有価証券報告書-第122期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」と
いう。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易摩擦長期化の影響や消費税増税はあったものの、雇用や所得環境の改善が続くなど緩やかな回復基調を維持してきました。しかしながら、第4四半期以降の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、期末にかけて景気は急激に悪化しました。
このような状況のもと、当企業グループの連結売上高は429億2千6百万円と前期(456億8千2百万円)に比べ6.0%の減少となりました。
売上高を用途別にみますと、車両用につきましては、主として中国向け売上の不振により360億8千2百万円と前期(382億4千2百万円)に比べ5.6%の減少となり、住宅・住設用につきましては、主として壁装事業撤退の影響により31億2千9百万円と前期(36億2千1百万円)に比べ13.6%の減少となり、ファッション・生活資材用につきましては、37億1千4百万円と前期(38億1千8百万円)に比べ2.7%の減少となりました。
利益面につきましては、連結経常利益は21億9千9百万円と前期(20億4千3百万円)に比べ7.7%の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は12億7千7百万円と前期(14億9千8百万円)に比べ14.8%の減少となりました。
なお、当企業グループは各種合成表皮材の単一セグメントで事業活動を展開しております。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1.5%減少し、499億3千1百万円となりました。
資産の部では、流動資産は前連結会計年度末に比べ5.8%増加し、286億1千1百万円となりました。これは主として現金及び預金が増加したことによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ9.9%減少し、213億2千万円となりました。これは主として投資有価証券が減少したことによります。
負債の部では、流動負債は前連結会計年度末に比べ8.3%減少し、147億5千万円となりました。これは主として支払手形及び買掛金が減少したことによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ24.7%増加し、27億3千3百万円となりました。これは主としてIFRS第16号「リース」の会計基準を当連結会計年度の期首から適用したことにより、その他に区分されているリース債務が増加したことによります。
純資産の部は、前連結会計年度末に比べ0.0%増加し、324億4千8百万円となりました。これは主として利益剰余金が増加したことによります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ21億1千7百万円増加し、104億5千5百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、前連結会計年度に比べ2億5千6百万円増加し、42億9千6百万円となりました。これは主に、資金の支出を伴わない減損損失4億6千5百万円の計上などがありましたが、事業収入が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ15億1千9百万円減少し、12億3千万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が6億4千6百万円、投資有価証券の取得による支出が3億2千万円、それぞれ減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ2億2千5百万円増加し、9億4千4百万円となりました。これは主に、短期借入金の純増減額が2億8千8百万円減少したことなどによるものです。
④生産、受注及び販売の実績
当企業グループは各種合成表皮材の単一セグメントで事業活動を展開しております。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を用途別に示すと、次のとおりであります。
用途別 | 当連結会計年度 | |
生産高(百万円) | 前年同期比(%) | |
車両用 | 36,208 | △9.9 |
住宅・住設用 | 3,076 | △17.6 |
ファッション・生活資材用 | 3,734 | △10.2 |
計 | 43,019 | △10.5 |
(注)1 金額は販売価格によります。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注高および受注残高を用途別に示すと、次のとおりであります。
用途別 | 当連結会計年度 | |||
受注高 | 受注残高 | |||
金額(百万円) | 前年同期比(%) | 金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
車両用 | 34,478 | △9.4 | 1,351 | △54.3 |
住宅・住設用 | 3,106 | △3.5 | 262 | △7.9 |
ファッション・生活資材用 | 3,291 | △22.1 | 425 | △49.9 |
計 | 40,876 | △10.2 | 2,038 | △50.1 |
(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を用途別に示すと、次のとおりであります。
用途別 | 当連結会計年度 | |
販売高(百万円) | 前年同期比(%) | |
車両用 | 36,082 | △5.6 |
住宅・住設用 | 3,129 | △13.6 |
ファッション・生活資材用 | 3,714 | △2.7 |
計 | 42,926 | △6.0 |
(注)1 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
林テレンプ㈱ | 12,847 | 28.1 | 13,657 | 31.8 |
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当企業グループの当連結会計年度における経営成績等は、連結売上高は429億2千6百万円と前期(456億8千2百万円)に比べ6.0%の減少となりました。連結営業利益は、20億5千2百万円と前期(19億4千9百万円)に比べ、5.3%の増加となり、連結経常利益は21億9千9百万円と前期(20億4千3百万円)に比べ7.7%の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は12億7千7百万円と前期(14億9千8百万円)に比べ14.8%の減少となりました。
a.連結売上高
連結売上高は、主として車両用製品の中国向け売上の不振や壁装事業撤退の影響等により、429億2千6百万円と前期(456億8千2百万円)に比べ6.0%の減少となりました。
b.連結営業利益
連結営業利益は、売上高の減少はありましたが、前年の連結子会社共和興塑膠(廊坊)有限公司での環境対応後の生産が正常化したことやグループを挙げて取り組んだ原価改善活動の効果などにより、20億5千2百万円と前期(19億4千9百万円)に比べ5.3%の増加となりました。
c.連結営業外損益
連結営業外収益は、持分法による投資利益の増加などにより、4億1千6百万円と前期(2億9千8百万円)に比べ、39.3%の増加となりました。
連結営業外費用は、為替差損の増加などにより、2億6千8百万円と前期(2億4百万円)に比べ、31.3%の増加となりました。
以上の結果、連結経常利益は21億9千9百万円と前期(20億4千3百万円)に比べ7.7%の増加となりました。
d.親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、当社が保有する一部工場の固定資産につき特別損失(減損損失)465百万円を計上したことなどにより、12億7千7百万円と前期(14億9千8百万円)に比べ14.8%の減少となり、1株当たり当期純利益は52円13銭となりました。
当企業グループの当連結会計年度における財政状態は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりです。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フロー
当企業グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.資金需要
資金需要の主なものは、設備投資等の長期資金需要と製品の製造のための原材料等購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要であります。
c.資本の財源及び資金の流動性
経営環境の急速な悪化などの不測の事態や大規模投資に対応できる強固な財務体質を維持しつつ、成長投資と株主還元充実に努めております。通常の運転資金に加え設備投資等の長期資金需要に対しては主に内部留保により対応しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要といたします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたり特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。なお、新型コロナウィルス感染対策に伴う経済活動への深刻な影響等、会計上の見積りが困難となるなか、当社が現時点で把握できる最善の方法により連結財務諸表の作成を行っております。
(繰延税金資産)
当企業グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当企業グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。