四半期報告書-第87期第1四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/08/07 15:33
【資料】
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【項目】
43項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態の状況
総資産は、丸一ステンレス鋼管㈱を新規連結したこともあり、前年度比73億4千4百万円増加し3,174億6千4百万円となりました。
流動資産は、20億9千2百万円減少し1,672億8千9百万円となりました。丸一ステンレス鋼管㈱の株式譲受資金139億2千1百万円の支出等によって現金及び預金が127億1千8百万円減少しました。また、丸一ステンレス鋼管㈱の新規連結等から、製品が13億9千9百万円、原材料及び貯蔵品が84億9千5百万円増加したことによります。
固定資産は、94億3千7百万円増加し1,501億7千5百万円となりました。主な増減要因は、丸一ステンレス鋼管㈱の新規連結等から有形固定資産が97億3千1百万円増加したことによります。
負債は、100億3千2百万円増加し528億7千万円となりました。主な増減要因は、丸一ステンレス鋼管㈱の新規連結等から、支払手形及び買掛金が18億2千6百万円、短期借入金が48億9千7百万円、退職給付に係る負債が17億5千2百万円増加したことによります。
純資産につきましては、26億8千8百万円減少し2,645億9千4百万円となりました。主な増減要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益を25億6千3百万円確保する一方、配当金の支払が54億2千6百万円あったことによります。
なお、資本の財源および資金の流動性については、前連結会計年度と大きな変動は無く、運転資金及び設備資金は自己資金を中心に充当し、国内及び海外子会社の借入金の返済の流動性は満たしておりますが、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う先行き不透明感からも、当社グループ全体での円滑な事業活動の資金について留意してまいります。
(2) 経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により急速な悪化が続き、極めて厳しい状況になりました。鉱工業生産指数が連続低下、個人消費マインドの悪化、今後の雇用情勢への懸念に加え、海外経済の悪化から自動車産業を中心に輸出の急減等、日本経済は先行き不透明な状況になりました。
海外でも、新型コロナウィルス感染症の全世界的拡大から、世界的に経済活動が停滞し、原油価格の暴落、金融市場の混乱など、先行きが見通せない厳しい状況となりました。
鉄鋼業界は、国内需要の柱である住宅・建築着工件数の減少や自動車生産の大幅な減少などの主要部門が鈍化し、海外鋼材需要もマイナスに転じ、経済活動の再開は図っているものの、新型コロナウィルスの収束は見えず減速は避けられない見通しとなりました。
事業全体の状況は、以下のとおりであります。
北米及びアジアではSUNSCO社とKUMA社を除き販売数量が前年同期を上回ったものの、日本国内の販売数量が減少し販売単価も下落したことから、売上高は383億7千2百万円(前年同期比3.0%減)と減収になりました。利益面も、北米・アジアは増益となったものの、国内の落ち込みから営業利益は35億6千万円(同7.6%減)と減益になりました。
営業外損益で受取配当金の減少や持分法による投資損益が悪化などから前年同期比1億1千2百万円悪化し、経常利益は42億1千2百万円(同8.8%減)と減益になりました。特別損益は投資有価証券売却益が増加したものの、固定資産売却益が減少したことから、前年同期比3億9千万円悪化しました。これらの結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は25億6千3百万円(同18.1%減)と減益になりました。
なお、対米ドル換算レートは1米ドル108円92銭であります。
セグメント別の状況は、以下のとおりであります。
(日本)
国内事業につきましては、需要減少および営業活動面での制約もあって、販売数量は予想した前年同期比△15%程度を上回る数量減少となりました。販売単価も下落圧力傾向にあり前年同期比で下がりました。売上高は、丸一ステンレス鋼管㈱の新規連結効果によって265億9千万円(前年同期比4.7%増)と表面上は増収となったものの、既存売上高は実質2割程度の減収と厳しい実績になりました。材料コイルの調達価格が下がりスプレッドは改善出来たものの、販売数量の減少および製造コスト負担増等から、セグメント利益は30億1千9百万円(同18.6%減)と減益になりました。
(北米)
北米事業につきましては、前年同期にカナダ政府による報復関税の影響を受けた米国マルイチ・オレゴン・スチール・チューブLLC(MOST社)の回復や北米の鋼管市況の一時的な底打ち感もあって、販売数量は前年同期比2桁伸長となりました。売上高は前年同期比で販売単価の下落もあって64億1百万円(前年同期比11.4%減)と減収になりました。一方セグメント利益は、販売数量の回復に加え、前年同期は高値のコイル在庫を抱え消費コイル価格の高止まりなどから赤字となっていたものの、当四半期は解消したことから1億9千4百万円の黒字(前年同期は5千5百万円の赤字)となりました。
(アジア)
アジア事業につきましては、ベトナムのマルイチ・サン・スチール・ジョイント・ストック・カンパニー(SUNSCO社)ではベトナム国内市場の競争激化と近隣国の輸入制限措置拡大等から販売の低迷が続きました。一方、マルイチ・サン・スチール・(ハノイ)・カンパニー・リミテッド(SUNSCO(HNI)社)では、二輪車向け販売数量の増加により増収増益を確保しました。インドのマルイチ・クマ・スチール・チューブ・プライベート・リミテッド(KUMA社)では、新型コロナウィルスの感染症拡大からロックダウンによる操業停止が続き、鋼管の販売数量が前年同期比8割減など大幅に減少し営業赤字となりました。結果、売上高は53億7千9百万円(前年同期比22.2%減)と減収になりましたが、セグメント利益は前年度に固定資産を減損処理したSUNSCO社の減価償却費負担の低減もあり、3億2千2百万円(同123.7%増)と増益になりました。
(3) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
①経営方針について
前連結会計年度末より重要な変更はありません。
②事業上及び財務上の対処すべき課題
今後の見通しにつきましては、新型コロナウィルス感染症の影響により厳しい状況が続くと見込まれます。感染症の収束が見通せないなかで、経済活動との両立を進めているものの、日本を含む全世界経済への悪影響と下振れリスクから先行き不透明感が高まっております。
2021年3月期の連結業績予想は、引き続き新型コロナウィルス感染症の影響を受ける見込みですが、前回公表した予想の前提条件に対して、セグメント別には以下の通りとなっております。当第1四半期連結累計期間は、全体ではほぼ予想通りで進捗しており、今後も変わらず当初予想通りの推移が見込まれております。
当社といたしましては、感染症の拡大防止に努めながら、第5次中期経営計画の最終年度として主要施策の着実な実行の為、各地域での状況変化を的確に把握し、マイナス要因をミニマイズする迅速な対応を引き続き進めてまいります。
(日本)
国内単体事業につきましては、前回の予想販売数量を若干下回る状況にあり、販売価格下落の圧力はあるもののきめ細かい営業活動によって下落を抑え、経済活動再開による需要の回復に期待しつつ、販売数量の確保に取組んでまいります。また、生産工場の稼働率低下に対して生産性の向上や材料コイルを含めコストダウンに努め、業績予想の確保に努めてまいります。また、この4月より新規連結した丸一ステンレス鋼管㈱は、ステンレス管は感染症の影響から受注が減少しているものの、半導体製造装置向けの付加価値の高いBA管などは需要が回復してきており、丸一グループとして精密細管での高い技術力を生かし新たな成長商品分野への進出を図ってまいります。設備投資関連では、環境対応仕様のカラー製品需要の拡大に対応すべく、連結子会社である九州丸一鋼管㈱ではC型鋼生産およびカラー塗装設備の建設は完了し、一方、北海道丸一鋼管㈱での新工場建設は順調に進んでおります。
(北米)
北米事業につきましては、米国マルイチ・アメリカン・コーポレーション(MAC社)、米国マルイチ・レビット・パイプ・アンド・チューブLLC(Leavitt社)、MOST社の北米3拠点につきましては、鉄鋼製造業として安全保障上ロックダウン適用外となり、操業は継続しております。需要の見通しが難しい局面ですが、足元では経済活動の早期再開もあり前回の予想ほど状況は悪化しておらず、3拠点ともに2インチラインを更新・増設済みであり、小径サイズの販売拡充など、需要の回復を期して対応を進めております。また、メキシコのマルイチメックスS.A.de C.V.(Maruichimex社)では、6月より操業再開となり足元では前回の業績予想より回復が早く見込まれております。
(アジア)
アジア事業につきましては、米国の通商問題や近隣諸国の輸入制限措置の影響で供給過剰によりアジア地区全体の鉄鋼市況は混乱しております。ベトナムSUNSCO社では、販売量の低迷やスプレッド改善が難航する厳しい状況が続いておりますが、在庫の圧縮や設備の減価償却を進め、借入金を削減する経営に注力してまいります。また、冷間圧延能力不足の解消、コスト削減、品質向上などに向け第2冷延ミルの新設は順調に進んでおります。ベトナムSUNSCO(HNI)社では、販売先の二輪メーカーの操業が再開し、足元では前回の業績予想より早い回復が見込まれております。インドKUMA社では、ロックダウンは解除され操業再開したものの、感染症拡大により一部再度ロックダウン地域の影響もあり先行きが見通せませんが、足元では前回予想ほど業績悪化はしておりません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費の総額は72百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の重要な変更はありません。
(5) 従業員数の状況
当第1四半期連結累計期間において、当社グループは新たに丸一ステンレス鋼管㈱の従業員373名を連結の範囲に含めたため日本セグメントにおいて377名増加しております。
なお、従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む従業員数であります。
(6) 主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画はありません。