有価証券報告書-第99期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/30 9:23
【資料】
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【項目】
124項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して705億2百万円増加し、7,644億20百万円となりました。
流動資産は80億61百万円増加しました。米国ガラス繊維事業取得に伴う支出や1年内償還予定の社債の償還などにより現金及び預金が減少しました。
固定資産は624億40百万円増加しました。減価償却が進んだ一方で、中国(厦門市)の溶融・成形子会社への設備投資や米国ガラス繊維事業取得により、有形固定資産及び無形固定資産が増加しました。また、一部の投資有価証券の評価額が増加したことなどから、投資その他の資産の投資有価証券が増加しました。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して362億77百万円増加し、2,206億31百万円となりました。
流動負債は178億11百万円増加しました。短期借入金を返済した一方で、返済期限が1年以内の長期借入金を短期借入金へ振り替えたことにより、短期借入金が増加しました。また、前述の通り、1年内償還予定の社債を償還しました。
固定負債は184億66百万円増加しました。主として米国ガラス繊維事業取得のために借り入れを行い、長期借入金が増加しました。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比較して342億24百万円増加し、5,437億89百万円となりました。利益の増加により利益剰余金が増加したほか、その他有価証券評価差額金及び為替換算調整勘定が増加しました。
これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は前連結会計年度末の72.7%から2.2ポイント減少し、70.5%となりました。
(2) 経営成績
中期経営計画の2年目となる当連結会計年度においては、ディスプレイ分野では、成長市場である中国において、新たな加工合弁会社(福清市)の稼働開始や、溶融・成形子会社(厦門市)での増産準備など、事業拡大を進めてまいりました。また、生産性改善の取り組みが進展し、収益力が強化されました。機能材料などの分野では、米国における企業買収により、ガラスファイバのグローバルな生産供給体制(日本・マレーシア・欧州・米国)を構築しました。新製品や開発関連では、長円形の断面を持つフラットガラスファイバや、従来品より遮光性が高い医薬容器用管ガラス「BS-A Dark」等を開発したほか、結晶化ガラスを正極材に用いた全固体ナトリウムイオン二次電池の室温駆動に世界で初めて成功しました。また、浙江大学(中国浙江省杭州市)に寄附講座「NEG Endowed Chair in Glass Chemistry」を開設しました。本講座を通じ、同大学との協力、連携を密にし、技術開発に活かしてまいります。
このような中、当連結会計年度の業績においては、液晶ディスプレイ(LCD)用基板ガラスの出荷が、堅調な需要を背景に増加しました。特に、第2四半期連結会計期間から新規顧客向けの出荷が本格化したことなどが寄与しました。ガラスファイバの出荷も堅調に推移し、企業取得した欧州及び米国ガラス繊維事業なども販売の増加に貢献しました。これらにより、売上高は2,824億47百万円(前連結会計年度比18.0%増)となりました。
損益面では、生産性の改善や売上高の増加、LCD用基板ガラスの価格下落の緩和等が営業利益の押し上げ要因となりました。前連結会計年度において、当社から中国子会社への融資に係る債権及び債務の評価替えによる為替差損がありましたが、当連結会計年度においては為替差益に転じ、経常利益が増加しました。
売上総利益は706億59百万円(同37.2%増)となり、営業利益は322億1百万円(同64.5%増)となりました。この結果、売上高営業利益率は11.4%と前連結会計年度と比べ、3.2ポイント上昇しました。また、経常利益は341億30百万円(同144.3%増)となりました。
特別利益は、若狭上中事業場跡地売却に伴う固定資産売却益、及び投資有価証券売却益により32億58百万円(同65.5%減)となり、特別損失は、藤沢事業場跡地の環境改善工事に係る事業場閉鎖損などにより47億56百万円(同42.1%減)となりました。この結果、特別利益から特別損失を差し引いた純額は14億97百万円の損失となり、前連結会計年度と比べ、27億31百万円減少しました。これらによって、税金等調整前当期純利益は326億32百万円(同114.7%増)となりました。
法人税、住民税及び事業税として42億93百万円を計上し、法人税等調整額として6億50百万円を計上しました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は271億84百万円(同447.1%増)となりました。なお、1株当たりの当期純利益金額は、273円29銭(前連結会計年度は49円95銭)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当社グループは、キャッシュ・フロー重視、資産の効率的活用(金融資産・たな卸資産の圧縮、設備の生産性向上と集約)、財務基盤の強化(適切な自己資本比率と実質無借金経営)を財務の基本方針とし、事業環境の変化に耐え得る強固な財務体質を目指しています。
当連結会計年度における当社グループのキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、税金等調整前当期純利益が増加しました。減価償却費は高水準ですが前連結会計年度比で減少しました。一方、売上債権及びたな卸資産が増加しました。これらの結果、当連結会計年度において営業活動によって得られた資金は461億59百万円(前連結会計年度比21億1百万円の収入減)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、国内外の設備の増強や米国ガラス繊維事業取得などにより、当連結会計年度において投資活動に使用した資金は686億44百万円(同325億5百万円の支出増)となりました。
これらにより、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は△224億84百万円(同346億7百万円の収入減)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、社債の償還や、株主への配当金及び子会社における非支配株主への配当金を支払った一方で、長期借入れによる収入などにより、当連結会計年度において財務活動によって得られた資金は97億97百万円(同274億21百万円の支出減)となりました。
上記に、現金及び現金同等物に係る換算差額3億55百万円を合わせ、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べ123億31百万円減少し、1,138億35百万円となりました。