有価証券報告書-第121期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/16 13:06
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、期を通じて新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響を色濃く受け、個人消費及び企業の生産活動並びに設備投資のいずれもが低水準で推移したものの、後半には製造業の一部に持ち直しの動きが見られました。また、海外経済は、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないことや、米国と中国との通商問題が悪化することなど先行きに向けての懸念材料が多く存在する状況となりましたが、後半には一部の国で雇用情勢や企業の生産活動が回復に向かいました。
このような事業環境下当社グループは、新型コロナウイルス感染症による企業活動への影響を最小限に抑え、回復を速やかなものにする施策を実施するとともに、当期から開始した3か年中期経営計画“New Frontier 2022”(NF2022)に沿って将来におけるさらなる拡大に向けた戦略を推進しました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の連結経営成績につきましては、売上高が447億1千7百万円(前年同期比7.2%減)、営業利益が34億7千5百万円(同17.5%減)、経常利益が36億7千3百万円(同13.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が30億9千万円(同5.9%増)となりました。
なお、親会社株主に帰属する当期純利益には、特別利益に計上した投資有価証券売却益9億1千6百万円が含まれております。
当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症による業績への影響は、主に以下のとおりでありますが、これらは主に第2四半期連結累計期間の決算までに反映され、第3四半期連結会計期間の決算以後における影響は薄まっております。なお、受注状況も回復を続けており、第3四半期及び第4四半期連結会計期間(各3か月)における受注高はそれぞれ前年同四半期を、両四半期末時点の受注残高も各前年同四半期末を上回っております。
・個人消費の悪化やインフラ投資規模の縮小による機器市場向け販売の減少(主に自動車・産業機械関連)
・設備投資意欲の減退を反映した先端産業市場・プラント市場向け一部案件の先送りによる販売の減少
・各国内・各国間の移動制限等からの労働力不足を反映したプラント市場の縮小による販売の減少(特に海外)
・需要減少と現地政府の休業指示等による海外販売・生産拠点の稼働低下による販売の減少と収益性の悪化
セグメント別の業績は次のとおりであります。
当連結会計年度より、セグメント内における個別事業の占める比率を勘案し、従来の「その他事業」から「シリコンウエハーリサイクル事業他」に名称を変更しております。なお、過年度業績も含めセグメント情報に与える影響はありません。
(シール製品事業)
シール製品事業は、機器市場や海外のプラント市場向けの販売が減少し、売上高は313億4千9百万円(前年同期比2.3%減)にとどまったものの、先端産業市場向けの販売が堅調に推移し、セグメント利益は41億6千万円(同23.8%増)となりました。
(機能樹脂製品事業)
機能樹脂製品事業は、主要市場からの需要が減少したことに加え、一部顧客への製品の納入時期が延期されたことや大型案件の見直し等により、売上高は107億4千2百万円(前年同期比17.9%減)、セグメント損失は5億8千8百万円(前年同期はセグメント利益5億5千4百万円)となりました。
(シリコンウエハーリサイクル事業他)
シリコンウエハーリサイクル事業他は、主力事業の受託量が減少したこと等により、売上高は26億2千5百万円(前年同期比14.0%減)、セグメント損失は9千6百万円(前年同期はセグメント利益2億9千9百万円)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の資産につきましては、総資産が前連結会計年度末に比べ45億6千3百万円増加し、526億9千1百万円となりました。流動資産は296億9千8百万円となり、28億8千7百万円増加しました。この主な要因は、現金及び預金の増加14億5千5百万円、受取手形及び売掛金の増加7億2千8百万円、電子記録債権の増加3億8千7百万円、商品及び製品の増加3億8千4百万円等によるものであります。
有形固定資産は164億9千4百万円となり、6億2千8百万円増加しました。この主な要因は、機械装置及び運搬具の増加5億4千万円等によるものであります。無形固定資産は14億2千5百万円となり、5億1千9百万円増加しました。この主な要因は、ソフトウエアの増加5億4千7百万円等によるものであります。投資その他の資産は50億7千2百万円となり、5億2千7百万円増加しました。この主な要因は、退職給付に係る資産の増加4億2千7百万円等によるものであります。それらの結果、固定資産は229億9千3百万円となり、16億7千5百万円増加しました。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ22億1千9百万円増加し、154億1千7百万円となりました。流動負債は107億6千4百万円となり、2億4千6百万円増加しました。この主な要因は、未払法人税等の増加2億9千7百万円、支払手形及び買掛金の増加2億3千3百万円、短期借入金の減少2億4千4百万円等によるものであります。
固定負債は46億5千3百万円となり、19億7千2百万円増加しました。この主な要因は、長期借入金の増加13億4千7百万円、繰延税金負債の増加4億7千7百万円、リース債務の増加2億円等によるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ23億4千3百万円増加し、372億7千4百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金の増加14億9百万円、その他有価証券評価差額金の増加5億2千8百万円、退職給付に係る調整累計額の増加4億8千1百万円等によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ14億5千4百万円増加し、当連結会計年度末には80億2千6百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、45億8千6百万円(前年同期比10.5%減)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益45億6百万円、減価償却費24億6千6百万円、法人税等の支払額10億3千7百万円、売上債権の増加9億4千2百万円、たな卸資産の増加3億6千万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、23億2千3百万円(前年同期比17.0%減)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得・売却による純支出29億3千万円、無形固定資産の取得による支出7億3千9百万円、投資有価証券の売却による収入14億5千7百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、8億3百万円(前年同期比71.0%減)となりました。
これは主に、配当金の支払額16億6千9百万円、リース債務の返済による支出2億2千3百万円、短期借入金の純支出2億1千9百万円、長期借入金の純収入13億3千5百万円等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度より、セグメント内における個別事業の占める比率を勘案し、従来の「その他事業」から「シリコンウエハーリサイクル事業他」に名称を変更しております。
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
シール製品事業(百万円)11,67498.4
機能樹脂製品事業(百万円)6,35789.6
シリコンウエハーリサイクル事業他(百万円)2,44889.6
合計(百万円)20,48094.4

(注)1 上記の金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
シール製品事業(百万円)10,13491.8
機能樹脂製品事業(百万円)4,654102.2
シリコンウエハーリサイクル事業他(百万円)16673.7
合計(百万円)14,95594.5

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
シール製品事業31,451100.13,684102.8
機能樹脂製品事業11,30288.83,797117.3
シリコンウエハーリサイクル事業他2,58386.318381.5
合 計45,33796.27,665108.8

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
d. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
シール製品事業(百万円)31,34997.7
機能樹脂製品事業(百万円)10,74282.1
シリコンウエハーリサイクル事業他(百万円)2,62586.0
合計(百万円)44,71792.8

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、期首から新型コロナウイルス感染症が経済にマイナスの影響を与え、当社グループにおいても幅広い産業からの需要が減少し、業績は第3四半期連結累計期間まで前年同期を大きく割り込む水準で推移しました。第4四半期連結会計期間には収益が大幅に回復致しましたが、連結会計年度では前期比減収、営業利益では減益という実績にとどまりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度を上回る結果となりましたが、それは政策保有株式の売却益を反映しており、実力値というものではありません。
当社グループの経営成績に重要な影響を与えた要因としては、主要製品の多くが苦戦を強いられるなか、先端産業市場向け高機能シール製品の顧客からの採用が進み、販売も高水準を維持したことを反映し、売上総利益率が上昇しました。戦略製品として位置付けているこの製品の競争力が増していることは、中長期的な価値創造の観点からも大きかったと考えております。一方、費用については、戦略製品の強化と全社的な効率性の向上を目的とする投資の実行を反映し、増加していることを確認しております。
グループの資本の財源及び資金の流動性については、ROE等の資本効率改善に対する市場からの要求も認識しております。今後も健全性と資本効率の双方を意識した財務運営を図り、生み出されたキャッシュにつきましては、事業領域の拡張、生産効率と品質の向上、さらには事業体制の強化などに活用してまいります。
当社グループの経営上の目標の達成状況につきましては、「総資産当期純利益率(ROA)」及び「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における「総資産当期純利益率(ROA)」は6.1%(前年同期比0.1ポイント改善)、「自己資本利益率(ROE)」は9.0%(前年同期比0.2ポイント改善)となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
(シール製品事業)
主力のシール製品事業では、先端産業市場において半導体製造装置メーカー向け・デバイスメーカー向けとも販売が伸長しました。一方、機器市場とプラント市場向けは、新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい事業環境にさらされ、特に上期は販売が低調に推移しました。両市場においては、下期に回復を見せたものの、上期の減速分を取り戻すには至らず、これらの結果、シール製品事業の売上高は、前期比2.3%減となりました。
セグメント資産につきましては、308億7千5百万円(前年同期比9.5%増)となりました。
(機能樹脂製品事業)
機能樹脂製品事業では、上期は、世界的な設備投資の減少による影響を色濃く受け、販売が大きく減少しました。第3四半期連結会計期間には、国内の半導体製造装置メーカーや海外の半導体デバイスメーカー、化学品メーカーからの受注が回復し、さらに第4四半期連結会計期間に業績が回復しましたが、連結会計年度業績は非常に低い水準にとなりました。当セグメントは、2億円のセグメント利益を計上する計画でしたが、それに対して大幅な未達となりました。顧客側の検収の遅れ等を反映した面もありましたが、厳しい環境下における抵抗力とそこからの回復力がいずれも欠けていたと認めざるを得ません。ただし、既に構造改革には着手しており、2022年3月期には豊富な受注案件の業績への反映に加え、構造改革を一段と進行させることにより、大幅な業績回復の実現を図ります。
セグメント資産につきましては、96億2千6百万円(前年同期比3.3%増)となりました。
(シリコンウエハーリサイクル事業他)
主力のシリコンウエハーリサイクル事業は、その事業環境は決して悪いものではありませんでしたが、顧客の調達方針変更による影響を受けて業績が悪化しました。また、新たな顧客価値の創造を目的としたH&S事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響により案件の新規採用が中断し、販売が減少しました。これらの結果、売上高は前期比14.0%減となり、セグメント利益は赤字を計上することとなりました。
セグメント資産につきましては、28億1千1百万円(前年同期比19.8%増)となりました。
経営者の問題認識と今後の方針について
次期に向けて当社グループ周辺においては、企業の生産活動及び設備投資の回復が期待されますが、新型コロナウイルス感染症を巡る状況、米中関係の動向及び世界各地における地政学的リスク等が、世界全体の経済回復に向けた動きに影響を与え得る不透明要素として存在しております。
このような事業環境下において当社グループは、2年目を迎える中期経営計画 “NF2022”で掲げた大方針
《創業100周年を超えて次の時代にさらなる健全で持続的な成長を実現するために
「THE VALQUA WAY」のもとグループ一丸となり大胆でダイナミックな事業基盤を再構築しよう》
と以下の5つの基本方針のもと、回復をより確かなものにする施策を着実に実行するとともに、将来のさらなる拡大に向けた戦略を迅速かつ大胆に推進します。
1.選択と集中による既存事業領域の収益拡大と新規事業領域の獲得
2.オープンイノベーションの強力な実行 (提携・M&A等の加速)
3.大胆な投資(研究開発と人材育成)の加速
4.ITの徹底活用による全部門の効率化と顧客サービスの追求
5.グローバル人材の活性につながるダイナミックな施策の実行
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度はエラストマー製品等のシール製品事業、ふっ素樹脂製品等の機能樹脂製品事業、シリコンウエハーリサイクル等のシリコンウエハーリサイクル事業他にて設備投資を実施するなどの既存事業の成長に向けた投資を着実に推進しました。
このように、当社グループにおける主な資金需要は、健全で持続的な成長を実現するための成長投資と考えており、これらの投資資金は、内部留保金の配分とともに、金融機関からの借入金等により充当しております。なお、借入金のうち、短期借入金は、主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入金は、主に設備投資に係る資金調達であります。
手許の運転資金につきましては、グループファイナンスを通じて、国内連結子会社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
また、現預金残高と有利子負債残高を一定範囲にコントロールし、経営環境の変化に対応するための資金の流動性を確保しながら資金管理を行っております。
当社グループにおける当連結会計年度における流動比率は275.9%(前連結会計年度254.9%)となっており、キャッシュ・フロー対有利子負債比率は0.9倍となりました。直近5ヵ年における以下の数表の通りであります。
第117期
2017年3月期
第118期
2018年3月期
第119期
2019年3月期
第120期
2020年3月期
第121期
2021年3月期
流動比率(%)215.1235.1212.4254.9275.9
自己資本比率(%)62.765.366.269.367.7
時価ベースの自己資本比率(%)69.3102.878.564.071.4
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(倍)1.41.10.70.60.9
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)42.564.7100.871.666.3

当社グループでは、引き続き新型コロナウイルス感染症拡大による業績の大幅な悪化による手許資金減少、或いは生産会社の稼働停止や主要顧客の稼働停止等不測の事態に備え、主要取引銀行との間で30億円のコミットメントラインの締結を行っております。このように、リスクに対応するとともに、今後の事業展開においても、感染症をめぐる市場の変化や、回復後に訪れるであろう変化の芽を的確に捉え、スピーディーに対応してまいりたいと考えております。2022年3月期の新規の設備投資は、事業基盤の再構築を目指し、キャッシュ・フローを重視しながら、次なる飛躍に繋げてまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び予測を行わなければなりません。したがって、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。
当社は、特に以下の会計上の見積りが当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。
a. 固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
b. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を慎重に計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積に依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

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