有価証券報告書-第17期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比較して14,396千円増加して5,316,429千円となりました。当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比較して48,102千円減少して236,461千円となりました。当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比較して62,499千円増加して5,079,968千円となりました。
b.経営成績
当事業年度のわが国経済は、中国経済の減速があったものの米国を中心とする世界経済が回復傾向にあり底堅く推移しました。景気循環の要である設備投資に過剰感はなく、内需のもう一つの柱である個人消費も、労働需要の高まりから女性や高齢者の労働参加が増え、労働供給の増加は賃金と雇用の改善に寄与することとなり購買力も高まっております。2018年夏場に相次いだ豪雨や地震などの自然災害による景気の下押し圧力も復旧が概ね順調に進んだことから影響は一時的にとどまったようで、2019年3月末においては消費増税、中国経済減速の影響が懸念材料として残っておりますが、改元に伴う祝賀ムードや東京オリンピックなど新たなステージに対する期待などから、消費者マインドは良い方向にあると思われます。
このような経済環境下、わが国の医薬品業界における今期の最大の出来事は武田薬品によるシャイアー買収でした。アメリカ市場参入強化が目的ですが、世界的なメガファーマとの生き残りをかけた闘いに挑むために敢えてグローバル市場に打って出たことは国内の製薬各社に大きなインパクトを与えたことは間違いありません。今後もこういった巨額なM&A(企業買収)による成長の取り込みが衰えることはないと思われます。一方、IT企業との協業によるAI(人工知能)を活用した短期間での新薬候補発見も現実味を帯びてきました。日本の製薬会社を取り巻く環境は高齢者人口の増加による製剤需要の増加があるものの、2020年9月までのジェネリック医薬品の数量シェア80%達成の順調な進捗、薬価引き下げ、新薬枯渇などによりますます厳しくなっております。
このような経済および医薬品業界の環境の中、当社の当事業年度の売上高は北京泰德制药股份有限公司(以下、北京泰徳製薬と称します)との包括的支援契約に基づく報酬等により27,339千円(前期比27.8%減)となり
ました。販売費及び一般管理費の研究開発費は、LT-4002の第Ⅱ相臨床試験等により457,256千円(前期比9.1%増)となったものの、販売費及び一般管理費のその他は支払報酬の減少等により144,205千円(前期比43.7%減)となったため、営業損失は574,121千円(前期比10.1%損失減)となりました。また、北京泰徳製薬の受取配当金が956,822千円であったことから、経常利益394,507千円(前期比73.6%減)、当期純利益327,130千円(前期比70.9%減)といずれも減益ながら利益を計上するに至りました。
創薬事業における現在開発中のパイプラインの状況は次のとおりであります。

当事業年度において、「PC-SOD(LT-1001)」は、ライセンス先の北京泰徳製薬による心筋梗塞を対象とする開発で第Ⅱ相臨床試験のプロトコールを確定し、臨床試験の準備をほぼ完了しました。当社においては、別の疾患を対象とする臨床試験に向けて準備を進めております。その一つに腎障害を対象とする非臨床試験を進め、その有効性を確認しました。今後これらの適応症の中から最適なものを選択し臨床試験を開始する予定です。
「ドライアイ治療薬(LT-4002)」は、医療貢献度、事業性、排他性等の検討を行い、後期第Ⅱ相臨床試験の実施を決定しその準備を進めました。具体的には、知的財産の確保、治験薬製造、PMDA相談等を行いました。その結果、近く臨床試験を開始出来る見通しとなりました。
新たな自社ラボとして「湘南研究所」を新設しました。同施設は武田薬品工業株式会社を母体とする湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)にあります。湘南アイパークは、ヘルスケアにおけるオープンイノベーション(企業間協力研究開発)を推進する目的で、2018年4月に神奈川県藤沢市の湘南地区に開設した研究施設です。武田薬品が有する実験機器をはじめとした種々の設備を開放することで、湘南アイパークに集う産官学が協力し創薬活動を実施することを目的に創設されました。これまで主に日本大学で実施していたDDS研究が湘南アイパークでも実施可能となります。
以上、主要なパイプラインの研究開発状況につきましては「第2事業の状況 5研究開発活動」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ779,790千円減少し、2,737,267千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前事業年度と比較して273,093千円減少し、284,197千円となりました。これは、主に税引前当期純利益392,293千円、たな卸資産の減少98,797千円等による収入と、法人税額の支払額262,379千円等の支出によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、前事業年度と比較して506,250千円増加し、807,398千円となりました。この主な理由は、投資有価証券の取得による支出800,000千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、前事業年度と比較して74千円増加し、256,589千円となりました。これは、配当金の支払によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の業務は、業務の性格上、生産実績として把握することが困難であるため、その実績は記載しておりません。
b.受注実績
当社の売上高(事業収益)は、北京泰德制药股份有限公司の包括的支援契約に基づく報酬等であり、受注生産は行っておりませんのでその実績は記載しておりません。
c.販売実績
当社は単一セグメントであり、その実績は以下のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前期比(%) |
| 創薬事業(千円) | 27,339 | 72.1 |
| 合計(千円) | 27,339 | 72.1 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 (自2017年4月1日 至2018年3月31日) | 当事業年度 (自2018年4月1日 至2019年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 北京泰德制药股份有限公司 | 37,300 | 98.4 | 24,812 | 90.7 |
2.本表の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。また、重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載のとおりであります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(資産の部)
当事業年度末における資産合計の残高は、前事業年度末と比較して14,396千円増加して5,316,429千円となりました。
(負債の部)
当事業年度末における負債合計の残高は、前事業年度末と比較して48,102千円減少して236,461千円となりました。この主な要因は、未払法人税等が77,468千円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末と比較して62,499千円増加して5,079,968千円となりました。この主な要因は、繰越利益剰余金が63,394千円増加したことによるものであります。
③当事業年度の経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は、27,339千円(前期比27.8%減)となりました。内容は北京泰徳製薬に対する包括的支援契約による報酬が主なものとなっております。
(営業損失)
当事業年度の営業損失は、574,121千円(前期比10.1%損失減)となりました。この主な要因は、支払報酬の減少によるものであります。
(経常利益)
当事業年度の経常利益は、394,507千円(前期比73.6%減)となりました。この主な要因は、受取配当金の減少によるものであります。
(当期純利益)
当事業年度の当期純利益は、327,130千円(前期比70.9%減)となりました。この主な要因は、経常利益が減少したことによるものであります。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の事業資金は北京泰德制药股份有限公司の配当金によりそのほとんどが賄われており、キャッシュ・フローの状況につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
⑤重要事象等について
当社は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、継続的な営業損失を計上しております。これにより、継続企業の前提に関する重要事象等が存在しております。しかし、次期の事業活動を遂行するにあたり、創薬事業での収入や北京泰德制药股份有限公司からの受取配当金等を見込んでおり、これらに加え充分な手元資金が確保されております。従いまして、次期の事業継続にあたり重要な不確実性は存在していないことから、本報告書において継続企業の前提に関する注記は、前事業年度に引き続き記載しておりません。