有価証券報告書-第21期(2022/04/01-2023/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比較して179,669千円増加して4,214,922千円となりました。当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比較して109,160千円増加して212,442千円となりました。当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比較して70,508千円増加して4,002,480千円となりました。
b.経営成績
当事業年度のわが国経済は、新型コロナウイルス蔓延によるダメージからの回復が本格化しましたが、ウクライナ情勢とそれに連動した円安・物価高・物不足の影響により、厳しい状況が続いております。
医薬品業界では、薬剤費の抑制、新薬開発コストの増大などの問題は厳しさを増していますが、創薬におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)も進み、期待が高まっております。当社も「DR(ドラッグ・リポジショニング)のパイオニア企業」という自負を持ち、AI(人工知能)などを積極的に取り入れ、次世代のDRを確立したいと考えております。
このような環境の中、当社の当事業年度の売上高は、中国生物製薬(シノバイオ)との事業提携契約、及び北京泰徳製薬との包括的支援契約に基づく報酬や製薬企業からのDRコンサルの受注等により15,271千円(前期比198.4%増)となりました。販売費及び一般管理費の研究開発費は、CIPN(化学療法誘発性末梢神経障害)を対象とする臨床試験費用等により637,413千円(前期比46.5%増)、販売費及び一般管理費のその他は役員退職慰労引当金繰入額の増加等により242,527千円(前期比28.6%増)となったため、営業損失は864,730千円(前期は営業損失618,643千円)となりました。営業外収益として、北京泰徳製薬の2021年12月期に属する配当金929,433千円を計上しました。また、2023年1月に開催された同社の株主総会において、2022年12月期に属する受取配当金1,099,468千円が支払われる事が決定しており、翌事業年度におきましては、当事業年度を上回る受取配当金を見込んでおります。以上より、経常利益は81,000千円(前期は経常損失221,583千円)、当期純利益は70,254千円(前期は当期純損失263,499千円)となりました。
創薬事業における現在開発中のパイプラインの状況は下記のとおりであります。

「PC-SOD(LT-1001)」は、ライセンス先の北京泰徳製薬による心筋梗塞を対象とする開発に関して、当事業年度において全ての被験者への治験薬投与が完了しました。当社においては、CIPN(化学療法誘発性末梢神経障害)を対象とする臨床試験を前事業年度に開始し、当事業年度において当初の予想をはるかに上回るペースで登録が進み、2022年11月に目標症例数に達し被験者登録を終了しました。これは、抗がん剤治療において障害となるCIPNを予防する薬は世界的に見ても開発されておらず、本臨床試験に対する臨床医の関心が大変高いためです。また被験者登録が進まないことに危機感を感じ、治験実施医療施設を当社役員が訪問したり、関係する医師やスタッフが参加する勉強会を開催したりしたことも、迅速な被験者登録に貢献したと考えております。既にご報告しておりますように本剤に興味を持った国内製薬企業と共同研究契約を締結しており、今回の臨床試験も本契約に則って実施しております。そこで今回の臨床試験で有効性と安全性が確認できましたら、上市への道筋が見えてまいります。
ノーベルファーマ株式会社との共同開発では、同社が既に発売している既承認薬(LT-5001)を別の疾患に適応拡大(DR)することを目指し、臨床試験を共同で実施しました。その結果、統計的有意差を持って有効性を確認することができました。PMDAとの対面助言を実施するなど第Ⅲ相臨床試験の実施に向け準備を進め、当事業年度において第Ⅲ相臨床試験を開始し、2022年9月に最初の治験者に治験薬が投与されました。このままのペースで治験が進みますと、翌事業年度中には結果が判明しますので、2024年度中の医薬品上市も可能となります。当社が第Ⅲ相臨床試験を実施するのは、2006年以来であり、その成功(医薬品の上市)に向けて今後も鋭意努力してまいります。
「新型コロナウイルス感染症治療薬(LT-4012)」は、筑波大学医学部のスクリーニング系と当社の既承認薬ライブラリとDR技術を用いて発見し、特許を共同で出願したパイプラインです。LT-4012は、試験管内ではウイルスの増殖をほぼ完全に抑え、動物実験では、新型コロナウイルス依存の個体死を抑制しました。当事業年度においてウイルスの増殖を抑えるメカニズムを解析したところ、これまでに報告されている薬とは違うメカニズムで作用していることが示唆されました。現在、投与法や投与タイミングを変えて実験を行い、最適な投与プロトコールを検討しております。
以上、主要なパイプラインの研究開発状況につきましては「6研究開発活動」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ339,039千円減少し、2,374,175千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得た資金は、64,229千円(前事業年度は235,991千円の支出)となりました。この主な要因は、利息及び配当金の受取額が523,893千円増加したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、403,034千円(前事業年度は295,750千円の収入)なりました。この主な理由は、投資有価証券の取得による支出703,131千円があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、前事業年度と比較して861千円減少し235千円となりました。これは、配当金の支払額が減少したことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の業務は、業務の性格上、生産実績として把握することが困難であるため、その実績は記載しておりません。
b.受注実績
当社の売上高(事業収益)は、北京泰徳製薬の包括的支援契約に基づく報酬等であり、受注生産は行っておりませんのでその実績は記載しておりません。
c.販売実績
当社は単一セグメントであり、その実績は以下のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 前期比(%) |
| 創薬事業(千円) | 15,271 | 298.4 |
| 合計(千円) | 15,271 | 298.4 |
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 (自2021年4月1日 至2022年3月31日) | 当事業年度 (自2022年4月1日 至2023年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 中国生物製薬有限公司 | - | - | 12,000 | 78.5 |
| あすか製薬株式会社 | 3,000 | 58.6 | 400 | 2.6 |
| 北京泰德製薬股份有限公司 | 2,000 | 39.0 | 2,071 | 13.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(資産の部)
当事業年度末における資産合計の残高は、前事業年度末と比較して179,669千円増加して4,214,922千円となりました。この主な要因は、投資有価証券の増加と繰延税金資産の計上によるものであります。
(負債の部)
当事業年度末における負債合計の残高は、前事業年度末と比較して109,160千円増加して212,442千円となりました。この主な要因は、役員退職慰労引当金が80,792千円増加したこと等によるものであります。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末と比較して70,508千円増加して4,002,480千円となりました。この主な要因は、繰越利益剰余金が70,254千円増加したことによるものであります。
(売上高)
当事業年度の売上高は、15,271千円(前期比198.4%増)となりました。内容は北京泰德製薬股份有限公司に対する包括的支援契約による報酬や中国生物製薬(シノバイオ)との事業提携契約による報酬、製薬企業からのDRコンサルティングの受注等が主なものとなっております。
(営業損失)
当事業年度の営業損失は、864,730千円(前事業年度は営業損失618,643千円)となりました。この主な要因は、役員退職慰労引当金繰入額の増加や研究開発費の増加等によるものであります。
(経常利益)
当事業年度の経常利益は、81,000千円(前事業年度は経常損失221,583千円)となりました。この主な要因は、受取配当金の増加等によるものであります。
(当期純利益)
当事業年度の当期純利益は、70,254千円(前事業年度は当期純損失263,499千円)となりました。この主な要因は、経常利益を計上したことによるものであります。
②資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の事業資金は北京泰徳製薬の配当金によりそのほとんどが賄われており、キャッシュ・フローの状況につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。