有価証券報告書-第86期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態の状況
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a. 事業全体の状況
総資産は、前年度比108億9千8百万円減少し3,101億2千万円となりました。
流動資産は、37億1千9百万円増加し1,693億8千2百万円となりました。譲渡性預金が満期になったことなどから有価証券が103億8千万円減少し、現金及び預金が230億5千9百万円増加しました。世界経済の先行き見通しが読めない状況下、現預金の確保は必要と考えております。また、北米においては在庫の圧縮が急務であったことから、鋭意削減をすすめた結果、製品が16億2千4百万円、原材料及び貯蔵品が37億5千6百万円減少しました。
固定資産は、146億1千8百万円減少し1,407億3千7百万円となりました。主な増減要因は、SUNSCO社の固定資産減損から有形固定資産が33億9千万円、政策保有株式の一部売却や株価下落などから投資有価証券が104億6千9百万円減少したことによります。
負債は、32億4千5百万円減少し428億3千7百万円となりました。主な増減要因は、たな卸資産削減や減価償却費回収により海外子会社の借入金圧縮を進めたことから、短期借入金が33億円、長期借入金が8億7千6百万円減少しました。また、支払手形及び買掛金が32億6百万円増加する一方、未払法人税等が11億円、繰延税金負債が23億5百万円減少したこともあります。
純資産につきましては、76億5千2百万円減少し2,672億8千2百万円となりました。主な増減要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を63億5千4百万円確保する一方、配当金の支払が73億7千3百万円あり、その他有価証券評価差額金が48億8千9百万円、為替換算調整勘定が8億6千7百万円減少したことによります。株主に対する配当の重要性は認識しており、利益配当の基本方針に沿った配当に加え今年度は記念配当を実施する一方、将来の戦略的事業及び設備投資に備えた内部留保も重要と考えております。結果、自己資本比率は83.0%(前年度は実績82.2%)となっております。
なお、資本の財源および資金の流動性については、前連結会計年度と大きな変動は無く、運転資金及び設備資金は自己資金を中心に充当し、海外子会社の借入金返済の流動性は満たしておりますが、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う先行き不透明感からも、当社グループ全体での円滑な事業活動の資金について留意してまいります。
b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況
(日本)
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて13億1千9百万円減少し、1,049億7百万円となりました。連結子会社において工場建屋の新設などの設備投資を行った結果、固定資産が増加した一方で、前期の期末日が休日であったことから、受取手形及び売掛金が減少しました。
(北米)
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて51億8千8百万円減少し、204億3千1百万円となりました。在庫の圧縮が急務であったことから、鋭意削減を進めた結果、たな卸資産(製品、原材料及び貯蔵品)が減少しました。また、減価償却により固定資産は減少しました。
(アジア)
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて59億2千6百万円減少し、152億3千5百万円となりました。SUNSCO社において固定資産減損を計上したことにより固定資産が減少し、在庫の圧縮を進めた結果、たな卸資産(製品、原材料及び貯蔵品)も減少しました。
(2)経営成績の状況
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a. 事業全体の状況
北米・アジアでの販売数量の前年度比減少に加え、日本国内も下期から数量減に転じたことから、販売単価の上昇はあったものの、連結業績の売上高は1,549億2千6百万円(前年度比7.5%減)と減収になりました。利益面も、前年度は好調であった北米が赤字となり、営業利益は147億1千2百万円(同23.6%減)と減益になりました。
営業外損益で、持分法による投資利益が悪化したものの、為替差損の減少などから前年度比2千3百万円改善しましたが、経常利益は171億4百万円(同20.9%減)と減益になりました。特別利益で固定資産売却益や投資有価証券売却益が増加しました。一方、特別損失で、ベトナムSUNSCO社の固定資産減損損失33億3千6百万円の計上に加え、株式市場低迷から38億6千1百万円の投資有価証券評価損を計上したことから、特別損益は前年度比66億2千6百万円悪化しました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は63億5千4百万円(同55.4%減)と減益になりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、パイプの販売価格と材料コイルの仕入価格との値差(スプレッド)の変動が最も大きなものです。当連結会計年度は、このスプレッドの改善が進んだものの販売数量減の影響が大きく、営業利益・経常利益共に減益となりました。
b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況
(日本)
国内事業につきましては、特に下期以降は月を追って落ち込み幅が大きく、販売数量が前年度比減少となりました。販売単価は前年度比では上昇したものの、数量減をカバーできず、加えて自動車向け比率の高い㈱アルファメタルの不振もあり、セグメント売上高は1,012億6千9百万円(前年度比2.5%減)と減収になりました。材料コイルは海外価格の見直しによりスプレッドの改善は出来たものの、数量減からの製造コスト負担増や発送費の値上がり等から、セグメント利益は155億2千8百万円(同1.5%減)と微減しました。
(北米)
北米事業につきましては、米国3社は米中摩擦の影響から農業機械向けが不振となり、エネルギー部門の開発も低迷し、販売数量は大幅減となりました。ただカナダ向け輸出ウェイトの高い米国MOST社は、カナダ政府による報復関税の撤廃に加え、北米の鋼管市況の一時的な底打ち感も出始めたことで、下期は北米全体の販売数量は前年同期を若干上回りました。しかし、年度では14.5%数量減と大幅な落ち込みとなりました。メキシコMaruichimex社は拡販努力により12%数量増と健闘しました。結果、セグメント売上高は260億6千6百万円(前年度比19.8%減)と大きく落ち込み、販売数量の減少に加え、高値のコイル在庫を抱え消費コイル価格の高止まりや在庫評価損の計上などからスプレッドが悪化し、セグメント損益は15億2千7百万円の赤字(前年度は25億5千3百万円の黒字)となりました。
(アジア)
アジア事業につきましては、ベトナムSUNSCO社ではベトナム国内市場の競争激化と他国の輸入制限措置拡大に加えて、現有の冷間圧延機の不調が重なり、販売数量の減少と併せてスプレッドも悪化し赤字が拡大しました。この結果、2期連続赤字となり、当社連結決算においてSUNSCO社の固定資産の減損損失を計上することになりました。また、ベトナムSUNSCO(HNI)社では、販売数量は増加したものの販売単価の下落があり、またインドKUMA社では、前年度好調であったインド国内の4輪&2輪の販売に急ブレーキがかかり、鋼管の販売数量が前年度比11.6%減となるなど期待に反する状況となりました。結果、セグメント売上高は275億9千万円(前年度比11.2%減)、セグメント利益は4億7千6百万円(同31.8%減)と減収減益になりました。
c. 目標とする経営指標の達成状況等
目標とする経営指標及びその達成状況につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 の(1)経営方針について」の第5次中期経営計画をご参照ください。
② 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記金額は消費税等を含んでおりません。
b. 受注状況
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は当該割合が10%に満たないため記載を省略しております。
3.上記金額は消費税等を含んでおりません。
(3)キャッシュ・フローの状況
① 現金及び現金同等物
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末より156億3千5百万円増加し、707億3千2百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と増減要因は以下のとおりであります。
② 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によって増加した資金は297億3千9百万円(前連結会計年度比140億7千6百万円の収入増)となりました。主な収入は、税金等調整前当期純利益100億6千1百万円、減価償却費63億5千4百万円、たな卸資産の増減額49億8千万円、仕入債務の増減額34億9百万円であります。主な支出は、法人税等の支払額59億6千8百万円であります。特に、海外子会社でのたな卸資産の削減を進めたことから、収入は前連結会計年度比で大幅増加しました。
③ 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によって減少した資金は26億9千万円(前連結会計年度比48億9千9百万円の支出減)となりました。主な収入は、有価証券の純増減額98億8千5百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入84億5千4百万円であります。主な支出は、投資有価証券の取得による支出81億3千2百万円、定期預金の純増減額81億1千7百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出56億9千7百万円であります。余資の効率的運用を図るべく、有価証券及び投資有価証券の取得を行いましたが投資有価証券の売却及び償還があったことから前年度対比で支出が減少しました。
④ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によって減少した資金は113億3千7百万円(前連結会計年度比53億3千万円の支出増)となりました。主な支出は、短期借入金の純増減額24億8千8百万円、長期借入金の返済による支出17億4千6百万円、配当金の支払額73億7千8百万円などであります。たな卸資産の削減などから借入金の圧縮を図りました。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金及び設備資金については、主に自己資金を中心に、海外子会社の一部などは借入金により充当しております。当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末より156億3千5百万円増加し、707億3千2百万円となりました。一方、当連結会計年度末の借入金残高は、短期借入金55億2千7百万円・長期借入金9億6百万円であり、これらの返済に必要な流動性は十分に満たしていると認識しております。従って、当社グループの財務の健全性は引き続き確保されており、第5次中期経営計画に沿った投融資・設備投資を含む当社グループの円滑な事業活動の資金には、大きな支障は無いと考えております。また、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う先行き不透明感からも、当社グループ全体での円滑な事業活動の資金について留意してまいります。
(4)重要な会計方針上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(減損会計における将来キャッシュ・フロー)
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、収益計画の前提となった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報と整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。当該見積りには、売上高に影響するベトナムの市場成長率の見込、新規設備である第2冷延設備の稼働による収益の改善見込みなどの仮定を用いております。
当社グループは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係) ※6固定資産の減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失(3,336百万円)を計上いたしました。回収可能価額は使用価値により算定しておりますが、その際に用いられる税引前の割引率は、貨幣の時間価値と将来キャッシュ・フローがその見積値から乖離するリスクの両方を反映したものであり、借入資本コストと自己資本コストを加重平均した資本コストによっております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態の状況
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a. 事業全体の状況
総資産は、前年度比108億9千8百万円減少し3,101億2千万円となりました。
流動資産は、37億1千9百万円増加し1,693億8千2百万円となりました。譲渡性預金が満期になったことなどから有価証券が103億8千万円減少し、現金及び預金が230億5千9百万円増加しました。世界経済の先行き見通しが読めない状況下、現預金の確保は必要と考えております。また、北米においては在庫の圧縮が急務であったことから、鋭意削減をすすめた結果、製品が16億2千4百万円、原材料及び貯蔵品が37億5千6百万円減少しました。
固定資産は、146億1千8百万円減少し1,407億3千7百万円となりました。主な増減要因は、SUNSCO社の固定資産減損から有形固定資産が33億9千万円、政策保有株式の一部売却や株価下落などから投資有価証券が104億6千9百万円減少したことによります。
負債は、32億4千5百万円減少し428億3千7百万円となりました。主な増減要因は、たな卸資産削減や減価償却費回収により海外子会社の借入金圧縮を進めたことから、短期借入金が33億円、長期借入金が8億7千6百万円減少しました。また、支払手形及び買掛金が32億6百万円増加する一方、未払法人税等が11億円、繰延税金負債が23億5百万円減少したこともあります。
純資産につきましては、76億5千2百万円減少し2,672億8千2百万円となりました。主な増減要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を63億5千4百万円確保する一方、配当金の支払が73億7千3百万円あり、その他有価証券評価差額金が48億8千9百万円、為替換算調整勘定が8億6千7百万円減少したことによります。株主に対する配当の重要性は認識しており、利益配当の基本方針に沿った配当に加え今年度は記念配当を実施する一方、将来の戦略的事業及び設備投資に備えた内部留保も重要と考えております。結果、自己資本比率は83.0%(前年度は実績82.2%)となっております。
なお、資本の財源および資金の流動性については、前連結会計年度と大きな変動は無く、運転資金及び設備資金は自己資金を中心に充当し、海外子会社の借入金返済の流動性は満たしておりますが、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う先行き不透明感からも、当社グループ全体での円滑な事業活動の資金について留意してまいります。
b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況
(日本)
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて13億1千9百万円減少し、1,049億7百万円となりました。連結子会社において工場建屋の新設などの設備投資を行った結果、固定資産が増加した一方で、前期の期末日が休日であったことから、受取手形及び売掛金が減少しました。
(北米)
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて51億8千8百万円減少し、204億3千1百万円となりました。在庫の圧縮が急務であったことから、鋭意削減を進めた結果、たな卸資産(製品、原材料及び貯蔵品)が減少しました。また、減価償却により固定資産は減少しました。
(アジア)
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末と比べて59億2千6百万円減少し、152億3千5百万円となりました。SUNSCO社において固定資産減損を計上したことにより固定資産が減少し、在庫の圧縮を進めた結果、たな卸資産(製品、原材料及び貯蔵品)も減少しました。
(2)経営成績の状況
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a. 事業全体の状況
北米・アジアでの販売数量の前年度比減少に加え、日本国内も下期から数量減に転じたことから、販売単価の上昇はあったものの、連結業績の売上高は1,549億2千6百万円(前年度比7.5%減)と減収になりました。利益面も、前年度は好調であった北米が赤字となり、営業利益は147億1千2百万円(同23.6%減)と減益になりました。
営業外損益で、持分法による投資利益が悪化したものの、為替差損の減少などから前年度比2千3百万円改善しましたが、経常利益は171億4百万円(同20.9%減)と減益になりました。特別利益で固定資産売却益や投資有価証券売却益が増加しました。一方、特別損失で、ベトナムSUNSCO社の固定資産減損損失33億3千6百万円の計上に加え、株式市場低迷から38億6千1百万円の投資有価証券評価損を計上したことから、特別損益は前年度比66億2千6百万円悪化しました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は63億5千4百万円(同55.4%減)と減益になりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、パイプの販売価格と材料コイルの仕入価格との値差(スプレッド)の変動が最も大きなものです。当連結会計年度は、このスプレッドの改善が進んだものの販売数量減の影響が大きく、営業利益・経常利益共に減益となりました。
b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況
(日本)
国内事業につきましては、特に下期以降は月を追って落ち込み幅が大きく、販売数量が前年度比減少となりました。販売単価は前年度比では上昇したものの、数量減をカバーできず、加えて自動車向け比率の高い㈱アルファメタルの不振もあり、セグメント売上高は1,012億6千9百万円(前年度比2.5%減)と減収になりました。材料コイルは海外価格の見直しによりスプレッドの改善は出来たものの、数量減からの製造コスト負担増や発送費の値上がり等から、セグメント利益は155億2千8百万円(同1.5%減)と微減しました。
(北米)
北米事業につきましては、米国3社は米中摩擦の影響から農業機械向けが不振となり、エネルギー部門の開発も低迷し、販売数量は大幅減となりました。ただカナダ向け輸出ウェイトの高い米国MOST社は、カナダ政府による報復関税の撤廃に加え、北米の鋼管市況の一時的な底打ち感も出始めたことで、下期は北米全体の販売数量は前年同期を若干上回りました。しかし、年度では14.5%数量減と大幅な落ち込みとなりました。メキシコMaruichimex社は拡販努力により12%数量増と健闘しました。結果、セグメント売上高は260億6千6百万円(前年度比19.8%減)と大きく落ち込み、販売数量の減少に加え、高値のコイル在庫を抱え消費コイル価格の高止まりや在庫評価損の計上などからスプレッドが悪化し、セグメント損益は15億2千7百万円の赤字(前年度は25億5千3百万円の黒字)となりました。
(アジア)
アジア事業につきましては、ベトナムSUNSCO社ではベトナム国内市場の競争激化と他国の輸入制限措置拡大に加えて、現有の冷間圧延機の不調が重なり、販売数量の減少と併せてスプレッドも悪化し赤字が拡大しました。この結果、2期連続赤字となり、当社連結決算においてSUNSCO社の固定資産の減損損失を計上することになりました。また、ベトナムSUNSCO(HNI)社では、販売数量は増加したものの販売単価の下落があり、またインドKUMA社では、前年度好調であったインド国内の4輪&2輪の販売に急ブレーキがかかり、鋼管の販売数量が前年度比11.6%減となるなど期待に反する状況となりました。結果、セグメント売上高は275億9千万円(前年度比11.2%減)、セグメント利益は4億7千6百万円(同31.8%減)と減収減益になりました。
c. 目標とする経営指標の達成状況等
目標とする経営指標及びその達成状況につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 の(1)経営方針について」の第5次中期経営計画をご参照ください。
② 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
日本 | 95,284 | △2.9 |
北米 | 25,086 | △26.1 |
アジア | 27,824 | △14.4 |
合計 | 148,195 | △10.0 |
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記金額は消費税等を含んでおりません。
b. 受注状況
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
日本 | 101,269 | △2.5 |
北米 | 26,066 | △19.8 |
アジア | 27,590 | △11.2 |
合計 | 154,926 | △7.5 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は当該割合が10%に満たないため記載を省略しております。
3.上記金額は消費税等を含んでおりません。
(3)キャッシュ・フローの状況
① 現金及び現金同等物
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末より156億3千5百万円増加し、707億3千2百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と増減要因は以下のとおりであります。
② 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によって増加した資金は297億3千9百万円(前連結会計年度比140億7千6百万円の収入増)となりました。主な収入は、税金等調整前当期純利益100億6千1百万円、減価償却費63億5千4百万円、たな卸資産の増減額49億8千万円、仕入債務の増減額34億9百万円であります。主な支出は、法人税等の支払額59億6千8百万円であります。特に、海外子会社でのたな卸資産の削減を進めたことから、収入は前連結会計年度比で大幅増加しました。
③ 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によって減少した資金は26億9千万円(前連結会計年度比48億9千9百万円の支出減)となりました。主な収入は、有価証券の純増減額98億8千5百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入84億5千4百万円であります。主な支出は、投資有価証券の取得による支出81億3千2百万円、定期預金の純増減額81億1千7百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出56億9千7百万円であります。余資の効率的運用を図るべく、有価証券及び投資有価証券の取得を行いましたが投資有価証券の売却及び償還があったことから前年度対比で支出が減少しました。
④ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によって減少した資金は113億3千7百万円(前連結会計年度比53億3千万円の支出増)となりました。主な支出は、短期借入金の純増減額24億8千8百万円、長期借入金の返済による支出17億4千6百万円、配当金の支払額73億7千8百万円などであります。たな卸資産の削減などから借入金の圧縮を図りました。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金及び設備資金については、主に自己資金を中心に、海外子会社の一部などは借入金により充当しております。当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末より156億3千5百万円増加し、707億3千2百万円となりました。一方、当連結会計年度末の借入金残高は、短期借入金55億2千7百万円・長期借入金9億6百万円であり、これらの返済に必要な流動性は十分に満たしていると認識しております。従って、当社グループの財務の健全性は引き続き確保されており、第5次中期経営計画に沿った投融資・設備投資を含む当社グループの円滑な事業活動の資金には、大きな支障は無いと考えております。また、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う先行き不透明感からも、当社グループ全体での円滑な事業活動の資金について留意してまいります。
(4)重要な会計方針上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(減損会計における将来キャッシュ・フロー)
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、収益計画の前提となった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報と整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。当該見積りには、売上高に影響するベトナムの市場成長率の見込、新規設備である第2冷延設備の稼働による収益の改善見込みなどの仮定を用いております。
当社グループは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係) ※6固定資産の減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失(3,336百万円)を計上いたしました。回収可能価額は使用価値により算定しておりますが、その際に用いられる税引前の割引率は、貨幣の時間価値と将来キャッシュ・フローがその見積値から乖離するリスクの両方を反映したものであり、借入資本コストと自己資本コストを加重平均した資本コストによっております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。