四半期報告書-第85期第1四半期(平成30年4月1日-平成30年6月30日)

【提出】
2018/08/10 9:16
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【項目】
29項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 財政状態の状況
総資産は、前年度比38億7百万円減少し3,118億8千8百万円となりました。
流動資産は、13億3百万円減少し1,574億5百万円となりました。法人税等や配当金の支払などから現金及び預金が33億4千7百万円減少した一方、受取手形及び売掛金が4億5百万円、有価証券が7億5千6百万円増加しました。
固定資産は、25億4百万円減少し1,544億8千3百万円となりました。減価償却などから有形固定資産が15億9千9百万円減少、また投資有価証券が7億5千万円減少しました。
負債は、1億9千5百万円減少し461億9千5百万円となりました。主な増減要因は、未払法人税等が13億1千7百万円減少した一方、流動負債その他が12億5千4百万円増加したことによります。
純資産につきましては、36億1千1百万円減少し2,656億9千3百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益を34億7千万円確保しましたが、配当金の支払が45億9千7百万円あり、為替換算調整勘定が17億4百万円減少したことなどによります。なお、資本の財源および資金の流動性については、前連結会計年度と大きな変動はありません。
(2) 経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善などが続く中で、景気は緩やかな回復基調が維持されました。一方、海外では、米国経済が堅調で先行き景気の加速も見込まれ、中国経済も概ね安定的に推移、ASEANも総じて緩やかに持ち直し傾向を維持しました。
鉄鋼業界は、国内需要は建築・自動車など鉄鋼需要産業の関連指標も上昇し底堅く推移し、海外も緩やかな鋼材需要の回復がありました。
事業全体の状況は、以下のとおりであります。
販売数量の前年同期比増加と販売単価の上昇により、売上高は404億8千9百万円(前年同期比8.5%増)と増収になりました。しかしながら、収益面は日本とベトナムでのスプレッドの悪化が響き、コストダウンや生産効率の向上に努めましたが、営業利益は48億5千3百万円(同20.4%減)と減益となりました。
営業外損益で、為替差損の増加があったものの受取配当金の増加などから前年同期比5千2百万円改善しましたが、経常利益は54億4千2百万円(同17.9%減)と減益になりました。特別損益で固定資産売却益が減少したことなどから前年同期比2億1千7百万円悪化したこともあり、親会社株主に帰属する四半期純利益は34億7千万円(同21.7%減)と減益になりました。
なお、対米ドル換算レートは1米ドル108円30銭であります。
セグメント別の状況は、以下のとおりであります。
(日本)
国内事業につきましては、販売数量は前年同期比ほぼ横這いながら販売単価の上昇により、売上高は246億7百万円(前年同期比4.3%増)と増収になりました。引き続き材料コイルの仕入価格が上昇する中で、4~6月は荷動きがもう一つで製品価格の値上げは難航しました。結果、スプレッドの悪化からセグメント利益は38億5千9百万円(前年同期比22.5%減)と減益になりました。
(北米)
北米事業につきましては、販売数量の前年同期比増加と共に販売単価上昇により、売上高は81億5千2百万円(前年同期比17.8%増)の増収となりました。米国政府の政策への期待をベースに市況が上昇する中で、販売価格への材料コストアップの転嫁によりスプレッドの改善が図れたことから、セグメント利益は7億1千3百万円(前年同期比9.2%増)と増益になりました。
(アジア)
アジア事業につきましては、販売数量の前年同期比増加と販売単価の上昇により、売上高は77億2千9百万円(前年同期比13.7%増)と増収になりました。一方、セグメント利益は2億7百万円(前年同期比46.1%減)と減益になりました。これは、インドのマルイチ・クマ・スチール・チューブ・プライベート・リミテッド(KUMA社)では、インド国内の4輪&2輪向け販売が好調で増益を確保いたしましたが、ベトナムのマルイチ・サン・スチール・ジョイント・ストック・カンパニー(SUNSCO社)では、ベトナム国内市場の競争激化と近隣輸出市場の輸入制限措置拡大等からスプレッドが悪化し減益となったことによります。
(3) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
①経営方針について
前連結会計年度末より重要な変更はありません。
②事業上及び財務上の対処すべき課題
今後の見通しにつきましては、足元の国内外景気は引き続き堅調に推移するものの、米国通商拡大法232条に基づく鉄鋼輸入制限措置に代表される通商問題、欧米での金融引締め観測、中東地域における地政学的リスクなど、先行き不透明感が高まっております。当社といたしましては、第5次中期経営計画のスタート年度として主要施策の着実な実行を進めてまいります。
セグメント別の今後の見通し及び対処すべき課題等については、以下のとおりです。
(日本)
国内事業につきましては、建築向け製品を中心に需要の増加が期待されます。一方、足元でコイルの仕入価格上昇分の製品価格への転嫁が未達の中で、更なる追加値上げ圧力が強くスプレッド悪化拡大が懸念されます。引き続き、販売価格の値上げを最優先に、新規開拓やモデルミックスの改善に取り組んでまいりますが、厳しい状況が見込まれます。
(北米)
北米事業につきましては、3月末の米国輸入関税25%の発動により、米国内では仕入および販売価格が急騰しました。当社グループでは価格転嫁を先行させ採算の改善に努めておりますが、世界市況に比べ突出して高止まりしている米国内価格の先行きは不安定であり、下期以降の市況の維持が懸念されます。また、カナダ政府による報復関税(7月より25%)の発動により、カナダ向け輸出ウェイトの高い米国マルイチ・オレゴン・スチール・チューブLLC(MOST社)は、現状カナダ向け販売が激減しており対応に苦慮しております。米国マルイチ・アメリカン・コーポレーション(MAC社)、米国マルイチ・レビット・パイプ・アンド・チューブLLC(Leavitt社)も含めた北米3拠点の連携強化を図りながら収益の確保に努めるとともに、3拠点ともに2インチラインの更新・増設など実施中でありますが、小径サイズの販売強化に取組んでまいります。メキシコのマルイチメックスS.A.de C.V.(Maruichimex社)では自動車向け鋼管販売強化に向けた切断体制強化などの対応をしてまいります。
(アジア)
アジア事業につきましては、米国の通商問題やEUのセーフガード措置の影響でアジア地区全体の鉄鋼市況が混乱しつつあります。従い、ベトナムSUNSCO社では販売の低迷やスプレッド改善が難航する厳しい状況となっており、対策の強化及び設備稼働率・歩留まりの改善に取り組んでまいります。インドKUMA社では、好調な4輪&2輪向け販売の更なる拡大に努めてまいりますが、ドル高ルピー安の為替変動の影響が懸念されます。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
当社株式に対する大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)について
当社は、平成17年6月7日開催の取締役会において、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(いずれについてもあらかじめ当社取締役会が同意したものを除き、また市場取引、公開買付け等の具体的な買付方法の如何を問いません。以下、かかる買付行為を「大規模買付行為」といい、かかる買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。)に対する方針(以下、「本方針」といいます。)を決定したのち、その後の法律の改正や情勢の変化等を踏まえた本方針の一部変更および継続を平成28年6月24日開催の第82回定時株主総会で株主の皆様にご承認を得ており、その内容は以下の通りであります。
大規模買付ルールの必要性
当社取締役会は、公開会社として当社株式の自由な売買を認める以上、大規模買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。そのためには、大規模買付行為にあたり十分な情報が株主の皆様に提供されることが重要と考えます。従いまして、当社取締役会としましては、株主の皆様の判断のために、大規模買付行為に関する情報が大規模買付者から提供された後、これを評価・検討し取締役会としての意見を取りまとめて開示いたします。
当社の経営には、鉄鋼産業の一翼を担う鋼管の製造加工および販売などを行う企業としての豊富な経験、国内外の取引先および顧客等との間に築かれた長期的取引関係、全国に立地する各工場と地域社会との関係等への理解が不可欠です。これらに関する十分な理解なくしては、株主の皆様が将来実現することのできる株主価値を適正に判断することはできません。そのため、当社株式の適正な価値を投資家の皆様にご理解いただくよう、IR 活動を通じて事業内容の適時開示に努めておりますが、突然大規模買付行為がなされたときに、大規模買付者の提示する当社株式の取得対価が妥当かどうかを株主の皆様が短期間の間に適切に判断されるためには、大規模買付者および当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供されることが不可欠です。さらに、当社株式をそのまま継続的に保有することを考えられる株主の皆様にとっても、大規模買付行為が当社に与える影響、当社の従業員、関連会社、取引先および顧客等のステークホルダーとの関係など大規模買付後の経営方針や事業計画等は、重要な判断材料であります。同様に、当社取締役会が当該大規模買付行為についてどのような意見を有しているのかも、当社株主にとっては重要な判断材料になると考えます。
また、当社取締役会は、大規模買付者との間にも中長期的な企業価値向上を目的として建設的な対話は可能であり、そのための機会と十分な時間の確保は当社および大規模買付者双方にとっても有意義なものと考えております。
これらを考慮し、当社取締役会は、大規模買付行為に際しては、従前より、一定のルールを設け、株主の皆様への十分な情報の提供と検討の期間を確保し、取締役会が大規模買付者との間で必要な交渉を行うとともに、当社の業務執行を行う者から独立した委員により構成される独立委員会への諮問を通じて、対抗措置の発動の是非についての取締役会の判断の公正性および透明性を担保する仕組みを構築してまいりましたが、今般、株主意思のさらなる尊重のため、必要に応じて株主の皆様の意思を直接に確認する仕組みを追加することといたしました。これらの仕組みは、株主の皆様が大規模買付者の相当性、妥当性を判断する上でも有用と考えております。
以上の見解に基づき、当社取締役会は、当社が社会のインフラを供給する企業として継続的、持続的に成長戦略を実施するために本ルールを一部変更の上、継続することは、決して当社の取締役の保身を目的としないのみならず、当社グループの企業価値、株主共同の利益の維持、向上に資するものと思料いたします。
なお、本方針の詳細につきましては、インターネット上の当社ウェブサイト(http://www.maruichikokan.co.jp)に掲載した平成28年5月11日付プレスリリースをご参照ください。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費の総額は34百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の重要な変更はありません。
(5) 主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画はありません。