有価証券報告書-第145期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/22 13:16
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当連結会計年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
なお、文中の将来における事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況の概要及び分析
当連結会計年度の世界経済は、米国は一部に弱さが見られるものの堅調を維持しました。欧州は緩やかな持ち直しの動きが見られましたが、国別のばらつきが大きくなっています。中国は緩やかに減速しています。国内経済については、緩やかな回復が続きました。ただし、トランプ政権による米国の政策転換や地政学リスクに対する不透明感の高まりを背景に、モノの流れの停滞や買い控えの動きも一部に見られました。
このような事業環境の中で、当社グループは「持続的かつ健全な成長」を目指し、2023年度からは「持続的な成長の実現」「価値創出力強化」「競争力強化」「『人を基本とする経営』の深化」「リスクマネジメントとグループガバナンスの強化」の5つを基本戦略とした中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”を推進しました。
以上の結果、当社グループの連結業績は、売上収益は前期比0.9%増の2兆5,851億円、事業利益は同0.6%減の1,419億円となりました。また、韓国子会社のバッテリーセパレータフィルム事業において減損損失を計上したこと等から、営業利益は同23.7%減の972億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同2.1%増の795億円となりました。
(単位:億円)
前連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
増減率(%)
売上収益25,63325,8510.9
事業利益1,4281,419△0.6
営業利益1,275972△23.7
親会社の所有者に
帰属する当期利益
7797952.1

セグメントごとの売上収益は、前期に比べ、繊維事業、炭素繊維複合材料事業、環境・エンジニアリング事業で増収となった一方、機能化成品事業、ライフサイエンス事業で減収となりました。事業利益は、繊維事業、環境・エンジニアリング事業、ライフサイエンス事業で増益となった一方、機能化成品事業、炭素繊維複合材料事業で減益となりました。
セグメントごとの売上収益及び事業利益、並びに事業利益の増減要因は、以下のとおりです。
(単位:億円)
売上収益
前連結
会計年度
当連結
会計年度
増減
繊維事業10,11110,511400
機能化成品事業9,4498,944△504
炭素繊維複合材料事業3,0003,0011
環境・エンジニアリング事業2,3652,669304
ライフサイエンス事業532524△7
その他(注)117720225
合計25,63325,851218

(単位:億円)
事業利益増減の内訳
前連結
会計年度
当連結
会計年度
増減数量差価格差費用差
ほか
海外子会社の
邦貨換算差
繊維事業6426803945△106△2
機能化成品事業600563△371367△112△5
炭素繊維複合材料事業225176△49103△66△85△1
環境・エンジニアリング事業2592882981△15△36△1
ライフサイエンス事業△8△17△82120
その他(注)12425025-△25△0
調整額(注)2△315△3123--3-
合計1,4281,419△8258△22△235△9

(注) 1.「その他」は分析・調査・研究等のサービス関連事業等です。
2.「調整額」はセグメント間取引消去及び全社費用です。
・「数量差」は、主に炭素繊維複合材料事業及び環境・エンジニアリング事業において、需要の回復・伸長を背景に販売数量が増加し、合計で258億円の増益要因となりました。
炭素繊維複合材料事業では、一般産業用途において欧米市場の需要伸び悩みを背景とした販売数量減・稼働調整の影響を受けた一方、航空宇宙用途における需要の回復が進み、販売数量が増加しました。環境・エンジニアリング事業では、中東向けの逆浸透膜を中心に堅調に事業が推移し、同様に販売数量が増加しました。
・「価格差」は、価格是正、販売構成の改善や高付加価値品への転換などの「戦略的プライシング」が順調に進捗しましたが、炭素繊維複合材料事業における価格競争激化を主因に、合計で22億円の減益となりました。
・「費用差ほか」は、稼働率向上に伴う費用の増加等により、合計で235億円の減益要因となりました。
セグメントごとの経営成績の詳細は、以下のとおりです。
(繊維事業)
衣料用途は欧州市場の低迷や海外品との競争激化の影響が継続していますが、総じて堅調に推移しました。
産業用途は自動車用途をはじめ市況に停滞感がみられる中、コスト改善に努めました。
以上の結果、繊維事業全体では、売上収益は前期比4.0%増の1兆511億円、事業利益は同6.0%増の680億円となりました。
(機能化成品事業)
樹脂・ケミカル事業は、樹脂事業が自動車用途の市況低迷の影響を受けて伸び悩み、ケミカル事業も市況悪化の影響を受けました。
フィルム事業は、電子部品関連や車載用コンデンサ用途の需要が伸長しましたが、バッテリーセパレータフィルムの販売が低迷しました。
電子情報材料事業は、パワーインダクタ向け新製品の販売が伸長しましたが、有機EL関連材料・回路材料において中国でのパネル需要低迷及び競争激化の影響を受けました。
以上の結果、機能化成品事業全体では、売上収益は前期比5.3%減の8,944億円、事業利益は同6.2%減の563億円となりました。
(炭素繊維複合材料事業)
航空宇宙用途は順調に回復していますが、一般産業用途が圧力容器用途などで調整局面となり、風力発電翼用途も回復が遅れました。
以上の結果、炭素繊維複合材料事業全体では、売上収益は前期比横ばいの3,001億円、事業利益は同21.7%減の176億円となりました。
(環境・エンジニアリング事業)
水処理事業は、中東向けの逆浸透膜や国内のプラント建設事業が堅調に推移しましたが、中国の市況低迷や競争激化の影響を受けました。
エンジニアリング事業は、エンジニアリング子会社及び建設子会社が堅調に推移しました。
以上の結果、環境・エンジニアリング事業全体では、売上収益は前期比12.8%増の2,669億円、事業利益は同11.2%増の288億円となりました。
(ライフサイエンス事業)
医薬事業は、海外は中国を中心に販売が伸長しましたが、国内は後発医薬品浸透の影響を受けました。
医療機器事業は、血液透析用ダイアライザー及びカテーテル等の販売が伸び悩みましたが、高付加価値品へのシフト及びコスト削減に努めました。
以上の結果、ライフサイエンス事業全体では、売上収益は前期比1.4%減の524億円、事業利益は同7億円増の1億円の損失となりました。
(その他)
売上収益は前期比14.0%増の202億円、事業利益は同1.1%増の25億円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、各セグメントの業績に関連付けて示しております。
(2) 財政状態の状況の概要及び分析
当連結会計年度末の財政状態は、資産・負債ともに、円安による海外子会社の円換算額増加の影響がありました。
資産は、営業債権及びその他の債権や有形固定資産、退職給付に係る資産が増加したことを主因に、前連結会計年度末に比べ1,844億円増加し3兆4,770億円となりました。
負債は、借入金が増加したことを主因に、前連結会計年度末に比べ771億円増加し1兆5,491億円となりました。
資本は、自己株式の取得により減少した一方、その他の資本の構成要素が増加したことを主因に、前連結会計年度末に比べ1,073億円増加し1兆9,278億円となり、このうち親会社の所有者に帰属する持分は1兆8,001億円となりました。当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ0.1ポイント低下し51.8%、D/Eレシオは同0.01上昇し0.50となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況の概要及び分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加が投資活動による資金の減少を1,448億円上回った一方、自己株式の取得による支出等を主因に財務活動による資金の減少が1,290億円となったこと、及び為替変動による増加が122億円となったことにより、前連結会計年度末に比べ280億円増の2,653億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業債務及びその他の債務の減少額が前期比285億円減少した一方、営業債権及びその他の債権の増加額が同668億円増加したこと等により、営業活動による資金の増加は同433億円(17.0%)減の2,118億円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産及び無形資産の取得による支出が前期比327億円減少した一方、投資の売却及び償還による収入が同334億円減少したこと等により、投資活動による資金の減少は同37億円(5.9%)増の669億円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
自己株式の取得による支出が前期比733億円増加した一方、社債の発行及び長期借入れによる収入が同841億円増加したことや、社債の償還及び長期借入金の返済が同217億円減少したこと等により、財務活動による資金の減少は同595億円(31.6%)減の1,290億円となりました。
② 資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、投融資などの長期資金需要と当社製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの運転資金需要です。このうち、設備投資の概要及び重要な設備の新設の計画については、「第3 設備の状況」に記載しております。
③ 財務政策
当社グループは、資金需要の見通しや金融市場の動向などを総合的に勘案した上で、最適なタイミング、規模、手段を判断して資金調達を実施しております。また、財務健全性を維持しつつ、事業拡大を推進することを基本方針とし、運転資金の圧縮、固定資産の稼働率向上、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ内余剰資金の有効活用等、資産効率の改善にも取り組んでおります。
2024年5月、資本効率の改善を加速するため、2024年度から2026年度までの3年間で政策保有株式を50%、約1,000億円削減し、その売却代金を全額自己株式の取得に充当する方針を公表しました。この方針に基づき、政策保有株式を前連結会計年度において1,098億円、当連結会計年度において305億円売却しました。また、2024年11月に1,000億円、2025年11月に500億円の自己株式取得枠を設定し、前連結会計年度において384億円、当連結会計年度において1,116億円の自己株式を取得しました。
財務状況は健全性を保っており、現金及び現金同等物などの流動性資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、コマーシャル・ペーパー、社債、借入金等による資金調達により、事業拡大に必要な資金を十分に賄えると考えております。また、業績やキャッシュ・フローの悪化等により緊急に資金が必要となる場合や金融市場の混乱に備え、国内外の金融機関とコミットメントライン契約、当座貸越契約等を締結し、資金流動性を確保しております。
(4) 経営上の目標の達成状況
① 財務目標
中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”の財務目標の達成状況は以下のとおりです。
2023年度実績2024年度実績2025年度実績2025年度目標
(注)
売上収益24,646億円25,633億円25,851億円28,000億円
事業利益1,026億円1,428億円1,419億円1,800億円
事業利益率4.2%5.6%5.5%6%
ROIC2.8%4.4%4.7%約5%
ROE1.3%4.5%4.5%約8%
フリー・キャッシュ・フロー647億円1,918億円1,448億円プラス
(3年間累計)
D/Eレシオ0.550.490.500.7以下
(ガイドライン)

(注) 為替レートの前提は、125円/米ドルです。
2023年度から2025年度までの3か年を対象とする中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”においては、「持続的な成長の実現」「価値創出力強化」「競争力強化」「『人を基本とする経営』の深化」「リスクマネジメントとグループガバナンスの強化」の5つを基本戦略として、成長領域として設定した、サステナビリティイノベーション(SI)事業とデジタルイノベーション(DI)事業の拡大、事業の高度化・付加価値化及び品質力・コスト競争力強化に取り組んできました。また、ROICをKPIとした資本効率の向上を目指し、成長戦略と構造改革に取り組みました。
“プロジェクト AP-G 2025”をスタートした2023年度以降、構造改革や「戦略的プライシング」の効果が発現し、2025年度の売上収益及び事業利益は、2022年度比で大幅に増加しました。一方で、“プロジェクト AP-G 2025”で掲げていた目標に対しては、中国競合の台頭による競争激化や保護主義の加速、インフレの急速な進行など、グローバルな事業環境変化の影響を受け、数量の未達を主因に、売上収益及び事業利益ともに目標未達となりました。フリー・キャッシュ・フローとD/Eレシオは、財務体質強化により目標を達成しました。
セグメントごとの事業利益は、繊維事業及び環境・エンジニアリング事業は目標を達成しました。一方で、機能化成品事業、炭素繊維複合材料事業及びライフサイエンス事業については目標未達となりました。
セグメントごとの事業利益は以下のとおりです。
(単位:億円)
事業利益
2025年度目標2025年度
実績
増減
繊維事業64068040
機能化成品事業910563△347
炭素繊維複合材料事業360176△184
環境・エンジニアリング事業27028818
ライフサイエンス事業0△1△1
その他20255
調整額△400△31288
合計1,8001,419△381

② サステナビリティ目標
中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”のサステナビリティ目標の達成状況は以下のとおりです。
2013年度実績
(基準年度)
(日本基準)
2025年度実績
(2013年度比)
(IFRS)
2025年度目標
(2013年度比)
(IFRS)
サステナビリティイノベーション事業の売上収益(注)15,624億円13,865億円
(2.5倍)
16,000億円
(2.8倍)
バリューチェーンへのCO2削減貢献量(注)20.4億トン12.2倍15.0倍
水処理貢献量(注)32,723万トン/日3.1倍2.9倍
生産活動によるGHG排出量の売上高・売上収益原単位(注)4、6、7356トン/億円45%削減40%削減
日本国内のGHG排出量(注)5、6、7245万トン31%削減20%削減
生産活動による用水使用量の売上高・売上収益原単位(注)714,693トン/億円37%削減40%削減

(注) 1.(1)気候変動対策を加速させる製品、(2)持続可能な循環型の資源利用と生産に貢献する製品、(3)安全な水・空気を届け、環境負荷低減に貢献する製品、(4)医療の充実と公衆衛生の普及促進に貢献する製品
2.製品のバリューチェーンを通じたライフサイクル全体でのCO2排出量削減効果を、日本化学工業協会、ICAA (国際化学工業協力協議会)及びWBCSD (持続可能な開発のための経済人会議)の化学セクターのガイドラインに従い、東レが独自に算出
3.水処理膜により新たに創出される年間水処理量。各種水処理膜(RO/UF/MBR)毎の1日当たりの造水可能量に売上本数を乗じて算出
4.世界各国における再生可能エネルギー等のゼロエミッション電源比率の上昇に合わせて、2030年度に同等以上のゼロエミッション電源導入を目指す
5.地球温暖化対策推進法に基づく日本政府の総合計画(2021年10月22日閣議決定)における産業部門割当(2030年度までに絶対量マイナス38%)以上の削減を目指す
6.国際的な算定ルールであるGHGプロトコルに則り、経営支配力を乗じて算出
7.基準年度である2013年度の値は、2014年度以降に東レグループに加わった会社分を含めて算出
サステナビリティの取り組みについては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた重要な会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。

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