四半期報告書-第100期第3四半期(平成30年7月1日-平成30年9月30日)

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2018/11/14 9:27
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28項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
なお、平成29年9月1日に行われたPPG Industries, Inc.の米国ガラス繊維事業取得にかかる企業結合について前第3四半期連結会計期間に暫定的な会計処理を行っていましたが、前連結会計年度末に確定したため、前第3四半期連結累計期間との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いています。
(1) 経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間(平成30年1月1日~平成30年9月30日)においては、世界経済は、米国では堅調な
雇用情勢や個人消費を背景に景気回復が続く一方、欧州では輸出に一服感が見られるなど回復が鈍化し、中国でも
成長が減速してきました。国内経済は、雇用情勢や個人消費の改善等により緩やかな回復が続きました。
このような中、当第3四半期連結累計期間における業績は、売上高が前第3四半期連結累計期間(平成29年1月
1日~平成29年9月30日)を上回った一方、利益は前第3四半期連結累計期間を下回る結果となりました。
「電子・情報」の分野においては、液晶ディスプレイ(LCD)用基板ガラスは、緩やかな価格下落があったも
のの出荷は堅調に推移しました。モバイル端末用カバーガラス(化学強化専用ガラス)は、採用拡大を背景に好調
を維持しました。電子デバイス用ガラスは、生活家電等の市場動向に沿って緩やかに回復したものの、光関連ガラ
スは、当第3四半期連結会計期間(平成30年7月1日~平成30年9月30日)に入り一部の製品需要の減速により出
荷が減少に転じました。太陽電池用基板ガラスの出荷は低調でした。
「機能材料・その他」の分野においては、高機能樹脂用途のガラスファイバは、当第3四半期連結会計期間に入
り主に欧州得意先の季節的な稼働調整により出荷が弱含んだものの、平成29年9月に買収した米国ガラス繊維事業
子会社(Electric Glass Fiber America, LLC:EGFA)が売上増に貢献しました。耐熱ガラスは、一部で得意
先による在庫調整の影響を受けましたが、全体としては持ち直してきました。医薬用管ガラスは、中国市場への出
荷が伸長しました。建築用ガラスは底堅く推移しました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は2,276億52百万円(前第3四半期連結累計期間比11.2%
増)となりました。
損益面においては、第1四半期連結会計期間(平成30年1月1日~平成30年3月31日)から第2四半期連結会計
期間(平成30年4月1日~平成30年6月30日)にかけて、EGFAの生産性改善や増産に係る工事、電気硝子
(厦門)有限公司の新設備立上げ等の先行費用の発生、当第3四半期連結会計期間には欧州向けガラスファイバの
季節要因による出荷減の影響がありました。これらに加え、EGFAののれん償却や原燃料価格の上昇等により営
業利益が押し下げられました。経常利益と親会社株主に帰属する四半期純利益については、一部の海外子会社への
融資に係る債権債務の評価替えによる為替差損の影響があった一方で、オランダ子会社(Electric Glass Fiber
NL, B.V.)の退職年金制度改定に伴う特別利益を計上しました。
これらの結果、営業利益は193億5百万円(同21.5%減)、経常利益は157億27百万円(同36.6%減)、親会社株
主に帰属する四半期純利益は116億42百万円(同34.5%減)となりました。
なお、当社グループのセグメントは、ガラス事業単一です。
(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態の分析
[総資産]
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して266億70百万円減少し、7,377億50百万円となりました。流動資産では、配当や自己株式取得等により現金及び預金が減少し、堅調な出荷により商品及び製品が減少しました。固定資産では、新設備の稼働により当該設備を有形固定資産のその他における建設仮勘定から、建物及び構築物、機械装置及び運搬具に振り替えました。償却等によりのれんが減少したため、無形固定資産が減少しました。また、一部の投資有価証券の時価が下がったことから、投資その他の資産におけるその他が減少しました。
[負債]
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して140億2百万円減少し、2,066億28百万円となりました。流動負債では、返済期限が1年以内の長期借入金を短期借入金に振り替えましたが、返済により短期借入金が減少しました。償還期限が1年以内の社債を固定負債から流動負債に振り替えたため、1年内償還予定の社債が増加しました。固定負債では、前述の振り替えに伴い、社債及び長期借入金が減少しました。
[純資産]
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末と比較して126億67百万円減少し、5,311億21百万円となりました。配当金の支払いがあったものの、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が増加しました。また、前述のとおり自己株式を取得しました。一方、その他有価証券評価差額金と為替換算調整勘定が減少しました。
これらの結果、当第3四半期連結会計期間末における自己資本比率は前連結会計年度末の70.5%から0.8ポイント上昇し、71.3%となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題に重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当社グループは、「ガラスの持つ無限の可能性を引き出し、モノづくりを通して、豊かな未来を切り拓きます。」という企業理念を実現することを目的に研究開発活動に取り組んでいます。また、製造プロセスと製品開発の統合的な進化を目指し、その成果を当社の中長期の成長のための経営戦略に反映させていきます。
当社の研究開発活動は、「基礎的研究開発」と「事業部門開発」から成っています。
「基礎的研究開発」は、基盤技術開発と戦略的開発で構成されます。基盤技術開発は、主としてスタッフ機能部門(技術本部、製造技術統括本部)が担当しています。科学的なアプローチに基づき、新材料・新技術、製品化技術、分析評価技術、製造プロセス技術の研究開発をライン部門(各事業部)と密接に連携をとりながら行っています。また、戦略的開発については、スタッフ機能部門とライン部門が、事業戦略に基づく中期的開発課題について密接に連携し取り組んでいます。そのための情報解析や企画立案は、事業戦略部が支援しています。一方、「事業部門開発」は、主としてライン部門が担当し、各事業分野の発展につながる製品及び製造プロセス技術の研究開発を、スタッフ機能部門と密接に連携をとりながら行っています。
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費は51億56百万円となりました。これは、基礎的研究開発に15億16百万円、事業部門開発に36億39百万円を使用したものです。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(5)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設について、当第3四半期連結累計期間に完成したものは、次のとおりです。
会社名所在地セグメントの名称設備の内容投資額
(百万円)
電気硝子(厦門)有限公司中華人民共和国
福建省
ガラス事業ガラス製造設備72,071

(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。