会課題の解決に貢献する商品群の拡充、次世代を担う注力分野の育成、アジア・オセアニア地域における接着剤やメラミン化粧板の販売強化などを推進いたしました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の経営成績は、売上高90,832百万円(前年同期比16.4%増)、営業利益9,670百万円(同4.0%増)、経常利益10,109百万円(同5.4%増)となりました。また、「平成30年7月豪雨」による広島工場浸水被害に関わる一時的な特別損失400百万円を計上し、親会社株主に帰属する四半期純利益は、6,044百万円(同5.5%増)となりました。
セグメントの経営成績については次のとおりであります。なお、セグメント間の内部売上は除いております。
(化成品セグメント)
接着剤系商品は、国内においては施工用接着剤や産業用フェノール樹脂が好調に推移しましたが、集成材用接着剤が低迷し、売上が前年を下回りました。一方、海外においてはアジア・オセアニア地域における接着剤・産業用樹脂の需要を取り込むことができたことに加えて、当第2四半期連結会計期間より連結業績に組み入れたタイ・ケミカル・コーポレーション社も寄与し、売上を伸ばすことができました。
建設樹脂系商品は、高耐久塗り床材「アイカピュール」が好調に推移したものの、新築住宅向けの外装・内装仕上塗材「ジョリパット」や建築・土木用の補修・補強材が低迷し、前年を下回りました。
非建設分野への取り組みとして注力している機能材料事業につきましては、繊維・紙加工用途のアクリル・コンパウンド製品が前年を上回り、電子材料市場の低迷によりUV樹脂が前年を下回った一方、第1四半期連結会計期間より連結業績に組み入れたエバモア・ケミカル・インダストリー社が寄与し、売上を伸ばすことができました。
このような結果、売上高は52,176百万円(前年同期比30.8%増)となりました。営業利益(配賦不能営業費用控除前)は、原材料価格高騰の影響をうけたものの、アイカ・アジア・パシフィック・ホールディング社ののれん償却減の影響もあり、3,641百万円(前年同期比7.9%増)となりました。
(建装建材セグメント)
メラミン化粧板は、国内においては高い意匠性と指紋などの汚れが目立ちにくい特性をもつメラミン化粧板「セルサス」をはじめ、不燃性や耐スクラッチ性、耐薬品性などの機能性を付与した高付加価値品がホテルや商業施設の新築・改修需要を取り込み、売上を伸ばすことができました。また、海外においては、インドネシアやベトナムを中心に売上を伸ばすことができました。
ボード・フィルム類は、加工品を拡充した粘着剤付化粧フィルム「オルティノ」関連商品は好調でしたが、汎用的なポリエステル化粧合板が苦戦し、前年を下回りました。
メラミン不燃化粧材「セラール」は、工場・倉庫や飲食店の新築・改修需要を獲得することができましたが、医療福祉施設や住宅の着工件数減少の影響を受け前年を下回りました。
不燃建材は、アクリル樹脂系塗装けい酸カルシウム板「ルナライト・カラー」が工場・倉庫や教育施設の需要を取り込むなど、アイカテック建材株式会社とのシナジー商品を中心に売上を伸ばすことができました。
カウンター・ポストフォーム商品は、バリエーションを拡充した人工大理石「コーリアン」製の幼児用手洗いカウンターやそれに付随する収納キャビネットが保育施設の新設需要を取り込み、売上を伸ばすことができました。
建具・インテリア建材は、メラミン化粧板の特性を活かした「メラフュージョンシリーズ」は好調でしたが、住宅着工件数減少の影響を受け前年を下回りました。
このような結果、売上高は38,656百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は7,289百万円(前年同期比1.7%増)となりました。
財政状態については、次のとおりであります。
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における流動資産は126,616百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,583百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が1,614百万円、受取手形及び売掛金が2,807百万円減少したことによるものであります。固定資産は60,771百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,344百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が682百万円、投資その他の資産が553百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、187,387百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,239百万円減少いたしました。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における流動負債は46,049百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,530百万円減少いたしました。これは主に電子記録債務が541百万円、未払法人税等が1,262百万円、流動負債のその他が1,253百万円減少したことによるものであります。固定負債は7,568百万円となり、前連結会計年度末に比べ137百万円増加いたしました。これは主に固定負債のその他が343百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、53,617百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,392百万円減少いたしました。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は133,769百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,153百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益6,044百万円及び剰余金の配当3,264百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は66.3%(前連結会計年度末は64.7%)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前第2四半期連結累計期間に比べ3,103百万円減少し、46,996百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるネットキャッシュ・フローは、6,833百万円の資金増加(前第2四半期連結累計期間は7,700百万円の資金増加)となりました。この主たる内容は、税金等調整前四半期純利益が9,709百万円(前第2四半期連結累計期間は9,595百万円)となったこと、減価償却費が2,011百万円(前第2四半期連結累計期間は1,710百万円)となったこと及び売上債権が2,189百万円減少(前第2四半期連結累計期間は317百万円増加)したこと等の増加要因があったものの、たな卸資産が1,496百万円増加(前第2四半期連結累計期間は405百万円増加)したこと及び法人税等の支払額3,742百万円(前第2四半期連結累計期間は3,427百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるネットキャッシュ・フローは、4,031百万円の資金減少(前第2四半期連結累計期間は1,825百万円の資金減少)となりました。この主たる内容は、有形固定資産の取得による支出3,140百万円(前第2四半期連結累計期間は2,055百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるネットキャッシュ・フローは、4,029百万円の資金減少(前第2四半期連結累計期間は3,267百万円の資金減少)となりました。この主たる内容は、配当金の支払3,258百万円(前第2四半期連結累計期間は3,064百万円)等の減少要因があったことによるものであります。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
[株式会社の支配に関する基本方針]
1.当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する者が望ましいと考えております。当社は、株式を上場して市場での自由な取引に委ねているため、会社を支配する者の在り方は、最終的には株主の皆様の全体の意思に基づき決定されるべきであり、会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるかどうかの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えます。
しかしながら、当社株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、株主が買付の条件等について検討したり、当社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、当社の企業価値および株主共同の利益を毀損するものもありえます。
このような大規模な買付行為や買付提案を行う者は、例外的に当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として適当でないと判断します。
2.基本方針の実現に資する取り組み
<中長期的な会社の経営方針>アイカグループは、「挑戦と創造」を社是に掲げ、「共生の理念のもと、たえざる革新により新しい価値を創造し、社会に貢献してまいります」との経営理念のもと、以下の項目を経営方針と定め経営を進めています。
[経営方針]
①化学とデザイン
化学とデザインの力で独創性のある商品をつくり、豊かな社会の実現に貢献します。
②グループシナジー
技術・素材連携やチャネル活用を追求し、グループシナジーを創出します。
③No.1
事業分野や地域におけるNo.1商品を拡充します。
④グローバル
海外における生産・販売拠点と人材の充実を図り、グローバル市場で持続的な成長を目指します。
⑤人材と組織
人材を最も重要な経営資源と捉え、相互理解と成長を通じ、活力あふれる人材・組織を形成します。
⑥コンプライアンス経営
法令や社会秩序を守り、公正で透明性の高いコンプライアンス経営を実践します。
⑦安心・安全への約束
ステークホルダーとのコミュニケーションを重視し、「信頼される品質の確保」や「環境に配慮した事業活動」を推進します。
以上の経営方針のもと、2017年4月から新たに中期4ヵ年計画をスタートさせました。連結売上高2,000億円、連結経常利益220億円、ROE10%以上、海外売上比率35%以上という目標を達成するために、①AS商品(※1)群の拡充による国内基幹事業の成長持続、②次世代を担う注力分野の育成・投資、③ジャパンテクノロジーの海外展開、に注力いたします。また、C&C活動(※2)を通じた社員一人ひとりの成長、QEOマネジメント(※3)とIT基盤刷新によるCS・ES(※4)向上、コンプライアンス遵守、を重点方針に掲げ、成長を支える経営基盤を強化し、株主・顧客などのステークホルダーから絶大の信頼を得られるよう取り組んでまいります。
※1 AS商品
AICA Solution商品の略。様々な社会課題(インフラ老朽化・高齢化・環境・安全・人手不足など)を解決する商品
※2 C&C活動
挑戦と創造(Challenge & Creation)の精神のもと、製品・サービス・仕事などの質の管理・改善を行う小集団活動。1977年から行っている
※3 QEOマネジメント
品質(Quality)・環境(Environment)・労働安全衛生(Occupation health and safety)、三位一体のマネジメントシステム
※4 CS・ES
CSは顧客満足度、ESは従業員満足度を表す
<コーポレート・ガバナンス(企業統治)の推進>当社は「コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化」を通じて、グループ会社とともに企業価値および株主共同の利益の確保・向上を実現させていきたいと考えています。
①基本規程として「行動規範」を策定し、企業理念の精神を具体化した役員および社員の「行動指針」として定めています。更に、全社横断組織として「企業倫理委員会」を設置するなど企業統治に関する組織、規程を充実させ、企業の透明性、効率性、健全性を向上すべく推進しています。
②経営の体制として、業務執行と監督機能区分を明確化するため、執行役員制度を導入しております。取締役会は、経営の透明性・客観性を確保するため社外取締役を含む取締役にて構成しております。監査役会は、監査役監査の透明性、公平性を確保するため社外監査役を含む監査役にて構成しております。また、任意の諮問委員会として、社外役員を主な構成員とする「ガバナンス委員会」を設置し、企業の持続的な成長と統治機能の更なる充実を目指しています。
当社では多数の投資家の皆様に長期的に当社に投資を継続していただくため、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を向上させるための取り組みとして、以上のような施策を実施しております。
3.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みとして、当社は「大規模買付ルール」を設定し、また当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうような大規模買付行為への対抗措置(買収防衛策)を導入いたしました。
当社が設定する大規模買付ルールとは、①事前に大規模買付者に取締役会に対する必要かつ十分な情報の提供を求め、②取締役会による一定の評価期間が経過した後にはじめて大規模買付行為が開始される、というものです。
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合には、取締役会は、仮に当該大規模買付行為に反対であったとしても、原則として、当該買付提案についての反対意見の表明あるいは代替案の提示により株主の皆様を説得するに留め、当該大規模買付行為に対する対抗措置はとりません。大規模買付者の買付提案に応じるか否かは、株主の皆様において、当該買付提案および当社が提示する当該買付提案に対する意見、代替案等をご考慮の上、ご判断いただくことになります。
(1)大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合
大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付行為が以下①~⑤のいずれかに該当し、その結果として当該大規模買付行為が会社に回復し難い損害をもたらすなど当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうと当社取締役会が判断する場合には、第三者委員会の勧告を十分に尊重したうえで、例外的に当該大規模買付行為に対する対抗措置をとることがあります。
①真に当社の経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価をつり上げて高値で株式を会社関係者に引き取らせる目的の大規模買付行為(いわゆるグリーンメーラーである場合)
②当社の経営を一時的に支配して当社の事業経営上必要な知的財産権・ノウハウ・企業秘密情報・主要取引先や顧客等を当該大規模買付者やそのグループ会社等に移譲させるなど、いわゆる焦土化経営を行う目的の大規模買付行為
③当社の経営を支配した後に、当社の資産を当該大規模買付者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する予定の大規模買付行為
④当社の経営を一時的に支配して当社の事業に当面関係していない不動産、有価証券など高額資産等を売却処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるかあるいは一時的な高配当による株価の急上昇の機会を狙って株式の高値売り抜けをする目的の大規模買付行為
⑤大規模買付者の提案する当社株式の買付方法が、いわゆる強圧的二段階買収(最初の買付条件よりも二段階目の買付条件を不利に設定し、あるいは二段階目の買付条件を明確にしないで、公開買付等の株式の買付を行うことをいいます)等の、株主の判断の機会または自由を制約し、事実上、株主に当社の株式の売却を強要するおそれがある大規模買付行為
(2)大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合
大規模買付者が意向表明書を提出しない場合、大規模買付者が取締役会評価期間の経過前に大規模買付行為を開始する場合、大規模買付者が大規模買付ルールに従った十分な情報提供を行わない場合、またはその他大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、取締役会は、当社の企業価値・株主共同の利益を守ることを目的として、第三者委員会の勧告を十分に尊重した上で、当該大規模買付行為に対する対抗措置をとる場合があります。
4.上記2および3の取り組みが会社支配に関する基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものではないこと、会社役員の地位の維持を目的とするものでないことおよびその理由
当社株式に対する大規模買付行為がなされた場合に、当該大規模買付に応じるか否かを株主の皆様がご判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や期間を確保し、株主の皆様のために大規模買付者と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上を目的として、買収防衛策を導入するものであり、上記1に述べた会社支配に関する基本方針に沿うものです。
また、取締役会によって恣意的な判断がなされることを防止し、その判断の客観性および公正性を担保するための仕組みとして、第三者委員会を設置しています。第三者委員会は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外取締役、社外監査役および社外有識者の中から選任される委員3名以上により構成されます。
また、第三者委員会の判断の概要については、適時適切に株主および投資家の皆様に情報開示を行うこととし、当社の企業価値および株主共同の利益に適うように透明な運営が行われる仕組みが確保されています。
なお、2016年4月27日に開催の取締役会において、株式会社の支配に関する基本方針および当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)を決議し、2016年6月23日開催の第116回定時株主総会でご承認いただいております。
(4)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,531百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。