有価証券報告書-第149期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/24 15:02
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【項目】
138項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 重要な会計方針及び見積り
帝人グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これらの見積りと異なる場合があります。
帝人グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。
① 貸倒引当金の計上基準
帝人グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を繰入計上しています。将来、顧客の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
② たな卸資産の評価基準
帝人グループの販売する製品の価格は、市場相場変動の影響を強く受ける傾向にあるので、その評価基準として主に原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しています。)を採用しています。
③ 投資有価証券の減損処理
帝人グループは、金融機関や、製造・販売等に係る取引会社及び関係会社の株式を保有しています。これらの株式は、株式市場の価格変動リスクや、経営状態・財務状況の悪化による価値下落リスクを負っているため、合理的な基準に基づき、投資有価証券の減損処理を行っています。
④ 繰延税金資産の回収可能性
帝人グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するので、課税所得の見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(2) 経営成績の分析
帝人グループの平成26年度連結決算は、売上高は円安の影響もあり各事業とも増収基調で推移しましたが、一方でパラキシレンの自社生産・販売を中止した影響もあり、前期比ではほぼ横ばい(17億円増)の7,862億円となりました。営業利益は素材事業を中心に大きく改善し、前期比210億円増加し391億円(同116.2%増)となりました。高機能繊維・複合材料事業の業績回復や、電子材料・化成品事業を中心とした構造改革効果に加え、円安や原燃料価格下落の影響も収益改善に寄与しています。経常利益では為替差益等も加わり同225億円増の424億円(同113.1%増)となりました。一方で当期純利益は、構造改革等に伴う特別損失を471億円計上したことから、同164億円減少し81億円の赤字となりました。1株当たり当期純利益は△8円23銭(同16円73銭減)となりました。
(3) 財政状態の分析
① 資産、負債、純資産
総資産は8,237億円となり、前期末に比べ553億円増加しました。円安を受けて外貨建て資産の円建て評価額が増加し、科目別にみると減損処理に伴い固定資産は減少しましたが、一方で株式の取得等により投資有価証券が増加しました。
負債は前期末比518億円増加し、5,201億円となりました。この内借入金、社債等の有利子負債は、新株予約権付社債の発行等もあり同267億円増加し、3,082億円となりました。
純資産は3,036億円となり、前期末に比べ35億円増加しました。この内「株主資本」に「その他の包括利益累計額」を加えた自己資本は、2,871億円と前期末比54億円増加しました。これは当期純損失による減少があったものの、「その他有価証券評価差額金」等が増加したこと等によります。
② キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、当期純損失に対し、減価償却費や減損損失といった非資金項目が大きいことから、合計で760億円の資金収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産及び投資有価証券の取得等により496億円の資金支出となりました。
この結果、営業活動に投資活動を加えたキャッシュ・フローは264億円の資金収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、社債の発行及び償還、長短借入金の借入・返済と配当金支払い等の差し引きで104億円の資金収入となりました。
またこれらの結果、現金及び現金同等物に係る換算差額等も加え、最終的な現金及び現金同等物の増加額は376億円となりました。
また、財政状態に関する各種指標は以下のとおりです。
第145期第146期第147期第148期第149期
ROA(%)6.14.51.62.44.9
ROE(%)9.14.2△10.33.0△2.8
D/Eレシオ0.940.891.001.001.07
自己資本比率(%)37.338.335.636.734.9
時価ベースの自己資本比率(%)44.737.831.334.943.5
キャッシュ・フロー対有利子負債比率3.54.94.27.34.1
インタレスト・カバレッジ・レシオ17.210.918.410.523.8

(注)各指標はいずれも当社連結ベースの財務数値を用いて算出しています。
・ROA:営業利益/期首・期末平均総資産
・ROE:当期純利益/期首・期末平均自己資本
・D/Eレシオ:期末有利子負債/期末自己資本
・自己資本比率:(期末純資産の合計-期末新株予約権-期末少数株主持分)/期末総資産
・時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/時価ベースの総資本
*株式時価総額・・・期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)にて算出。
*時価ベースの総資本・・・期末自己資本を時価ベースに置き換えて算出。
・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
*営業キャッシュ・フロー・・・連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用。
・インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
*利払い・・・連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用。