有価証券報告書-第128期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(経営成績等の状況の概要)
(1) 財政状態及び経営成績の概要
当連結会計年度(2018年4月1日~2019年3月31日、以下、「当期」)における世界経済は、米国経済が好調だったことなどから、前半は堅調に推移しましたが、後半は米中貿易摩擦などにより中国経済の減速が顕著になり、先行き不透明感が高まりました。日本経済は、自然災害などがあったものの、底堅い成長を続けましたが、後半はこうした世界経済の動きを受け、景気減速懸念が広がりました。
このような状況の中で、当社、連結子会社及び持分法適用会社(以下、「当社グループ」)の当期における連結業績は、各事業での販売が好調に推移したことに加え、マテリアル領域においてケミカル事業の交易条件が改善したことから、売上高は2兆1,704億円となり前連結会計年度(以下、「前期」)比1,282億円の増収、営業利益は2,096億円で前期比111億円の増益、経常利益は2,200億円で前期比74億円の増益となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益の減少や前期における米国税制改正による一時的な増益要因がなくなり、1,475億円と前期比227億円の減益となりましたが、引き続き高水準を維持しました。
営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」の計数目標を上回り、売上高、営業利益及び経常利益は過去最高を更新しました。
当期の単独業績は、売上高は6,658億円、営業利益は511億円、経常利益は1,067億円、当期純利益は893億円となりました。
(セグメント別概況)
当社グループの3つの報告セグメント「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」及び「その他」に区分してご説明します。なお、2018年4月4日付で買収を完了したスウェーデンSenseair AB及びその連結子会社の業績、並びに2018年9月27日付(米国東部時間)で買収を完了したSage Automotive Interiors,Inc.の業績については「マテリアル」セグメントに含めて開示しています。また、2018年11月30日付(米国東部時間)で買収を完了したErickson Framing Operations LLC及びその連結子会社の業績については「住宅」セグメントに含めて開示しています。
「マテリアル」セグメント
売上高は1兆1,762億円で前期比885億円の増収となり、営業利益は1,296億円で前期比76億円の増益となりました。
繊維事業では、原燃料などのコストが上昇しましたが、マイクロファイバースエード「ラムース™」やキュプラ不織布「ベンリーゼ™」を中心に不織布の販売数量が増加したことや、キュプラ繊維「ベンベルグ™」の収益性が改善したこと、Sage Automotive Interiors,Inc.を連結子会社化したことなどから、前期比増収、増益となりました。
ケミカル事業の石油化学事業では、アクリロニトリルなどの交易条件が改善したことや、前期に実施したナフサクラッカーの定期修理が当期は行われなかったことなどから、前期比増収、増益となりました。高機能ポリマー事業では、エンジニアリング樹脂の交易条件が改善しましたが、合成ゴムでは前期ほど良好な交易条件とならなかったことなどから、前期比増収、営業利益は前期並みとなりました。高機能マテリアルズ事業・消費財事業では、イオン交換膜や「サランラップ™」などの販売が堅調に推移しましたが、電子材料製品の販売数量が減少したことなどから、前期比増収、減益となりました。
エレクトロニクス事業のセパレータ事業では、リチウムイオン二次電池用セパレータの販売数量が増加したものの、世界的な自動車市場の減速の影響を受け鉛蓄電池用セパレータの販売数量が減少したことなどから、前期比増収、減益となりました。電子部品事業では、スマートフォン向け電子部品などの販売が前期を下回ったことなどから、前期比減収、減益となりました。
なお、繊維事業では、2018年9月に米国自動車内装材メーカーSage Automotive Interiors,Inc.を買収しました。また、2019年3月に、タイにおけるスパンボンド不織布製造設備の増設を決定しました。
ケミカル事業では、2018年9月に宮崎県延岡市における第3石炭火力発電所について、天然ガス火力発電所への更新を決定しました。また、同年11月に宮崎県西臼杵郡に保有する五ヶ瀬川発電所(水力)の大規模改修工事を決定しました。
エレクトロニクス事業では、2019年3月に、滋賀県守山市及び米国ノースカロライナ州におけるリチウムイオン二次電池用セパレータ製造設備の増設を決定しました。
「住宅」セグメント
売上高は6,598億円で前期比188億円の増収となり、営業利益は682億円で前期比38億円の増益となりました。
住宅事業における建築請負部門では、戸建住宅の引渡棟数が減少し前期比減収となりましたが、コストダウンなどにより営業利益は前期並みとなりました。建築請負部門の受注高は、戸建住宅の受注が堅調に推移したことや、集合住宅において消費増税前の駆け込み需要が一部に見られたことなどから、前期比11.3%の増加となりました。一方、不動産部門では賃貸管理事業・分譲事業ともに順調に推移し、リフォーム部門も堅調に推移しました。この結果、住宅事業全体では、前期比増収、増益となりました。
建材事業では、各製品の販売数量が増加したことなどにより、前期比増収、増益となりました。
なお、住宅事業では、2018年11月に、米国建築部材サプライヤーErickson Framing Operations LLCを買収しました。
「ヘルスケア」セグメント
売上高は3,162億円で前期比199億円の増収となり、営業利益は418億円で前期比24億円の増益となりました。
医薬事業では、骨粗鬆症治療剤「テリボン™」や関節リウマチ治療薬「ケブザラ™」などの新薬の販売数量が増加しましたが、薬価改定や後発医薬品の影響を受けてその他の医薬品などで販売数量が減少したことから、前期比減収、減益となりました。
医療事業では、ウイルス除去フィルター「プラノバ™」の販売数量が増加したものの、透析事業における償還価格改定などから、前期比増収、減益となりました。
クリティカルケア事業では、医療機関向け除細動器の販売数量が大幅に増加したことなどから、前期比増収、増益となりました。
なお、医薬事業では、2018年10月に、骨粗鬆症治療剤「テリボン™皮下注28.2μgオートインジェクター」について、日本における製造販売承認申請を行いました。また、同年12月に、関節リウマチ治療薬「ケブザラ™皮下注オートインジェクター」を発売しました。
「その他(エンジニアリング事業、各種リサーチ・情報提供事業、人材派遣・紹介事業 等)」
売上高は183億円で前期比10億円の増収となり、営業利益は24億円で前期比5億円の増益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは2,121億円の収入(前期比378億円の収入の減少)、投資活動によるキャッシュ・フローは1,989億円の支出(前期比886億円の支出の増加)となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は131億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、174億円の収入(前期比1,518億円の収入の増加)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期に比べ319億円増加し1,805億円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため、生産の状況については、(経営成績等の状況の概要)における各セグメントの業績に関連付けて示しています。
(2) 受注状況
当社グループは注文住宅に関して受注生産を行っており、その受注状況は次のとおりです。その他の製品については主として見込生産を行っているので、特記すべき受注生産はありません。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(3) 販売実績
当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3 前期及び当期において、主要な販売先として記載すべきものはありません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月25日)現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社、以下同じ)が判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりです。
当社グループは、退職給付会計、税効果会計、貸倒引当金、たな卸資産の評価、投資その他の資産の評価、訴訟等の偶発事象などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(2) 財政状態の分析
(流動資産)
流動資産は、たな卸資産が677億円、現金及び預金が376億円増加したことなどから、前期比1,124億円増加し、1兆514億円となりました。
(固定資産)
固定資産は、無形固定資産が1,154億円増加したことなどから、前期比1,556億円増加し、1兆5,238億円となりました。
(流動負債)
流動負債は、短期借入金が204億円減少したものの、コマーシャル・ペーパーが570億円、1年内償還予定の社債が200億円増加したことなどから、前期比927億円増加し、6,819億円となりました。
(固定負債)
固定負債は、長期借入金が667億円、繰延税金負債が117億円増加したことなどから、前期比778億円増加し、4,906億円となりました。
(有利子負債)
有利子負債は、前期比1,231億円増加し、4,249億円となりました。
(純資産)
純資産は、配当の支払517億円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益を1,475億円計上したことなどから、前期比975億円増加し、1兆4,027億円となりました。
その結果、1株当たり純資産額は前期比67.40円増加し989.51円となり、自己資本比率は前期末の55.8%から53.6%となりました。D/Eレシオは、前期末から0.07ポイント悪化し、0.31となりました。
(3) 経営成績の分析
(売上高と営業利益)
当期の売上高は、2兆1,704億円で前期比1,282億円の増収となりました。海外売上高は、8,593億円で「マテリアル」セグメントを中心に前期比916億円増加し、売上高に占める海外売上高の割合は、39.6%で前期比2.0ポイント増加しました。国内売上高については、「マテリアル」セグメントや「住宅」セグメントを中心に前期比366億円増加し、1兆3,111億円となりました。
当期の営業利益は、2,096億円で前期比111億円の増益となりました。当期の売上原価率は68.3%と前期比0.1ポイントの悪化となりました。また、売上高販管費率は、販管費が283億円増加したものの、売上高が増加したことから、22.1%と前期並みとなりました。なお、売上高営業利益率は、9.7%と前期並みとなりました。
(営業外損益と経常利益)
当期の営業外損益は、104億円の利益で、前期の141億円の利益から37億円悪化しました。これは、持分法による投資損益の悪化があったことなどによるものです。この結果、経常利益は2,200億円で、前期比74億円の増益となりました。
(特別損益)
当期の特別損益は、96億円の損失で、前期の58億円の利益から154億円悪化しました。これは、投資有価証券売却益116億円などによる特別利益122億円を計上した一方で、減損損失111億円、固定資産処分損66億円、事業構造改善費用39億円などによる特別損失を218億円計上したことによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
経常利益の2,200億円に特別損益96億円を控除した結果、税金等調整前当期純利益は2,104億円となりました。ここから税金費用606億円(法人税、住民税及び事業税637億円から法人税等調整額31億円を控除した額)及び非支配株主に帰属する当期純利益23億円を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は1,475億円で、前期比227億円の減益となりました。
この結果、ROEは11.1%となり、前期比2.9ポイント悪化しました。また、1株当たり当期純利益金額は105.66円となり、前期比16.27円減少しました。
(4) キャッシュ・フローの分析
当期のフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は、税金等調整前当期純利益などを源泉とした収入が、固定資産の取得や連結範囲の変動を伴う子会社株式の取得による支出などによる支出を上回り、131億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローでは、長期借入れによる収入などにより、174億円の収入となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べて319億円増加し、1,805億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払677億円、たな卸資産の増加580億円などの支出があったものの、税金等調整前当期純利益2,104億円、減価償却費846億円などの収入があったことから、2,121億円の収入(前期比378億円の収入の減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当期の投資活動によるキャッシュ・フローは、貸付金の回収による収入188億円、投資有価証券の売却による収入170億円などがあったものの、有形固定資産の取得による支出1,147億円、Sage Automotive Interiors,Inc.買収などの連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出935億円などがあったことから、1,989億円の支出(前期比886億円の支出の増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当期の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出538億円、配当金の支払額517億円などがあったものの、長期借入れによる収入855億円、コマーシャル・ペーパーの増加570億円などがあったことから、174億円の収入(前期比1,518億円の収入の増加)となりました。
(5) 財務政策について
コスト競争力の向上、製品力の向上、事業構造改善などによる収益力強化、グループファイナンスの活用や適正在庫水準の維持等による資金効率化などにより、フリー・キャッシュ・フローの拡大を目指します。また、資金調達活動については、当社グループを取り巻く金融情勢に機動的に対応し、金融機関借入、社債、コマーシャル・ペーパーなど多様な調達手段により、より安定的で低コストの資金調達を目指します。
これらの資金を次期中期経営計画では、事業基盤の強化を継続しつつ、持続可能な社会の実現と企業価値の継続的な向上のための戦略投資資金及び株主の皆様への配当原資等に活用していきます。
これらの施策を進めることにより、当社グループの企業価値向上、株主の皆様への利益還元を図る一方、財務規律にも配慮し、健全な財務体質の維持を目指していきます。
(1) 財政状態及び経営成績の概要
当連結会計年度(2018年4月1日~2019年3月31日、以下、「当期」)における世界経済は、米国経済が好調だったことなどから、前半は堅調に推移しましたが、後半は米中貿易摩擦などにより中国経済の減速が顕著になり、先行き不透明感が高まりました。日本経済は、自然災害などがあったものの、底堅い成長を続けましたが、後半はこうした世界経済の動きを受け、景気減速懸念が広がりました。
このような状況の中で、当社、連結子会社及び持分法適用会社(以下、「当社グループ」)の当期における連結業績は、各事業での販売が好調に推移したことに加え、マテリアル領域においてケミカル事業の交易条件が改善したことから、売上高は2兆1,704億円となり前連結会計年度(以下、「前期」)比1,282億円の増収、営業利益は2,096億円で前期比111億円の増益、経常利益は2,200億円で前期比74億円の増益となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益の減少や前期における米国税制改正による一時的な増益要因がなくなり、1,475億円と前期比227億円の減益となりましたが、引き続き高水準を維持しました。
営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」の計数目標を上回り、売上高、営業利益及び経常利益は過去最高を更新しました。
当期の単独業績は、売上高は6,658億円、営業利益は511億円、経常利益は1,067億円、当期純利益は893億円となりました。
(セグメント別概況)
当社グループの3つの報告セグメント「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」及び「その他」に区分してご説明します。なお、2018年4月4日付で買収を完了したスウェーデンSenseair AB及びその連結子会社の業績、並びに2018年9月27日付(米国東部時間)で買収を完了したSage Automotive Interiors,Inc.の業績については「マテリアル」セグメントに含めて開示しています。また、2018年11月30日付(米国東部時間)で買収を完了したErickson Framing Operations LLC及びその連結子会社の業績については「住宅」セグメントに含めて開示しています。
「マテリアル」セグメント
売上高は1兆1,762億円で前期比885億円の増収となり、営業利益は1,296億円で前期比76億円の増益となりました。
繊維事業では、原燃料などのコストが上昇しましたが、マイクロファイバースエード「ラムース™」やキュプラ不織布「ベンリーゼ™」を中心に不織布の販売数量が増加したことや、キュプラ繊維「ベンベルグ™」の収益性が改善したこと、Sage Automotive Interiors,Inc.を連結子会社化したことなどから、前期比増収、増益となりました。
ケミカル事業の石油化学事業では、アクリロニトリルなどの交易条件が改善したことや、前期に実施したナフサクラッカーの定期修理が当期は行われなかったことなどから、前期比増収、増益となりました。高機能ポリマー事業では、エンジニアリング樹脂の交易条件が改善しましたが、合成ゴムでは前期ほど良好な交易条件とならなかったことなどから、前期比増収、営業利益は前期並みとなりました。高機能マテリアルズ事業・消費財事業では、イオン交換膜や「サランラップ™」などの販売が堅調に推移しましたが、電子材料製品の販売数量が減少したことなどから、前期比増収、減益となりました。
エレクトロニクス事業のセパレータ事業では、リチウムイオン二次電池用セパレータの販売数量が増加したものの、世界的な自動車市場の減速の影響を受け鉛蓄電池用セパレータの販売数量が減少したことなどから、前期比増収、減益となりました。電子部品事業では、スマートフォン向け電子部品などの販売が前期を下回ったことなどから、前期比減収、減益となりました。
なお、繊維事業では、2018年9月に米国自動車内装材メーカーSage Automotive Interiors,Inc.を買収しました。また、2019年3月に、タイにおけるスパンボンド不織布製造設備の増設を決定しました。
ケミカル事業では、2018年9月に宮崎県延岡市における第3石炭火力発電所について、天然ガス火力発電所への更新を決定しました。また、同年11月に宮崎県西臼杵郡に保有する五ヶ瀬川発電所(水力)の大規模改修工事を決定しました。
エレクトロニクス事業では、2019年3月に、滋賀県守山市及び米国ノースカロライナ州におけるリチウムイオン二次電池用セパレータ製造設備の増設を決定しました。
「住宅」セグメント
売上高は6,598億円で前期比188億円の増収となり、営業利益は682億円で前期比38億円の増益となりました。
住宅事業における建築請負部門では、戸建住宅の引渡棟数が減少し前期比減収となりましたが、コストダウンなどにより営業利益は前期並みとなりました。建築請負部門の受注高は、戸建住宅の受注が堅調に推移したことや、集合住宅において消費増税前の駆け込み需要が一部に見られたことなどから、前期比11.3%の増加となりました。一方、不動産部門では賃貸管理事業・分譲事業ともに順調に推移し、リフォーム部門も堅調に推移しました。この結果、住宅事業全体では、前期比増収、増益となりました。
建材事業では、各製品の販売数量が増加したことなどにより、前期比増収、増益となりました。
なお、住宅事業では、2018年11月に、米国建築部材サプライヤーErickson Framing Operations LLCを買収しました。
「ヘルスケア」セグメント
売上高は3,162億円で前期比199億円の増収となり、営業利益は418億円で前期比24億円の増益となりました。
医薬事業では、骨粗鬆症治療剤「テリボン™」や関節リウマチ治療薬「ケブザラ™」などの新薬の販売数量が増加しましたが、薬価改定や後発医薬品の影響を受けてその他の医薬品などで販売数量が減少したことから、前期比減収、減益となりました。
医療事業では、ウイルス除去フィルター「プラノバ™」の販売数量が増加したものの、透析事業における償還価格改定などから、前期比増収、減益となりました。
クリティカルケア事業では、医療機関向け除細動器の販売数量が大幅に増加したことなどから、前期比増収、増益となりました。
なお、医薬事業では、2018年10月に、骨粗鬆症治療剤「テリボン™皮下注28.2μgオートインジェクター」について、日本における製造販売承認申請を行いました。また、同年12月に、関節リウマチ治療薬「ケブザラ™皮下注オートインジェクター」を発売しました。
「その他(エンジニアリング事業、各種リサーチ・情報提供事業、人材派遣・紹介事業 等)」
売上高は183億円で前期比10億円の増収となり、営業利益は24億円で前期比5億円の増益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは2,121億円の収入(前期比378億円の収入の減少)、投資活動によるキャッシュ・フローは1,989億円の支出(前期比886億円の支出の増加)となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は131億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、174億円の収入(前期比1,518億円の収入の増加)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期に比べ319億円増加し1,805億円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため、生産の状況については、(経営成績等の状況の概要)における各セグメントの業績に関連付けて示しています。
(2) 受注状況
当社グループは注文住宅に関して受注生産を行っており、その受注状況は次のとおりです。その他の製品については主として見込生産を行っているので、特記すべき受注生産はありません。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
住宅 | 451,568 | 111.3 | 574,998 | 110.4 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(3) 販売実績
当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 販売実績(百万円) | 前期比(%) |
マテリアル | 1,176,217 | 108.1 |
住宅 | 659,754 | 102.9 |
ヘルスケア | 316,166 | 106.7 |
その他 | 18,265 | 105.9 |
合計 | 2,170,403 | 106.3 |
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3 前期及び当期において、主要な販売先として記載すべきものはありません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月25日)現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社、以下同じ)が判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりです。
当社グループは、退職給付会計、税効果会計、貸倒引当金、たな卸資産の評価、投資その他の資産の評価、訴訟等の偶発事象などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(2) 財政状態の分析
(流動資産)
流動資産は、たな卸資産が677億円、現金及び預金が376億円増加したことなどから、前期比1,124億円増加し、1兆514億円となりました。
(固定資産)
固定資産は、無形固定資産が1,154億円増加したことなどから、前期比1,556億円増加し、1兆5,238億円となりました。
(流動負債)
流動負債は、短期借入金が204億円減少したものの、コマーシャル・ペーパーが570億円、1年内償還予定の社債が200億円増加したことなどから、前期比927億円増加し、6,819億円となりました。
(固定負債)
固定負債は、長期借入金が667億円、繰延税金負債が117億円増加したことなどから、前期比778億円増加し、4,906億円となりました。
(有利子負債)
有利子負債は、前期比1,231億円増加し、4,249億円となりました。
(純資産)
純資産は、配当の支払517億円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益を1,475億円計上したことなどから、前期比975億円増加し、1兆4,027億円となりました。
その結果、1株当たり純資産額は前期比67.40円増加し989.51円となり、自己資本比率は前期末の55.8%から53.6%となりました。D/Eレシオは、前期末から0.07ポイント悪化し、0.31となりました。
(3) 経営成績の分析
(売上高と営業利益)
当期の売上高は、2兆1,704億円で前期比1,282億円の増収となりました。海外売上高は、8,593億円で「マテリアル」セグメントを中心に前期比916億円増加し、売上高に占める海外売上高の割合は、39.6%で前期比2.0ポイント増加しました。国内売上高については、「マテリアル」セグメントや「住宅」セグメントを中心に前期比366億円増加し、1兆3,111億円となりました。
当期の営業利益は、2,096億円で前期比111億円の増益となりました。当期の売上原価率は68.3%と前期比0.1ポイントの悪化となりました。また、売上高販管費率は、販管費が283億円増加したものの、売上高が増加したことから、22.1%と前期並みとなりました。なお、売上高営業利益率は、9.7%と前期並みとなりました。
(営業外損益と経常利益)
当期の営業外損益は、104億円の利益で、前期の141億円の利益から37億円悪化しました。これは、持分法による投資損益の悪化があったことなどによるものです。この結果、経常利益は2,200億円で、前期比74億円の増益となりました。
(特別損益)
当期の特別損益は、96億円の損失で、前期の58億円の利益から154億円悪化しました。これは、投資有価証券売却益116億円などによる特別利益122億円を計上した一方で、減損損失111億円、固定資産処分損66億円、事業構造改善費用39億円などによる特別損失を218億円計上したことによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
経常利益の2,200億円に特別損益96億円を控除した結果、税金等調整前当期純利益は2,104億円となりました。ここから税金費用606億円(法人税、住民税及び事業税637億円から法人税等調整額31億円を控除した額)及び非支配株主に帰属する当期純利益23億円を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は1,475億円で、前期比227億円の減益となりました。
この結果、ROEは11.1%となり、前期比2.9ポイント悪化しました。また、1株当たり当期純利益金額は105.66円となり、前期比16.27円減少しました。
(4) キャッシュ・フローの分析
当期のフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は、税金等調整前当期純利益などを源泉とした収入が、固定資産の取得や連結範囲の変動を伴う子会社株式の取得による支出などによる支出を上回り、131億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローでは、長期借入れによる収入などにより、174億円の収入となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べて319億円増加し、1,805億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払677億円、たな卸資産の増加580億円などの支出があったものの、税金等調整前当期純利益2,104億円、減価償却費846億円などの収入があったことから、2,121億円の収入(前期比378億円の収入の減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当期の投資活動によるキャッシュ・フローは、貸付金の回収による収入188億円、投資有価証券の売却による収入170億円などがあったものの、有形固定資産の取得による支出1,147億円、Sage Automotive Interiors,Inc.買収などの連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出935億円などがあったことから、1,989億円の支出(前期比886億円の支出の増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当期の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出538億円、配当金の支払額517億円などがあったものの、長期借入れによる収入855億円、コマーシャル・ペーパーの増加570億円などがあったことから、174億円の収入(前期比1,518億円の収入の増加)となりました。
(5) 財務政策について
コスト競争力の向上、製品力の向上、事業構造改善などによる収益力強化、グループファイナンスの活用や適正在庫水準の維持等による資金効率化などにより、フリー・キャッシュ・フローの拡大を目指します。また、資金調達活動については、当社グループを取り巻く金融情勢に機動的に対応し、金融機関借入、社債、コマーシャル・ペーパーなど多様な調達手段により、より安定的で低コストの資金調達を目指します。
これらの資金を次期中期経営計画では、事業基盤の強化を継続しつつ、持続可能な社会の実現と企業価値の継続的な向上のための戦略投資資金及び株主の皆様への配当原資等に活用していきます。
これらの施策を進めることにより、当社グループの企業価値向上、株主の皆様への利益還元を図る一方、財務規律にも配慮し、健全な財務体質の維持を目指していきます。